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医師残業、年1777時間も…過労死ライン常態2017/12/05

 愛媛県立4病院で2016年度、勤務医の約8割が労使協定で定めた上限(月45時間、年360時間)を上回る時間外労働をしていたことが分かった。
 1割以上で時間外労働が年1000時間を超え、中には年1777時間に及んだ医師もいた。平均時間は月57時間で、心臓血管外科や脳神経外科、小児科、放射線科で長時間勤務となる傾向が強く、県は「医療事務を担う職員を増やすなどして医師の負担を減らし、勤務環境を改善していく」としている。
 県によると、新居浜、今治、中央(松山市)、南宇和(愛南町)の4病院で、職員の時間外労働は「36(さぶろく)協定」と呼ばれる労使協定で上限を「月45時間、年360時間」、緊急手術など急を要する処置が重なるなどした場合のみ「月90時間、年に6回まで」と定めている。
 だが、16年度は勤務医計269人中210人で時間外労働が年360時間を超過。36人は年1000時間を超え、「過労死ライン」とされる月80時間超が常態化していたとみられる。
 年1777時間だったのは、県立中央病院の心臓血管外科の男性医師。同科は医師が6人で定員(8人)に満たず、県の担当者は「医師不足に加え、緊急手術の数が多く緻密な術後管理も必要な部署で、労働時間が長くなる傾向にある」と説明する。
 県はカルテ入力などの事務を補助する職員を増やしたり、複数の医師によるチーム医療を導入したりしたほか、病院長らに面談で勤務実態を把握させるなどして改善を図っている。今年度の時間外労働は昨年度より減少傾向にあるという。
 「36協定」は労働基準法36条に基づく労使協定。「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働かせる場合は労使間で協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。

平成29年12月5日(火曜日)読売新聞電子版

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65歳以上も雇用、企業の75%で導入=厚労省調査2017/11/06

 厚生労働省がまとめた高年齢者の雇用状況(6月1日時点)によると、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は75.6%だった。前年同期比1.5ポイント上昇した。人手不足などを背景に中小企業が大手を上回り、高齢者を積極的に活用する姿勢が明らかになった。
 従業員数31人以上の企業15万6113社の状況をまとめた。会社を辞めて再雇用などをする継続雇用制度を導入する企業は56%、65歳以上の定年を設けるのは17%、定年制の廃止は2.6%だった。また70歳以上まで働ける制度を導入する企業も22.6%あった。
 65歳以上まで働ける制度は中小企業の78%が導入しており、大企業の55.4%を上回った。厚労省は「大企業の方が給与水準が高く、人件費負担を考慮して慎重になる傾向がある」とみている。

平成29年11月5日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金時効「障害発生から」、不支給分の支払い認めず2017/10/18

 大けがをして長い年月がたった後で障害年金を申請したところ、5年の時効を理由に一部しか支給されなかった札幌市の男性(67)が、不支給分約2700万円の支払いを国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は17日、年金を受ける権利の時効は障害の発生から進行するとの判断を示し、男性の上告を棄却した。男性の敗訴が確定した。
 障害年金は、申請を受けて障害の発生時期を認定し、当時にさかのぼって支給する仕組み。法律に「権利は5年を経過すれば消滅する」という時効の規定があり、訴訟では、いつの時点から時効が進行するかが争われた。
 行政実務や他の多くの訴訟では今回の最高裁判決と同様の判断がされているが、別の訴訟で名古屋高裁は2012年、「年金を申請し、支給が決まったと本人に通知された時点から時効は進行する」と指摘。国が認めなかった分の支払いを命じた。年金制度を知らないなどの理由で申請が遅れるケースもあることから、この判決を評価する声も出ていた。
 男性は1970年6月、交通事故で左脚を切断。11年6月に障害年金を申請した。同8月、障害2級と70年からの年金受給権が認められたが、申請から5年さかのぼった分しか支給されなかった。15年に提訴し、一審札幌地裁判決は16年4月に請求を棄却。同10月の二審札幌高裁判決も支持した。〔共同〕

平成29年10月17日(火曜日)日本経済新聞電子版

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電通に罰金50万円、違法残業事件で東京簡裁判決2017/10/08

 電通の違法残業事件で、東京簡裁(菊地努裁判官)は6日、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社に対し、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。
 判決理由で菊地裁判官は、同社社員だった高橋まつりさん(当時24)の過労自殺を踏まえ「労使協定を超える違法な時間外労働で尊い命が奪われる結果が生じたことは看過できない」と指摘。社内で長時間労働が常態化していたと指摘したうえで、「刑事責任は重い」と批判した。
 一方で、午後10時以降の業務を原則禁止するなどの同社の再発防止策を評価した。
 先月22日の初公判に続き、この日も山本敏博社長が出廷した。閉廷後取材に応じ「判決を厳粛に受け止めており、責任の重大さを痛感している」と述べ、あらためて謝罪した。
 初公判で山本社長は起訴内容を認め、業務時間の長さとサービス品質が比例するとの誤った考え方が事件を招いたと謝罪していた。
 判決によると、電通本社の部長3人(当時)は2015年10〜12月、高橋さんら社員4人に対し、1カ月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせたとされる。

平成29年10月6日(金曜日)日本経済新聞電子版

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残業代1億2千万円未払い、国内最大級の小児病院2017/10/08

 国内最大級の小児病院、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)が、医師らの夜間や休日の勤務に適切な賃金を支払っていなかったことが7日、センターへの取材で分かった。センターは昨年3月、立川労働基準監督署から是正勧告を受け、今年6月までに未払い残業代計約1億2千万円の全額を支払った。
 未払いだったのは約80人の医師を含む職員計約130人に対する2014年3月から2年間の残業代。
 厚生労働省は病院での夜間や休日の労働に対し、業務が検温など負担の少ない範囲にとどまり十分な睡眠が取れる場合のみ、時間外労働の割増賃金より安い「宿日直手当」で済ませることを認めている。
 センターは、午後5時15分から翌朝8時半までの夜間や休日の勤務に宿日直手当を適用。救急治療など実際の業務があった時間だけは割増賃金を支払ってきた。
 しかし労基署は、センターの夜間や休日の勤務は負担が少ないとはいえず通常と同様の労働に相当すると判断、待機時間も含め時間外労働として割増賃金を支払うよう求めた。センターによると、医師の夜間勤務は月平均で4〜5回。救急患者は日中を含め1日平均約10人が来院するという。
 センターは病床561床で、常勤医師は約130人。「厳しい捉え方だが、労基法違反を真摯に受け止める。医療の質を落とすことなく、労基署と相談しながら労務上の問題解決に努める」としている。〔共同〕

平成29年10月7日(土曜日)日本経済新聞電子版

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契約社員への住宅手当支給命じる「画期的判決」2017/09/15

 東京や愛知など3都県の郵便局に勤務する契約社員3人が、同じ仕事内容の正社員と待遇格差があるのは不当だとして、日本郵便(東京)に正社員との手当の差額計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟で、東京地裁(春名茂裁判長)は14日、住宅手当などの不支給は違法だとして、計約92万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 原告弁護団によると、同種訴訟で住宅手当の支給を命じたのは初めて。日本郵便は約40万人の従業員のうち、正社員以外が約半数を占める。弁護団は「他企業にも大きな影響を与える画期的な判決だ」としている。
 労働契約法は、雇用期間に期限のある契約社員らと正社員の労働条件に不合理な格差を設けることを禁止。原告側は、同社の就業規則で手当や休暇が正社員と契約社員で異なるのは、同法に違反すると主張していた。
 判決は、正社員であれば、一定額が支給される「年末年始勤務手当」や「住宅手当」について、契約社員に全く支払われないのは「不合理だ」と指摘。正社員の8〜6割の手当を支払うよう命じた。また、契約社員には夏期・冬期休暇がないことや病気が理由の有給休暇が認められていないことについても、「官公庁や企業で広く制度化されており、不合理だ」などとして違法と判断した。
 一方、判決は、「同法は、契約社員と正社員の間で一定の賃金制度の違いを認めている」と指摘。賞与など6種類の手当については、仕事内容にも異なる点があるとして格差を容認した。
 日本郵便の話「判決内容の詳細を確認し、今後の対応を決める」

平成29年9月14日(木曜日)読売新聞電子版

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パワハラでうつ、外国人実習生に労災認定=立川労基署 2017/09/13

 東京都内の建設会社で技能実習生として勤務していたカンボジア人男性(34)がうつ病を発症したのは同僚のパワーハラスメントが原因だとして、立川労働基準監督署(立川市)が労災認定していたことが12日、分かった。
 同日都内で記者会見した男性らによると、男性は2014年7月に入社し、上下水道の工事現場などで働いていた。複数の日本人社員から「ばか」「この野郎」などの暴言や、工具でヘルメットをたたくといった暴行を受け、16年3月にうつ病と診断された。
 立川労基署は男性への暴言や暴行などが日常的にあり、強い心理的負荷を与えたとして今年6月7日付で労災認定した。
 男性は「日本の労災や法律を知らず、誰に悩みを相談できるか分からなかった。これから働く外国の人たちに情報を伝え、困った時は助けてほしい」と話し、相談支援体制の充実を訴えた。
 実習生の権利擁護に取り組む「外国人技能実習生権利ネットワーク」(東京・台東)によると、外国人実習生が精神疾患で労災認定されるのは初めてという。

平成29年9月12日(火曜日)日本経済新聞電子版

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生産性引き上げで助成金加算、厚労省、3年後6%以上で2017/08/17

