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休業手当超の雇調金17億円、算定方法にずれ=検査院2022/10/22

 事業主が従業員に支払った休業手当を国が補塡する雇用調整助成金について、2020年度以降に支給決定を受けた138事業主の約219億円を会計検査院が抽出調査したところ、25事業主の計約17億円分が実際に支払われた休業手当よりも多かったことが22日までに分かった。
 雇調金を算定する支払率の対象賃金の範囲が定まっておらず、算定方法にずれが生じていたことが要因。検査院は助成金の趣旨に沿わない支給だとして、厚生労働省に算定方法の見直しの必要があるなどと意見を示した。
 雇調金は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、20年4月から助成率や上限額の引き上げなど特例措置が取られている。
 検査院は今回、20年度から今年5月までに16労働局が支給決定した運輸や飲食、製造業など138事業主を調査。するとバスやタクシーの運輸業37事業主のうち20のバス事業主で、約14億4140万円の超過額が生じていた。また運輸以外の101事業主では、5事業主の約2億5208万円が従業員に払った休業手当を上回っていた。
 これらの事業主では、雇調金の支給額を算定する際、固定給や賞与、超過勤務手当などを含めた賃金額に支払率を乗じていたが、実際に支払った休業手当は、固定給だけを対象として支払率を乗じるなどして、ずれが生じていた。〔共同〕

令和4年10月22日(土曜日)日本経済新聞電子版

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保険証、24年秋にマイナンバーカードと一体化=政府発表2022/10/13

 河野太郎デジタル相は13日の記者会見で、現行の健康保険証を2024年秋をメドに廃止すると発表した。マイナンバーカードと一体にした「マイナ保険証」に切り替える。医療分野のデジタル化を急ぎ、マイナンバー制度の利便性を高める。
 24年度末としてきたマイナンバーカードと運転免許証の一体化の時期についても前倒しする考えを示した。
 岸田文雄首相はこれに先立ち、首相官邸で河野氏、加藤勝信厚生労働相、寺田稔総務相と会談し、関係閣僚で協力するよう指示した。
 首相はマイナ保険証について「細部にわたりきめ細かく環境を整備する必要がある」と指摘した。各閣僚には「医療を受ける国民、医療を提供する医療機関関係者などの理解が得られるよう丁寧に取り組んでいく必要がある」と伝えた。
 マイナ保険証を使えば、利用者は個人向けの専用サイトで診療履歴や薬の使用歴などを簡単に確認できるようになる。医療機関での診察券の提示も不要だ。転職や引っ越しをしても保険証として使い続けることができる。
 患者の同意があれば医療機関同士でこうした情報を共有し、より適切な医療を受けやすくなる。
 河野氏は記者会見で「デジタル社会へ様々な基盤整備をするなかで、マイナンバーカードはその入り口を開くパスポートのようなものだ。様々なシーンで使われていくために周知もしっかりやっていきたい」と述べた。
 従来はマイナ保険証への切り替えを義務にしても、個別に申請すれば現行の保険証を交付できる仕組みを想定していた。デジタル庁の担当者は13日、「保険証の廃止は『原則』という断りなく実施する」と明言した。
 ほぼ全ての医療機関・薬局に23年4月から読み取り機の設置といったマイナ保険証への対応を義務づける。いまは2カ月ほど要する場合がある紛失時の再発行までの期間短縮や、申請可能な場所の拡充といった対策もあわせて進める。
 河野氏は「乳幼児などの類型の人たちにどう使ってもらうかは今後詰めていかなければいけない」と語った。
 マイナ保険証の運用は21年10月に本格的に始まった。マイナンバーカードを保険証として利用する登録手続きをすれば、保険証の情報がマイナンバーとひも付く。
 政府はこれまで24年度をメドに従来型の健康保険証とマイナ保険証のどちらを使うか健康保険組合などに選択させる予定だった。マイナ保険証の原則義務化は国民への普及や医療機関での体制が整うのを待つとして具体的な期限を区切っていなかった。
 今回の一連の措置には9月末時点の交付率が49%にとどまっているマイナンバーカードを一気に普及させる狙いがある。政府は22年度末までにほぼすべての国民へのカード交付を目指している。

令和4年10月13日(木曜日)日本経済新聞電子版

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「無期転換ルール」、企業に通知義務=厚労省検討2022/09/25

