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パートの労働組合員、初の100万人超…厚労省2015/12/28

 労働組合に加入するパート労働者が今年6月末現在、102万5000人(前年比5.7%増)となり、厚生労働省が調査を始めた1990年以降、初めて100万人を超えたことが24日、分かった。
 全組合員に占めるパート労働者の割合も、初めて1割を超えた。連合などの労働組合は、増加する非正規労働者の加入促進に力を入れており、厚労省は「労組の取り組みが影響したのでは」とみている。
 パート労働者の加入者が多い産業は「卸売り・小売り」53万2000人(同2万1000人増)、「宿泊・飲食サービス」13万8000人(同3万人増)など。
 一方、全組合員数は988万2000人で、6年ぶりに前年を上回ったが、経済状況の好転で雇用者数が増えたため、雇用者数に占める組合員数の割合を示す組織率は、前年より0.1ポイント低い17.4%だった。

平成27年12月24日(木曜日)読売新聞電子版

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介護者・高齢者、働きやすく、厚労省が雇用保険改革案2015/12/20

 厚生労働省は18日、雇用保険制度の改革案をまとめた。介護休業を取る人への給付金を引き上げるほか、65歳以上の新規加入を認めることなどを盛り込んだ。現役世代の介護離職を防ぎ、高齢者の就業を促進するのが狙い。政府が目標に掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けて、働きやすい環境を整える。
 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)雇用保険部会が雇用保険制度改革の素案を大筋で了承した。厚労省は改革案を基に雇用保険法の改正案をまとめ、2016年の通常国会への提出を目指す。
 制度改革の柱である介護休業給付は現在、休業前の賃金の40%を給付する仕組み。これを育児休業給付と同水準の67%に引き上げる。
 介護休業給付は配偶者や両親などの介護が必要になり、休職した場合に支給する。通算93日が限度だ。今は介護休業は1つの症状につき1回ずつしか取れず、使い勝手が悪い。3回まで分割して取れるようにする制度改正も合わせて実施する。
 高齢化に伴い、家族の介護や看護を理由に離職や転職する人は年間で約10万人にのぼるが、介護休業給付をもらう人は14年度に9600人にとどまっている。平均受給額も月9万3918円と少額だ。より手厚い失業手当をもらうために、休職よりも仕事を辞めることを選ぶ人がいるとみられる。厚労省は介護休業時の所得保障を厚くすることで、前の職場に復帰しやすくする。
 もう1つの柱は65歳以上の高齢者に雇用保険への新規加入を認める点だ。失業した場合は勤め先にもらっていた賃金の最大50日分を一時金として払う。その場合も年金の減額はしない。
 今の制度では65歳以上で、勤め先が変わると雇用保険から外れるようになっている。勤め先が変わらない場合だけ、雇用保険の加入が続く。65歳以上で新たに仕事を探す人は増えており、制度改革で不公平感をなくす。中小企業の負担が増えないよう、当面は労使が払う雇用保険料を免除する方針だ。
 厚労省によると、65歳以上の新規求人数は14年度が46万人にのぼる。前年度に比べ11%増えており、新規求人数全体の8%を占める。
 厚労省は一連の改革にあわせて失業給付に充てる保険料率を引き下げることも決めた。いまの年収の1%から0.2ポイント引き下げ、同0.8%にする。労使合わせて3400億円の負担減になる。年収500万円の会社員が納める保険料は年5000円減る計算だ。
 雇用情勢の改善で、失業給付は減少している。積立金は6兆円を超え、過去最大規模となっており4年ぶりの引き下げを決めた。

平成27年12月19日(土曜日)日本経済新聞電子版

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JR西伊勢丹を書類送検=長時間労働−京都下労基署2015/12/20

 京都下労働基準監督署は18日、JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)が共同出資する「ジェイアール西日本伊勢丹」(京都市下京区)が違法な長時間労働を社員にさせたとして、同社と常務を労働基準法違反の疑いで書類送検した。
 送検容疑では、常務は昨年7月〜同12月末、労使協定で定めた残業の上限(月60時間)を超え、本社で勤務する男性社員1人に違法な時間外労働をさせた疑い。
 労基署によると、残業時間は6カ月間で毎月上限を超え、最長は129時間52分だった。男性社員は既に退職した。
 同社はJR西が60%、三越伊勢丹HDが40%出資するJR西の連結子会社。JR京都駅の百貨店などを経営している。同社によると、同じ期間に上限を超えて残業した社員は延べ24人いたという。
 同社の瀬良知也社長は「事実を真摯(しんし)に受け止め、改めて社員の労働時間管理に万全を期し、再発防止に取り組む」とのコメントを発表した。

平成27年12月18日(金曜日)時事通信社

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退職勧奨繰り返され「うつ病」=IBM社員を労災認定2015/12/13

 日本IBMで退職勧奨を繰り返し受けてうつ病になった50代の男性社員が、中央労働基準監督署から労災認定を受けた。9日、代理人の弁護士が明らかにした。認定は1日付。
 弁護士によると、男性は社内システムの管理業務をしていた。今年2月に4回にわたって上司と面談し、早期退職するよう求められた。その際、「受けない場合は3月末で解雇になる」などと言われた。不安感の高まりなどから、4月7日にうつ病と診断され、翌日から休職しているという。

平成27年12月9日(水曜日)朝日新聞デジタル

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ワタミ、過労自殺訴訟で和解、1億3000万円支払い謝罪2015/12/09

 居酒屋チェーンを経営するワタミ子会社の正社員だった森美菜さん=当時(26)=が2008年に過労で自殺したのは会社の責任だとして、両親が会社側に損害賠償を求め東京地裁に起こした訴訟は8日、ワタミ側が約1億3千万円を支払い、謝罪することで和解が成立した。
 このケースをきっかけに過酷な労働条件に注目が集まり、労働者を酷使する会社に対する「ブラック企業」との批判も広がった。
 訴状によると、森さんは08年4月、ワタミフードサービス(現ワタミ)に入社し、神奈川県内の店舗に配属された。休日がほとんどないまま午後から早朝にかけて長時間勤務が続き、同年6月に自殺した。残業は月140時間以上で、過労が原因で適応障害を発症していたとして、12年に労災と認定された。
 調停が成立せず、両親が13年12月に提訴。訴訟でワタミ側は当初、安全配慮義務違反はなかったとして請求棄却を求めていた。〔共同〕

平成27年12月8日(火曜日)日本経済新聞電子版

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JCBを書類送検、三田労基署=違法な長時間労働疑い2015/11/30

 三田労働基準監督署(東京)は19日、従業員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反の疑いで、クレジットカード大手JCB(東京都港区)の役員ら4人と法人としての同社を書類送検した。
 送検容疑は、昨年2〜3月、二つの部署の従業員計7人に対し、労使協定で定めた上限の月80時間を超える時間外労働をさせた疑い。三田労基署によると、最長で月約67時間超えたという。残業代は支払われていた。労基署はこれまでにも是正勧告を繰り返していた。
 送検された4人は、60歳と56歳の常務執行役員、49歳と56歳の部長で、いずれも男性。肩書は送検容疑当時。

平成27年11月19日(木曜日)西日本新聞電子版

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違法に長時間残業させた疑い、警備会社を書類送検2015/11/30

 警備会社「スタティック・セキュリティー」(大阪市西区)の従業員に違法な残業をさせたとして、大阪西労働基準監督署は16日、同社と総務次長(40)を労働基準法違反(長時間労働)の疑いで大阪地検に書類送検し、発表した。同社側は「長時間労働は健康に良くないと分かっていたが、人手不足だった」と説明しているという。
 労基署によると、2014年11月19日〜12月18日の1カ月間で、男性警備員(41)を府内各地のビルや商業イベントの警備で、労使協定で定めた月160時間の限度時間を2時間半超えて残業をさせていた疑いがある。法定の労働時間を含めると、この間に約334時間働いていたという。
 別の男性警備員(47)が今年3月に心臓疾患で死亡し、遺族が9月に労災申請した。この申請を受けて労基署が同社を調べたところ、警備員約120人のうち、4分の1にあたる約30人に労使協定を超えるなど過重労働が見つかったという。労基署は過重労働が常態化していた疑いがあるとみて、詳しく調べている。
 同社は朝日新聞の取材に対し、「労基署の指示に従い、請け負う仕事を減らし労働者の負担を少なくしている。今後は残業時間も短縮することを検討したい」と話している。

平成27年11月17日(火曜日)朝日新聞デジタル

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年金機構、加入逃れ企業検査せず…予告後も放置2015/10/27

 日本年金機構が、厚生年金保険への加入逃れの疑いがある中小の事業所に立ち入り検査すると予告しながら、うち6割は3か月以内に実施していなかったことが、会計検査院の調べでわかった。
 加入逃れを許せば従業員が老後に厚生年金を受け取れないことになり、検査院は26日、厚生労働省と機構に対し、速やかに立ち入り検査を実施するよう求めた。
 厚生年金の加入逃れの疑いがあるのは、2014年度末に24万5335事業所を数え、5年前の2倍に増えた。機構はこれらの事業所に電話や戸別訪問などで加入を促し、応じなければ厚生年金保険法に基づき立ち入り検査を行うことができる。検査拒否には罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)もある。

平成27年10月27日(火曜日)読売新聞電子版

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「パワハラでうつ病」=休業補償不支給取り消し−広島高裁2015/10/23