 厚生労働省は中小企業向けの助成金について、企業の生産性が向上すれば支給額を加算するしくみをつくる。3年後に6%以上上がれば、2割程度を上乗せする。企業は金融機関の支援を受けながら生産性向上の計画を提出する。意識的に生産性を高める取り組みを促し、経済の底上げにつなげる。
 新制度の対象は、離職した労働者の早期雇い入れなど再就職支援の助成金、離職率の低下に取り組む企業向けの職場定着の助成金などを中心に選定する方向だ。2018年度にも試行し、活用状況を見ながら拡大する。
 生産性は営業利益や人件費、減価償却費などを足した数字を雇用保険の被保険者数で割って算出する。原則、助成金を申請する企業の直近の会計年度と3年後の生産性を比較する。
 金融機関との連携も促す。企業は取引先の金融機関と生産性の引き上げに向けた計画をつくる。6%以上上がらない場合でも、金融機関の事業性評価シートなどで一定の評価があれば、加算対象とすることを検討する。
 いまも生産性が向上している企業に対して助成金を加算する仕組みはあるが、申請時の過去の実績で判断している。3年後の成果で評価するやり方に切り替えることで、企業が意識的に生産性を引き上げる動機づけになるとみている。
 日本生産性本部によると、日本の生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中で22位にとどまるなど先進国の中でも低い水準だ。生産性引き上げは日本経済の底上げに向けた重要課題になっている。

平成29年8月15日(火曜日)日本経済新聞電子版

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運送業、労働法令違反8割、厚労省2017/08/12

 トラックやバスなど運送業の事業所を労働基準監督署が2016年に立ち入り調査した結果、4381カ所のうち3632カ所で労働関係の法令違反があったことが、厚生労働省の集計で分かった。違反率は82.9%と15年と比べて2ポイント低下したが、8割を超す事業所で違反行為が行われていることから、厚労省は監督指導を強化する。
 違反内容をみると長時間労働が2434カ所(55.6%)で最も多かった。残業代が適切に支払われていない違反は956カ所(21.8%)に上った。
 トラックの運転手などの労働環境の改善を目的に、厚労省は国土交通省と連携して合同監督・監査を実施している。16年は前年比53%増の272カ所の事業所に対して行った。
 厚労省によると、具体的な違反事例として、トラック会社で時間外・休日労働が月100時間を超える運転手が複数人いたため、労働基準監督官が長時間労働を是正するよう指導した。また貸し切りバス会社が深夜業務に就く従業員に対して健康診断をしていなかったことから是正勧告したという。

平成29年8月11日(金曜日)日本経済新聞電子版

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都内の勤務医、過労自殺で労災認定、時間外月に173時間 2017/08/10

 都内の総合病院に勤務していた30代の男性産科医が自殺したのは長時間労働が原因だとして、品川労働基準監督署が労災認定していたことが9日、分かった。遺族側の代理人弁護士が明らかにした。精神疾患を発症する前の1カ月間の時間外労働は約173時間だった。認定は7月31日付。
 男性は2010年4月に医師免許を取得し、13年4月からは都内の総合病院の産婦人科で研修医として勤務。15年7月12日に自殺した。手術や当直勤務などで休みがほとんど取れず、同1月13日から亡くなる前日までの休暇は5日間だけだった。
 記者会見した弁護士によると、この間、最長で時間外労働が208時間52分に達した月もあったという。男性は同年4月以降、抑うつ状態、集中力の低下などがみられるようになった。労基署は発症前1カ月の約173時間の時間外労働は、極度の長時間労働で、精神疾患の発症と自殺につながったと認定した。
 厚労省によると、1週間の労働時間が60時間を超える勤務医の割合は2012年時点で41.8%と、職種別で最も高い。16年度には過労死や過労自殺(未遂含む)で4人が労災認定された。同省は今月、医療関係者や法律の専門家らを交えた検討会を発足させ、医師の働き方改革をめぐる議論が本格化している。

平成29年8月9日(水曜日)日本経済新聞電子版

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外国人実習生が働く事業所、7割で法令違反=厚労省2017/08/10

 厚生労働省は10日までに、2016年に外国人技能実習生が働く事業所に対して立ち入り調査した結果を発表した。調査した5672事業所のうち、7割に当たる4004事業所で労働基準法などの法令違反があった。前年より8.3%増え、3年連続で過去最多を更新した。外国人実習生への不当な扱いが後を絶たず、厚労省は監督指導を強化する方針だ。
 全国の労働局や労働基準監督署が16年に立ち入り調査した事業所数は前年より9.6%増えた。違反事項としては長時間労働が最も多く、1348事業所と調査対象全体の23.8%を占めた。次に多かったのは使っている機械の安全対策が不十分といった労働安全衛生法違反で1097事業所(19.3%)だった。
 具体的な違反事例としては、ある事業所では外国人実習生に対し1カ月で最長130時間ほどの違法な時間外労働をさせていた。別の事業所では外国人実習生の賃金が最低賃金を下回っていたため、適切に支払うよう指導した。

平成29年8月10日(木曜日)日本経済新聞電子版

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自殺社員の遺族が提訴、ゼリア新薬「研修で心理的負荷」 2017/08/09

 製薬会社「ゼリア新薬工業」(東京・中央)の新入男性社員(当時22歳)が自殺したのは、新入社員研修で受けた心理的負荷が原因だとして、男性の両親が8日、同社や研修の委託先のコンサルティング会社などに約1億500万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
 遺族側の弁護士らによると、男性は2013年4月に入社。約4カ月の予定の新入社員研修に参加し、5月上旬に精神疾患を発症した。同月18日、研修施設から帰宅する途中に自殺した。
 研修では、それぞれの悩みや弱みを打ち明けさせる「意識行動変革研修」を実施。講師が多くの受講者の前で男性がきつ音だと指摘したり、過去のいじめの体験を話させたりした。
 男性は、研修の報告書で「一番知られたくなかった同期の人々にまで知られてしまい、ショックは数倍増しだった」とつづっている。
 遺族は14年12月に労災申請した。中央労働基準監督署(東京・文京)は、研修内容が自殺の原因だとして、15年5月19日に労災認定した。
 ゼリア新薬工業は「訴状を受け取っていないためコメントは控える」としている。

平成29年8月8日(火曜日)日本経済新聞電子版

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ストレスチェック実施、義務化後も8割=厚労省調べ2017/07/27

 厚生労働省は26日、企業などに従業員の心の健康状態の点検を義務づけた「ストレスチェック制度」の実施状況を初めて公表した。実施率は82.9%にとどまり、実施したうえで部署による違いなどの分析までしたのは64.9%だった。同省は未実施の事業所を指導するほか、従業員が受け終わっている事業所には職場環境の改善につなげるよう促す。
 同制度は従業員のメンタルの不調を防ぐことを目的に2015年12月に開始。従業員50人以上の事業所は年1回、ストレスチェックを実施し、結果を受けて従業員から申し出があれば医師による面接指導などを行わなければならない。
 厚労省は今年6月末時点での状況をまとめた。全体の実施率は82.9%で、業種別では金融・広告業が93.2%で最も高かった。全事業所の従業員のうち、78.0%が同時点までにストレスチェックを受けた。
 医師による面接指導は32.7%の事業所が行っていた。高ストレスの従業員がいなかったことで面接をしなかった事業所もあるとみられるが、厚労省は面接指導が必要なのに受けていない従業員も多いとみている。
 ストレスチェック制度では、結果を踏まえて部署による多い・少ないなどストレスの現状を分析し、仕事の割り振りなども含む職場環境の改善に取り組むことを事業所の努力義務としている。しかし、チェックを実施した事業所のうち分析までしたのは78.3%で、同省によると、2割超は従業員にチェックを受けさせるだけで終わっている可能性が高い。
 一方、厚労省の研究班は15年度の同制度開始後最初の1年間の状況を分析した。それによると、チェック実施後に何らかの職場環境の改善をしていたのは37.0%にとどまった。
 研究班の代表を務める東京大大学院の川上憲人教授は「従業員への調査結果を見ると、ストレスチェックを受け、さらに職場環境の改善を経験した場合にストレスがやや軽減されている」と指摘。「制度の実効性を高めるためにも企業に対策を促していくことが重要だ」と強調する。研究班は今年度、職場環境の改善方法や医師の面接指導に関するマニュアルをつくる計画だ。

平成29年7月27日(木曜日)日本経済新聞電子版

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社会保険二重払い解消=政府、フィンランドと交渉へ2017/07/17

 政府はフィンランドとの社会保障協定の締結に向けた交渉を開始する。相手国で働く駐在員らの社会保険料の二重払いを解消し、加入期間は通算して年金を受け取れるようにする。両国は社会保障制度への加入が義務付けられており、負担の大きい経済界からも要望が寄せられていた。17日からヘルシンキで開く政府間交渉に厚生労働省や外務省の幹部を派遣する。
 フィンランドに駐在する日本人は現在約1800人。5年以内の駐在なら自国の社会保障制度のみを適用できるようにし、二重払いによる個人や企業の金銭的負担を軽減する。5年を超える場合でも、それぞれの加入期間を通算して年金受給を認める。最低加入期間に満たない場合に保険料が掛け捨てとなる不満を解消する。
 フィンランドの社会保険料は2割超。日本は先進国をはじめとする20カ国との社会保障協定を署名済みだが、北欧の締結国はまだない。