 厚生労働省は就業期間の期限があるアルバイトや契約社員が無期雇用に切り替えやすくなるよう制度を見直す。同じ企業で5年以上働き、無期転換の権利を得る労働者に企業側が個別に通知するよう義務付ける方向で検討する。この「無期転換ルール」を知らずに有期雇用で働き続ける人が一定数いるとみられ、周知を徹底する。
 アルバイトらに有期雇用のまま長期間働いてもらいにくくなる面もある。人手不足に悩む企業は、必要な人員を無期転換や待遇改善でつなぎ留める人事戦略の検討が必要になる。
 労働条件の明示を定める労働基準法の省令を年度内にも改正する。無期転換を申し出る権利があることのほか、行使した場合の待遇など労働条件の通知を義務付ける。通知時期は最初に権利が生じる契約更新時のほか、その後の契約更新ごととする可能性もある。権利発生前から十分な説明を求める意見もある。
 契約更新回数などに上限を設定し、数年で契約を終える運用の企業もある。こうした上限の有無を労働者側に明示することも義務化する方向だ。上限の有無が不明確だったことに起因する労使トラブルを防ぐ。新たに更新上限を設ける場合、既存の有期雇用の労働者に説明するよう求める。
 無期転換ルールは2013年4月、非正規労働者らの雇用安定などを目的に始まった。企業の「採用の自由」を制限し、労働市場の需給調整機能をゆがめるとの指摘もある。施行から8年後に制度を見直す規定に従い、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会で議論している。制度の根幹は「見直さなければならない問題が生じている状況ではない」との考えを示している。
 総務省の労働力調査によると、21年に有期契約で働く人は1402万人と全雇用者(役員を除く)の4分の1を占める。教育・学習支援や宿泊・飲食サービスなどで割合が高く、多くの人に無期雇用への転換権が発生しているとみられる。
 厚労省の調査では18、19年度に権利を得た人のうち、行使したのは27.8%だった。企業規模が小さいほど比率が低かった。有期契約の人で無期転換ルールを知らない人は39.9%に上った。

令和4年9月25日(日曜日)日本経済新聞電子版

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新入社員自殺、謝罪し和解、三菱電機がパワハラ認める2022/08/28

 三菱電機の20代の男性新入社員が2019年に自殺した問題で、同社が当時の教育主任のパワハラ発言が原因と認めて謝罪し、再発防止を約束することで、遺族と裁判外で和解したことが26日、分かった。遺族代理人の弁護士らが東京都内で記者会見し、明らかにした。和解は23日付で男性の命日に当たる。
 同社では、他にも長時間労働などが原因で自殺者2人を含む5人が14〜17年に労災認定されている。今回の和解を受け、同社は「労務問題の再発防止を経営の最優先課題とし全力で取り組む」、遺族は「全ての職場でハラスメントのない環境を構築してほしい」などとのコメントを出した。
 和解合意書では、過去にもパワハラをしていた主任を教育担当にするなど同社側の安全配慮義務違反を認め、男性の自殺後、主任を出勤停止7日の軽微な処分で済ませたことを謝罪。全社員にハラスメント研修をするなど再発防止策を定め、実施状況を5年間、遺族に報告する。〔共同〕

令和4年8月26日(金曜日)日本経済新聞電子版

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総務室長過労死、電子部品メーカーに賠償命令、愛知2022/08/28

 東証プライム上場の電子部品メーカー「MARUWA」(愛知県尾張旭市)の総務室長だった男性が2013年12月、急性心筋梗塞のため57歳で死亡したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が会社に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は27日までに、過重労働と死亡の因果関係を認め、計約5700万円の支払いを命じた。
 会社側は「判決内容を確認していないのでコメントできない」とした。
 小林健留裁判官は判決理由で、男性の時間外労働は発症直前の1カ月が約69時間、その前の1カ月は約81時間だったと指摘。「移動時間を労働時間に計上していない出張を繰り返し、疲労を蓄積させていた」と述べた。
 会社側は「総務室長はいわゆる閑職で重責を担っていたわけではなかった」と主張したが、小林裁判官は「業務は総務を中心に広範囲にわたり、出張も多く多忙だった」と退けた。
 判決によると、男性は13年12月、県外出張で幹部らと共に乗っていたマイクロバス内でうずくまり、その後死亡した。
 判決後に名古屋市内で記者会見した妻(65)は「夫は頑張り通して会社に命を奪われた。一日も早い過労死のない社会実現を願っています」と話した。〔共同〕

