トピックスTopics
- 2024/11/24 「在職老齢年金」の見直し、基準額引き上げを軸に検討
- 2024/11/01 技能実習生の転籍要件明記、入管庁、パワハラなど対象
- 2024/10/30 高所得者の国民健康保険料、年間上限3万円引き上げへ=厚労省
- 2024/03/13 働き方選択を企業に義務付け、政府が育児・介護休業法改正案決定
- 2024/03/11 朝日ソーラーに支払い命令、残業代など約1800万円
- 2024/02/12 雇用保険適用、1週間10時間以上に拡大、閣議決定
- 2024/02/12 医師の長時間労働、42病院に労基署が是正勧告
「在職老齢年金」の見直し、基準額引き上げを軸に検討2024/11/24
厚生労働省は、働いて一定以上の給与収入を得た高齢者の厚生年金の受給額を減額する「在職老齢年金」制度を見直し、減額する対象者を縮小する方向で調整に入った。現在は給与と年金の合計額が月50万円の基準額を超えると減額されるが、62万円や71万円に基準額を引き上げる案などを検討する。高齢者の手取りを増やし、働き手を確保する狙いがある。
25日に開催される社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に、同省が見直し案を提示する。年末までに改革案をまとめ、来年の通常国会に提出する年金改革関連法案に盛り込みたい考えだ。
現行制度では、合計額が月50万円を超えた場合、超過した分の半額の厚生年金は支給されない。例えば、給与が40万円で厚生年金の受給額が30万円の場合、合計額は70万円となるため、基準額を超過した20万円の半額(10万円)の年金は支給されず、手元に入るのは、60万円(給与40万円、厚生年金20万円)となる。
仮に基準額を月62万円に引き上げれば、超過分は8万円となり、年金の減額は4万円分にとどまるため、手取りが66万円に増える計算となる。
同省によると、働きながら厚生年金を受給する65歳以上は、2022年度末時点で308万人に上る。そのうち50万人が22年度時点の基準額を超え、減額の対象となっていた。
同制度を巡っては、高齢者の働く意欲を損なっているとし、制度そのものの撤廃を求める声も出ている。25日の部会では撤廃案も議論される見通しだが、新たに年4500億円の財源が必要となるため、引き上げ案が軸になるとみられる。
同省は年金財政を安定させるため、高所得者が支払う保険料の上限を引き上げる方向だ。25日の部会では、厚生年金の保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の上限を現行の65万円から、75万円や79万円に引き上げる案を提示する。高所得者は支払う保険料が増える代わりに将来受け取れる年金額が増える。
令和6年11月19日(火曜日)読売新聞電子版
技能実習生の転籍要件明記、入管庁、パワハラなど対象2024/11/01
外国人技能実習生への人権侵害を防ごうと、出入国在留管理庁は1日、制度の運用要領を見直した。実習先から別の職場に移る「転籍」の要件に、パワハラやセクハラ、悪質な契約違反があった場合などと明記した。
これまでは「やむを得ない事情」があれば認めるとしていたが、内容が曖昧との指摘があり、該当するケースを明確化させた。
途上国への技術移転を名目とする技能実習制度では、同じ職場で集中的に働いて技術を身に付けてもらうため、原則3年は転籍できない。一方、劣悪な環境や賃金不払いなどで勤務先から姿を消す実習生が相次ぎ、2023年の失踪者は9753人と過去最多を更新。転籍に関する運用の改善が急務となっていた。
新たな要領では、パワハラやセクハラを受けた本人だけでなく、職場の同僚も転籍の対象となる。転籍手続き中の生活費に困らないよう、週28時間以内のアルバイトを認める。
転籍しようとしても新たな勤務先が見つからず、別の在留資格「特定技能」での就労を望む際の特例も定めた。資格移行には試験に合格する必要があるが、それまでのつなぎとして、就労可能な在留資格「特定活動」を付与する。
令和6年11月1日(金曜日)日本経済新聞電子版
高所得者の国民健康保険料、年間上限3万円引き上げへ=厚労省2024/10/30
厚生労働省は、自営業者らが加入する国民健康保険の年間保険料(医療分)について、高所得者が支払う年間上限額を来年度から3万円引き上げ、92万円とする方針を固めた。据え置きとなる介護保険料(17万円)を含めた上限は106万円から109万円になる。
31日に開かれる社会保障審議会の医療保険部会で示す方針だ。上限の92万円は、単身世帯で年収約1170万円の人が支払うケースで、対象者は1.5%程度の見込み。
国保保険料は、基礎額と後期高齢者医療制度への支援金を合わせた「医療分」と、40〜64歳の加入者が一緒に払う「介護保険料」で構成されている。市区町村ごとに異なるが、上限額は国が設定している。高齢化の進行で膨張する医療費の抑制に向けて応能負担を進めており、近年はほぼ毎年上限額が引き上げられている。
令和6年10月29日(火曜日)毎日新聞電子版
働き方選択を企業に義務付け、政府が育児・介護休業法改正案決定2024/03/13