平成29年7月17日(月曜日)日本経済新聞電子版

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勤務医の高額年俸「残業代含まず」=最高裁判決2017/07/10

 勤務医の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代に当たる部分を他の賃金と判別できず、残業代を年俸に含んで支払ったとはいえない」と判断した。好待遇などを理由に「年俸に含まれる」とした一、二審判決を破棄した。
 最高裁の判例は、労働基準法の規定に沿って時間外賃金が支払われたことをはっきりさせるため、「時間外の割増賃金は他の賃金と明確に判別できなければならない」としている。第2小法廷は高額な年俸の場合も例外とせず、これまでの判例を厳格にあてはめた。
 訴えを起こした40代の男性医師は2012年4〜9月、神奈川県の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半〜午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定だった。医師側はこの間の時間外労働約320時間の一部が未払いだと主張していた。
 第2小法廷は「雇用契約では時間外賃金を1700万円の年俸に含むとの合意があった」と認めたが、「どの部分が時間外賃金に当たるかが明らかになっておらず、時間外賃金が支払われたとはいえない」と判断。未払い分の額を算定するため、審理を東京高裁に差し戻した。
 労働基準法は、長時間労働を抑えるため、法定労働時間(1日8時間)を超える残業に通常の1.25倍以上の賃金を支払うよう義務付けている。
 一審・横浜地裁判決は「医師は労働時間規制の枠を超えた活動が求められ、時間数に応じた賃金は本来なじまない」と指摘。好待遇であることから「時間外賃金は年俸に含まれている」として病院側の主張を認めた。二審・東京高裁も一審の判断を支持し、医師側が上告していた。
 医師側代理人の新井隆弁護士は「企業が給与体系を見直すきっかけになる」、病院側代理人の最所義一弁護士は「労働法規の厳格な適用が現実に合致していない側面があるにもかかわらず、最高裁は形式的判断をした」とのコメントを出した。
 男性医師は12年9月に勤務態度を理由に解雇され、解雇無効や未払い賃金の支払いなどを求めて提訴した。7日の判決で、解雇を有効とした一、二審の判断は確定した。

平成29年7月7日(金曜日)日本経済新聞電子版

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医師ら長時間労働、県立がんセンターに是正勧告2017/07/06

 新潟県は4日、県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)が新潟労働基準監督署から、労働時間などに関する是正勧告を受けたと発表した。
 勧告は3日付。
 発表によると、労基署は同病院に対し、労使協定に定められた上限を超えた時間外労働が行われていると指摘。特に、3月には2人の医師と2人の事務職員が「過労死ライン」の一つとされる月80時間を超える残業を行っていたとして、8月3日までに是正して労基署に報告するよう勧告した。
 また、病気の検査などで用いる溶剤の取り扱いについて、注意を促す表示が不十分であることや、溶剤を扱う作業に関わる装置の定期点検が行われていないことについても是正するよう求めた。
 県病院局は「労基署の指摘を真摯に受け止める。長時間労働については詳細な把握・分析を踏まえて具体的な対策を検討する」としている。

平成29年7月5日(水曜日)読売新聞電子版

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精神疾患の労災認定、最多の498人=厚労省まとめ2017/07/01

 長時間労働などで精神疾患を発症し、2016年度に労災認定を受けたのは498人で、過去最多を更新したことが30日、厚生労働省のまとめで分かった。前年度と比べて26人増えた。498人のうち3割超は月平均で100時間以上の時間外労働をしていた。いじめや嫌がらせも後を絶たず、職場の環境改善が必要なことが改めて浮き彫りになった。
 うつ病などの精神疾患による労災申請は前年度から71人増え1586人。こちらも過去最多となった。労災認定を受けた498人のうち、過労自殺(未遂を含む)は9人減って84人だった。
 今回の過労自殺の中には、電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)が含まれている。母親の幸美さん(54)は「長時間労働という原因をなくすことで大切な命や健康を守ることができます」とコメントした。
 労災認定を受けた人の月平均の時間外労働をみると、100時間以上は158人。このうち160時間以上は52人だった。一方で、20時間未満でも84人が労災認定を受けていた。
 労災認定を年代別にみると、30〜50代は前年度と比べて減ったが、20代が107人と20人増えた。業種別では製造業(91人)、医療・福祉(80人)、卸売・小売業(57人)の順番だった。
 一方、脳梗塞や心筋梗塞など「脳・心臓疾患」で労災申請したのは30人増えて825人。労災認定を受けたのは260人(9人増)で、このうち過労死したのは107人(11人増)だった。
 脳・心臓疾患による労災認定は中高年に多い。50代が99人、40代が90人で、過労死の多くもこの年代で起きている。業種別にみると「道路貨物運送業」が89人で最も多かった。
 労災認定件数の発表を受け、過労死弁護団全国連絡会議の幹事長、川人博弁護士は「過労死の疑いがあっても労災申請をしていないケースが多い。今回の数字は氷山の一角だ」としている。

平成29年6月30日(金曜日)日本経済新聞電子版

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国交省、社会保険加入の実態調査、全国の建設業者に2017/06/24

 国土交通省は全国の建設業者に対し社会保険の加入状況の実態調査に乗り出す。下請け業者には元請け業者から工事代金の支払時に社会保険負担分の原資となる「法定福利費」が適切に支払われていたかについても調べる。建設現場では社会保険の未加入者が多い。同省は調査を踏まえ加入徹底に必要な具体策を検討、労働環境を改善して人材確保につなげる。
 2016年10月時点で同省が雇用保険、健康保険、厚生年金保険の3つの社会保険の加入状況について建設業者と建設作業員を調べたところ、企業の96%が3保険とも加入していたが、作業員では3保険に加入しているのは76%にとどまった。
 同省や建設業の団体などが立ち上げた協議会では、工事費とは別に法定福利費を明示した見積書を作る枠組みを決め、下請け業者が保険料を確実に支払える環境づくりを目指している。
 このため今回の調査では建設業者各社の社会保険の加入状況に加え、従業員の年齢や加入割合などを尋ねる。特に下請け業者については、元請け業者から工事代金の支払時に法定福利費が適切に支払われていたかについても調べる。
 同省によると、建設業では人の入れ替わりが多く企業が従業員の加入状況を把握できなかったり、元請けから法定福利費が支払われなかったりして未加入となっているとみられる。解体工や型枠工など技能者には工事ごとに現場を転々とする「一人親方」も多く、所得の不安定さも背景にあるという。
 同省は調査結果を踏まえ、法定福利費の支払い促進策など社会保険の加入徹底に必要な具体策を検討する。
 これまで同省は建設業の許可更新時に社会保険加入を指導。4月からは直轄工事で未加入企業を完全に排除する仕組みを始めた。今後は地方自治体に対しても公共工事で同様の取り組みの導入を求める方針だ。

平成29年6月23日(金曜日)日本経済新聞電子版

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パワハラ労働相談7万件、5年連続で最多=16年度2017/06/18

 厚生労働省は16日、労働者と企業のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決する「個別労働紛争解決制度」の2016年度の利用状況を公表した。全体の労働相談件数は約113万件で15年度と比べ9.3%増えた。内訳はパワーハラスメントを含む「いじめ・嫌がらせ」が同6.5%増の7万917件で、5年連続で最多だった。
 集計結果を踏まえ、厚労省は「泣き寝入りせずに、職場改善を求める動きが広がっている」と分析している。
 職場のいじめ・嫌がらせに次いで相談が多かったのは「自己都合退職」で同7.2%増の4万364件。厚労省によると、人手不足により「会社が辞めさせてくれない」といった相談が増えているという。「解雇」は同2.7%減の3万6760件だった。
 同制度は裁判以外の紛争解決(ADR)の一つとして2001年10月にスタートした。都道府県労働局や主要駅周辺などにある「総合労働相談コーナー」で相談を受け付けている。

平成29年6月16日(金曜日)日本経済新聞電子版

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医師の残業代「含む」見直しへ、上告審結審、7月判決 2017/06/11

 医師の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審弁論が9日、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)で開かれ、結審した。判決は7月7日。弁論は二審の結論を変更する場合に開かれるため、「残業代は年俸に含まれる」とした一、二審判決を見直す可能性が高い。
 訴えを起こした40代の男性医師は2012年4〜9月、神奈川県内の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半〜午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定になっていた。
 医師側は弁論で、過重労働を防ぐために割増賃金の支払いを義務付ける労働基準法の趣旨に触れ、「医師の過重労働を防ぐには、通常の賃金と時間外の割増賃金が明確に区分できる必要がある」と主張。年俸に残業代が含まれないと訴えた。
 病院側は「職種によっては経営者と同等の給与を得ていて、必ずしも手厚く保護する必要がない労働者もいる」と強調し、仕事の実態に応じた柔軟な法解釈を求めた。

平成29年6月9日(金曜日)日本経済新聞電子版

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北海道新聞、社員7割に残業代未払い…是正勧告2017/05/24

 北海道新聞社(札幌市)が東京支社の社員に残業代の未払いがあるとして、三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが23日、同社への取材でわかった。
 同社によると、是正勧告は2016年3月18日付。15年11〜12月分の給与で延べ33人に計約132万円の未払いが判明したという。
 これを受け、同社が社内調査を行ったところ、14年2月〜16年4月、東京支社を含めた全社員の7割超の1064人に未払いがあることがわかった。同社は同年5月までに計約2億8300万円を支給したという。

平成29年5月24日(水曜日)読売新聞電子版

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警備中の仮眠は労働時間、地裁、賃金支払い命じる2017/05/18