令和4年8月27日(土曜日)日本経済新聞電子版

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雇調金コロナ特例3000円縮小、10月から上限1万2000円2022/08/26

 政府は新型コロナウイルス禍で雇用調整助成金(雇調金)を手厚くしていた特例措置を縮小する。いまは最大で日額1万5000円の支給上限を10月から1万2000円に引き下げる。雇用維持の危機対応からの転換を図る一歩になる。
 雇調金は企業が従業員に払う休業手当を助成する制度だ。通常は1人1日あたり8355円の上限を特例で最大1万5000円に引き上げていた。今回、まん延防止等重点措置などの対象地域や業績の落ち込みが大きい企業に対する上限を初めて引き下げる。1万2000円の上限は11月末までとし、12月以降の支給要件は感染状況などをふまえて改めて判断する。
 雇調金の支給決定額は8月19日までで5兆9900億円に上る。危機下で失業率を抑え、企業の事業再開への備えを後押ししてきた。一方で手厚い支援の長期化が人手の必要な産業への労働移動を阻んでいるとの指摘もある。政府は6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で「段階的に縮減していく」との方針を示していた。

令和4年8月26日(金曜日)日本経済新聞電子版

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国民年金、スマホで保険料納付、若年層念頭に23年から2022/08/22

 厚生労働省は自営業者らが加入する国民年金の保険料について、2023年からスマートフォンのアプリで納付できるようにする。納付書に記載されたバーコードを読み取り、どこでもキャッシュレスで決済できる仕組みを取り入れる。納付率が低い若年層を念頭に、納付の利便性を高めて制度の安定につなげる。
 国民年金は自営業者やフリーターらが加入し、保険料は銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどで支払える。20歳から59歳まで40年にわたり月1万6590円の保険料を納めた場合、現行水準では65歳から月6万4816円の給付を受けられる。納付しなければその分、将来もらえる年金は減る。
 スマホアプリでの納付を可能にする制度の導入に向け、厚労省は8月中にも省令を改正する。23年1月の施行をめざす。
 自宅に届く納付書に記載されたバーコードを読み取ってアクセスし、保険料を納付できるようにする。アプリ上で決済に必要な内容を記入し、キャッシュレス決済やクレジットカードでの支払いを想定する。
 「PayPay(ペイペイ)」や「auペイ」といった民間企業が提供するアプリでの決済を念頭に置く。電気やガスといった公共料金の支払いが可能なアプリがすでにあり、これらの仕組みを参考にする。実際に使えるアプリは今後、事業者との協議をふまえて22年中に絞り込む。
 国民年金の納付率をめぐっては、若年層の低さが課題となっている。厚労省が発表した21年度の納付率は全体で73.9%だった。年代別では55〜59歳が80.0%と最も高い一方で、25〜29歳は62.1%にとどまった。30〜34歳は65.9%、35~39歳は70.6%となっている。
 厚労省は支払いの際にコンビニや銀行などに出向く手間が、納付のハードルになっているとみる。手軽に支払える方法を増やし、納付率の向上を狙う。若年層の未納は将来、年金が少なく、収入に乏しい高齢者を増やす恐れがある。
 新型コロナウイルス禍で、国民年金の加入者を取り巻く環境は厳しさを増している。21年度に国民年金の納付を全額免除・猶予されている人は20年度に比べて3万人多い612万人と、2年連続で過去最多を更新した。厚労省はコロナ禍で収入が急減した人の保険料の納付を免除しやすくする特例措置を設けている。

令和4年8月22日(月曜日)日本経済新聞電子版

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最低賃金、大阪1000円超え、関西2府4県上げ幅過去最大2022/08/13

 2022年度の最低賃金(時給)は関西2府4県で引き上げ幅が過去最大となる答申だった。上げ幅は30〜32円。関西で最高となる大阪府は2年連続での引き上げで、1023円と初めて1000円を超える見通し。足元の物価高を反映して大きな伸び率となった一方、新型コロナウイルス禍や原材料高の影響を受ける企業側からは負担増を懸念する声も上がる。
 2府4県の審議会が4〜10日に各地で開かれ、各府県の労働局長に新たな最低賃金額を答申した。適用は10月ごろとなる。京都府は968円で2年連続の増額。兵庫県は960円、滋賀県は927円、奈良県は896円でいずれも19年連続だった。和歌山県は889円で18年連続となる。
 兵庫県の上げ幅は32円と国の審議会が示した目安額(31円)を上回った。「全国平均に近づけ、大阪や京都などへの労働力流出を防ぐ」(兵庫労働局)ため。審議会では労使双方で折り合いがつかず、学識者らの公益代表が32円の引き上げを提案。全会一致で決定した。
 最低賃金を巡っては政府は景気浮揚のため、全国平均1000円の早期実現を目指している。ただ中小企業などでは新型コロナ禍に加えて原材料高などの影響も大きい。各府県の審議会でも賃上げのために中小企業への支援を望む声があがった。滋賀県や和歌山県などでは使用者代表の委員が引き上げに反対した。

