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年収の壁対策、130万円超でも2年まで扶養=政府正式発表2023/09/27

 厚生労働省は27日、年収が一定額を超えると社会保険料の支払いが生じて手取りが減る「年収の壁」対策に関する支援強化パッケージを正式に発表した。年収が130万円を超えても収入増が一時的であれば、被扶養者に認定する策などを盛った。10月に適用開始し、次の年金制度改正までのつなぎ措置とする。
 社会保険料の負担が発生する2種類の年収基準について、それぞれ対応策を示した。
 会社員ら厚生年金の被保険者に扶養される人で、従業員100人以下の企業に勤める場合、現在は年収が130万円を超えると扶養から外れ、社会保険料を自ら支払うことになる。厚労省は10月以降、一時的な増収であれば連続2年までは扶養にとどまることができるようにする。
 101人以上の企業に勤める被扶養者の場合は月額賃金が8.8万円以上(年収換算でおよそ106万円以上)といった要件を満たすと、厚生年金に入る必要がある。厚労省は賃上げや保険料の相当額を手当として支給し、労働者の厚生年金への適用を促した企業に1人あたり3年で最大50万円を助成する。
 労働時間を延ばす場合にも対応する。週の所定労働時間を4時間以上延長すると、1人あたり30万円を助成する。労働時間の延長と賃上げを組み合わせる場合も対象となる。
 事業主の申請数に上限を設けず、手続き書類も簡素化する。2025年度末までに労働者に厚生年金を適用させた事業主が対象で、取り組み開始から6カ月後に支給を申請できる。

令和5年9月27日(水曜日)日本経済新聞電子版

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年金減額訴訟、二審も受給者敗訴=名古屋高裁2023/02/26

 平成24年の国民年金法改正による年金の減額は生存権や財産権を侵害し違憲として、愛知、三重両県の受給者ら約350人が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は22日、請求を退けた1審名古屋地裁判決を支持、受給者側の控訴を棄却した。
 各地の同種訴訟は受給者側敗訴が続いている。受給者側は上告する方針。
 土田昭彦裁判長は判決理由で、公的年金のみによって最低限度の生活を保障することが憲法上要請されているとはいえないと指摘。法改正について「著しく合理性を欠くとまでは評価できない」と判断した。
 判決によると、年金支給額は過去の物価下落時に据え置かれて本来より高い水準だったため、法改正で平成25〜27年、段階的に2・5%減額された。

令和5年2月22日(水曜日)産経新聞電子版

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国民年金、スマホで保険料納付、若年層念頭に23年から2022/08/22

 厚生労働省は自営業者らが加入する国民年金の保険料について、2023年からスマートフォンのアプリで納付できるようにする。納付書に記載されたバーコードを読み取り、どこでもキャッシュレスで決済できる仕組みを取り入れる。納付率が低い若年層を念頭に、納付の利便性を高めて制度の安定につなげる。
 国民年金は自営業者やフリーターらが加入し、保険料は銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどで支払える。20歳から59歳まで40年にわたり月1万6590円の保険料を納めた場合、現行水準では65歳から月6万4816円の給付を受けられる。納付しなければその分、将来もらえる年金は減る。
 スマホアプリでの納付を可能にする制度の導入に向け、厚労省は8月中にも省令を改正する。23年1月の施行をめざす。
 自宅に届く納付書に記載されたバーコードを読み取ってアクセスし、保険料を納付できるようにする。アプリ上で決済に必要な内容を記入し、キャッシュレス決済やクレジットカードでの支払いを想定する。
 「PayPay(ペイペイ)」や「auペイ」といった民間企業が提供するアプリでの決済を念頭に置く。電気やガスといった公共料金の支払いが可能なアプリがすでにあり、これらの仕組みを参考にする。実際に使えるアプリは今後、事業者との協議をふまえて22年中に絞り込む。
 国民年金の納付率をめぐっては、若年層の低さが課題となっている。厚労省が発表した21年度の納付率は全体で73.9%だった。年代別では55〜59歳が80.0%と最も高い一方で、25〜29歳は62.1%にとどまった。30〜34歳は65.9%、35~39歳は70.6%となっている。
 厚労省は支払いの際にコンビニや銀行などに出向く手間が、納付のハードルになっているとみる。手軽に支払える方法を増やし、納付率の向上を狙う。若年層の未納は将来、年金が少なく、収入に乏しい高齢者を増やす恐れがある。
 新型コロナウイルス禍で、国民年金の加入者を取り巻く環境は厳しさを増している。21年度に国民年金の納付を全額免除・猶予されている人は20年度に比べて3万人多い612万人と、2年連続で過去最多を更新した。厚労省はコロナ禍で収入が急減した人の保険料の納付を免除しやすくする特例措置を設けている。