 職場でのパワハラなどが原因でうつ病になったのに、広島中央労働基準監督署が休業補償の支給を認めなかったのは違法だとして、広島市の40代男性が国を相手に不支給処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が22日、広島高裁であった。竹内民生裁判長は訴えを棄却した一審広島地裁判決を見直し、処分を取り消した。
 判決によると、男性は1998年、中国新聞システム開発(広島市)に入社。2009年12月、うつ病性障害を発症し、11年3月に退職した。
 竹内裁判長は、同社が09年に個人情報や重要なサーバーのあるマシンルームへの男性の入室を禁じ、具体的な業務を与えなかったことが心理的な負荷を増大させたと指摘。うつ病と因果関係があると認定した。
 広島地裁は今年3月、「うつ病は業務上の傷病に当たらない」などとして請求を棄却していた。
 中国新聞システム開発は「男性とは和解しており、今回の裁判にわが社は関係していない。プライバシーもあり、コメントできない」としている。

平成27年10月22日(木曜日)時事通信社

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65歳雇用制、企業の72.5%=採用進む−厚労省2015/10/22

 厚生労働省が21日発表した2015年の高年齢者の雇用状況の集計結果によると、希望者全員が少なくとも65歳まで働ける企業の割合は72.5%と、前年比1.5ポイント上昇した。改正高年齢者雇用安定法が2013年4月に施行されたことを受け、高齢者雇用が進んでいる。
 調査は、従業員31人以上の企業を対象に実施。14万8991社が回答した。データは6月1日時点。それによると、少なくとも65歳まで働ける企業数は10万8086社と、前年に比べ4500社増加した。
 規模別に見ると、従業員301人以上の大企業では0.8ポイント上昇の52.7%。一方、300人以下の中小企業では1.6ポイント上昇の74.8%で、中小の取り組みが進んでいる。

平成27年10月21日(水曜日)時事通信社

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マイナンバー「通知カード」発送始まる=5日法施行2015/10/06

 日本に住むすべての人に12桁の番号を割り振る税と社会保障の共通番号(マイナンバー)法が5日、施行された。一人ひとりに番号を知らせる「通知カード」の発送作業も同日始まり、10月中旬から11月末にかけて各世帯に届く見通しだ。国民が実際に番号を使うのは来年1月からで、市町村の窓口で税金や社会保障などの手続きで提示する必要がある。
 通知カードは5日時点で住民票に載っている住所に簡易書留で郵送される。5日から市区町村ごとに住所などの印刷をするため、各家庭に届く時期は地域によって異なる。
 紙製の通知カードは番号を知らせるための「仮カード」の性格が強い。通知カードを受け取った人は必要な申請手続きをすると、来年1月以降に顔写真やICチップが入った個人番号(マイナンバー)カードを市区町村から無料で受け取ることができる。
 マイナンバー制度は番号を使って個人情報を集めやすくすることで行政事務を効率化する仕組み。国民は税金や社会保障、災害対応に関係する手続きをする際に必要になる。例えば、児童手当の申請で一緒に提出しなければならなかった所得証明書の提出を省けるなどの利点がある。

平成27年10月5日(月曜日)日本経済新聞電子版

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「残業220時間で7万円は不当」しゃぶしゃぶ店を提訴2015/10/05

 月150〜220時間以上の残業をさせられたが、月7万円程度の「固定残業代」だったのは不当だとして、東京都内の男性(26)がしゃぶしゃぶ料理店などを運営する永和商事(東京)に対して、未払い残業代約545万円や地位確認などを求めて東京地裁に提訴した。
 訴状などによると、男性は2013年4月〜14年4月、長時間労働を強いられ精神障害になったという。固定残業代については、「残業時間が明示されておらず無効だ」と主張している。また、今年2月に受け取った休職期間満了による自然退職の通知は、休職が業務上の疾病によるもので無効とも訴えている。男性は今年8月、労働基準監督署から労災認定を受けた。
 永和商事は「訴状は届いていないが、残業時間について見解の相違がある。男性は当初、腰痛と訴えて休んでおり、主張は信頼できない」としている。

平成27年9月28日(月曜日)朝日新聞デジタル

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光通信社員の突然死=2審も労災認定支持2015/10/05

 携帯電話・OA機器販売会社「光通信」(東京都)に勤めていた男性(当時33歳)が突然死したのは過重労働が原因として、神戸市の両親が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。中村哲裁判長は過労死と認定した今年2月の1審・大阪地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
 判決によると、男性は1999年に入社。出向した子会社で法人顧客のクレーム処理を担当していた2010年2月、虚血性心不全で死亡した。両親が池袋労働基準監督署に労災を申請したが、6カ月前までの残業時間が労災認定の目安となる月80時間に満たなかったなどとして認められなかった。
 中村裁判長は1審と同様、男性の出退勤記録から死亡前の3年間の勤務状況を検討。その結果「恒常的な長時間労働で疲労が蓄積し、解消できなかった」として長時間の過重労働を認定し、虚血性心不全発症との因果関係があったと判断した。
 判決後、両親らが記者会見し、母親(63)は「ほっとしている。判決文を仏壇に供え、報告したい」と話した。また弁護団は、両親が光通信に約1億6400万円の損害賠償を求め神戸地裁に提訴した訴訟は和解が成立したと明らかにした。24日付で、同社が解決金を支払い、男性の死亡に「遺憾の意」を表明するなどの内容という。
 東京労働局労災補償課は控訴審判決について「関係機関と協議し対応する」、光通信広報部は「和解の経緯や内容についてはコメントを控える」とした。

平成27年9月25日(金曜日)毎日新聞電子版

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改正派遣法成立、30日施行へ=受け入れ期間を実質撤廃2015/09/11

 企業の派遣受け入れ期間を事実上なくす改正労働者派遣法が11日昼の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一部の専門業務を除き、3年としている派遣労働者の受け入れ期間の上限を、全業務でなくす。企業は3年ごとに人を入れ替えて労働組合の意見を聞けば、同じ仕事を派遣社員に任せ続けることができるようになり、派遣社員を活用しやすくなる。
 政府が進める労働法制改革の柱の一つで、9月30日に施行する。塩崎恭久厚生労働相は11日の閣議後の記者会見で「正社員になりたい方にはその可能性を高め、派遣であえて働こうとする方々には処遇を改善しやすいようにするための法律だ」と強調した。
 労働者の雇用安定のための措置も盛り込んだ。派遣先に直接雇用するよう依頼したり、自ら無期雇用したりすることなどを派遣会社に義務付ける。届け出だけで派遣事業を開業できる現状を改め、すべて許可制にして国の指導・監督を強化する。
 これまでは期間制限のない研究開発や通訳など「専門26業務」と、期間が3年に制限されているその他の業務の線引きが曖昧で、労使間でのトラブルの種にもなった。企業にとっては、法改正によりこの線引きがなくなり、3年ごとに人を代えれば、一つの仕事をずっと派遣社員に任せられるメリットが生まれる。多様化する労働者の働き方のニーズにも応えやすくなる。
 一方で派遣会社への監視強化が効果を発揮すれば、派遣社員が急に契約を切られる「派遣切り」のようなリスクは減る。派遣会社にスタッフへの教育訓練を義務付けた点も、派遣社員にとっては利点だ。ただ労働界や野党からは、こうした対策で派遣社員の待遇改善が進むかどうか、疑う声もある。
 政府は同法改正案を昨年の通常国会と臨時国会に提出したが、条文のミスや衆院解散でいずれも廃案となった。今国会では6月19日に衆院を通過したが、日本年金機構の個人情報流出問題などの影響で参院厚生労働委員会の審議が停滞。当初の施行日の9月1日までに成立しなかったため、30日に修正し、衆院に戻した。
 参院ではこのほか、派遣労働者の権利保護に関する野党側の主張を盛り込んだ付帯決議をした。派遣社員の受け入れ期間の延長に反対する労働組合の意見に、誠実に対応するよう促す内容だ。

平成27年9月11日(金曜日)日本経済新聞電子版

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「抑うつ」診断書無視で自殺、1億円支払い命令2015/09/11

 建設会社「南山建設」(京都市伏見区)の男性社員(当時36歳)が自殺したのは長時間労働による過労などが原因として、京都府京田辺市の妻(41)と長男(9)、長女(7)が同社に計1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は10日、同社側に慰謝料など1億円の支払いを命じた。
 堀内照美裁判長は「社員の健康を守るべき安全配慮義務に違反した」と述べた。
 判決などによると、男性は1997年に入社し、2009年5月以降、不動産の契約書や家賃請求書の作成などを担当。早朝、夜間の残業などが重なり、営業課長だった11年5月24日に「抑うつ状態」の診断を受けた。
 同月26日朝、社長に診断書を見せたが、男性を休ませることはなく、数時間後に自殺。京都南労働基準監督署が12年1月、自殺は過労が原因として労災認定した。
 判決は時間外労働が約2年にわたって、恒常的に100時間以上に及び、自殺前の約6か月は平均で月約129時間、連続10日以上の勤務も4回あったと認定。「診断書を見ていたのに負担軽減の措置を取らなかった」などとした。

平成27年9月11日(金曜日)読売新聞電子版

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英会話講師自殺は自宅残業が原因…会社を提訴へ2015/09/09

 金沢市で2011年に英会話教室の女性講師(当時22歳)が自殺したのは長時間の持ち帰り残業が原因だったとして、大阪府の女性の両親が英会話教室を運営する「アミティー」(岡山市)に約9100万円の損害賠償を求める訴訟を14日に大阪地裁に起こすことが、8日わかった。
 両親の代理人弁護士によると、女性は11年3月下旬から同社の金沢校で勤務。5月下旬にうつ病を発症し、6月4日、自宅マンションから飛び降りて自殺した。自殺の直前、両親や知人に、自宅に多くの仕事を持ち帰っているとメールや電話で訴えていた。両親は13年1月に労災認定を申請し、金沢労働基準監督署は14年5月、女性が業務命令で「単語カード」を作るため、月に80時間ほど自宅で残業をしていたと判断した。
 アミティーの山崎高人社長(63)は「社員が亡くなったことを大変残念に思っている。訴訟と真摯に向き合い、事実を一つひとつ確認していきたい」と話した。