令和4年8月12日(金曜日)日本経済新聞電子版

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新基準で過労死認定へ、ソフトバンク子会社社員2022/07/26

 2018年にソフトバンク子会社の男性社員(当時45)が急性心筋梗塞で死亡したことを過労による労災と認めなかった新宿労働基準監督署(東京)の決定に関し、東京労働者災害補償保険審査官が、不規則勤務などを重視する新基準に基づき取り消したことが25日、わかった。遺族の代理人弁護士が明らかにした。労基署が近く労災認定する見通し。
 弁護士によると、男性はソフトバンク・テクノロジー(現SBテクノロジー、東京)の部長職でネットワークエンジニアとして勤務し、18年11月に自宅で死亡。遺族が19年8月、仕事の負荷を理由に労災申請したが、労基署は残業時間が少ないなどの理由で認めない決定をした。
 遺族は不服として20年6月に審査請求。21年9月、脳・心臓疾患に関し労働時間以外の負荷要因を重視する労災の新基準が策定され、審査官は死亡直前の12日連続勤務などを理由に労災が相当と判断、22年7月11日付で労基署の決定を取り消した。
 SBテクノロジーは取材に「事実を確認中だが真摯に対応したい」と回答。男性の妻は「悲しみは永遠に消えない。社会全体で働く人の命と健康が守られることを願う」などとコメントした。〔共同〕

令和4年7月25日(月曜日)日本経済新聞電子版

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セブン店主、労働者と認めず、中労委命令巡る訴訟2022/06/12

 セブン―イレブン・ジャパンとフランチャイズ(FC)契約を結ぶ店舗のオーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」(岡山市)が、FC店主を労働組合法上の労働者と認めなかった中央労働委員会の命令は違法として取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は6日、労働者には該当しないと判断し、請求を棄却した。
 布施雄士裁判長は「店主は従業員の採用や労働条件を決定し、独立の事業者と評価するのにふさわしい裁量を持つ」として、労務の提供はセブンの指揮命令に基づくものではないと指摘。ユニオン側が「店主には店舗運営に関わる判断の自由がなく、独立した事業者とはいえない」とした主張を退けた。
 判決によると、ユニオンは2009年に団体交渉を求めたが、セブンが拒否。ユニオンの申し立てを受けた岡山県労働委員会が14年3月、労働者と認めて団交に応じるよう命じた。セブンが再審査を申し立て、中労委は19年3月、岡山県労委の判断を覆す命令書を交付した。〔共同〕

令和4年6月6日(月曜日)日本経済新聞電子版

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男女の賃金差の開示義務化、政府方針、非上場企業も対象2022/05/22

 政府は企業に対し、男女の賃金差の公表を義務付ける方針を固めた。上場・非上場を問わず、301人以上を常時雇用する企業を対象とする。6月に決める「新しい資本主義」の実現に向けた計画に盛り込み、早ければ年内の施行をめざす。男女の賃金格差は女性登用の遅れなどを映す。男女の対等な評価を通じて人材の多様性を高め、企業の成長につなげる。
 女性活躍推進法に関する省令を改正する方向だ。同法は女性役員の比率や、男女の平均継続勤務年数の差異などの公開を求めている。今夏にも労使の代表が加わる厚生労働省の専門家会合で議論を進める。
 対象は「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」とする。企業の単体ベースで、賃金額ではなく、男性の賃金水準に対する女性の比率をホームページなどで開示してもらう。賃金差に合理的な理由がある場合は、説明を記載する。正規・非正規雇用で分けた数値の開示も求める。非上場では1万社以上が対象になるとみられる。
 同じ条件で働いた場合に男女で賃金に差をつけることは、労働基準法で禁じられている。企業全体で見た男女間の賃金格差は、女性に対する処遇の違いなどを映す。管理職への女性の登用が少ないケースや、結婚や出産で一時的に仕事を離れた女性が復帰するときの処遇が低いといったケースが想定される。
 結果として男女間の賃金差が大きい企業は、人材の多様性が乏しい可能性がある。女性の就職希望者からの視線は厳しくなりそうだ。企業は公表する数値を踏まえ、年功序列が色濃いキャリア制度を見直すなどの対応が求められる。
 男女の賃金格差は先進国で共通の課題だ。2020年時点で男性の賃金を100としたときに、女性の賃金は経済協力開発機構(OECD)の平均で88.4にとどまる。日本は77.5と平均を大きく下回る。
 欧州連合(EU)は21年に従業員250人以上の企業に対し、男女の賃金格差などを毎年公表するよう義務付ける指令案を公表した。英国とフランスは一定規模以上の企業に指標を毎年公表するよう義務付け、ドイツは賃金の公平性に関する報告書の公表を義務にしている。
 日本では岸田文雄首相が1月の施政方針演説で、男女の賃金格差を是正するために開示ルールを見直すと表明した。金融庁も有価証券報告書の開示項目にする方針を示している。