令和4年8月22日(月曜日)日本経済新聞電子版

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公的年金4年ぶり減額へ、21年度、0.1%程度のマイナス2021/01/16

 2021年度の公的年金の受給額は20年度に比べ0.1%程度のマイナスと微減になる見通しだ。マイナス改定は0.1%減だった17年度以来4年ぶり。賃金の低下が響く。20年の物価と賃金の変動率が確定する1月下旬に厚生労働省が正式決定し4月から適用する。
 20年度の受給額は自営業者らが入る国民年金は満額で月6万5141円、会社員らが入る厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で22万724円だった。
 来年度から賃金変動率が物価変動率を下回って下落する場合に、賃金との連動を徹底する新ルールが導入される。賃金は小幅の下落となったもようで、新ルールが適用される。賃金と物価よりも年金給付の伸びを抑える「マクロ経済スライド」は発動しない。
 年金額は物価と賃金の変動率に合わせて毎年度改定する。物価は前年の消費者物価指数(CPI)が指標で、20年1〜11月平均は前年比0.09%上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大が響き足元では物価の下落圧力が強まっている。12月分も含めた年間平均では0%前後になる見通し。
 もう一つの指標の賃金変動率は2〜4年前の上昇率で計算する。今回は0.1%程度の小幅下落となったもよう。このため賃金が物価を下回って下落する場合の新ルールが適用され、賃金変動に基づいて年金額が0.1%程度のマイナス改定されることになりそうだ。
 これまでは賃金が物価を下回って下落した場合、年金額は物価に合わせて改定したり据え置いたりしていた。年金の保険料収入は賃金に伴って変動する仕組み。賃金が物価以上に下落した状況で年金額を物価に合わせると年金財政の悪化につながる。16年に法改正し21年度からの新ルール導入を決めていた。
 年金額の伸びを物価や賃金の上昇率よりも抑えるマクロ経済スライドは賃金と物価の変動率がプラスの場合に実施する。21年度はマイナス改定の公算で発動が見送られる。その分だけ給付の抑制は効かないことになる。

令和3年1月16日(土曜日)日本経済新聞電子版

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有期労働者、社会保険入りやすく、継続雇用なら適用2020/08/30

 厚生労働省は有期契約の労働者が社会保険に入りやすいよう制度を見直す。今は契約期間が2カ月以内だと厚生年金や健康保険に入れない。繰り返しの雇用が見込まれる場合には入社時から加入できるようにする。実態に即した運用に見直して有期労働者の就労環境を改善する。2022年10月から実施する。
 会社員は厚生年金と健康保険の加入が義務付けられている。健康保険料や厚生年金保険料は勤め先と働き手が原則として折半して負担する。
 雇用期間が2カ月以内の契約社員などは、契約期間後も継続して雇用されなければ厚生年金に加入できない。継続雇用となっても、最初の契約期間については遡って加入することはできない仕組みになっている。
 厚生労働省は2カ月を超えて雇用される見込みがある場合、働き始めた月から厚生年金に加入するよう見直す。雇用契約書に「契約が更新される」「更新される場合がある」などと明示されている場合が対象になる。
 厚生年金は払い込んだ保険料に応じて年金額が増える。例えば、月収8.8万円で20年間働いた場合、将来の年金額は月に約6.5万円の国民年金(基礎年金)に月9千円が上乗せされる。40年働くと上乗せ額は月1万8100円になる。健康保険も会社が保険料を折半で負担するため、国民健康保険と比べて個人の負担は軽くなることが多い。
 中小企業は厚生年金や健康保険の加入義務がない2カ月間を「お試し雇用」として活用するケースも少なくない。だが、会社員は原則、厚生年金や健康保険への加入が義務づけられていることから、雇用の実態に即した適用に改める。

令和2年8月30日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金改革法が成立、パートらへの適用拡大へ2020/05/31