 警備員として勤務中に定められた仮眠時間は労働時間に当たるとして、イオングループの警備会社「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の男性社員(52)が同社に未払いの割増賃金など約700万円の支払いを求めた訴訟で、千葉地裁(小浜浩庸裁判長)は17日、同社に割増賃金と制裁金に当たる「付加金」の計約177万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決によると、男性は2011年9月に入社。15年5月まで東京や千葉のイオン系列の商業施設などで警備業務を担当してきた。24時間連続の勤務があり、その際は未明に4〜5時間の仮眠時間が定められていた。
 男性側は「仮眠時間内は外出も認められず、会社は従業員に警備態勢の継続を求めていた」と主張していた。
 同社は「判決文を精査し対応を検討する」とコメントした。
 勤務中の仮眠時間を巡っては02年、最高裁が「労働からの解放が保障されていない場合、労働時間に当たる」との判断を示している。〔共同〕

平成29年5月17日(水曜日)日本経済新聞電子版

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電通の子会社に是正勧告…主要5社、違法残業で2017/05/16

 大手広告会社・電通の主要子会社5社が、社員に違法な残業をさせていたとして、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、各社への取材でわかった。
 電通の4本支社は先月までに、社員に違法な残業をさせた疑いで幹部らが書類送検されたが、子会社でも長時間労働が常態化していたことが明らかになった。
 各子会社などによると、是正勧告を受けたのは「電通北海道」(札幌市)、「電通東日本」(東京都)、「電通西日本」(大阪市)、「電通九州」(福岡市)、「電通沖縄」(那覇市)。5社では、いずれも労使協定で定められた残業時間の上限を超えて社員を働かせていたとして、労基署が今月8〜12日、是正勧告した。5社は昨年10月、電通本社とほぼ同時期に労基署から立ち入り調査を受けていた。
 関係者によると、5社については重大な違反がなかったとして書類送検は見送られるとみられる。5社はそれぞれ、「是正勧告を重く受け止め、社を挙げて労働環境の改革に取り組む」などとコメントしている。

平成29年5月15日(月曜日)読売新聞電子版

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「長時間労働でうつ」和解、ホームセンター元社員2017/05/07

 東日本を中心にホームセンター「ビバホーム」を運営する「LIXIL(リクシル)ビバ」(さいたま市浦和区)の元社員の50代男性が、長時間労働でうつ状態になったとして同社に約4600万円の損害賠償を求めた訴訟がさいたま地裁(森冨義明裁判長)であり、同社が解決金1100万円を支払う内容で和解していたことが2日、分かった。3月21日付。和解では、男性の疾病が業務に起因するものではないとの内容も盛り込まれた。
 訴状によると、男性は平成15年に入社し、ホームセンターの店長などを務めた。同年5〜12月、毎日の労働時間が平均16時間となり、月の残業時間が200時間に達したこともあった。その後も長時間労働が続き、16年12月にうつ状態と診断されたとしている。
 会社側は「原告は遺伝的要因に基づく双極性障害で賠償義務はない」「裁量で自ら労働時間を決めていた」などと主張していた。

平成29年5月3日(水曜日)サンケイビズ

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職業紹介業の許可基準緩和、厚労省、5月下旬にも2017/05/05

 厚生労働省は民間企業などが職業紹介業を始める際の許可基準を緩和する。「おおむね20平方メートル以上」としている事業所の面積要件を撤廃する。十分なスペースを確保しづらい中小企業などの参入を促す。一方で個室の設置などを要件に加えて求職者と求人者のプライバシーを保護する。
 職業安定法に基づく許可基準を5月下旬にも変更する。広さの基準をなくす代わりに個室の設置やパーテーションで区分をつくること、面談を予約制にするなど他者と同室にならないことなどを要件に追加する。
 あわせて、職業紹介と派遣事業を兼業している企業などに対し、個人情報の管理方法も見直す。求人・求職に関する情報は職業紹介と派遣で別々に管理することが求められているが、一元管理を認める。企業側の負担を軽減する。
 政府は働き方改革実行計画で、転職・再就職の採用機会の拡大を掲げている。民営の職業紹介事業所は2016年3月時点で前年同月比3%増の1万9453カ所と増加傾向が続くが、中小企業などでは広さが確保できず開設を諦めるケースもあるという。

平成29年5月3日(水曜日)日本経済新聞電子版

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いなげや社員に労災認定、長時間労働で過労死2017/04/18

 首都圏が地盤の食品スーパー、いなげやの男性社員(当時42)が脳梗塞で死亡したのは長時間労働が原因だとして、さいたま労働基準監督署(さいたま市)が昨年6月、過労死として労災認定していたことが17日、分かった。
 都内で記者会見した代理人弁護士によると、男性は2011年11月から同社の志木柏町店(埼玉県志木市)で勤務。14年6月に店舗を出た直後に倒れ、脳梗塞で亡くなった。
 同労基署は脳梗塞発症前の4カ月間の時間外労働が1カ月当たり平均75時間53分だったと推定。ほかにも労働時間と推定される時間があり、労災認定の目安である1カ月当たり80時間を超える時間外労働をしていた可能性が高いと判断。昨年6月28日付で労災認定した。
 弁護士によると、男性は始業時刻より前に出社してもタイムカードを打刻していなかった。終業後もサービス残業していたという。
 遺族は「連日に及ぶ異常な長時間労働に従事していたことは明らか。今も心の傷が癒えない」とコメント。遺族は1億5千万円の賠償や再発防止策を同社に求める。いなげやは「(遺族側が求める)内容を確認し、今後の対応を検討したい」としている。
 弁護士によると、同社を巡っては2003年10月に過労自殺で亡くなった社員が労災認定を受けているという。

平成29年4月17日(月曜日)日本経済新聞電子版

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電通3支社も書類送検へ、違法残業の疑い2017/04/18

 新入女性社員が過労自殺した電通について、厚生労働省は17日、社員に労使協定の上限を超える残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いで名古屋、京都、大阪の3支社の複数の幹部と法人としての同社を月内にも書類送検する方針を固めた。
 今後、同社の山本敏博社長からも任意で事情を聞き、法人としての認否を確認し最終判断する。
 東京や大阪などの各労働局は昨年11月、電通の東京本社(東京・港)のほか、中部(名古屋市)、京都(京都市)、関西(大阪市)の3支社を強制捜査。このうち東京労働局は2015年12月に過労自殺した高橋まつりさん(当時24)の上司に絞り込んで捜査し、昨年末に労基法違反の疑いで書類送検した。
 その後の捜査で、ほかの労働局も労使協定の上限を超える違法な残業を社員にさせていたことを確認した。関係者によると、東京本社の別の幹部についても捜査を続けている。
 労基法は、残業の上限時間を定めた労基法36条に基づく労使協定(さぶろく協定)を結ばずに残業させたり、上限時間を超えて残業させたりすることを禁止。違反した場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金。
 高橋さんは2015年に電通に入社。同年秋から残業時間が増え、うつ病を発症し、過労自殺した。労働基準監督署は月約105時間の残業をしていたとして、16年9月に労災認定した。

平成29年4月17日(月曜日)日本経済新聞電子版

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ヤマト運輸、未払い残業代支給、法定の過去2年分2017/04/16

 宅配便最大手のヤマト運輸が配達員(ドライバー)の未払い残業代について、過去2年分に限り、一部地域で支給を始めたことが12日、わかった。支給額は1人当たり50万円から200万円程度とみられる。
 ヤマト運輸は昨年8月、神奈川平川町支店(横浜市神奈川区)が元社員のドライバーらに残業代の一部を支払わず昼食休憩もとらせなかったとして、横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けた。これを受けてヤマトは「サービス残業」を調査し、未払い分の残業代を支払う準備を進めていた。
 労働基準法は社員が残業代など未払い分の賃金を求める場合、請求権を2年間と定める。支払い期日から2年を過ぎると請求権が時効で消滅する。ヤマトは過去2年分のタイムカードなどのデータを社員に示し、「出勤日のことを思い出して訂正があれば赤ペンで記入を」と求めたという。社員側は「出勤日1日につき残業2時間」などと申告している。
 ただ、社員によると残業代の算定基準などの詳細な説明はないという。社員からは「法律に沿うとはいえ、サービス残業はもっとあったのに2年に限るのはおかしい」と反発の声も出ている。ヤマトは「実態調査が終わるまでコメントは控えたい」としている。

平成29年4月13日(木曜日)毎日新聞電子版

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大企業の健保料48万円超、17年度予算、3314円増2017/04/16

 健康保険組合連合会(健保連)は14日、大企業の会社員が入る健保組合の2017年度予算の集計結果を発表した。1人当たりの年間保険料は労使合計で48万2590円。前年度より3314円増えた。平均保険料率も9.168%と前年度から0.068ポイント上がる。高齢者医療向けの支援金の負担が重く、保険料は10年連続の引き上げとなる。
 1375組合が回答した。保険料率を引き上げたのは214組合で全体の15.6%に上り、保険料率が10%台に乗せた組合は前年度比で13増えて316だった。
 健康保険料は国が収入に応じて決めている「標準報酬」に料率をかけた金額で、原則として労使で折半する。保険料率を引き上げるのは、高齢者医療制度の維持のために支出する負担金が重いためだ。
 医療費増大と財政悪化を受けて、今年度は加入者の収入に応じて支援金を負担する「総報酬割」が全面的に導入された。支援金は3兆5323億円と前年度比で7.2%増えた。支援金が保険料収入に占める割合は44.5%に達し、サラリーマンの家計を一段と圧迫する要因になっている。
 医療給付費の負担も重い。今年度は4兆1193億円の見込みで、前年度比3.6%増える。高額な新薬の普及などが背景だ。健保全体の収支見込みは3060億円の赤字で、前年度の2倍以上に膨らむ。赤字を見込む組合は全体の7割を超える。健保連の白川修二副会長は会見で「高齢者医療の負担構造改革などが必要」と指摘した。

