トップページ > トピックス

トピックスTopics

キーワードでトピックスを検索⇒ 
カテゴリー選択⇒  [全記事]  法改正  裁判
 労働法  人事労務  労働経済  年金  医療  メンタルヘルス  

残業100時間超の月も、過労自殺の三菱電機子会社社員、労災認定 2019/11/22

 大手電機メーカー「三菱電機」(東京)の子会社に勤めていた40歳代の男性社員が2017年、長時間労働で精神障害を発症して過労自殺し、労災認定されていたことがわかった。
 三菱電機によると、男性は、半導体製品をつくる子会社「メルコセミコンダクタエンジニアリング」(福岡市)の技術者。別の子会社「メルコパワーデバイス」の豊岡工場(兵庫県豊岡市)に出向し、副課長として社員の業務管理を担当していた15年4月〜16年11月、精神障害を発症した。
 残業時間が100時間を超えた月もあり、男性は同工場から別の部署に異動後、17年12月に自殺した。遺族側が昨年7月に労災を申請し、但馬労働基準監督署(同市)が今年10月に労災を認定した。
 三菱電機では14〜17年、男性社員5人が長時間労働を理由に労災認定され、うち2人が過労自殺していたことが判明している。同社は「関係会社を含めた適正な労務管理の徹底に取り組んでいく」とコメントしている。

令和元年11月22日(金曜日)読売新聞電子版

ページトップへ戻る

有給取得率、18年は52・4%=厚労省調べ 2019/10/30

 厚生労働省が29日発表した2019年の就労条件総合調査によると、18年の年次有給休暇の取得率は52.4%で、前年から1.3ポイント上昇した。取得した日数は平均9.4日で、大企業ほど取得率が高かった。政府は20年までに取得率70%の目標を掲げているが、依然として大きな開きがある。
 取得率は従業員数1000人以上で58.6%と最も高く、30〜99人では47.2%と最も低かった。「労働者側にも自分の仕事が大変になったり、職場に迷惑がかかったりするというためらいがあり、取得が進まない原因になっている」(厚労省)という。
 厚労省は目標達成を促すため、19年4月から企業に対し、年5日以上の有給を従業員に取らせるよう義務付けた。
 従業員が退社して翌日出社するまでに一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」の導入状況についても調べた。導入している企業は全体の3.7%にとどまった。導入を予定・検討している企業は15.3%だった。

令和元年10月29日(火曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

新入社員2人に労災認定、セクハラや長時間労働でうつ病2019/08/22

 神奈川県厚木市の外壁塗装会社ユーコーコミュニティーの新入社員だった女性2人がうつ病を発症したのはセクハラや長時間労働が原因だったとして、労働基準監督署が労災認定したことが21日、分かった。代理人の弁護士らが東京都内で記者会見し明らかにした。
 弁護士らによると、今年1月に平塚労基署、同7月に厚木労基署が認定した。同社は「元従業員が精神疾患にり患されたことは大変遺憾。労災認定については労基署の調査結果内容を確認できていないのでコメントを差し控える」としている。
 弁護士らによると2人は2017年4月に入社し11月にうつ病を発症。同僚の前で会長から「みんながおまえを嫌いになる」と叱られたり上司に体を触られたりした。労基署は発症前1カ月の残業時間は85時間を超えていたと認定した。
 2人は美大出身で技術職希望だったが、営業担当に配属され、1日当たり200軒を訪問することを課せられた。セクハラ被害を訴えると会長が「セクハラは神様が与えた試練」などと言い、耐えるよう求められたという。
 同社は「女性が活躍できる会社」などとうたっているが、会見に同席した女性は「長時間労働は当たり前でパワハラ、セクハラも見て見ぬふりの劣悪な環境だった」と話した。〔共同〕