 パートら短時間労働者への厚生年金の適用拡大を柱とする年金制度改革関連法は29日の参院本会議で、与党や立憲民主党などの賛成多数により可決、成立した。パート労働者らが将来受け取る年金額の底上げを図るとともに、制度の支え手を増やす狙いがある。関連法には高齢者就労を促す政策も盛り込まれており、少子高齢化を反映させた制度変更となる。
 パートら短時間で働く人は現在、従業員501人以上の企業で週20時間以上働くことなどが加入要件となっている。これらのうち企業規模要件を令和4年10月に「101人以上」、6年10月に「51人以上」に2段階で引き上げる。政府の試算では51人以上の企業が対象になると、新たに65万人が加入することになる。
 公的年金の受け取り開始時期については65歳が基本で、現在、60〜70歳までの間で選べる。高齢者の就労意欲を促すため、上限を75歳まで引き上げる。65歳に受け取りを開始する人に比べ、75歳からだと毎月の年金額が84%増える。4年4月から開始する。
 一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」について、就労意欲を損なっているとの指摘があることを踏まえ、見直す。60代前半の減額基準を現行の「月収28万円超」から、4年4月に65歳以上と同じ「月収47万円超」にする。

令和2年5月29日(金曜日)産経新聞電子版

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国民年金保険料を減免、新型コロナで収入急減なら2020/04/27

 厚生労働省は国民年金の保険料について、収入が大幅に減少した人を免除や猶予の対象にしやすくする。新型コロナウイルス感染症の影響が広がり、国内に約170万人とされるフリーランスなどで収入が急減するケースが増えているため、基準を緩めて支援する。
 国民年金は自営業者やフリーランス、非正規社員などが加入する。加入者は約1500万人で、2020年度の保険料は月1万6540円。
 どんな人が免除・猶予の対象になるかは現在、2年前の所得で判断している。この場合、新型コロナによる影響を反映できないため、2月以後の月収が急減している人も対象に加える。
 免除や猶予の目安は所得や世帯構成で異なる。単身世帯の場合は、年間の所得に換算して57万円以下なら全額免除、158万円以下で4分の1免除など。5月から申請を受け付ける。
 多様な働き方を求めてフリーランスとして仕事をする人が増えているが、コロナ禍で仕事を引き受ける相手からの発注が途絶え、収入の急減に困る人もいる。約1500万人いるパート・アルバイトも収入が減る人が多く、飲食・サービスなどの個人事業主も厳しい。
 18年度の国民年金の全額免除は205万人、一部免除が40万人だった。
 会社員らが加入する厚生年金も特例が設けられ、延滞金なしで保険料の納付猶予を受けられる。新型コロナの影響で売り上げが20%以上減少するなどした企業が対象だ。

令和2年4月25日(土曜日)日本経済新聞電子版

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パートへの厚生年金、適用拡大…改革関連法案を閣議決定2020/03/03

 政府は3日午前の閣議で、パートなど短時間労働者への厚生年金のさらなる適用の拡大などを盛り込んだ年金改革関連法案を決定した。今国会に提出し、成立すれば、2022年10月から段階的に拡大を図り、計約65万人が新たに厚生年金に加入する見通しだ。
 厚生年金は現在、「フルタイムなどの従業員数501人以上」の企業で短時間労働者(週20時間以上、30時間未満)の加入が義務づけられている。22年10月に「同101人以上」、24年10月に「同51人以上」に順次引き下げ、より多くの人が老後に手厚い年金を受け取れるようにする。
 年金の受給開始時期の選択幅は現行の60〜70歳から60〜75歳に拡大する。受給開始を65歳から遅らせるほど月々の年金額は増える仕組みで、75歳で受け取り始めた場合の年金額は元の1・84倍となる。
 働いて一定の収入のある人の年金を減らす「在職老齢年金制度」は、60〜64歳の賃金と年金の合計額が47万円以下なら年金が減額されないようにする。現在は28万円を超えると減額される。

令和2年3月3日(火曜日)読売新聞電子版

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厚生年金、加入逃れ対策強化、雇用保険の情報活用2020/02/23