平成29年4月14日(金曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金 一転支給へ、同居女性に「生計同一」認める2017/04/09

 岡山県在住の50代の女性が2014年5月に申請し、認められなかった遺族厚生年金について、厚生労働省が今年3月に一転して不支給処分を取り消し、支給する方針を示したことが7日、分かった。厚労省が一度決定した処分を変更するのは異例。
 女性は妻子と離れた男性と約25年間同居。男性は認知症になり、妻と同じ介護施設に入所して数年後に亡くなった、という事情があった。
 遺族年金を受け取るには、被保険者の死亡時に、その人によって生計を維持されていたという「生計同一要件」などを満たす必要がある。女性は男性名義の衣料店を引き継いで収入を得ていたが、厚労省は、男性が妻と家族関係を再構築し、女性との間の同一要件は認められないとしていた。
 女性は不支給処分の取り消しを求めて昨年、岡山地裁に提訴。男性が亡くなる数カ月前に金融機関から運転資金の融資を受けた事実を新たに示した。男性が仕入れた商品が残っていた店への融資が実行され、経営できたとの主張で、厚労省は3月14日に女性側に処分を見直すと伝達した。
 女性の代理人を務める作花知志弁護士は「認知症前の生活が総合的に評価された。生計同一関係の基準が緩和される先例になるのでは」と話した。
 訴状などによると、女性は1983年ごろから男性と同居。認知症発症後の2010年、子どもらが住民票を移して施設に入所させ、妻が12年、男性は13年に死亡した。〔共同〕

平成29年4月8日(土曜日)日本経済新聞電子版

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日本電産、残業ゼロへ始動、在宅勤務や時差出勤2017/03/24

 日本電産の永守重信会長兼社長は23日、4月から在宅勤務制度と時差出勤制度を導入すると明らかにした。同社は「モーレツ主義」を大転換し働き方改革を進めている。柔軟な働き方へのシフトを本格化させて2020年の「残業ゼロ」達成を目指す。
 在宅勤務は本社の営業や開発などの千数百人が対象。社員の等級によって月5〜8日の上限を設け、育児などの理由で在宅勤務を認める。上司に仕事内容を事前申請し終業時に成果を報告することで業務を管理する。
 永守社長は「これまで残業の3分の1を減らしたが、さらに3分の1を減らすため制度改革に着手する」と述べた。「業績を落とさない限り、残業ゼロにするためには何でもやる」と強調した。
 時差出勤は海外拠点や顧客と応対する社員のほか、業務が集中し前日の残業が長引いた社員らに適用する。退社から出社まで一定の休息時間を確保するインターバル勤務制度の導入も検討する。
 日本電産は残業減少につながる工場の自動化や効率化システムの導入のため、20年までに1千億円を投資する方針を示している。柔軟な働き方を認める制度も導入し生産性を高める。永守社長は「残業の最後の3分の1は研修などの社員の能力向上で削減する」と話した。終業後の語学や専門分野の研修なども4月に始める考えを示した。

平成29年3月23日(木曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金の男女差「合憲」、最高裁が初判断2017/03/22

 労災で配偶者を亡くした場合の遺族補償年金をめぐり、夫だけは55歳以上でないと受給できない規定が憲法違反がどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は21日、規定は合憲とする初判断を示した。「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘した。
 合憲かどうかが争われたのは、1967年施行の地方公務員災害補償法の規定。妻は年齢を問わずに受け取れるため、妻を亡くした原告の堺市の男性(70)が、法の下の平等を定めた憲法に反するとして提訴した。
 同小法廷は判決理由で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と判断した。裁判官5人の全員一致。男性の敗訴が確定した。
 民間や国家公務員の労災の遺族補償にも同様の年齢制限がある。
 2013年11月の一審・大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」とし、地方公務員災害補償基金(東京)による不支給の決定を取り消した。
 15年6月の二審・大阪高裁判決は男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘。規定は不合理な差別ではないとした。逆転敗訴した男性が上告していた。
 一、二審判決などによると、1998年、市立中学の教員だった妻(当時51)が自殺。男性は遺族補償年金の支給を申請したが、妻の死亡時点で男性が51歳だったため、受給要件の55歳に達していないとして支給されなかった。

平成29年3月21日(火曜日)日本経済新聞電子版

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「さと」など違法労働、正式裁判へ…大阪簡裁2017/03/21

 従業員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反で法人として略式起訴された飲食店経営会社「サトレストランシステムズ」(大阪市中央区)について、大阪簡裁は6日、「略式命令は不相当」と判断し、通常の公判を開いて審理することを決めた。
 同社は「和食さと」などを全国展開。2015年1〜11月、本社と大阪府内の「和食さと」や「すし半」など4店舗で、労使協定で定めた上限時間を超える時間外労働をさせたなどとして書類送検され、大阪区検が今年2月27日付で略式起訴していた。

平成29年3月7日(火曜日)読売新聞電子版

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パナソニックを書類送検、違法な長時間労働の疑い 2017/03/16

 大手電機メーカーのパナソニックが富山県内の工場に勤務する従業員に労使協定の上限を超える時間外労働をさせていたとして、厚生労働省富山労働局の砺波労働基準監督署(同県砺波市)は15日、労働基準法違反の疑いで、法人としての同社と工場で労務管理を担当していた幹部2人を書類送検した。
 送検容疑は2015年12月〜16年6月、砺波市の工場に勤務する3人の従業員に対し、労使協定の上限を超える違法な時間外労働をさせた疑い。同労基署によると、3人の1カ月当たりの最長の時間外労働は97〜138時間で、労使協定の上限(80時間)を大幅に上回っていた。
 パナソニックを巡っては、この工場に勤務していた40代の男性社員が昨年6月に亡くなり、同労基署が今年2月、長時間労働による過労が原因だとして労災認定した。同労基署は公表していないが、関係者によると、違法な時間外労働をさせられていた3人の中に過労死した社員が含まれているという。
 パナソニックは書類送検されたことについて「事態を厳粛に受け止め、このような事態を二度と繰り返さないよう、全社を挙げて再発防止に取り組んでまいります」とコメントした。

平成29年3月15日(水曜日)日本経済新聞電子版

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違法残業、事業所の4割で確認、厚労省7000カ所調査2017/03/14

 厚生労働省は13日、昨年11月に月80時間超の残業が疑われる7014事業所を立ち入り調査した結果、2773カ所(39.5%)で労使協定を上回るなど違法な残業を確認したと発表した。従業員の労働時間を適切に把握していないとして、労働基準監督署が指導した事業所は889カ所(12.7%)に上った。
 厚労省は過労死等防止対策推進法が2014年11月に施行したのを踏まえ、毎年11月に立ち入り調査を集中的に実施。15年11月は月100時間超の残業が疑われる5031カ所の事業所を調査し、2311カ所(45.9%)で労使協定の上限を超えるなど違法な残業を確認していた。
 厚労省は16年4月に立ち入り調査の残業基準を月100時間超から月80時間超に引き上げた。労使協定で月80時間超を上限とする事業所は一定数あり、16年の違反率は15年と比べると低下した。
 昨年11月は7014事業を調査した結果、67.2%の4711カ所で労使協定を超える残業や賃金不払い残業などの労働基準関係法令違反を確認した。
 法令違反では労使協定の上限を超える残業をさせたり、労使協定を結ばずに残業させたりする労基法32条違反が2773カ所で最も多かった。業種別では製造業が787カ所、運輸交通業が525カ所、商業が400カ所の順だった。

平成29年3月13日(月曜日)日本経済新聞電子版

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企業、正社員「不足」43.9%、過去10年で最高 2017/03/07

 帝国データバンクが今年1月の調査(1万社強が回答)で正社員の過不足を聞いたところ、「不足」と答えた企業が43.9%で、過去10年で最高となった。大企業は51.1%だった。非正社員も人手不足は深刻で、飲食店が8割台と断然トップだった。経済成長の足を引っ張りかねないほど人材需給は逼迫している。
 正社員は前回調査(16年7月)に比べ6.0ポイントも上昇。大企業が中小企業(42.1%)より高かった。業種を見ると放送(73.3%)、情報サービス(65.6%)、メンテナンス・警備・検査(62.9%)が続いた。
 非正社員の「不足」の割合は29.5%。前回調査より4.6ポイント高く、過去10年で最高だ。飲食店(80.5%)、娯楽サービス(64.8%)、飲食料品小売り(59.4%)と続き、消費関連が目立った。帝国データバンクの窪田剛士氏は「長い目でみて経済成長を抑制しかねない状況だ」と指摘する。

平成29年3月6日(月曜日)日本経済新聞電子版

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従業員に違法な長時間労働「和食さと」略式起訴2017/03/06