平成27年9月9日(水曜日)読売新聞電子版

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マタハラ事業者名を初公表=茨城の病院−厚労省2015/09/05

 厚生労働省は4日、妊娠を理由とした解雇をやめるよう求めた勧告に従わなかったとして、男女雇用機会均等法に基づき、看護助手の女性を解雇した茨城県内の病院名を公表した。妊娠や出産を理由に退職などを迫るマタニティーハラスメント(マタハラ)で事業者名を公表するのは初めて。
 同省によると、勧告に従わなかった病院は茨城県牛久市の「牛久皮膚科医院」。看護助手の20代女性が2月、安良岡勇院長に妊娠を報告したところ、約2週間後に「妊婦は要らない。あしたから来なくていい」と突然解雇を告げられたという。
 女性から相談を受けた茨城労働局が3月以降、口頭や文書で再三指導したが、院長は解雇を撤回しなかった。このため塩崎恭久厚労相が初の勧告を行ったが、院長は「均等法を守るつもりはない」などと答えたため、同省が公表に踏み切った。
 同省は「妊娠を理由とした解雇は違法だが罰則はない。粘り強く指導を続けたい」としている。
 同医院の電話は「院長の体調不調のため休診」などの音声メッセージが流れ、院長は取材に応じていない。

平成27年9月4日(金曜日)時事通信社

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雇調金が9割減、14年度、業績・雇用改善が寄与2015/08/18

 経営状態が悪化しても従業員の雇用を維持する企業に払う雇用調整助成金の支給が大きく減っている。厚生労働省によると、2014年度は約69億円で前年度から87%減った。景気回復に伴い企業業績や雇用情勢が改善したことが寄与した。
 雇用調整助成金は景気の悪化や産業構造の変化で売り上げが減った企業向けの制度で、景気悪化で失業者が急増するのを防ぐ狙いがある。従業員が休業したり教育訓練を受けたりした場合、賃金相当額の一部を助成する仕組み。14年度の支給対象者は約26万人で前年度から9割減った。
 雇用調整助成金の支給額が最も多かったのはリーマン・ショックにより雇用情勢が悪化した09年度だ。政府が雇調金の条件を緩めて企業が使いやすくした結果、支給額は6534億円に達した。当時と比べ14年度は100分の1まで減った。
 直近の完全失業率は18年ぶりの低い水準だ。現行の賃金水準で働きたい人がすべて雇用されている「完全雇用」に近い状態とされる。政府は雇用政策の軸足を雇用維持から産業構造の変化にあわせた転職支援へと移している。不採算事業の温存につながらないよう雇調金の条件を厳しくし、企業の新陳代謝を後押しする狙いだ。

平成27年8月18日(火曜日)日本経済新聞電子版

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自己申告より「長時間残業」で自殺、遺族が提訴2015/08/10

 システム開発会社「オービーシステム」(大阪市)に勤務していた男性(当時57歳)が自殺したのは長時間の残業による過労が原因として、大阪府内在住の妻子4人が7日、同社と当時の上司ら4人に計約1億4000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。男性の時間外労働は同社への自己申告より2〜7倍も長かったとみられ、遺族らは「社員の健康を守る義務を怠った」と主張している。
 訴状によると、男性は同社で技師としてシステム開発などを担当。東京勤務だった2013年9月、うつ病となり、14年1月に自殺した。同社は社員に労働時間を自己申告させており、男性の時間外労働は自殺前1年間が月20〜89時間となっていた。だが品川労働基準監督署は、職場のパソコンの記録などから、うつ病発症前の半年間は月120時間以上が続き、発症直前の1か月は170時間に上ったと推計。国の過労自殺の認定ライン(直前1か月で160時間以上など)を上回るとして同年9月に労災認定した。
 同社の代理人弁護士は「亡くなられたことは非常に残念で、真摯な対応を続ける」とコメントを出した。

平成27年8月8日(土曜日)読売新聞電子版

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障害年金の判定不服3.5倍に=10年前比2015/07/27

 障害年金を申請して不支給と判定されたり、更新時に支給を打ち切られたりした人が不服を申し立て、国が審理、決定した件数が2014年度は約6500件に上り、10年前の04年度に比べ3.5倍に増えたことが25日までに分かった。
 支給申請自体は微増。不服申し立てが急増しているのは、日本年金機構の判定が不透明で納得できない人が増えていることや、判定の厳格化が背景にあるとみられる。
 年金や健康保険では給付など国の決定に対し不服申し立てができる審査請求の制度がある。二審制で最初は地方厚生局の社会保険審査官に申し立て、決定に納得できない場合は、厚生労働省に置かれる社会保険審査会に再審査請求ができる。
 厚労省の公表データや各厚生局への取材によると、国民年金、厚生年金などの「障害給付」に関する一審段階の件数は04年度で1851件だったが、年々増加。特に10年度以降に急増し、13年度には6692件に達した。14年度は微減したものの、04年度比3.5倍の6474件だった。二審段階の件数も10年間で4.4倍に増えた。
 一審で申し立てが認められた割合は00年度以降、7〜13%で推移していたが、14年度は6%と15年間で最低だった。
 障害年金のうち多くの人が受け取る障害基礎年金をめぐっては、支給の可否を決める年金機構の都道府県事務センター間で判定にばらつきがあり、不支給判定の割合に最大6倍の地域差があることが判明している。〔共同〕
▼障害年金 病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる公的年金。障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金があり、その傷病で初めて医療機関にかかった「初診日」の加入制度によって種類が変わる。
 障害の重さで1〜3級に分かれるが「基礎」は3級では支給されず、1級で月約8万1千円、2級で月約6万5千円。受給者は「基礎」と「厚生」で2012年度に約198万人。

平成27年7月25日(土曜日)日本経済新聞電子版

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過労死ゼロへ対策大綱、政府が閣議決定2015/07/25

 政府は24日の閣議で、過労死等防止対策推進法に基づく対策大綱を決定した。労働時間の削減や休暇取得率の数値目標を定めたほか、過労死の原因を探るため労働者を長期的に追跡調査することなどが柱。閣議後の記者会見で塩崎恭久厚生労働相は「今回の大綱は第一歩。過労死ゼロを目指す」と述べた。
 大綱は2020年までの数値目標として、週60時間以上働く労働者の割合を5%以下、有給休暇の取得率を70%以上にするとした。また、労働者のメンタルヘルス対策に取り組む事業者の割合を17年までに80%以上にすると明記した。
 過労死の発生原因は明らかでない部分が多い。大綱では、働き方が健康に与える影響を解明するため、民間企業で働く人や公務員、自営業者を対象に、長期的な追跡調査を実施するとした。
 政府は今後、大綱に基づき具体的な施策を決める。大綱は3年をめどに見直す。

平成27年7月24日(金曜日)日本経済新聞電子版

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派遣先で殺害のモデルは労災…不支給取り消し2015/07/22

 愛知県一宮市で2011年8月、モデル事務所から派遣された先で男(殺人罪などで懲役27年の判決が確定)に殺害された朝日なつみさん(当時21歳、名古屋市西区)について、国の労働保険審査会が遺族補償などの不支給決定を取り消し、労働災害と認める裁決をしていたことがわかった。
 遺族の弁護団が21日、明らかにした。
 弁護団によると、遺族は12年11月、労働基準監督署に遺族補償などを申請したが、「モデルは所属事務所の指揮監督が及ばない個人事業主にあたる」などとして支給されず、その後の不服申し立ても棄却された。
 遺族の再審査請求を受けた同審査会は、朝日さんが事務所の指示でモデル以外にもイベントの受付など様々な仕事に派遣されていた点を重視し、事務所に従属する「労働者」に該当すると判断。今年1月、労基署の不支給決定を取り消したという。弁護団は「実際の就労状況などを総合的にとらえ、遺族の思いに応える裁決が出た」と評価した。
 一方、遺族が所属事務所に約1億円の損害賠償などを求めた訴訟も21日、名古屋地裁で和解した。弁護団によると、事務所が和解金を支払い、モデルの安全確保の取り組みを強化することなどで合意した。
 和解後、名古屋市内で記者会見した姉の沙織さん(28)は「事務所から直接の謝罪がなかったことは残念だが、遺族として望んだことは形になった」と話した。

平成27年7月21日(火曜日)読売新聞電子版

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北海道教育大、労使協定結ばず=労基署が是正勧告2015/07/16

 札幌市北区の北海道教育大が、付属札幌小中学校の教員と労使協定を結ばず、札幌中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが16日、分かった。労基署は過去半年の時間外労働を調べ、未払いの割増賃金を支払うよう指導しており、大学が調査している。
 大学によると、是正勧告は5月。2004年度に国立大学法人化した際、労使協定を結ぶことが義務付けられたのに締結せず、時間外労働の割増賃金が払われていなかった。法人化後も、国公立校の教職員の残業代に相当する「教職調整額」が支払われていた。
 北海道教育大は幼稚園や特別支援学校を含めて11ある付属校全てで労使協定を結んでおらず、「認識不足だった」と説明。今月7日に協定を締結したという。

平成27年7月16日(木曜日)日本経済新聞電子版

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ABCマート違法残業で書類送検、容疑の法人・役員ら2015/07/03