 厚生労働省と日本年金機構は、厚生年金の保険料支払いを逃れる企業への取り締まりを強化する。2020年度から4年間を集中対策期間として雇用保険の加入者情報を新たに使って、対象の可能性がある約34万件の事業所に適用するよう指導していく。働き手の老後の年金を増やすとともに、加入者の増加で制度の基盤強化につなげる。
 まず加入対象となる従業員らが5人以上いるか家族以外の従業員を雇う法人事業所で未加入を解消する。19年9月時点で、こうした事業所は少なくとも約5000件あり、21年度までに適用する。従業員の雇用状況が分からない事業所は訪問などで実態確認を進める。対象と判明した事業所は23年度までに厚生年金の適用を目指す。
 年金機構はこれまで国税庁から源泉徴収に関する情報提供を受け、厚生年金の適用を増やしてきた。15年3月末に適用の可能性がある事業所は97万あったが、依然として3分の1程度残っている。新たに雇用保険の加入者情報を使うことで就業状況を把握し、加入義務のある企業をあぶり出す。
 現在、厚生年金の保険料逃れをしている企業は問い合わせに応じないなど悪質の例が少なくない。年金機構はこうした接触が難しい企業への立ち入り検査に向けて専門組織を立ち上げる。指導や立ち入り検査に従わない事業所には告発も視野に対応する考えだ。
 厚生年金は従業員を常時雇う法人事業所すべてに加入を義務づけている。保険料は18.3%で労使で折半する。雇用の負担を軽く目的で加入を逃れている企業がある。資格があるのに厚生年金に加入しないと、働き手は国民年金(基礎年金)のみとなり将来もらえる年金額は少なくなってしまう。

令和2年2月21日(金曜日)日本経済新聞電子版

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在職老齢年金、減額基準47万円に、4月から2019/01/19

 厚生労働省は18日、給与と年金で一定額以上の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度の減額の基準額について4月から月47万円(現在は46万円)に引き上げると発表した。賃金の伸びにあわせて改定する。
 60〜64歳の場合は賃金と年金の合計が28万円を超えると超過分の半額が年金からカットされ始め、47万円を超えると上回った分だけ減るようになる。65歳以上なら47万円を基準に、超過分の半額がカットされる。
 20年度の国民年金の保険料も物価や賃金の変動を反映させる。19年度と比べ130円増え、月額1万6540円になる。

平成31年1月18日(金曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金旧規定は合憲、父子家庭除外=最高裁2018/09/26

 家計の担い手を亡くすと支払われる「遺族基礎年金」の対象から父子家庭を除外していた国民年金法の旧規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、津市の公務員の男性(53)が支給を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は25日、合憲との初判断を示し、男性の上告を棄却した。
 岡部喜代子裁判長は、社会保障に関する立法の裁量範囲が争われた1982年の最高裁判例を挙げ「国民年金法の旧規定も違憲でないことは明らか」と指摘した。
 旧規定は「働く夫を亡くした妻子を守る」目的で定められた。しかし、夫婦共働きの増加や多数の犠牲者が出た東日本大震災を契機に、父子家庭への不支給が問題化。国民年金法が改正され、2014年4月から支給されるようになった。
 一審津地裁と二審名古屋高裁判決は、母子家庭より平均年収が高い父子家庭を除外していたことには合理性があると判断。男性の妻は13年12月に乳がんで死亡し、男性は息子2人を育てている。14年4月に支給を申請したが、妻が亡くなったのは法改正前だったため認められなかった。
 遺族基礎年金は現在、性別を問わず子供を持つ親か子供に支給される。年収850万円以上の人は対象外。遺族年金はほかに会社員らが死亡したときに支給される「遺族厚生年金」などがある。〔共同〕

平成30年9月25日(火曜日)日本経済新聞電子版

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130万人の年金、過少支給…所得税控除されず2018/03/04

 年金の2月支給分で、約130万人の受給者について、所得税の控除がされず、支給額が本来より少なかったことが、日本年金機構への取材で分かった。
 年金に所得税がかかる人は控除を受けるため毎年申告書を提出する必要がある。税制が変わったことで、申告書の様式や記入項目が大幅に変更になり、申告書の記入漏れや未返送が相次いでいるという。
 また、同機構が委託する業者が申告書の情報をシステムに入力する際に、記入ミスがあったことも判明。同機構は影響を調査中で、ミスがあった人には個別に通知するという。
 同機構は、2月末までに申告書の提出があった人は、次回4月支給分に上乗せして支払う方針。申告書の提出が3月以降の場合には、支払いは6月支給分以降になる見込みという。
 問い合わせは、専用電話(0120・051・217、平日午前8時半〜午後5時)で応じる。同機構は「ホームページなどで申告書の提出を呼びかけ、業者による入力ミスがあった分については個別におわびをして対応する」としている。

平成30年3月3日(土曜日)読売新聞電子版

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年金時効「障害発生から」、不支給分の支払い認めず2017/10/18