令和元年8月21日(水曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

心の病で労災申請、18年度最多更新=厚労省発表 2019/07/01

 厚生労働省は30日までに、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2018年度に労災申請したのは1820件だったと発表した。
 1983年度の統計開始以降最多で、6年連続の増加。精神疾患の労災認定は465件だった。うち自殺(未遂含む)が76件あり、いずれも前年度より減少。過重労働が原因の脳・心臓疾患による労災認定は238件で、15件減少した。うち、死亡(過労死)は82人だった。
 全体の申請数は前年度から計125件増加。特に精神疾患で女性からの申請が99件増えた。4月に罰則付きの時間外労働(残業)の上限規制を含む働き方改革関連法が施行され、5月にはパワハラ防止を企業に義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が成立。担当者は「法律の動きに合わせ、精神疾患も労災だという認識が高まり、申請増加につながったのではないか」と話した。
 精神疾患の労災認定原因をみると、「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」と「仕事内容や量に大きな変化があった」がいずれも69件で最多。「セクハラを受けた」は33件で、全て女性からの訴えだった。
 脳・心臓疾患の職種別認定件数では、トラックやタクシーの運転手など「自動車運転従事者」が最多の85件で、約35%を占めた。運転業務は、残業の上限規制の適用を5年間猶予されているが、過酷な労働環境に置かれていることが改めて浮かび上がった。
 一定時間をあらかじめ働いたとみなす「裁量労働制」の適用者で労災認定されたのは6人。うち過労死・過労自殺者が4人いた。いずれもシステムエンジニアや弁護士など「専門業務型」で、企画や調査を担う「企画業務型」の過労死・過労自殺者はいなかった。〔共同〕

令和元年6月30日(日曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

「定年まで今の会社で」は2割、今春の新入社員2019/06/14

 就職情報大手のマイナビ(東京・千代田)が13日発表した調査によると、今春入社の新入社員のうち今の会社に定年まで勤めると考えているのは2割にとどまった。ずっと働きたくない理由としては「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」が最も多かった。自らの生き方に合わせて柔軟に仕事を選びたいという気持ちが強いようだ。
 2019年卒の新入社員を対象に5月7〜8日にインターネットで調査し、800人から回答を得た。
 今の会社で何年ぐらい働くかを聞いたところ、「5年以内」という回答が37.1%と「定年まで」(21.8%)を上回った。「6〜10年」は9.8%、10年以上は7.6%で、「わからない」という答えも23.9%あった。
 長く働きたいと思わない理由としては「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」が44.4%で最多。「転職でキャリアアップしたい」(29.7%)、「色々な会社で経験を積んでいきたい」(28.9%)が続いた。
 一方、就職した会社のイメージが変わったかどうかを聞いたところ「良い方向に変わった」が28.9%で、「悪い方向に変わった」という答えも12.4%あった。学生時代に戻れるなら就職活動をやり直したいという人も52.8%に達した。

令和元年6月13日(木曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

島根大で残業代未払い、9000万円、労基署勧告2019/06/12

 島根大が教職員約200人の残業代計約9000万円を支払わず、松江労働基準監督署が労働基準法に違反するとして昨年8月に是正を勧告していたことが11日、大学への取材で分かった。大学は未払いを認め、昨年12月に支払いを終えたという。
 島根大総務部によると、未払いがあったのは平成28年9月〜昨年8月で、総合理工学部などの教職員の休日手当と深夜手当。大学側は健康管理を目的とした調査で勤務状況を把握していたが、教職員自身の研究などによる休日・深夜の勤務は「職務以外の目的」として扱っていたことが原因だという。
 昨年8月に労基署が調査して発覚した。岩倉禎尚総務部長は「既に導入したタイムカードと、自己申告とを突き合わせて勤務を管理する」と話している。