 靴の販売店「ABCマート」を運営するエービーシー・マート(東京・渋谷)が都内2店舗で従業員に対し、労使協定で定めた残業時間を上回る月100時間超の違法な残業をさせたとして、東京労働局は2日、労働基準法違反容疑で法人としての同社と、労務担当取締役、店舗責任者2人の計3人を東京地検に書類送検した。
 従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策で、同労働局は4月に「過重労働撲滅特別対策班」を設置。大手企業を対象に調査を進めていた。同班による書類送検は初めて。
 同労働局によると、同社は昨年4〜5月、都内の「Grand Stage池袋店」と「ABC―MART原宿店」で従業員計4人に対し、労使協定で定めた上限(月79時間)や法定労働時間を超える月97〜112時間の残業をさせていた疑いがある。いずれのケースも時間外賃金は適正に支払われていた。
 同労働局は過去にも同社の店舗で長時間残業が横行しているとして是正勧告をしたが、改善がみられないため、書類送検に踏み切った。
 同社は「今回の事態を重く受け止め、コンプライアンスに万全を期す」としている。同社ホームページによると、5月末現在の国内店舗数は約800店。従業員は約7500人で、うち約4200人がアルバイト。
 違法な長時間労働で病気や自殺に追い込まれる人が後を絶たないとして、厚生労働省はブラック企業の監視を強化。今年5月には、年3回是正勧告を受けた大企業の社名を公表する方針を打ち出している。

平成27年7月3日(金曜日)日本経済新聞電子版

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「心の病」で労災、14年度認定497人と最多ーうつ病増える2015/06/26

 過労やいじめでうつ病などの精神疾患を発症したとして、2014年度に労災認定された人は497人(前年度比61人増)に上り、過去最多を更新したことが25日、厚生労働省の集計で分かった。同省は「うつ病と診断される人が増えていることに加え、労災として申請できるとの認識が浸透してきたことが背景にある」と分析している。
 厚労省によると、14年度に精神疾患を理由に労災申請したのは1456人(同47人増)で過去最多だった。労災認定された497人のうち、自殺者(未遂を含む)も過去最多の99人(同36人増)だった。
 厚労省は「働く女性が増えていることを受け、女性の申請が増加傾向にある」としている。
 精神疾患で労災認定された人の発症原因は「悲惨な事故や災害の体験・目撃」(72人)が最多。「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」(69人)、「月80時間以上の時間外労働を行った」(55人)が続いた。「セクハラを受けた」(27人)、「上司とのトラブルがあった」(21人)も目立った。
 業種別に見ると、製造業が81人で最多。次いで卸売・小売業の71人、運輸・郵便業の63人。年代別では、40代が140人、30代が138人と働き盛り世代が目立った。就労形態別では、正社員が435人、パート・アルバイトが36人だった。
 一方、脳梗塞や心筋梗塞などで労災申請した人は前年度から21人減って763人となり、3年連続で減少した。労災認定も29人減の277人で2年連続減少した。
 過労死や過労自殺をめぐっては、昨年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、厚労省は国が取るべき対策をまとめた大綱案を策定。労働時間の削減や休暇取得率について数値目標を定め、過労死の発生要因を探る長期的な追跡調査を進める方針。

平成27年6月26日(金曜日)日本経済新聞電子版

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うつ病自殺、逆転で労災認定…「休憩中も叱責」2015/06/21

 2012年7月に自殺した自動車販売会社「スズキ自販北陸」(本社・金沢市)の社員男性(当時24歳)について、厚生労働省の労働保険審査会は、「長時間労働などによるうつ病が原因」として、労災と認めなかった福井労働基準監督署の決定を取り消し、労災認定した。
 審査会は、男性が休憩時間中にも上司から指導・叱責されていた可能性があるとして、時間外労働時間を長く算定し直した。
 審査会の決定は17日付。男性の父親と代理人弁護士が20日、福井市内で記者会見を開き、明らかにした。労基署の決定が覆るのは異例。
 裁決書によると、男性は大学卒業後の10年4月に入社し、福井支店で自動車や部品などの販売を担当。12年4月にうつ病を発病し、7月に自殺した。
 審査会は、発病前の3か月間、男性は午後10時頃までの残業が常態化していたと判断。さらに、上司から日常的に指導・叱責を受けており、朝のミーティング後の休憩時間(10分間)も休憩していたとみることはできない――などとし、発病までの1か月間の時間外労働は128時間、その前の2か月も月100時間を超えていたとした。
 父親(56)は会見で「同じような悲劇が起こらないよう願っている」と話した。スズキ自販北陸は「担当者が不在でコメントできない」としている。

平成27年6月21日(日曜日)読売新聞電子版

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遺族年金、男女差は合憲=夫、逆転敗訴ー大阪高裁2015/06/20

 地方公務員の配偶者が亡くなった場合、妻は年齢を問わず遺族補償年金を受け取れるのに、夫は55歳以上でないと受給できない地方公務員災害補償法(地公災法)の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法に反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。志田博文裁判長は「不合理な差別とはいえない」として一審の違憲判決を取り消し、合憲と判断した。
 原告側は判決を不服として上告する方針。
 同様の男女差の規定は国家公務員災害補償法や民間対象の労働者災害補償保険法にもある。一審と二審の判決が正反対の結論となり、規定のあり方について改めて論議を呼びそうだ。
 判決などによると、1998年に公立中学教諭の妻(当時51)を亡くした堺市の男性(68)は、地方公務員災害補償基金に遺族補償年金の支給を申請した。しかし、妻の死亡時点で男性が「51歳」だったため、受給要件の55歳に達していないとして同基金は不支給処分とした。
 判決はまず、地公災法に基づく遺族補償年金について「公務員の死亡により、独力で生計を維持することが難しい遺族の生活の保護が目的」と位置づけた。
 その上で、女性を取り巻く社会情勢について、非正規雇用の割合が男性の3倍近いことや、賃金額が男性の約6割以下と低いことなどを指摘。「妻を亡くした夫が独力で生計を維持できなくなる可能性は、夫を亡くした妻よりも著しく低い」とし、「現在の社会情勢でも、夫のみに年齢の受給要件を設けることは不合理な差別とは言えない」と結論づけた。
 2013年の一審・大阪地裁判決は、「配偶者の性別で受給権の有無を分けるような差別的取り扱いは合理性がなく、違憲」として基金側の不支給決定を取り消し、基金側が控訴していた。
 地方公務員災害補償基金の話:判決の内容を精査しておらず、具体的なコメントは差し控えたい。

平成27年6月20日(土曜日)日本経済新聞電子版

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労災療養中でも解雇可能=初判断−最高裁2015/06/09

 労災で療養中に解雇されたのは不当だとして専修大の元職員の男性(40)が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「労災保険給付を受けている場合でも、補償金を支払えば解雇できる」との初判断を示した。
 その上で、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、一審同様に男性勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。雇用側の解雇対象が広がる判断で、男性の弁護団は「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判した。
 労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。
 男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇した。
 第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。

平成27年6月8日(月曜日)時事通信社

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パワハラで精神疾患、マツヤデンキ従業員、労災認定2015/06/03

 同僚からの暴行などのパワハラ10+ 件を受けて精神疾患になったとして、家電量販店マツヤデンキ「テックランド西脇店」(兵庫県西脇市和田町)の20代の男性店員が、労災の休業補償を請求し、西脇労働基準監督署が労災認定をしていたことが2日、兵庫労働局などへの取材で分かった。支給決定は3月20日付。
 同労働局などによると、男性は平成25年6月23日夜、閉店作業中に、男性の仕事ぶりに腹を立てた先輩格の同僚から殴る蹴るなどの暴行を受けたと主張。同年7月2日には別の同僚から不手際を指摘され、ペットボトルで顔を殴られたという。
 男性はその後、精神状態が不安定になり、医療機関から鬱病や外傷後ストレス障害との診断を受けて休職した。マツヤデンキ人事総務部(大阪市)は「担当者がいないのでコメントできない」としている。
 マツヤデンキはヤマダ電機のグループ会社。

平成27年6月2日(火曜日)産経新聞電子版

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マタハラ企業を公表へ、指導や勧告無視で厚労省2015/05/30

 職場で妊娠や出産を理由に退職を迫られたりするマタニティーハラスメント(マタハラ)問題で、厚生労働省は29日までに、是正指導や勧告に従わない悪質企業の企業名公表など指導を徹底する方針を決め、全国の労働局に指示した。マタハラが社会問題化する中、企業により厳しい姿勢を示すことで、被害を未然に防止する狙い。
 男女雇用機会均等法では、企業が是正指導や勧告に従わない場合、最終的に企業名を公表することができる。
 しかし、労働局に被害相談があっても企業側が「本人の能力不足が理由だ」などと主張するとそれ以上踏み込めないなどの問題があり、厚労省は今年3月、判断基準を明確化。「原則として妊娠・出産などから1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合は直ちに違法と判断する」との考え方を示し、労働局に通知していた。
 マタハラ関連の是正指導は毎年度約20〜30件にとどまる上、企業名公表はこれまでない。厚労省は今回この通知に加え、厳格に是正指導するよう労働局に指示した。企業名公表の徹底についても近く同省ホームページに掲載するなどして企業側にも周知する。
 厚労省は同日、2014年度に全国の労働局に寄せられた労働者からのマタハラ関連の相談は前年度より147件増の3591件だったと発表した。〔共同〕

平成27年5月29日(金曜日)日本経済新聞電子版

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国保の財政基盤強化=医療制度改革法が成立2015/05/28

 国民健康保険(国保)の財政基盤強化策などを盛り込んだ医療制度改革法が27日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で成立した。2018年度から国保の運営主体を市町村から都道府県に移すのが柱。入院時の食事代引き上げなど、患者の負担増も盛り込まれた。
 国保は、定年退職後の高齢者や低所得者が多く加入することから、財政状況が厳しい。このため同法は、国保の財政運営で都道府県が中心的な役割を果たすよう見直すほか、国による財政支援を強化し、制度の安定化を目指す。
 具体的には、国保への公費投入額を年3400億円に拡大し、医療費抑制に努める自治体の支援などに乗り出す。その財源を捻出するため、75歳以上の後期高齢者医療制度に対し大企業の健康保険組合が拠出する支援金の割合を17年度まで段階的に増やす。現役世代の保険料アップにつながりそうだ。
 患者負担の関連では、入院時食事代の自己負担額を18年度までに1食260円から460円に引き上げるほか、紹介状なしで大病院を受診した場合に16年度から5000〜1万円の定額負担を求める。