 大けがをして長い年月がたった後で障害年金を申請したところ、5年の時効を理由に一部しか支給されなかった札幌市の男性(67)が、不支給分約2700万円の支払いを国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は17日、年金を受ける権利の時効は障害の発生から進行するとの判断を示し、男性の上告を棄却した。男性の敗訴が確定した。
 障害年金は、申請を受けて障害の発生時期を認定し、当時にさかのぼって支給する仕組み。法律に「権利は5年を経過すれば消滅する」という時効の規定があり、訴訟では、いつの時点から時効が進行するかが争われた。
 行政実務や他の多くの訴訟では今回の最高裁判決と同様の判断がされているが、別の訴訟で名古屋高裁は2012年、「年金を申請し、支給が決まったと本人に通知された時点から時効は進行する」と指摘。国が認めなかった分の支払いを命じた。年金制度を知らないなどの理由で申請が遅れるケースもあることから、この判決を評価する声も出ていた。
 男性は1970年6月、交通事故で左脚を切断。11年6月に障害年金を申請した。同8月、障害2級と70年からの年金受給権が認められたが、申請から5年さかのぼった分しか支給されなかった。15年に提訴し、一審札幌地裁判決は16年4月に請求を棄却。同10月の二審札幌高裁判決も支持した。〔共同〕

平成29年10月17日(火曜日)日本経済新聞電子版

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社会保険二重払い解消=政府、フィンランドと交渉へ2017/07/17

 政府はフィンランドとの社会保障協定の締結に向けた交渉を開始する。相手国で働く駐在員らの社会保険料の二重払いを解消し、加入期間は通算して年金を受け取れるようにする。両国は社会保障制度への加入が義務付けられており、負担の大きい経済界からも要望が寄せられていた。17日からヘルシンキで開く政府間交渉に厚生労働省や外務省の幹部を派遣する。
 フィンランドに駐在する日本人は現在約1800人。5年以内の駐在なら自国の社会保障制度のみを適用できるようにし、二重払いによる個人や企業の金銭的負担を軽減する。5年を超える場合でも、それぞれの加入期間を通算して年金受給を認める。最低加入期間に満たない場合に保険料が掛け捨てとなる不満を解消する。
 フィンランドの社会保険料は2割超。日本は先進国をはじめとする20カ国との社会保障協定を署名済みだが、北欧の締結国はまだない。

平成29年7月17日(月曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金 一転支給へ、同居女性に「生計同一」認める2017/04/09

 岡山県在住の50代の女性が2014年5月に申請し、認められなかった遺族厚生年金について、厚生労働省が今年3月に一転して不支給処分を取り消し、支給する方針を示したことが7日、分かった。厚労省が一度決定した処分を変更するのは異例。
 女性は妻子と離れた男性と約25年間同居。男性は認知症になり、妻と同じ介護施設に入所して数年後に亡くなった、という事情があった。
 遺族年金を受け取るには、被保険者の死亡時に、その人によって生計を維持されていたという「生計同一要件」などを満たす必要がある。女性は男性名義の衣料店を引き継いで収入を得ていたが、厚労省は、男性が妻と家族関係を再構築し、女性との間の同一要件は認められないとしていた。
 女性は不支給処分の取り消しを求めて昨年、岡山地裁に提訴。男性が亡くなる数カ月前に金融機関から運転資金の融資を受けた事実を新たに示した。男性が仕入れた商品が残っていた店への融資が実行され、経営できたとの主張で、厚労省は3月14日に女性側に処分を見直すと伝達した。
 女性の代理人を務める作花知志弁護士は「認知症前の生活が総合的に評価された。生計同一関係の基準が緩和される先例になるのでは」と話した。
 訴状などによると、女性は1983年ごろから男性と同居。認知症発症後の2010年、子どもらが住民票を移して施設に入所させ、妻が12年、男性は13年に死亡した。〔共同〕

平成29年4月8日(土曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金の男女差「合憲」、最高裁が初判断2017/03/22

 労災で配偶者を亡くした場合の遺族補償年金をめぐり、夫だけは55歳以上でないと受給できない規定が憲法違反がどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は21日、規定は合憲とする初判断を示した。「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘した。
 合憲かどうかが争われたのは、1967年施行の地方公務員災害補償法の規定。妻は年齢を問わずに受け取れるため、妻を亡くした原告の堺市の男性(70)が、法の下の平等を定めた憲法に反するとして提訴した。
 同小法廷は判決理由で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と判断した。裁判官5人の全員一致。男性の敗訴が確定した。
 民間や国家公務員の労災の遺族補償にも同様の年齢制限がある。
 2013年11月の一審・大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」とし、地方公務員災害補償基金(東京)による不支給の決定を取り消した。
 15年6月の二審・大阪高裁判決は男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘。規定は不合理な差別ではないとした。逆転敗訴した男性が上告していた。
 一、二審判決などによると、1998年、市立中学の教員だった妻(当時51)が自殺。男性は遺族補償年金の支給を申請したが、妻の死亡時点で男性が51歳だったため、受給要件の55歳に達していないとして支給されなかった。