 従業員に違法な長時間労働をさせたとして、大阪区検は、「和食さと」などを全国展開する「サトレストランシステムズ」(大阪市中央区)を労働基準法違反で大阪簡裁に略式起訴した。2月27日付。
 同社は2015年1〜11月に本社と大阪府内の4店舗で、労使協定で定めた上限時間を超える時間外労働をさせたなどとして、昨年9月、大阪労働局・過重労働撲滅特別対策班(通称・かとく)から書類送検されていた。同時に書類送検された店長ら5人は不起訴になった。
 同社によると、かとくの捜査を受け、一部の店舗で営業時間を短縮するなどしたほか、サービス残業をしていた従業員653人に過去2年分の残業代として計約4億6200万円を支払ったという。

平成29年3月4日(土曜日)読売新聞電子版

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パナ砺波工場で労災死、労基署認定、長時間労働原因2017/03/06

 富山県砺波市宮丸のパナソニックの工場に勤務する四十代の男性社員が昨年六月に亡くなったのは長時間労働が原因として、砺波労働基準監督署が今年二月に労災認定していたことが、会社への取材で分かった。
 男性は電子部品製造のデバイスソリューション事業部富山工場(従業員約二百五十人)に勤務していた。同社は、男性の仕事内容などを「答えられない」としているが、亡くなる前に月百時間以上の時間外労働があったことを認めている。遺族が労災申請していた。
 労働時間の管理は、本人が開始時間と終業時間をパソコンに入力。会社は工場のクラブ活動や自主的な語学研修なども含めて、工場敷地内にとどまった時間として把握、管理していた。
 広報担当者は「厳粛に受け止め、全社を挙げて再発防止に取り組む」と話した。二月から月八十時間を超える時間外労働の根絶、午後八時までの全社員の退社を進めている。
 今回の労災認定について砺波労基署は「個別事案は公表していない」と話し、富山労働局の山崎英生局長は三日の会見で「長時間労働でけがや病気、亡くなることがあってはならない。働き方改革に一層力を入れていきたい」と語った。

平成29年3月4日(土曜日)中日新聞電子版

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ヤマト、働く時間を厳格管理、拠点の管理職増員2017/03/04

 ヤマトホールディングス(HD)がトラック運転手などのサービス残業の実態を調査し、給料の未払い分を支給する方針であることが分かった。インターネット通販で急増する荷物をこなそうとすることで、現場が混乱をきたし、労働時間を正確に把握する仕組みが機能していなかった。集配拠点の管理職を増やすなどして労働時間の管理体制を厳格化し、再発防止に取り組む。
 子会社のヤマト運輸のトラック運転手などグループ全体の4割に当たる約7万6000人の従業員を対象に労働時間の聞き取り調査を始めた。3月末をめどに終え、未払い分を順次支給する。
 労働基準法は未払い残業代があった場合に最長2年間まで遡って支払うことを義務づけている。未払い残業代が100万円を超える従業員もいるとされ、ヤマトHDの支払総額は数百億円に上る可能性がある。
 トラック運転手は宅配業務用の携帯端末とタイムカードを併用して労働時間を管理している。これまでは携帯端末の電源が入っている時間を労働時間とみなし、タイムカードは補助的な役割としていた。しかし、電源を入れる前に荷物の仕分けをしたり、電源を切った後に伝票処理をしたりする従業員がおり、サービス残業となっていた。
 ヤマトHDはサービス残業をなくすために、勤務時間の管理をタイムカードに一本化する方針だ。職場に出社してから退社するまでを労働時間にカウントする。端末の電源を切って作業した時間も労働時間に含まれるようになる。
 また、適切な働き方が守れるように集配拠点の管理職を増員する方向だ。タイムカードに記録された時間と実際の勤務時間を見比べ、サービス残業や長時間労働があった場合に早期に把握できるようにする。現行の管理職の要員では足りないため、シニアのトラック運転手や熟練したパートタイマーを管理職に起用することを検討する。
 人件費の高騰でヤマトHDの2017年3月期の連結営業利益は580億円と16年3月期に比べ15%減る見通しだ。勤務実態に合わせて残業代を支払うようになれば、支出はさらに膨らむ。
 ヤマトはサービス残業をなくすと同時に、長時間労働の是正に取り組む。宅配便の時間帯指定サービスは「正午〜午後2時」を廃止し、トラック運転手が昼食休憩を取りやすくする。現在は午後9時までの配達時間を繰り上げることも検討する。労働組合は退社から次の出社まで10時間以上あける「勤務間インターバル制度」の導入も要求している。
 従業員の長時間労働が是正されれば、配送可能な宅配便の量は従来より少なくなる。このためヤマトは荷受量の抑制に着手する。発送量の多いネット通販事業者など大口顧客と運賃引き上げを交渉し、折り合わなければ引き受けの停止を検討する。事業者が値上げを受け入れれば、消費者が支払う配送料などに転嫁される可能性がある。

平成29年3月4日(土曜日)日本経済新聞電子版

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ほっともっと元店長、地裁が残業代支払い命令2017/02/19

 弁当店「ほっともっと」店長は権限や裁量のない「名ばかり管理職」で、残業代が支払われなかったのは違法だとして、元店長の30代女性が運営会社「プレナス」(福岡市)に未払い賃金など511万円と懲罰的付加金約200万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、静岡地裁であった。関口剛弘裁判長は原告の請求を認め、約160万円の支払いを命じた。
 関口裁判長は判決理由で、元店長について「勤務実態や権限から、管理監督者に当たるとはいえない」と判断した。
 労働基準法は、給与などで相応の待遇を受ける「管理監督者」は残業代の支給対象外と規定。人件費抑制の抜け穴とされ、労働基準監督署が監視を強めている。訴訟では元店長が管理監督者に該当するかが争点だった。
 運営会社は「店長は経営に責任を持つ管理監督者」と主張したが、関口裁判長は「アルバイト採用などで限定的な権限しかなく、店舗運営は本社のマニュアルに従っていた」と指摘。労働時間についても「自由裁量で決めることができたとまではいえない」と述べた。
 また原告の年収は320万円ほどで、同社の管理監督者以外の平均年収と大差がないとして「高い待遇を受けていたとは認められない」と認定。これらのことから「店長は管理監督者とする」と定めた就業規則は労基法に反し、無効と指摘した。
 一方、過労で体調を崩したとして原告側が求めていた損害賠償は「法定外労働は40〜70時間程度で、著しく多かったわけではない」と退けた。
 元店長の女性は記者会見し「悔しさを晴らせた。同じ境遇の人に勇気を与えたい」と語った。プレナスは「判決文が届いておらずコメントは差し控える」としている。
 判決によると女性は2012年7月に入社。同11月に静岡県内の店長となった。13年9月から休職し14年10月に退職した。〔共同〕

平成29年2月17日(金曜日)日本経済新聞電子版

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西濃運輸「パワハラ」2600万円支払いで和解2017/02/15

 トラック運送大手・西濃運輸(岐阜県大垣市)の元従業員の男性(51)が上司のパワーハラスメントや長時間労働でうつ病を発症したとして、同社と上司2人に約1億円の損害賠償を求めた訴訟があり、大阪地裁で和解が成立した。
 10日付。同社と上司が解決金として2600万円を支払う。
 訴状によると、摂津支店(大阪府)でトラック運転手をしていた男性は、月100時間を超える時間外労働を強いられたほか、2011年6月には、当て逃げ事故を起こしたとして上司から職場の草むしりを命じられ、その直後にうつ病を発症。男性は12年6月に労災認定を受けた。
 和解条項では、男性が当て逃げ事故を否定したにもかかわらず、十分に確認しないまま、草むしりを命じたことなどを上司2人が謝罪。同社も、長時間労働によって、うつ病を発症させた責任を認めた。
 西濃運輸は「同様の事例が起きないよう社員教育を一層強化する」としている。

平成29年2月14日(火曜日)読売新聞電子版

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労災の東北大助手の自殺、民事訴訟では請求棄却2017/02/15

 東北大の助手だった阿部幸平さん=当時(24)=が平成19年に自殺したのは、長時間労働や教授のパワーハラスメントが原因として、東京都北区の両親が東北大に約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は14日、請求を棄却した。
 判決理由で高宮健二裁判長は「助手の日常業務は、自殺に至らしめる精神的負担を与えるほどではなかった。教授のパワハラも認められない」と指摘した。原告側は、時間外労働が100時間を超える月もあったと主張したが、判決は「長時間労働を客観的に裏付ける証拠はない」と退けた。
 判決によると阿部さんは19年6月、東北大病院薬剤部の助手になり、抗がん剤の研究をしていた同12月、病院の研究室から飛び降り自殺した。宮城労働局は24年3月、阿部さんに鬱病や長時間労働があったとして労災認定している。
 原告で父親の幸秀さん(61)は判決後「国の労災認定と司法の判断が食い違っている」として控訴の意向を示した。

平成29年2月14日(火曜日)産経ニュース

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パナソニック工場で過労死、福井、下請け従業員2017/02/11

 福井市のパナソニック森田工場に勤めていた男性が過労死と労災認定され、遺族代理人の海道宏実弁護士が9日、同市内で記者会見し、死亡する前の2カ月間、過労死ラインとされる月80時間ほどの時間外労働が続いていたと明らかにした。
 男性はパナソニックの2次下請け会社「アイエヌジー」(福井県あわら市)の契約社員の上田浩志さん(当時46)。深夜勤務後の2015年10月、くも膜下出血により死亡した。福井労働基準監督署は長時間労働による過労が原因とし、今年1月31日付で労災認定した。
 工場で上田さんは電子部品の加工を担当。午後11時から午前7時15分までの深夜勤務が固定化しており、15年3月から週の半分は2〜4時間早く出社していたという。
 パナソニックは「雇用関係がないのでコメントは差し控える」とし、アイエヌジーは「担当者がいないのでコメントできない」としている。
 上田さんの兄は「弟を突然亡くし、後を追うように父が他界した。仕事のせいで過労死することが絶対にあってはいけない」とのコメントを出した。〔共同〕