令和元年6月11日(火曜日)産経新聞電子版

ページトップへ戻る

ホスト一気飲み死亡は労災 「飲酒は業務の一環」=大阪2019/06/03

 大阪・ミナミのホストクラブで2012年、ホストの男性(当時21)が一気飲みをして急性アルコール中毒となり死亡したのは接客業務が原因として、両親が労災認定を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。内藤裕之裁判長は「飲酒は業務の一環」として国の労災不支給決定を取り消した。
 代理人弁護士によると、飲酒を伴うサービス業での急性アルコール中毒を労災と認める司法判断は初めてとみられる。
 判決理由で内藤裁判長は、先輩ホストからの飲酒の強要を拒絶することは極めて困難な状況だったと指摘。飲酒は売り上げを伸ばすための行為で、急性アルコール中毒は「ホスト業務に伴う危険が現実化した」と判断した。
 判決などによると、亡くなったのは通信制高校に通っていた田中裕也さん。12年4月ごろから大阪市中央区の店で勤務し、8月1日の早朝、先輩ホストから強要され、客席を盛り上げようと、焼酎やテキーラを一気飲みした。酔いつぶれ、泡を吹いているのを他の従業員が発見。病院に救急搬送されたが、急性アルコール中毒で死亡した。
 両親は13年6月、大阪中央労働基準監督署に労災申請したが、同年11月に不支給とされた。
 この問題を巡っては、両親が経営会社側に損害賠償を求めた訴訟も起こし、今年2月の大阪地裁判決は先輩ホストについての使用者責任を認め、約7300万円の支払いを命令。また16年に当時の店の責任者ら2人が業務上過失致死の疑いで大阪府警に書類送検されたが、いずれも不起訴となり、両親は検察審査会への不服申し立てを検討している。〔共同〕

令和元年5月29日(水曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

産婦人科医の労災認める、広島地裁、過労自殺で2019/06/03

 中国地方のへき地にある病院の産婦人科で勤務していた50代の男性医師が2009年に自殺したのは過重労働でうつ病を発症したことが原因だとして、医師の妻が労災認定を求めた訴訟の判決で、広島地裁(高島義行裁判長)は30日までに、労災と認めた。その上で遺族補償年金を給付しないとした国の決定を取り消した。
 判決理由で高島裁判長は「常勤医が2人だけで、分娩や手術などに忙殺され、うつ病発症前の半年間は2週間以上の連続勤務が5回以上あった」と指摘。「部下とのトラブルも抱え、心理的負荷は強かった」と述べた。
 国は「業務の密度は低かった」などと主張していたが、高島裁判長は「業務以外の発症要因は認められない」とした。
 判決によると、男性医師は1999年から産婦人科の部長として勤務。09年1月ごろからうつ病を発症し、同年3月に病院に隣接した自宅ガレージで自殺した。
 妻は国の決定を不服として、12年に労災保険審査官に審査請求したが棄却され、再審査請求中の13年に提訴した。〔共同〕

令和元年5月30日(木曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

残業月173時間、労災認定…女性が適応障害に2019/05/16

 建築設計会社「プランテック総合計画事務所」(東京)に裁量労働制で働いていた20歳代の女性が精神障害を発症したのは長時間労働が原因として、中央労働基準監督署(同)が労災認定したことがわかった。女性が加入する労働組合が13日、記者会見で発表した。
 労組によると、女性は実際の勤務時間ではなく事前に労使協議で決めた時間を働いたとみなす裁量労働制で勤務し、昨年4月に適応障害を発症。同労基署は発症前1か月間の残業時間が国の「過労死ライン」(月100時間)を超える173時間だったと認定した。
 同社は昨年10月に裁量労働制を廃止しており、「労災認定を真摯しんしに受け止め長時間労働の是正を進めている」とコメントした。

令和元年5月13日(月曜日)読売新聞電子版

ページトップへ戻る

改正健保法が成立、マイナンバーカードを保険証代わりに2019/05/16

 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする改正健康保険法などが15日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。2021年3月までの利用開始を目指す。公的手続きなどをネット上で済ませられるデジタル社会づくりを後押しする。
 健保法を含む8つの法律を一括で改正する。マイナンバーカードの普及率は現在1割強にとどまる。健康保険証代わりに使えるようにして利用者を増やす。健康保険組合も保険証を発行するコストを減らせる。
 今回の法改正では外国人労働者の受け入れ拡大に対応し、健康保険の適用対象を厳しくした。給付を受けることができる扶養家族を原則、国内居住者に限る規定を盛り込んだ。医療費の抑制や不正利用の防止が狙い。同規定は20年4月に施行する。
 4月に始まった新たな在留資格「特定技能」で日本で働く外国人労働者が増えるとみられる。母国に残した家族の医療費も日本の健康保険で賄えば、医療費の膨張につながるとの指摘があった。