政府は12日、育児と仕事の両立支援を強化する育児・介護休業法などの改正案を閣議決定した。子どもが3歳から小学校入学前の間、従業員がテレワークや時差出勤など働き方を複数の選択肢から選べる制度の導入を、全企業に義務付けるのが柱。施行日は政令で定める。今国会での成立を目指す。0〜2歳に比べて手薄だった3歳以降の子を育てる従業員への支援策の充実を図る。
改正案では@残業免除の申請期間を現行の「3歳になるまで」から「小学校入学前まで」A子が病気などの場合に原則年5日まで取れる看護休暇を「小学校入学前まで」から「小学校3年生まで」―にそれぞれ延長。これらは2025年4月から実施する。
男性の育児休業取得を促すため、従業員100人超の企業には、男性の育休取得率の目標を設定し、公表するよう義務付ける。取得率の実績公表の対象は、現行の従業員「千人超」から「300人超」に広げる。
令和6年3月12日(火曜日)産経新聞電子版
朝日ソーラーに支払い命令、残業代など約1800万円2024/03/11
太陽熱温水器販売会社「朝日ソーラー」(大分市)に勤務していた男性(44)が、会社に未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決で、大分地裁は8日、約1800万円の支払いを命じた。18カ月で計約1945時間分の法定時間外労働時間を認めた。
会社側は、労働時間の証拠となる原告のスマートフォンに記録された行動履歴が加工されていると主張。武智舞子裁判官は履歴と客観的事実が整合していることなどから、平成29年4月〜30年9月の残業代などを支払うよう命じた。
令和6年3月8日(金曜日)産経新聞電子版
雇用保険適用、1週間10時間以上に拡大、閣議決定2024/02/12
政府はパートやアルバイトなど、短時間勤務で働く人たちが失業給付や育児休業給付などを受け取れるようにするため、雇用保険の適用対象を、1週間の労働時間が「10時間以上」の人にまで拡大することを盛り込んだ雇用保険法などの改正案を9日の閣議で決定しました。
雇用保険は一定の保険料を支払うことで、失業した時や育児休業を取得した時などに給付を受け取れますが、対象は1週間の労働時間が「20時間以上」の人に限られています。
政府が9日に閣議決定した改正案では、対象を1週間の労働時間が「10時間以上」の人にまで拡大するとしていて、新たにおよそ500万人が雇用保険に加入し、失業給付や育児休業給付などを受け取れるようになる見通しです。
また、安心して転職活動を行える環境を整えて成長産業への人材の移動を促そうと、自己都合で離職した人がリスキリング=学び直しに取り組んでいる場合は、今よりも2か月早く、最短で退職後8日目からが失業給付の対象となります。
このほか、男性の育児休業の取得が進み、休業給付がさらに増えると見込まれることから、財源を安定させるため、来年度から給付額に対する国の負担割合を今の80分の1から8分の1に引き上げるとしています。
政府は改正案を今の国会に提出し、早期の成立を目指す方針です。
令和6年2月9日(金曜日)NHK NEWS WEB
医師の長時間労働、42病院に労基署が是正勧告2024/02/12
都道府県と政令市が運営に関わる251の公的病院のうち、約17%にあたる42病院が2018年以降、医師の違法な長時間労働で労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、読売新聞の情報公開請求でわかった。「医師の働き方改革」が今年4月に始まるが、昨年も9病院が勧告を受けていた。改革直前でも、対応が十分に進んでいない現状が浮かぶ。
国が推進する「働き方改革」で、18年6月に労働基準法が改正され、残業時間の上限が罰則付きで定められた。19年4月に施行されたが、医師はその特殊性から5年間適用が猶予され、今年4月から原則「年960時間」が上限となる。
厚生労働省によると、自治体などが運営に関わる公的病院は全国に1195病院(22年10月現在)ある。
読売新聞は、地域医療の中核を担う47都道府県と20政令市が運営に関わる251の公的病院について、労基法が改正された18年以降、昨年10月までに労基署から受けた労基法違反などの是正勧告の内容がわかる文書を情報公開請求。24都府県8市の54病院が医師に関して是正勧告を受けていた。看護師や事務員に関するものを含むと90病院に上った。
医師に関する勧告を受けた54病院のうち残業時間が労使の協定で定めた範囲を超過する違法残業が42病院。このうち、残業時間が、国の労災認定基準「過労死ライン」の月100時間を超えていた病院は少なくとも25病院あった。
国は、今年4月までに労働環境を改善するよう求めていた。しかし、医師の違法残業で勧告を受けた病院数は毎年3〜17病院で推移し、大きく改善はしていない。23年は9病院で、18年以降3番目に多かった。18年以降の6年間に医師の違法残業で2回以上勧告を受けた病院は8病院あった。
厚生労働省労働基準局監督課は「働き方改革に向けて病院を支援し、不適切な労務管理があれば指導を徹底していく」としている。
医療ガバナンス研究所(東京)の上昌広理事長の話「国が改善を求めている中、法令順守の意識がより高く求められる公的病院で、これだけの違法労働が起きていたことは深刻だ。民間病院も状況は大きく変わらないだろう。医師の過重労働は医療ミスにつながりかねず、各病院は業務の見直しに取り組む必要がある」
令和6年2月12日(月曜日)読売新聞電子版