平成27年5月27日(水曜日)時事通信社

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総務省、年金記録確認第三者委を6月末で廃止2015/05/16

 総務省は15日、公的年金の納付記録に大量のミスがみつかったいわゆる「消えた年金」問題で、記録の訂正業務を受け持っていた年金記録確認第三者委員会を6月末で廃止すると発表した。2007年の設置後、これまでに約27万件を扱った。最近は処理件数が大幅に減少しており、一定の役目を終えたと判断した。年金記録の訂正業務は厚生労働省に引き継ぐ。
 同委員会はこれまで、年金記録の訂正を求める約30万件の申し立てのうち、本人からの取り下げなどを除く約27万件を処理。このうち約15万件の年金記録を回復した。8年間の活動をまとめた報告書も15日、あわせて公表した。
 すでに新規の申し立ての受け付けを終えていたが、周知期間を経て6月末に廃止する。今後の訂正手続きは厚労省が担当するが、5000万件超あった消えた年金記録は、まだ4割が照合できていない。本人の死亡などですべての記録の照合は困難な情勢だ。

平成27年5月15日(金曜日)日本経済新聞電子版

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障害者の就職、8.4万人=5年連続で最高−厚労省調査2015/05/14

 厚生労働省は13日、2014年度にハローワーク経由で就職した障害者が前年度比8.6%増の8万4602人となり、5年連続で過去最高になったと発表した。精神障害者の採用が大きく増えた。
 民間企業や官公庁に一定以上の障害者を雇うよう義務付けた障害者雇用促進法が13年度に改正され、法定雇用率が引き上げられたことが背景とみられる。厚労省は「法改正に加え、前向きに仕事を求める障害者が増えていることも理由」(障害者雇用対策課)とみている。
 内訳は、身体障害者が0.5%減の2万8175人、知的障害者が6.1%増の1万8723人、精神障害者が17.5%増の3万4538人。産業別では、医療・福祉、製造業での増加が目立った。

平成27年5月13日(水曜日)時事通信社

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介護保険料11%増=平均月額5514円に−厚労省2015/04/29

 厚生労働省は28日、65歳以上の高齢者が支払う2015〜17年度の介護保険料が、全国平均で月額5514円になるとの集計結果を発表した。高齢化による介護サービス利用者の増加とサービスの充実のため、12〜14年度の平均4972円と比べて542円(11%)増となった。同省はまた、20年度に6771円、25年度には8165円に上昇するとの推計も示した。
 介護保険料は、保険を運営する全国1579の自治体と広域連合が3年ごとに改定している。集計結果によると、全団体のうち94%が保険料を引き上げた。改定しなかった団体は4%、引き下げた団体は2%。
 保険料が最も高いのは奈良県天川村の8686円、最も安いのは鹿児島県三島村の2800円と、地域差が拡大している。 
 65歳以上の高齢者は14年末時点で3278万人、そのうち要介護と要支援の認定を受けた人は18%に当たる588万人に上る。
 介護保険制度が始まった00〜02年度の保険料の全国平均は2911円で、15〜17年度は1.9倍に増えることになる。

平成27年4月28日(火曜日)時事通信社

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過労死防止へ数値目標ー厚労省、労働時間や休暇取得率2015/04/07

 厚生労働省は6日、過労死や過労自殺を防ぐために国が取るべき対策をまとめた大綱の骨子案を公表した。労働時間の削減や休暇取得率について数値目標を定めたほか、過労死の発生要因を探るために長期的な追跡調査を進めることなどを盛り込んだ。
 昨年11月に過労死等防止対策推進法が施行されたのを受け、6日に開かれた過労死遺族や労働者・使用者代表らで構成される「過労死等防止対策推進協議会」に示した。国は夏ごろをメドに大綱をまとめる予定。
 骨子案は、過労死防止は喫緊の課題として、「将来的に過労死をゼロにすることを目指す」と明記。(1)2020年までに週当たり労働時間60時間以上の労働者割合を5%以下にする(2)20年までに年次有給休暇取得率を70%以上にする(3)17年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業者割合を80%以上にする――との数値目標を掲げた。
 過労死の発生要因は明らかでない部分が少なくないとして、民間企業で働く人に加えて公務員や自営業者も対象にした調査が必要と指摘。労働者の勤務状況と、その後の病気や過労死の関係について、長期的な追跡調査を行うとした。
 同時に過労死の原因とも指摘されている職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた企業への支援を実施。身体面や精神面の不調についてメールや電話での相談窓口を設置するなど、相談体制の整備にも取り組むとした。
 出席した委員からは「数値目標は法律が成立する前から国が出していた数字だ。法律が施行されて何を強化するのかが見えない」「学校で労働時間や有給休暇など、基本的な労働ルールを教えることが重要だ」などの意見が出た。
 厚労省によると、2013年度に脳・心臓疾患による死亡で労災認定されたのは133人で、精神障害による自殺(未遂を含む)では63人。申請していないケースもあるとみられ、氷山の一角との指摘もある。
 過労死防止法は、過労死対策を取ることが「国の責務」と明記。国は具体的な対策をまとめた大綱の作成を義務付けられており、同協議会の意見を聞く必要がある。

平成27年4月7日(火曜日)日本経済新聞電子版

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マタハラ直ちに違法、育休終了1年以内に不利益ー厚労省2015/04/01

 妊娠や出産を理由に退職を迫られたりするマタニティーハラスメントをめぐり、厚生労働省は31日までに、育児休業の終了などから原則1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合には、直ちに違法と判断することを決めた。企業が業務上必要だったと主張した場合には、説明責任を課す。
 これまでは女性が不当に降格や配置転換をされても、企業から「本人の能力不足」などと反論されるケースがあった。
 最高裁は昨年10月、「妊娠による降格は男女雇用機会均等法が原則禁止しており、本人の同意がなければ違法」と初めて判断。これを受け厚労省は企業への指導を強化することにした。同法の解釈をめぐる新たな考え方をまとめ、全国の労働局に通知した。
 新たな通知では、妊娠、出産、育休を一つの流れととらえ、妊娠期間中に加え、育休や短時間勤務が終わってから1年以内に不利益な取り扱いを受ければ違法とみなす。退職などを迫った企業が「業務上の必要性」といった特段の事情があると主張した場合には、債務超過や赤字累積など経営に関するデータの提出を求める。

平成27年3月31日(火曜日)日本経済新聞電子版

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ブラック企業、捜査強化…特別班新設の労働局2015/03/30

 大阪労働局は4月1日、捜査部門の監督課内に「過重労働撲滅特別対策班」を新設する。
 同局は「過重労働が横行している」として、大阪府内に本社を置くブラック企業などの違法行為について捜査を強化し、過労防止につなげる考えだ。
 対策班は企業の本社が集積し、捜査態勢が充実している東京、大阪の2労働局に設置。大阪は監督課長を筆頭に6人で構成し、複数の事業所を持つ大企業や、ほかの都道府県の事業所も対象に加える広域捜査を積極的に進める。
 国は昨年11月施行の過労死等防止対策推進法に基づき、遺族の協力を得て大綱づくりなど対策を進める。
 大阪労働局では昨年11月、過労死の遺族から労災請求があった企業などに対する重点監督を実施し、府内の208事業場のうち85%(177事業場)で長時間労働や残業代の未払いなどの違法行為が確認された。
 業種別で違法行為が多かったのは▽小売店などの商業47事業場▽製造業30事業場▽運輸交通業24事業場▽福祉施設などの保健・衛生業18事業場――の順。特に商業や製造業、建設業では、残業が国の労災認定の目安(月80時間超)を上回る100時間超の事例があった。

平成27年3月29日(日曜日)読売新聞電子版

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時間外労働月139時間、残業代未払い、「ドンク」を書類送検2015/03/28

 パート従業員に139時間に及ぶ時間外労働をさせた上、残業代を一部しか支払わなかったとして、亀戸労働基準監督署は26日、労働基準法違反の疑いで、国内約180店舗を展開するパン製造販売大手「ドンク」(神戸市、中土(なかつち)忠社長)と東京工場(江東区)の元工場長ら2人を東京地検に書類送検した。
 労基署によると、同社は平成25年12月、東京工場でサンドイッチを作っていた20〜50代の男女3人のパート従業員(時給900〜950円)に、最長月139時間の時間外労働をさせた上、残業代を3割程度しか支払わなかった疑いが持たれている。残業代の未払いは1人あたり最大月約11万円に及んだという。
 昨年1月にパート女性1人が作業中に脳疾患で倒れ、労災申請が出されたことから発覚。同工場での長時間労働は少なくとも24年4月以降、常態化しており、従業員らは「自分の仕事が遅かった。悪いと思って残業時間を少なく申告した」と話しているという。
 同社は国内6カ所の工場などを点検し、ほかにも繁忙期を中心に長時間労働があったことを確認。「労務管理に不備があったことは誠に遺憾。社内態勢を強化し、改善に取りかかっている」とコメントした。

平成27年3月26日(木曜日)産経新聞電子版

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JR西に1億円賠償命令=過労死−大阪地裁2015/03/21

 長時間労働によるうつ病が原因で自殺したJR西日本社員の男性=当時(28)=の妻と両親が、同社に約1億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は20日、同社に約1億円の支払いを命じた。森木田邦裕裁判長は「労働時間が正確に把握されていなかった」と述べ、安全配慮義務に違反したと認めた。
 判決によると、男性は、信号保安システム工事の管理を担当していた2012年10月、勤務先近くのマンションで飛び降り自殺した。昼夜連続勤務や休日労働が恒常化し、同年3月の時間外労働は、同社の調査で月254時間に達し、尼崎労働基準監督署が労災と認定していた。
 森木田裁判長は、男性が自己申告した同年3月の時間外労働は月72時間などと、同社の調査と大きくかけ離れていた点について、「社員の労働時間管理が十分ではなく、時間外労働が適正な範囲を大きく超えていた」と指摘した。
 JR西日本の話 長期にわたって休日出勤や長時間残業があったことは事実。社員の労働時間管理に万全を期し、再発防止に取り組む。