平成29年2月10日(金曜日)日本経済新聞電子版

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HIS、違法残業の疑いで書類送検へ=東京労働局2017/02/01

 旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、東京都内の複数の店舗で従業員に労使協定の上限を超える残業をさせたとして、東京労働局は31日、労働基準法違反の疑いで法人としての同社と労務管理をしていた複数の幹部社員を近く書類送検する方針を固めた。
 厚生労働省が2015年4月に東京と大阪の両労働局に設置した「過重労働撲滅特別対策班」(通称かとく)が昨年夏、同社に対して強制捜査に入った。押収した労務関係資料を分析するなどした結果、都内の複数の店舗で違法に残業をさせた疑いが強まったという。
 関係者によると、同社は過去に違法な残業を従業員にさせたとして、複数回の是正勧告を受けているという。是正勧告を受けながらも改善がみられないことから、東京労働局は法人としての同社に加え、労務管理担当の複数の幹部社員も書類送検する方針を固めた。
 エイチ・アイ・エスのウェブサイトによると、同社は1980年に設立。グループ全体の従業員は約1万4千人。
 労基法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定。これを超えて労働者を働かせるためには残業の上限時間を定めた労使協定(三六協定)を結ぶ必要がある。協定を結ばずに残業させたり、協定した時間を超えて残業させたりした場合は違法となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる。

平成29年1月31日(火曜日)日本経済新聞電子版

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病欠のバイトから「罰金」、セブンが返金を指示2017/02/01

 コンビニエンスストア「セブン―イレブン」の東京都武蔵野市内にある加盟店が、風邪で欠勤したアルバイトの女子高校生(16)から、9350円の「罰金」を受け取っていたことが31日、わかった。
 セブン―イレブン・ジャパンは「理由が不適切な上、減給額が労働基準法に違反している」として、全額返金するよう加盟店に指示した。
 親会社のセブン&アイ・ホールディングスによると、高校生は昨年12月〜今年1月、5日間(25時間)勤務し、2日間(10時間)は風邪で欠勤。給与明細には、働いた25時間分のバイト代2万3375円が記載されていたが、加盟店のオーナーは「代わりのバイトを探さなかったペナルティー」として、欠勤した10時間分の賃金に相当する9350円を差し引いたという。
 高校生の保護者からの通報を受け、事実関係を調べたところ、減給額は労基法が定める上限額を超えていたほか、減給の理由も不適切と判断した。同社広報センターは「加盟店の法令順守を徹底する」と話した。

平成29年2月1日(水曜日)読売新聞電子版

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ミスド店長過労死、経営の菓子会社に賠償命令2017/01/31

 ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」の三重県内のフランチャイズ店で店長だった男性(当時50歳)が死亡したのは長時間労働が原因だとして、遺族が店を経営する菓子製造会社「竹屋」(三重県四日市市)と社長らを相手取り、約9500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、津地裁であった。
 岡田治裁判長は「長時間労働により心身に負荷がかかったことが主たる原因と認められる」と述べ、竹屋側に約4600万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1986年、竹屋に入社。2011年7月から三重県内の2店の店長と、9店の店長不在時の代理業務などで長時間労働が続き、12年5月、出勤途中に致死性不整脈で死亡した。四日市労働基準監督署からは、13年に過労死と認定された。
 判決は、男性が少なくとも約5か月間、月平均120時間以上の時間外労働を続けていたと指摘。「労働時間が長期にわたり、長時間に及んでいるのに、上司は改善策を講じなかった」と竹屋の安全配慮義務違反を認めた。死亡する1か月前に業務時間が短縮されたことなどを考慮し、賠償額は減額した。
 男性の妻(52)は判決後、弁護士を通じて「会社には労務管理を徹底し、二度と同じようなことを起こさないでほしい」とコメントした。
 竹屋管理本部の真弓浩一部長は「判決を真摯に受け止める。社を挙げて労働環境の改善に努め、今後については弁護士と協議の上、対応したい」としている。

平成29年1月30日(月曜日)読売新聞電子版

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残業100時間超は産業医に報告、厚労省、企業に義務化2017/01/26

 厚生労働省は過労死や過労自殺を防ぐため、産業医の権限を拡大する。企業に対し、月100時間を超え残業している従業員を産業医に報告することなどを義務化。産業医が問題の多い職場を重点的に見回り、企業に是正を求めやすくする。今年度中に省令を改正、6月から運用を始める方針だ。
 電通や三菱電機を労働基準法違反容疑で書類送検するなど、同省は過重労働への監視を強めている。長時間労働などについての報告義務付けを通じ、企業が働き方を見直す効果も見込む。
 従業員50人以上の事業所は産業医を選任しなければならない。産業医は健康診断や面接指導を担い、職場を月1回は見回るよう定められている。
 企業に月100時間超の残業がある従業員の産業医への報告を義務化。健康診断で異常が見つかった従業員についても、月の残業時間や夜勤回数など産業医が求める情報を提供させる。
 産業医はこうした従業員が複数いる職場などの見回りを強化。把握できる情報が増え、労働時間の短縮や職場変更も提案しやすくなる。
 同省は産業医だけでなく、看護師や衛生管理者などとのチームでこうした取り組みを進める必要があるとみている。今後、企業の先行事例を収集し、ガイドライン作成を検討する。

平成29年1月25日(水曜日)日本経済新聞電子版

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違法残業、4割超で確認、厚労省が1万事業所調査2017/01/18

 厚生労働省は17日、2016年4〜9月に長時間労働が疑われる1万59事業所を立ち入り調査した結果、43.9%の4416カ所で労使協定を上回るなど違法な残業を確認したと発表した。従業員に労働時間を過少申告させるなど、1割超の事業所は労働時間の管理が不適切だった。
 同省によると、4416カ所の事業所では労使協定の上限を超えた残業・休日出勤や、協定を結んでいない残業が確認され、是正勧告した。うち月80時間を超す残業があったのは3450カ所(34.3%)で、月100時間超も2419カ所(24.0%)に上った。過重労働がなくならない実態が改めて浮かんだ。
 同省の労働基準監督署が立ち入り調査したのは、残業が月80時間超の従業員がいるとされた事業所。16年4月に重点監督対象を従来の月100時間超の残業から同80時間超に引き下げたため、対象事業所は前年同期(4861カ所)に比べ約2倍となった。
 また労基署が残業代を適切に支払っていないとして是正勧告をしたのは637カ所(6.3%)。月100時間超の残業をさせている従業員に、医師との面談を受けさせていないといった労働安全衛生法違反を確認したのは1043カ所(10.4%)だった。
 労働時間の管理が不適切な事業所もあった。労働時間を過少申告するよう上司が指示したり、タイムカードの打刻後も働かせたりするなど、労基署が不適切と判断したのは1189カ所(11.8%)。従業員の申告と入退館記録の食い違いが大きいとして、469カ所(4.7%)が実態調査を命じられた。
 違法残業を巡っては、労使協定を超える残業をさせていたとして電通や三菱電機が労働基準法違反容疑で書類送検された。厚労省は昨年末、是正勧告した企業名の公表基準について、月100時間超の事業所が年間3カ所で確認された場合から、月80時間超・2カ所に厳格化するなど緊急対策を公表している。

平成29年1月18日(水曜日)日本経済新聞電子版

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労災事故を虚偽報告、和歌山市の染色会社を書類送検2017/01/16

 労災事故を虚偽報告したなどとして、和歌山労働基準監督署は6日、労働安全衛生法違反容疑で、和歌山市加納の染色会社と総務事務担当者の男性(59)ら2人を書類送検した。
 送検容疑は、平成28年7月、同社の工場内で無資格者が運転するフォークリフトと男性従業員が衝突し、従業員が左足などを骨折する重傷を負う事故が発生したにもかかわらず、同年9月に同署に提出した事故報告書には「従業員が自分で押していた台車に足をひかれ、負傷した」と記載したなどとしている。
 事故後、同署に匿名の情報提供が寄せられており、虚偽報告と判明。総務事務担当者は「無資格運転を隠蔽するためだった」と話しているという。

平成29年1月7日(土曜日)産経ニュース

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年金、来年度は0.1%減…3年ぶり減額2017/01/16

 2017年度の公的年金の支給額が、16年度から0・1%引き下げられる見通しとなった。
 国民年金(基礎年金)は満額で月額6万4941円(16年度比67円減)、厚生年金は会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で月22万1279円(同225円減)となる。16年の物価下落が影響した。17年4月分(受け取りは6月)から引き下げられる。
 年金額は賃金や物価の変動率に応じて毎年度改定され、引き下げとなれば14年度以来、3年ぶりとなる。厚生労働省は今月下旬に17年度の年金支給額を確定する。賃金や物価が上昇した場合に年金の支給額を抑制する「マクロ経済スライド」は、17年度は発動されないことになった。
 先の臨時国会で成立した年金改革関連法に基づく新たな改定ルールは、21年度に導入されるため、今回の引き下げには影響しない。

平成29年1月15日(日曜日)読売新聞電子版

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国民年金2年分前払い、カード・現金で可能に2017/01/15