令和元年5月15日(水曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

育休で定期昇給させず、近大に賠償命令=大阪地裁2019/04/29

 育児休業を取得したことで定期昇給が認められなかったとして、近畿大(東大阪市)の男性講師(49)が、運営する学校法人に差額の賃金など約166万円の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は24日、計約50万円の賠償を命じた。内藤裕之裁判長(中山誠一裁判長代読)は「育休の取得を理由に不利益を与えており、育児・介護休業法に反して違法だ」と指摘した。
 判決などによると、男性は2012年、教職教育部の講師として採用された。15年9月に第4子が生まれ、同年11月〜16年7月に育休を取得。当時の同大の規定では、育休期間は翌年度の昇給条件を満たすために必要な期間(12カ月)に算入されないため、16年8月に職場復帰した男性の昇給は認められなかった。
 判決は、一部でも育休を取ると昇給しなくなり、将来的な不利益も大きいと指摘。法人側は「他の休業でも昇給は抑制している」と主張していたが、育休を理由とする不利益な扱いを禁じた同法に違反すると結論付けた。
 判決後、男性は「働きながら子育てをする環境作りが一歩でも前に進んで良かった」と話した。代理人の吉岡孝太郎弁護士は「同じような規定を持つ企業や団体に影響があるだろう」と指摘した。ただ、裁判で主張していた他の昇給については判決で認められず、男性は控訴を検討する。
 一方、法人は17年4月、育休を取得しても復職後に昇給するよう規定を改正している。法人は「判決文を読んで対応を検討する」としている。

平成31年4月24日(水)毎日新聞電子版

ページトップへ戻る

JAXA管制業務の31歳男性が過労自殺、労災を認定2019/04/04

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で温室効果ガスを観測する人工衛星「いぶき」の管制業務に携わっていた佐藤幸信さん(当時31)が自殺したのは、過重な業務負担などによる精神疾患が原因だとして、土浦労働基準監督署(同県土浦市)が労災認定したことがわかった。遺族側代理人の川人博弁護士らが3日、記者会見して明らかにした。
 佐藤さんは、2010年4月にソフトウェア開発の「エスシーシー(SCC)」(東京都中野区)に入社。15年からグループ会社「宇宙技術開発(SED)」に出向し、同社がJAXAから請け負った「いぶき」の管制業務に携わっていた。16年10月、自宅で自殺した状態で発見され、遺族が17年6月に労災を申請していた。
 川人弁護士によると、土浦労基署は、佐藤さんが人工衛星の管制業務に加えて人工衛星のスケジュールを管理するシステムのソフトウェアの開発も求められるといった「達成困難なノルマ」を課されていたことや、上司との間にトラブルがあったこと、亡くなる直前に大幅に仕事量が増えていたことを認定。全体として強い心理的な負荷がかかって適応障害を発症し、自殺に至ったとして、今月2日付で労災を認定した。
 川人弁護士は、24時間365日、切れ目なく緊張が強いられる管制業務の中で、佐藤さんは夕方から翌朝まで約16時間におよぶ夜間勤務が月7回もある過酷な交代勤務をしていたと指摘。さらに16年9月からは仕事の責任が重くなり、残業時間も月70時間以上になったという。
 また、上司は、佐藤さんが残業を申請しようとすると注意し、正しく残業時間が申請できずにサービス残業を余儀なくされていた。具体的な説明がないまま上司から仕事のやり直しを命じられることが複数あり、亡くなった日には30分ほど叱責(しっせき)されていたという。
 川人弁護士は会見で「注目を浴びる宇宙空間での取り組みの背後で、極めて過重な労働実態があることが示されている」と述べ、プロジェクトを担うJAXAや環境省に労働環境の改善に早急に取り組むよう求めた。
 会見で佐藤さんの母親の久恵さん(60)は「過労死は、ただ真面目に仕事に向き合っている人だれもが巻き込まれてしまう可能性のある理不尽なこと。仕事のために命を失うことなど決してあってはならない」と話した。
 会社側のSCCは「労災認定を真摯(しんし)に受け止め、しっかりと再発防止に努めていきたい」としている。
 JAXAは「(業務の)発注者として改善すべき点があるかどうかを含めて状況把握につとめてまいりたいと考えている」とのコメントを出した。