平成27年3月20日(金曜日)時事通信社

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パート向け窓口企業に義務化、福利厚生など相談2015/03/11

 厚生労働省は4月からパート労働者などを雇う企業に相談窓口の設置を義務付ける。企業の人事担当者などがパートの福利厚生や給与といった待遇の相談に応じる。企業は相談員として外部の専門家を雇ったり、人材サービス会社に相談業務を委託したりすることもできる。
 相談窓口を使えるのは労働時間が正社員よりも短いパート労働者で、契約社員でも労働時間が正社員と同じ人は対象に含まない。
 厚労省は企業がパートなどを雇うときに、正社員への転換制度の状況やパートが受けられる研修について説明することも義務付ける。正社員を目指す人にキャリア向上の意識を高めてもらう。
 週35時間未満で働くパート労働者は、2014年時点で1651万人いる。前年より83万人増え、全雇用者の3割を占める。パート労働者の1時間あたりの所定内給与額は、正社員の56.6%にとどまる。

平成27年3月10日(火曜日)日本経済新聞電子版

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契約解除で自殺、遺族が福山通運と子会社を提訴ー大阪地裁2015/03/10

 運送大手の福山通運(広島県福山市)の子会社から委託を受け、配送業務に従事していた大阪市の男性=当時(61)=が自殺したのは、過重労働と契約を突然打ち切られたことが原因だったとして、遺族3人が福山通運と子会社に計約5400万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが3日、分かった。同日開かれた第1回口頭弁論で、福山通運側は争う姿勢を示した。
 訴状によると、男性は大阪市にある福山通運の子会社と業務委託契約を結び、約23年間にわたって福山通運茨木支店で配送業務を担当。平成23年12月、顧客からのクレームを機に契約打ち切りを一方的に告げられ、その日のうちに電柱で首をつって自殺した。
 茨木労働基準監督署は昨年1月、男性が自殺半年以内に月平均100時間近くの時間外労働をしていた上、過重な懲戒処分で心理的負荷を受けたとして労災を認めた。
 原告側は「(男性は)不利益処分によって急激なストレスを受け、鬱病を発症した」と主張している。

平成27年3月3日(火曜日)産経新聞電子版

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労災認定:「長時間労働でうつ病…自殺」長崎地裁判決2015/03/10

 うつ病で自殺した長崎大病院(長崎市)の男性職員(当時56歳)の遺族が労災認定を求めた訴訟で長崎地裁は2日、遺族補償を不支給とした国の処分を取り消す判決を言い渡した。
 田中俊行裁判長は「上司の叱責や長時間労働によるうつ病で自殺に至った」と結論づけた。
 判決によると、男性は2009年3月に仕事上のミスを他の職員の前で上司らに叱責された他、3、4月には1カ月当たりの時間外労働が計100時間を超えてうつ病になり、4月に自殺した。
 国はうつ病の発病は09年1月で、業務には起因しないと主張したが、判決は「発病は自殺の直前で業務に起因する」と指摘した。
 男性の妻(58)は「認められてほっとしている。勤務環境のあり方を見直してほしい」と話した。原告代理人で過労死弁護団全国連絡会議代表の松丸正弁護士は「労基署はこの件を参考にして慎重に発病の時期を判断すべきだ」と話した。

平成27年3月2日(月曜日)毎日新聞電子版

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シルバー人材けが保険使えず…健保と労災の谷間2015/03/02

 シルバー人材センターの作業でけがをした奈良県内の男性の長女(43)が健康保険も労災保険も適用されず医療費が全額負担になるのは法の不備として、国などを相手に慰謝料などを求めた訴訟の判決で、奈良地裁は26日、原告の請求を棄却した。牧賢二裁判長は「立法をしなかったことが国家賠償法上、違法とは評価されない」と述べた。
 シルバー人材センターは、高年齢者雇用安定法に基づき市町村などに置かれた公益法人で、会員登録した高齢者に就業の場を提供する。ただ、作業中のけがには、「業務外」を対象にした健保も、「労働者」に対する労災も適用されず「保険の谷間」として問題化。国は2013年5月に健康保険法を改正し、原則として健保で救済できるようにしたが、男性のような改正前のけがには適用されない。
 判決によると、男性は09年11月、会員登録する奈良県内のセンターから委託された庭木の枝切り作業中に右足の指を骨折。長女が加入する健保の被扶養者だったが、全国健康保険協会奈良支部は11年4月、労災を優先するよう健康保険法で規定された「業務中のけが」として医療費を支給しないと決定した。
 男性はセンターと雇用関係になく、個人で作業を請け負う形で、労災の対象からも外れ、医療費の約85万円全額を自己負担することになった。
 長女が12年9月、国に慰謝料など80万円、同協会には医療費を不支給とした処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴し、その後、奈良地裁に移送。男性は13年5月に71歳で死亡した。
 原告側は、改正前の健康保険法は対象を「業務外」のけがと限定的にしており、国は健保も労災も適用されないと認識しながら立法措置を怠り、憲法に基づく社会保障の受給権を奪ったなどと主張した。
 判決は、「業務外」の要件でどちらの保険も受けられないケースが生じても、国民健康保険など何らかの医療給付を受けることはできると指摘。著しく合理性を欠いているとは言えず憲法には違反しないとした。

平成27年2月26日(木曜日)読売新聞電子版

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労災認定:飲酒検知を苦に自殺、バス運転手遺族勝訴2015/03/02

 飲酒検査でアルコール反応が出た後に自殺した京王電鉄バスの男性運転手(当時51歳)の遺族が労災認定を求めた訴訟の判決で東京地裁は25日、「解雇されるかもしれないと強いストレスを受けたことが原因で、自殺は労災だ」と認め、遺族補償年金などを不支給とした国の処分を取り消した。原告側の弁護士によると、飲酒検知を苦にした自殺を労災と認めた判決は初めて。
 佐々木宗啓裁判長は「男性は飲酒に身に覚えがなく、アルコール検知器が誤作動したとみられる」と指摘し、会社が血液検査を提案したり、男性の自宅から酒を持ち帰ったりした対応を「退職強要に等しいものだった」と批判した。

平成27年2月25日(水曜日)毎日新聞電子版

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管理職のセクハラ発言、警告ない懲戒「妥当」ー最高裁2015/02/27

 大阪市の水族館「海遊館」の男性管理職2人による女性派遣社員へのセクハラ発言をめぐり、会社側が警告せず出勤停止とした懲戒処分が重すぎるかが争われた訴訟の上告審判決が26日、最高裁であった。第1小法廷(金築誠志裁判長)は判決理由で「会社内でセクハラ禁止は周知されており、処分は重すぎない」として、処分を無効とした二審・大阪高裁判決を取り消した。 
 懲戒処分を妥当とする一審・大阪地裁判決が確定した。
 男女雇用機会均等法は職場でのセクハラ防止対策を義務づけている。会社側が十分に対策に取り組んでいたケースでは、警告なしの懲戒処分は妥当とした最高裁判決は注目されそうだ。
 判決によると、課長代理だった40代の男性2人は派遣社員の20〜30代の女性2人に対し、浮気相手との性生活を話題にしたほか、「俺の性欲は年々増すねん」「夜の仕事とかしたらええやん」などの発言を繰り返した。
 被害申告を受けて調査した会社は2012年2月、社内のセクハラ禁止規定に該当するとして、それぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分にし、降格させた。これに対し、男性2人が「重い処分なのに、事前の警告がなく手続きが不当」として無効を求め提訴した。
 一審・大阪地裁は「管理職が弱い立場の女性にみだらな発言を繰り返した悪質な行為だ。複数回、反論の機会も与えている」として処分手続きは妥当と認めた。
 一方、二審・大阪高裁は「会社から事前に警告を受けていないことなどを考慮すると、懲戒解雇に次ぐ重い処分を突然したのは権利の乱用」と判断し、男性側の逆転勝訴とした。
 同小法廷は判決理由で、会社がセクハラ禁止文書を作成して職場で周知したり、全従業員に研修参加を義務づけたりしていたことを挙げ、「管理職としてセクハラへの懲戒の方針を当然認識すべきだった」と指摘。セクハラ発言の多くが密室で行われ、「会社が被害を具体的に認識して警告や注意をする機会はなかった」として、処分手続きに問題はなかったと結論付けた。裁判官5人の全員一致。
 最高裁判決を受け、海遊館は「会社として厳正に対処した」とコメント。管理職の男性2人は、代理人弁護士を通じて「納得できない」とのコメントを出した。

平成27年2月26日(木曜日)日本経済新聞電子版

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社会保険に非加入業者、地方工事でも締め出し=国交省2015/02/13

 国土交通省は社会保険に非加入の建設業者を入札から締め出す取り組みを強化する。国発注の工事では昨年8月から実施しているが、加入率を高めるため地方自治体にも同様の措置を求める。公共工事の発注者と受注業者が結ぶ契約書のひな型となる約款の改正も検討している。
 12日に開いた建設産業活性化会議で、日本建設業連合会など関係5団体に説明した。
 建設業者の社会保険への加入率は14年実績で67.3%。前年より5.6ポイント改善したが製造業の9割と比べて大きく見劣りする。人手不足が指摘される建設業界が技能者を確保するには、事業者に社会保険への加入を促す必要があると国交省はみている。
 すでに国発注の工事では元請けとなるゼネコンが1次下請けの業者と契約する場合、社会保険の未加入業者と契約することも禁じている。

平成27年2月12日(木曜日)日本経済新聞電子版

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国保の都道府県移管、知事会など了承=18年度から2015/02/13