令和4年5月20日(金曜日)日本経済新聞電子版

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失業給付保険料0.6%に上げ、2023年度さらに負担増も2022/03/31

 2022年度の雇用保険料率の引き上げを柱とする雇用保険法などの改正法が30日、成立した。10月から労使で負担する「失業等給付」の保険料率が0.4%上がって0.6%になる。新型コロナウイルスの影響で雇用保険を財源とする雇用調整助成金の支出が膨らみ、財政の立て直しが急務だった。23年度にはさらに上がる可能性がある。
 雇用保険は失業等給付(保険料率は労使折半で0.2%)、育休中に給付を受ける「育児休業給付」(同0.4%)、雇調金などの「雇用保険2事業」(企業のみ0.3%負担)に分けられる。
 まず4月から雇用保険2事業の料率が0.35%になる。10月からの失業等給付の保険料率と合わせ、22年度は2段階で引き上がる。育児休業給付の料率は据え置く。
 企業側の負担は0.6%から0.85%、労働者側の負担は0.3%から0.5%に増える。月収30万円の労働者の保険料負担は月900円から1500円になる。
 失業等給付の料率は新型コロナ禍前の財政状況をもとに引き下げられていた経緯がある。厚生労働省は22年度の引き上げは激変緩和措置との位置づけで、23年度は本来の0.8%に戻ることが想定されている。
 背景には新型コロナ対応で設けた雇調金の特例措置の支出が膨らんだことがある。失業等給付の積立金からも資金を借り入れた結果、雇用保険全体の財政が悪化した。支給決定額は5兆5千億円に迫っている。
 失業等給付の国庫負担率は現在の2.5%を原則としつつ、雇用情勢が悪化した場合に限って25%とする。改正法にはセーフティーネットとして一般会計から雇用保険に資金を投入できるルールを恒久化することも盛り込まれた。
 労働者が起業目的で退職した場合、失業手当を受け取れる期間を現在の1年から最大4年に延長する措置の導入も決まった。労働市場の整備に向け、インターネットで求人情報を紹介する「求人サイト」を法規制の対象とする。運営事業者に対し国への届け出を義務付け、必要に応じて行政処分を出せるようにする。

令和4年3月30日(水曜日)日本経済新聞電子版

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「失業等給付」保険料率、来年10月から0.6%に引き上げへ2022/01/08

 政府は22日、雇用保険のうち失業手当などを支給する「失業等給付」の保険料率について、来年10月から0・6%に引き上げる方針を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で雇用調整助成金(雇調金)支給が増え、保険財政が悪化したためだ。労働者負担分は約1・7倍となる。9月までは現行の0・2%に据え置く。
 鈴木財務相と後藤厚生労働相の来年度予算案に関する閣僚折衝で合意した。
 失業等給付事業は失業者への手当てのほか、従業員を解雇せずに休業にとどめた企業への雇調金などを支出し、企業や従業員からの保険料と国庫負担で賄われる。他事業を加えた全体の保険料率は来年10月以降、現行の0・9%を1・35%とする。労働者負担分は0・3%が0・5%に上昇し、月給30万円の人の保険料は月900円から1500円に増える。政府内では4月からの引き上げも検討されたが、与党から来夏の参院選への影響を避けるために秋以降に先送りすべきだとの意見が出ていた。

令和3年12月22日(水曜日)読売新聞電子版

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