平成31年4月3日(水曜日)朝日新聞デジタル

ページトップへ戻る

KDDI自殺社員に労災、社員4613人に未払い賃金も2019/04/04

 KDDIは29日、2015年9月に当時入社2年目だった20代の社員が自殺し、18年5月に労働基準監督署から労災認定されていたと発表した。1カ月に90時間を超える時間外労働や上司とのトラブルにより強い心理的負荷があったと認定された。労基署の是正勧告を受けて調査した結果、社員4613人に残業代など約6億7千万円の未払い賃金も判明した。
 KDDIは発表がこの時期になった理由は「再発防止策などについて遺族と協議していた」と説明。社員の性別や業務内容、上司とのトラブルの内容などを明らかにしていない。遺族との和解については「誠実に話し合いを続けている」としている。訴訟には至っていない。
 同社は自殺の一因として、社員の労働時間の適正な管理ができておらず、長時間労働の解消に取り組む意識も欠けていたと説明。自己申告がなければ、社員の不調を把握することが難しい体制だったという。
 労基署は17年9月と18年6月の2度にわたり、労働基準法に基づいて長時間労働やサービス残業を是正するよう勧告したほか、労働時間管理や精神面の健康対策を改善するよう行政指導した。
 是正勧告を受けて判明した社員4613人の残業代など未払い賃金の総額約6億7千万円は17年11月に清算したという。
 こうした結果を受け、KDDIは29日、19年1月までに過重労働の抑制に取り組む専門組織を設置したほか、カウンセラーによる全社員の面談を定期的に実施する制度を導入したと発表した。〔共同〕

平成31年3月29日(金曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

みなし残業代は違法と提訴、ダイドードリンコ子会社を2019/03/24

 社内での周知や同意なしに、管理職を対象にした「みなし残業代制度」を導入したのは労働基準法に違反し無効だとして、清涼飲料大手ダイドードリンコの子会社「ダイドービバレッジサービス」(大阪市北区)の静岡県内の営業所長ら2人が、未払い賃金の一部など計約990万円の支払いを求め大阪地裁に提訴したことが、23日までに分かった。提訴は11日付。
 原告側弁護士によると、2人を含め全国19都府県の営業所に勤める管理職97人が、同様の調停を大阪簡裁に申し立てており、請求総額は計約4億円に上る見込み。
 訴状などによると、ダイドービバレッジサービスは2013年ごろ、賃金規定を説明なく改定し、管理職の基本給に40時間相当の時間外手当を含む「みなし残業代制度」を導入。導入前後で給料総額に変化はないが、基本給の一部をみなし残業代に移し替え、労働基準法に反するとしている。
 提訴後に大阪市内で記者会見した原告の男性副所長(51)は、残業代分を除くと基本給が約26万円となり、非管理職時代より下がるとし「自販機の管理業務を行う人もおり、勤務実態は管理職ではなく客対応。極めて詐欺的だ」と憤った。
 同社は「訴状を見ていないので、コメントはできない」としている。〔共同〕

平成31年3月23日(土曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

残業代3千万円未払い、愛知の蒲郡市民病院 2019/03/11

 愛知県蒲郡市の蒲郡市民病院が2016年4月からの2年間、看護師と助産師計148人に残業代など計約3千万円を支払っていなかったことが、10日までに病院への取材で分かった。研修などの時間が勤務時間として算入されていなかったためで、病院は3月の給与日に追加支給するとしている。
 病院によると、豊橋労働基準監督署が17年11月、看護師らの自己申告よりも、タイムカードに記録された労働時間の方が長いと指摘したのを受け、病院が調査を実施。その結果、看護師らは申告した時間以外に、研修や看護記録の入力などをしていたことが判明した。
 16年4月〜18年3月にかけて申請されなかった時間外勤務は計約1万3千時間で、計約3071万円分に相当。1人当たりの未払い残業代は最大で約96万円だった。
 病院の担当者は「今後はタイムカードと自己申告された勤務時間の差を随時確認し、研修の回数や実施時間など業務を見直して、働き方改革に取り組みたい」と話した。〔共同〕