 厚生労働省は12日、市町村が運営する国民健康保険(国保)を2018年度から都道府県に移管する案を全国知事会など地方団体に示し、了承を得た。財政基盤を安定させる狙いで、移管に先立ち国保への財政支援も広げ、17年度から公費3400億円を毎年投じる。都道府県は財政を運営し、市町村は引き続き保険料徴収や健康づくりと、役割を分担する。
 国保への財政支援拡大では、まず15年度から公費1700億円を、低所得者が多い国保のてこ入れに充てる。また大企業の健康保険組合や公務員の共済組合の負担を増やして財源を捻出し、17年度から国費として1700億円を追加する。同年度にはこの国費を使って、支出急増で資金が逼迫した国保を支える財政安定化基金を2千億円規模に積み上げを目指す。
 国保を都道府県に移した18年度からは、国費1700億円のうち700億〜800億円を使い、安価な後発医薬品の普及などで医療費の伸びを抑えた自治体を支援する。支援を受けた自治体では保険料が下がるなど、住民にも利点がある。
 厚労省は3月にも通常国会に関連法案を提出し、成立を目指す。

平成27年2月12日(木曜日)日本経済新聞電子版

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「固定残業代」で長時間労働、提訴−東京地裁2015/02/13

 あらかじめ決められた残業代を給与に組み込む「固定残業代」制度の説明がないまま、長時間労働を強いられたとして、東京都の20代男性が12日、勤務していた不動産仲介会社「うちナビ」(渋谷区)を相手に、未払い賃金など約370万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。
 固定残業代制度をめぐっては、一部の企業で賃金不払いや長時間労働が問題化している。固定残業を超えた分は追加の支払い義務が生じるため、専門家は「本来会社にメリットはなく、ブラック企業の典型的な手口だ」と指摘している。
 訴状によると、男性は昨年5月に新卒で入社し、都内の支店に配属。求人票には「基本給30万円」と書かれていたが、月60時間分の残業代15万円が含まれるとの説明はなく、休日も月に2日程度だった。残業は月150〜200時間に及んだが、追加の残業代は支払われなかった。男性は、店長から暴言を受け、約2カ月で退職に追い込まれた。
 男性は厚生労働省で記者会見し、「知識がなく会社は悪くないと思っていた。声を上げられない人はたくさんいると思う」と訴えた。
 うちナビの話 訴状が届いておらず、内容を確認していないので回答できない。

平成27年2月13日(金曜日)時事通信社

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国民銀行行員の自殺で労災認定、不正融資検査で負担増2015/02/10

 中央労働基準監督署(東京)は、韓国最大手・国民銀行の東京支店に勤務、2013年12月に自殺した韓国人男性(当時37)について、過労による精神障害などが原因だとして労災認定した。遺族の代理人弁護士が9日、明らかにした。認定は6日付。
 弁護士によると、労基署は、歴代支店長と役員による不正融資の対応で仕事量が増えたことに加え、大きな心理的負荷があったと判断した。
 男性は06年に入行。東京支店で融資業務を担当していたが、13年6月ごろから韓国当局などへの検査対応で仕事量が増加した。
 9月と10月の時間外労働は約100時間に上り、11月にはうつ病とみられる症状を発症した。
 東京支店は、多数の不正融資をしていたなどとして、金融庁が昨年9月からの4カ月間、新規顧客との取引など一部業務の停止を命じている。

平成27年2月9日(月曜日)日本経済新聞電子版

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光通信過労死は労災=「恒常的に長時間労働」−大阪地裁2015/02/05

 携帯電話販売大手、光通信(東京)の社員だった男性=当時(33)=が死亡したのは過重労働が原因として、神戸市に住む両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。中垣内健治裁判長は「長期間の過重業務が原因」と述べ、労災と認めた。
 判決によると、男性は光通信の子会社に出向中の2010年2月、心不全で死亡した。両親が遺族給付を請求したが、池袋労働基準監督署は認めなかった。
 中垣内裁判長は、時間外労働が100時間を超えた月が死亡前の3年間で15カ月あり、恒常的な長時間労働で疲労を蓄積させたと指摘。死亡の半年前から顧客のクレーム対応などを担当し、精神的な負荷は相当大きかったと認定した。

平成27年2月4日(水曜日)時事通信社

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違法残業:「過労死労災請求」半数の2304事業所で2015/02/02

 長時間労働が原因とみられる過労死の労災請求があった事業所の半数で、違法な時間外労働(残業)があったことが27日、厚生労働省の調べで分かった。
 厚労省は昨年11月、これまでに過労死、過労自殺の労災申請があった事業所や若者の離職率が高い事業所など計4561事業所に重点監督を実施した。その結果、半数を超える2304事業所で違法残業があった。このうち、過労死の危険性が指摘される月100時間超の残業をさせていた事業所は715、150時間超が153、200時間超が35あった。
 指導を受けた旅館では、過労死ラインの2.7倍の月270時間の残業をさせながら、45時間分の残業代しか支払っていなかった。
 違法残業も含め、何らかの労働基準関係法令違反が認められたのは3811事業所と8割を超えた。

平成27年1月28日(水曜日)毎日新聞電子版

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主婦の未納年金保険料、2月から追納受け付け2015/02/01

 厚生労働省は2月から、主婦が納め忘れた年金保険料の追納を受け付ける。夫の退職などで保険料を払う義務が生まれていたのに払っていなかった人が対象。4月から2018年3月まで過去10年分の保険料を納められるようになる。納付分は受け取る年金額に反映するため、無年金や低年金の人が減る。
 主婦の年金未納問題は10年ごろに大量に発覚した。夫が会社員の専業主婦は国民年金の第3号被保険者となり、保険料を納めなくても年金をもらえる。ただ夫が脱サラしたり、離婚したりした場合は、手続きをして60歳まで国民年金の保険料を納める必要がある。この手続きを忘れていた人が今回の追納制度の対象だ。
 国民年金の保険料は月額で約1万5000円。未納分は通常2年分しかさかのぼって納められないが、対象者は最大10年分納められるようになる。未納期間が過去5年なら約90万円を払えれば、満額払ったことになる。
 さらに10年以上前の未納期間があっても、年金事務所で手続きを取れば将来年金を受け取るときに未納扱いにせずに年金額をはじく。老後に国民年金を受け取るには最低でも25年間、保険料を納める必要がある。未納期間が減れば25年間の資格を満たす主婦が増え、無年金になる人が減るとみている。ただ実際には保険料を納めていないため年金額は減らされる。

平成27年2月1日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金抑制、8年遅れ始動ーマクロスライドを初適用2015/01/31

 厚生労働省は30日、公的年金の支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動することを決めた。2015年4月からの年金受取額は14年度より0.9%増にとどまる。年金財政の悪化を食い止める狙いだが、発動時期が当初計画から8年も遅れており、保険料を支払う現役世代に負担のしわ寄せが及んでいる。
 公的年金にはもともと賃金や物価の上昇分を毎年反映して支給額を増やす仕組みがある。14年の上昇分は2.3%だったため、これまでなら夫婦2人のモデル世帯の年金額も同率増えて、15年度は月22万4千円ほど受け取れるはずだったが、マクロスライドの実施で2千円ほど差し引かれる。また過去の年金のもらい過ぎを解消するため、さらに0.5%減り、年金額は月22万1507円にとどまることになった。
 マクロスライドの導入を決めたのは、100年間にわたって現役世代の所得の50%以上の年金を受け取れる「100年安心」をうたった04年だ。年金財政が大幅に悪化するのを避けるため、一定の調整率を決めて年金の支給額を差し引いて伸びを抑える仕組みにした。
 ただマクロスライドは物価が下落しているデフレ環境下では使わないルールがあったため、当初計画の07年度からの発動は大幅に遅れて実施まで8年もかかった。そのため年金の支給額は、現役世代の収入と比べて62.7%と高止まりしている。マクロスライドを予定通り07年度から適用していれば、54%に抑制できる見通しだった。
 そのため公的年金は保険料の支払額と受給額にギャップが生じ、世代間格差が広がっている。14年時点で65歳の高齢者の年金受取額は、現役世代の収入の62.7%あるが、同30歳の場合は年金を受け取れるようになっても現役世代の収入の50.6%しかもらえない見込みで不公平感がある。
 「100年安心プラン」はスタートから出遅れつつあるが、もう一段の年金改革の機運は乏しい。公的年金は5年に1度、財政状態を見直すことになっており、14年がその年だった。厚労省は現在は60歳までとしている保険料の支払期間を65歳まで5年間延ばす案を検討したが、政府内に慎重論もあり通常国会への法案提出は先送りする。
 物価が下落するデフレ環境でもマクロスライドを適用する案もあったが、これも完全導入は見送る方向だ。公的年金の財政は株価の上昇などで運用益があり、足元では悪化に歯止めがかかっている。ただ長続きする制度にするにはもう一段の改革議論が必要だ。

平成27年1月30日(金曜日)日本経済新聞電子版

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運送会社に事業停止30日=長時間労働で、全国初2015/01/29

 北海道運輸局は28日、トラックの運転手に基準を超える長時間労働をさせていたとして、運送会社「ほくうん」本社営業所(札幌市東区中沼三条、配置車両41両)に対し、30日間の事業停止を命じた。運転手の勤務時間に関する違反行為で営業所単位の事業停止処分を行うのは、全国で初めてという。
 同運輸局は昨年8月から10月にかけて同社の監査を実施。連続運転時間が4時間を超えたり、1日の拘束時間が16時間以上に及んだりするなど、運転手の勤務に関わる国の基準を超える長時間労働が繰り返し行われていたことが判明した。
 具体的には、70人余りの運転手のうち46人で拘束時間などの基準違反が確認され、1カ月間に31回以上の違反行為が見つかった運転手も3人いたという。