 厚生労働省は4月から国民年金の保険料を2年分前払いする時にクレジットカードや現金を使えるようにする。これまでは口座振り替えのみだった。現金やクレジットカードで前納すれば、毎月納付するのに比べ2年間で約1万5000円割り引く。前納の利便性を高めて、納付率の向上につなげる。
 国民年金を2年前納できる制度は2014年に始まった。16年4月時点で前納した場合の保険料は37万7310円で、毎月払うよりも1万5690円割り引かれた。
 現金やクレジットカードで前納するには年金事務所で申し込みしなければならない。今月20日から受け付けを始める。
 国民年金の被保険者が納めるべき保険料のうち実際に支払われた割合を示す15年度の納付率は63.4%だった。90年代前半までは80%を超えており低い水準が続いている。

平成29年1月14日(土曜日)日本経済新聞電子版

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違法残業、ホワイトカラー捜査対象、三菱電機を書類送検2017/01/12

 厚生労働省神奈川労働局は11日、三菱電機の研究所に所属していた新入男性社員に違法な残業をさせたとして、労働基準法違反容疑で同社と当時の上司を書類送検した。従来の同種事件は工場従業員や販売店員らが主な対象だったが、昨年末に書類送検された電通に続く立件は、政府の働き方改革の方針を背景に大手企業のホワイトカラーに捜査対象を広げる厚労省の姿勢を映している。
 三菱電機の男性社員(31、昨年6月に解雇)は2013年4月に入社。神奈川県鎌倉市の同社研究所で部品開発などに携わっていた。
 書類送検容疑は14年1〜2月、労働組合との協定で定めた上限の月60時間を超える78時間9分の残業を男性にさせた疑い。同社は送検を受け「真摯に受け止める。あらためて適切な労働時間管理を徹底する」としている。男性は100時間以上残業した月もあり、これが原因で精神疾患を発症したとして16年11月に労災認定を受けていた。
 「研究所の従業員の案件で送検するのは初めて聞いた」。ベテラン労働基準監督官は驚く。
 過労などによる精神疾患の労災申請は増え、15年度は過去最多の1515件。事務職が362件で最も多く、次いで専門・技術職の325件。厚労省幹部は「月100時間以上の残業が横行しているのはホワイトカラー職場だ」とみている。
 労働局の監督指導や捜査の中心はこれまで、建設作業員や工場労働者、販売店員といったブルーカラーの色彩が濃い職場が中心。長時間労働などが原因で事故が起きると労働者の死亡やけがにつながりかねないからだ。
 ただ、建設現場などでの労働災害による死者は減っている。労働局に人的余力が生まれたこともホワイトカラー職場への監視につながっている。
 大内伸哉・神戸大教授(労働法)は「労使で合意すれば事実上『青天井』で残業が可能な現行制度を見直し、決して超えてはならない上限を設けるべきだ」と指摘する。
 一方で「現行制度を厳格に守ると、自ら自由に労働時間を設計し、創造的な成果を出していく人が働きにくくなり、企業の業績が落ち込むことも考えられる」とも説明。「長時間労働自体が悪なのではない。無意味な労働を省き、仕事に打ち込むことが大事だ」と話す。

平成29年1月11日(水曜日)日本経済新聞電子版

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長時間労働の是正、企業の7割超「最優先課題」2017/01/10

 上場企業301社の7割超が、長時間労働の是正を働き方改革の最優先課題としていることが、日本経済新聞社と日経リサーチの調査でわかった。労働時間でなく成果で賃金を決める「脱時間給制度」の導入を政府に求める意見も5割近くあり、働く時間の再設計をどう収益力につなげるかで企業は知恵を絞る。同時に実施した正社員の意識調査では、賃上げを求める声が目立った。
 上場企業301社に自社で取り組む働き方改革の優先課題を聞いたところ、73%が「長時間労働の是正」を挙げた。「女性の活用」(67%)、「子育てや介護などと仕事の両立支援」(65%)が続き、「賃金引き上げ」は14%にとどまった。
 労働時間のあり方について複数回答で聞くと、84%が「所定労働時間内の密度を高め、残業時間を短くする」を選んだ。「短時間勤務の導入」は36%、「フレックスタイム導入などで自由度を高める」は28%。政府は労働時間に上限規制を設ける方向だが、企業は規制強化だけでなく、多様な働き方を認めないと生産性も上がらないとみる。
 上場企業の回答をみると、賃上げや副業、非正規雇用の処遇改善といった課題への関心は総じて低い。どれも政府が緊急性の高い課題と位置づけているのと対照的だ。政府が昨年末にガイドライン案を示した「同一労働同一賃金」の導入にも企業は慎重。働く人の意識ともやや食い違う。
 政府に期待する政策を複数回答で挙げてもらうと、「脱時間給」が48%で最多だった。配偶者控除見直しなど「税や社会保障の制度見直し」が47%で続き、「解雇規制の緩和」も39%と高かった。いずれも政府の検討が進まず、企業も不満を募らせているとみられる。
 働き方改革は一時的に企業の負担を増やす面もあるが、回答企業の7割が改革は「経営にプラス」と答えた。「人材採用で有利」「従業員の効率的な働き方が企業の生産性を高める」といった意見が出ており、働きやすい環境を整えることが優秀な人材の確保に直結するというのが企業の共通認識になりつつある。
 一方、正社員の意識調査では、仕事で力を発揮する条件を尋ねた(複数回答)。上位は「安定した給与」(38%)と「人員の適切な配置」(37%)。給与水準の低下を警戒し、転職や離職にも慎重な姿勢が伺える。
 政府の働き方改革実現会議への期待を複数回答で聞いたところ、上場企業では「社会保障など女性や若者が活躍しやすい環境整備」(55%)がトップだったのに対し、正社員では「賃金引き上げ」(42%)が最多。政府への期待でも微妙な違いが浮かんでいる。

平成29年1月10日(火曜日)日本経済新聞電子版

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雇用、4年で250万人増、子育て女性働きやすく2017/01/08

 緩やかな景気回復の下で、雇用者数が伸びている。2016年11月時点で5733万人となり、直近4年で250万人増えた。特に女性が目立ち、出産や子育てのためにいったん仕事を離れる「M字カーブ」は解消されつつある。男女ともに60代以上の労働参加率も高まった。人口は減り始めており、働く意欲のある女性や高齢者を支える環境整備が課題になる。
 雇用者数は安倍政権が発足し、景気回復期にも入った12年12月以降、右肩上がりで伸びている。12年12月と16年11月を比べると、250万人増えた。内訳は男性が約80万人、女性が170万人で、女性の増加が大きな要因であることがわかる。
 40〜59歳の女性が4年間で約130万人増えており、全体をけん引した。それだけでなく、出産や子育てをすることの多い25〜39歳でも働く人の比率が高まっている。
 育児休暇を取得して職場復帰する女性が増えている。保育所に子どもを預けることができない待機児童問題は解消されていないが、国が保育所の定員を拡大したことが影響した。収入面から夫妻がともに働かなければならない世帯もあるが、00年と比べるとM字カーブは解消に向かっている。
 もう一つの要因が60代以上の働き手。男女ともに年金の支給開始年齢を65歳に引き上げ始めており、60歳以上で働く人が増加している。たとえば60〜64歳の男性の労働力率は8割に迫り、65〜69歳も5割を超えている。人数でみると、65歳以上の雇用者は4年間で男性が100万人近く増え、女性も60万人増えた。
 日本の人口は08年をピークに、15年は0.8%減の1億2700万人まで減少している。特に15〜64歳はピーク時の1990年代半ばは8700万人いた。15年は1000万人少ない7700万人まで減少している。現役世代の減少を、高齢者の労働力で補っている構図が浮かび上がる。
 失業者も含め働く意思を持った労働力人口でみると、15年は約6598万人と08年の6674万人に迫る勢いだ。
 現役世代の減少が流通業を中心に人手不足につながり、失業率の低下や有効求人倍率の上昇につながっている。当面は人手不足が続くとみられるが、男性の高齢者の労働参加率は既に相当高い。余地が大きいのは女性高齢者だ。女性は60〜64歳の労働力率が5割、65〜69歳は3割にとどまっている。
 企業はパート時給を引き上げたりして人材確保に躍起になっているが、高齢者が働きやすい短時間勤務の制度などを整えていくことが必要になる。高齢者の就労が進めば、年金の一段の支給開始年齢の引き上げなど社会保障制度の見直しも焦点になる。

平成29年1月8日(日曜日)日本経済新聞電子版

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トラック運転手「1日20時間労働」で鬱病、労災認定2017/01/02

 明豊物流(東京都町田市)に勤めていたトラック運転手の女性(41)が、長時間労働で鬱病を発症し、八王子労働基準監督署町田支署が労災認定していたことが27日、分かった。認定は19日付。
 女性と代理人の弁護士らが27日、厚生労働省内で記者会見した。女性は「せめて奴隷ではなく人間として働きたいと思った。人間らしく働ける会社になるべきだ」と話した。
 女性は平成21年3月に入社し、4トントラックでの配送を担当。荷量が多く渋滞も多いコースを走り、1日20時間働くこともあった。休憩時間も取れず、食事も運転しながら食べることがほとんどだったという。
 26年末ごろに運転中にめまいや動(どう)悸(き)が激しくなり、鬱病を発症した。休業中の27年7月に解雇され、今年4月に労災申請していた。
 明豊物流は「コメントはない」としている。

平成28年12月27日(火曜日)産経ニュース

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