平成31年3月10日(日曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

エーザイ部長、過労自殺…「時間外100時間以上」労災認定2019/03/05

 大手製薬会社エーザイ(本社・東京都)の部長だった男性(当時50歳)が自殺したのは、長時間労働などによる強いストレスが原因として、天満労働基準監督署(大阪市)が労災認定していたことがわかった。認定は2月18日付。
 男性の遺族の代理人弁護士によると、男性は1990年4月に入社。2008年4月に関西のドラッグストアなどの営業を統括する部長に昇進し、残業時間や休日出勤の制限を受けない「管理監督者」の立場となった。同年8月頃にうつ病を発症し、16年9月に単身赴任先の京都市内で自殺した。昨年、男性の妻(52)が労災申請していた。
 同労基署は、昇進後に仕事の負担が増加し、月100時間以上の恒常的な時間外労働があったことを確認した。仕事によるストレスでうつ病を発症し、症状が改善することなく自殺したとして、労災と認定した。
 男性の妻は、「エーザイの企業責任は重大。夫の死をどう受け止めるのか、何をすべきかを考えてもらいたい」とのコメントを出した。
 エーザイは「極めて重く厳粛に受け止めている。長時間労働の是正をより一層徹底したい」とコメントした。

平成31年3月5日(火曜日)読売新聞電子版

ページトップへ戻る

助成金詐取疑い3人逮捕、1億5千万円被害、神戸地検2019/02/28

 神戸地検特別刑事部は28日、国の助成金をだまし取ったとして経営コンサルタント会社社長、石川亮容疑者(39)=大阪府高槻市=ら3人を詐欺などの疑いで逮捕した。
 地検によると、非正規労働者を正規雇用に転換するなど処遇改善を目的とした「キャリアアップ助成金」の制度を悪用する手口で被害総額は約1億5千万円。地検は認否を明らかにしていない。
 石川容疑者の逮捕容疑は2014〜18年、顧客企業12社の正規従業員134人について、非正規から転換したと虚偽の申請書を労働局に提出し、助成金計約7400万円をだまし取った疑い。他の2人は同様の手口で計約7600万円をだまし取った疑い。
 地検は石川容疑者らが顧客企業に詐取を持ちかけ、助成金を受け取った企業から報酬を得ていたとみており、共謀関係について捜査している。〔共同〕

平成31年2月28日(木曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

契約社員にも退職金認める、駅売店員の格差訴訟2019/02/21

 東京メトロの子会社「メトロコマース」の契約社員として駅の売店で販売員をしていた女性4人が、正社員との間に不合理な待遇格差があるとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。川神裕裁判長は「長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理」とし、4人のうち2人に退職金45万〜49万円を支払うよう命じた。
 非正規労働者には退職金が支給されないケースが多い。原告側弁護団によると、支払いを認めた判決は初めて。
 川神裁判長は、原告の2人が10年前後にわたって勤務していたことから「退職金のうち、長年の勤務に対する功労報償の性格をもつ部分すら支給しないのは不合理だ」と述べた。金額は正社員と同じ基準で算定した額の「少なくとも4分の1」とした。
 住宅手当に関しても、生活費補助の側面があり、職務内容によって必要性に差異はないと指摘。3人への11万〜55万円の支払いを命じた。一方、正社員とは配置転換の有無などの労働条件が異なるとして、賃金や賞与などの格差は容認した。
 一審・東京地裁判決は請求の大半を棄却していた。
 4人は64〜71歳。2004〜06年に採用され、3人は既に定年退職した。うち1人は、正社員と非正規との不合理な格差を禁じた改正労働契約法の施行前に定年で雇用形態が変わったため、高裁は一審同様に請求を退けた。
 原告側は認められた支給額が低いとして上告する方針。
 メトロコマースによると、1年ごとに契約する駅売店の販売員は2月1日時点で55人。同社は「判決文が届いておらず詳細が分からないので、コメントは差し控えたい」としている。〔共同〕