平成27年1月28日(水曜日)時事通信社

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残業手当除外は「無効」=大手タクシー敗訴−東京地裁2015/01/29

 タクシー大手国際自動車(東京)グループの運転手14人が、残業や深夜勤務の割り増し手当分を実質的に差し引いて歩合給を算定する賃金規定は無効として、未払い賃金などの支払いを同社側に求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。佐々木宗啓裁判長は無効と認め、計約1450万円の支払いを命じた。
 佐々木裁判長は判決で、「規定では時間外労働をしてもしなくても賃金は同じになり、労働基準法の趣旨に反している」と指摘した。
 会社側は「タクシー会社は乗務員の勤務状況を監視できず、規定は時間外労働の抑制が目的。業界でも一般的に採用されている」と反論していた。
 これに対し、佐々木裁判長は「時間外労働の制限は他の方法で容易にできる。勤務を監視できないのはタクシー営業に限った話ではなく正当化されない」と退けた。
 国際自動車の話 判決に不服があり、控訴した。上級審の判断を仰ぎたい。

平成27年1月28日(水曜日)時事通信社

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「たかの友梨」が和解=残業代未払い訴訟−仙台地裁2015/01/27

 残業代が支払われなかったとして、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」仙台店の従業員ら2人が、運営会社「不二ビューティ」を相手に未払い賃金計約1015万円の支払いを求めた訴訟は、仙台地裁で和解が成立した。2人が所属する労働組合が26日発表した。
 訴えていたのは、仙台店でエステティシャンとして勤務する20代の女性従業員と、30代の女性元従業員。訴状などで2人は、月に80時間前後の残業を強いられたが、時間外割増賃金が支払われなかったと主張していた。
 労組「エステ・ユニオン」によると、和解は23日に成立した。条件は非公表だが、不二ビューティは従業員の適切な労働管理に努め、残業代を支払うことを約束したという。
 不二ビューティは「今後ともコンプライアンス(法令順守)を重視し、女性たちがより働きやすい職場をつくっていけるように努める」とのコメントを出した。

平成27年1月26日(月曜日)時事通信社

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「長時間労働でうつ病」提訴…名古屋2015/01/25

 長時間労働でうつ病になったとして、「トップカメラ」やうどん店を展開する「イサン」(名古屋市中村区)の男性社員(47)(休職中)が16日、同社を相手取り、未払い残業代や慰謝料など計約1710万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こした。
 訴状によると、男性は契約社員などを経て2007年9月から正社員となり、トップカメラやうどん店で勤務。12年10月以降は連日、午前8時30分から翌午前0時過ぎまで働き、13年1月にうつ状態が進んで出勤できなくなったが、直前の3か月間は、月当たり135〜164時間の時間外労働をしたという。名古屋西労働基準監督署が昨年2月、時間外労働とうつ病発症との因果関係を認め、労災認定した。
 記者会見した男性は「私と同じ状態の人が今も働いている。働いていることに対しては、それなりの報酬を出してほしい」と話した。同社は「訴状が届いていないのでコメントできない」とした。

平成27年1月18日(日曜日)読売新聞電子版

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障害年金不支給判定の割合、地域差6倍ー新指標で是正へ2015/01/16

 厚生労働省は15日までに、国の障害年金を申請して不支給と判定される人の割合に都道府県間で最大約6倍の差があったとの調査結果を発表した。精神障害と知的障害について異なった目安で審査していたことが主な原因として、不公平があったことを認めた。同省は、是正へ向け専門家の検討会を2月にも設置し、今夏をめどに客観的な判定指標を策定する。
 多くの人が受け取る障害基礎年金は、支給実務を担う日本年金機構の都道府県事務センターごとに審査している。
 厚労省が2010〜12年度の3年間を対象に、都道府県ごとの不支給割合を調べた結果、最高の大分(24.4%)と最低の栃木(4.0%)の間で6.1倍の差があった。不支給割合が高かったのは、大分に続き茨城、佐賀、兵庫の順だった。
 精神、知的障害では、審査に使われる診断書に5段階構成の「日常生活能力の程度」という項目がある。10、12年度のサンプル調査では、この項目で異なる運用が判明。不支給割合が低い10県では、障害程度が軽い方から2番目の段階以上を支給の目安としていたが、不支給割合が高い10県は3番目以上でないと支給しないという、より厳しい目安だった。
 厚労省は3番目以上とする方が適切と考えているとみられる。審査が厳しくなって年金を打ち切られる人が増える可能性があり、懸念の声も出ている。
 支給申請全体のうち約3分の2が精神、知的障害の人からで、これらの障害に関する審査のばらつきが全体に大きな影響を与えていた。
 精神、知的障害者の団体からは「仕事に就くと不利に判定されているのではないか」との指摘があったが、診断書に就労状況を記入しているかどうかで不支給割合に大きな違いはなかった。

平成27年1月15日(木曜日)日本経済新聞電子版

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元支店長待たせ暴力受け自殺、パワハラ原因認定2015/01/15

 JAクレイン(山梨県都留市)大月支店に勤めていた男性(当時34歳)の自殺は、当時の支店長から精神的に追いつめられたり、暴行を受けたりしたパワハラが原因だとして、男性の両親が同JAと元支店長を相手取り、約8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、甲府地裁であった。
 佐久間政和裁判長は、パワハラ行為が自殺につながったと認定して原告側の訴えを認め、JAクレインと元支店長に計約3487万円の支払いを命じた。
 訴状などによると、男性は2008年に同JAに採用され、大月支店に配属された。男性は元支店長から保険契約のノルマを達成できないことを強く叱責され、自ら月6万円近くの保険に加入したり、歓送迎会の帰宅時には元支店長を待たせたことを理由に暴力を振るわれたりし、10年3月、宮崎県都城市で自殺しているのが見つかった。都留労働基準監督署は11年5月、元支店長の言動が自殺の一因になったなどとして労災認定していた。
 JAクレインの担当者は取材に対し「判決の内容を聞いていないのでコメントできない。確認した上で対応を検討する」としている。

平成27年1月14日(水曜日)読売新聞電子版

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若者雇用、認定企業に助成金=厚労省が法案概要2015/01/10

 厚生労働省は9日、労働政策審議会の分科会を開き、若者雇用対策法案の概要を示した。3年以内の離職率が3割以下といった数値基準を満たす企業を、若者が働きやすい会社と認定して助成金を出す。サービス残業などの違法行為を繰り返す企業の求人はハローワークでの受け付けを拒否する。一つの会社で長く働いてもらい、技能を高められるようにする。
 月内に若者雇用対策法案をまとめ、26日召集の通常国会に出す。2015年度中の施行を目指す。
 厚労省は適度な休息を取ることができ、仕事を続けやすい企業を法人単位で認定する。具体的には(1)3年以内の離職率が30%以下(2)有給休暇の平均取得率が70%以上または10日以上(3)平均残業時間が月20時間以下、または週60時間以上働く人が5%以下――といった数値基準をすべて満たす企業が対象となる。
 助成金の支給基準や金額は政府の15年度予算案で決まる。企業にとっては、認定を受けたことを訴えて優秀な人材を集めやすくなる。
 優良企業を認定する一方で、若者の離職が多い「ブラック企業」への就職を防ぐ。違法な長時間労働や、残業代の不払いといった違法行為を繰り返す企業が求人票を出しても、ハローワークが受け付けを拒否できるようにする。
 ハローワークはこれまで、原則として全ての求人を受け付ける義務があった。しかし求人票の内容と実態が異なる例があり、求職者から不満が出ていたため、対策を講じることにした。
 少子化が進むなか、若者の技能を高めて生産性を上げることが欠かせない。新入社員の3年以内の離職率は大卒で3割、高卒で4割だ。若者の技能の蓄積が進まなくなる可能性があるため、長く働ける会社に就職できるように後押しする。

平成27年1月9日(金曜日)日本経済新聞電子版

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「ブラック企業」をネットで監視ー厚労省、長時間労働を是正2015/01/07

 厚生労働省は1月からインターネット上の求人情報の監視を始めた。給与が業界平均より大幅に高い会社や、頻繁に求人を出している会社を探す。情報を偽って集めた社員を酷使する「ブラック企業」と疑われる場合は、労働基準監督署が立ち入り調査する。違法企業を摘発する業務をより効率的にする狙いだ。
 厚労省は民間企業が運営する求人サイトや、ハローワークのホームページの求人情報を点検し、ブラック企業と疑わしい事例を洗い出している。一定の効果が出れば、将来はネットの匿名掲示板も巡回し、内部告発とみられる書き込みも参考情報として集める見通しだ。
 労働基準監督署は企業を訪れて帳簿を調べ、違法な長時間労働や残業代の不払いがないかを確かめている。違反があれば是正を勧告する。ただ、人員に限りがあるため、実際に立ち入りができるのはごく一部の企業だ。ネット上の情報を使うことで、法違反が疑われる企業を選んで重点的に訪問できるようになる。

平成27年1月6日(火曜日)日本経済新聞電子版

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雇用保険料率1.35%で据え置き=15年度、厚労省方針2015/01/05

 厚生労働省は2015年度の雇用保険料率を14年度と同じ1.35%に据え置く方針だ。失業給付を受ける人がここ数年、5万人程度減っていることを踏まえ、現行の保険料率の範囲内で賄えると判断した。15年1月以降に開く労働政策審議会で正式に決定する。
 厚労省が15年度から5年間の収支見込みを試算したうえで、保険料率を算出した。失業給付を受ける人を50万人にした場合と、09年度から13年度の実績の平均である63万人にした場合の両方とも現行の保険料率を維持できる結果になった。
 雇用保険料は労使双方が負担。労働者は0.5%、事業主は0.85%を支払う。保険料は失業者への給付のほか、育児や介護で会社を休んだ人への手当などの給付に充てている。

平成27年1月3日(土曜日)日本経済新聞電子版

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