平成31年2月20日(水曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

バイト職員に賞与認める、大阪高裁、原告逆転勝訴2019/02/16

 大阪医科大(大阪府高槻市)の元アルバイト職員の50代女性が、正社員らと同じ仕事なのに賞与がなく、待遇格差は違法として大学側に差額の支給を求めた訴訟の控訴審判決が15日、大阪高裁であった。江口とし子裁判長は女性敗訴の一審大阪地裁判決を変更し、労働契約法20条に違反するとして差額分など約109万円の支給を命じた。
 弁護団によると、アルバイト職員への賞与支給を認める判決は異例といい、「短期間で雇い止めを受ける非正規労働者を救う画期的判断だ」と評価している。
 判決理由で江口裁判長は大学の賞与額が年齢や成績ではなく基本給に連動し、就労自体への対価の趣旨を含む点を踏まえ「(月給制で正社員より労働時間が短い)有期契約社員へは正社員の約8割の賞与があるが、アルバイト職員に全くないのは不合理だ」と指摘。本来なら約6割分が支給されるべきで、これを下回るのは不合理とした。夏の有休や病欠中の賃金、休職給の格差も一部違法とした。
 判決によると、2013年に秘書として雇われ研究費の管理などを担当。15年に適応障害となり欠勤し、約1年後に退職した。時給制で、年収は女性と同年に採用された正社員の約半分だった。
 労契法20条を巡る待遇格差訴訟で最高裁は昨年、賃金総額だけでなく手当など個別の項目ごとに妥当性を精査すべきとの判断基準を示している。
 判決後の記者会見で女性側代理人の河村学弁護士は「賞与にさまざまな趣旨があることを指摘した最高裁判決を踏まえ、勤務実態に沿った判断だ」と評価。女性は「全国の非正規労働者が働きやすくなればうれしい」と話した。大学側は「判決文が届いておらず、コメントできない」とした。〔共同〕

平成31年2月15日(金曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

スバルに是正勧告、残業代未払いなどで労基署2019/01/25

 SUBARU(スバル)の群馬製作所(群馬県太田市)で社員の違法残業や残業代未払いなどがあったとして、太田労働基準監督署が同製作所に是正勧告をしていたことが24日、同社への取材で分かった。労基署の調査で、労使協定に違反する残業や深夜割増賃金の未払いが確認された。勧告は17年7月28日付。
 群馬製作所では男性社員(当時46)が16年12月に自殺し、その後同労基署が上司からの叱責と長時間労働を原因とする労災と認定していたことも判明。労基署はうつ病を発症していたと認めた。労基署が同製作所に17年4月に立ち入り調査をし、同7月に是正を勧告した。
 同社は男性社員の自殺と勧告を受け、17年12月〜18年1月に全社員約1万7千人に対し、労働時間の実態を調査。15年7月〜17年6月に約3400人が勤務記録にない残業をしていた。未払い残業代は約7億7千万円に上り、既に支払った。
 調査では、残業を実際より少なく申し出た理由は「職場で定められた残業時間の上限目安を超えないよう申告を控えた」「自身が成果を残すための残業なので申告を控えた」などが目立った。同社は「上司による指示は確認できていないが、自主的な忖度(そんたく)とは受け止めきれない」としている。
 男性社員の過労自殺は、遺族側の弁護士が24日公表した。男性社員は群馬製作所で公害を防ぐ業務に従事。16年春から昇進試験の準備や日常業務を巡って上司から厳しい指導を受け、同僚の目前で大声で数十分叱責されることがたびたびあった。同年夏ごろから試験準備などで業務量が増え、亡くなる直前の残業は月約105時間に上った。同12月、群馬製作所内の建物から飛び降りた。
 男性は勤務記録上は残業をしていないことになっていた。午後5時になるといったん退出手続きをした後、自席に戻って仕事をしていた。同社はこうした手法による残業の過少申告が全社で横行していたとみている。
 同社は「労災認定される事態を防げず大変遺憾。長時間労働の抑制に取り組んでおり、今後も従業員の健康確保に一層配慮する」としている。

平成31年1月24日(木曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

在職老齢年金、減額基準47万円に、4月から2019/01/19

 厚生労働省は18日、給与と年金で一定額以上の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度の減額の基準額について4月から月47万円(現在は46万円)に引き上げると発表した。賃金の伸びにあわせて改定する。
 60〜64歳の場合は賃金と年金の合計が28万円を超えると超過分の半額が年金からカットされ始め、47万円を超えると上回った分だけ減るようになる。65歳以上なら47万円を基準に、超過分の半額がカットされる。
 20年度の国民年金の保険料も物価や賃金の変動を反映させる。19年度と比べ130円増え、月額1万6540円になる。

平成31年1月18日(金曜日)日本経済新聞電子版

ページトップへ戻る

SITE MENU




Copyright © 2011-2024 trace-sr.com All Rights Reserved.