平成29年3月21日(火曜日)日本経済新聞電子版

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年金、来年度は0.1%減…3年ぶり減額2017/01/16

 2017年度の公的年金の支給額が、16年度から0・1%引き下げられる見通しとなった。
 国民年金(基礎年金)は満額で月額6万4941円(16年度比67円減)、厚生年金は会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で月22万1279円(同225円減)となる。16年の物価下落が影響した。17年4月分(受け取りは6月)から引き下げられる。
 年金額は賃金や物価の変動率に応じて毎年度改定され、引き下げとなれば14年度以来、3年ぶりとなる。厚生労働省は今月下旬に17年度の年金支給額を確定する。賃金や物価が上昇した場合に年金の支給額を抑制する「マクロ経済スライド」は、17年度は発動されないことになった。
 先の臨時国会で成立した年金改革関連法に基づく新たな改定ルールは、21年度に導入されるため、今回の引き下げには影響しない。

平成29年1月15日(日曜日)読売新聞電子版

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国民年金2年分前払い、カード・現金で可能に2017/01/15

 厚生労働省は4月から国民年金の保険料を2年分前払いする時にクレジットカードや現金を使えるようにする。これまでは口座振り替えのみだった。現金やクレジットカードで前納すれば、毎月納付するのに比べ2年間で約1万5000円割り引く。前納の利便性を高めて、納付率の向上につなげる。
 国民年金を2年前納できる制度は2014年に始まった。16年4月時点で前納した場合の保険料は37万7310円で、毎月払うよりも1万5690円割り引かれた。
 現金やクレジットカードで前納するには年金事務所で申し込みしなければならない。今月20日から受け付けを始める。
 国民年金の被保険者が納めるべき保険料のうち実際に支払われた割合を示す15年度の納付率は63.4%だった。90年代前半までは80%を超えており低い水準が続いている。

平成29年1月14日(土曜日)日本経済新聞電子版

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年金給付抑制へ、支給額賃金連動、デフレ下では制約2016/12/18

 年金の給付をいまより抑える新しいルールを盛り込んだ改正国民年金法が14日、成立した。現役世代の賃金が下がったときに、高齢者が受け取る年金の額も減るのが特徴だ。将来世代の年金を確保するための改革だが、課題はなお多い。
 改正法の柱は2つある。1つは賃金や物価の変動に合わせて年金の支給額を増やしたり減らしたりする「賃金・物価スライド」の見直しだ。
 日本の年金は高齢者がもらう分を、その時代の現役で働く世代が賃金から支払う保険料や積立金などで賄う「仕送り方式」を採っている。賃金が下がればその分、現役世代の負担は重くなる。
 しかし、いまは賃金が下がっても物価が上がったときには、年金の額を据え置いている。賃金の下がり方が物価より大きい場合も、物価に合わせて年金額を変えている。
 これを2021年4月から、賃金の下落に合わせて支給額を減らす新しい仕組みに切り替える。現役世代が賃金の下落で保険料を負担する能力が落ちた場合、それに応じて高齢者の年金も減らして痛みを分かち合うようにする考え方だ。
 改正法のもう一つの柱は、年金支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑える「マクロ経済スライド」の見直しだ。
 04年に導入したマクロ経済スライドは少子高齢化で保険料を納める現役世代が減るのに合わせ、物価や賃金が伸びている間は毎年およそ1%ずつ年金額を抑えて制度の持続性を高める仕組みだ。
 物価が下落しているデフレ下では適用しないため、過去に発動した例は15年度の1回しかない。
 政府は年金制度を長持ちさせるためには、年金額が現役世代の給料に占める割合である所得代替率を50%程度まで落とす必要があるとみている。だが、年金の抑制が進まなかったため、足元の所得代替率は6割を超す。
 今回の改正では、物価が下落している局面では年金支給額の抑制を凍結する代わりに、物価が上昇に転じたときには18年度から複数年分まとめて抑制できるようにする。
 もっとも、物価が下がり続けている局面では発動できないことに変わりはない。物価の下落に歯止めがかからなければ、発動できなかった抑制分がたまる一方となる事態も考えられる。大和総研の鈴木準主席研究員は「経済情勢に関係なく、毎年給付額を少しずつ抑えられる仕組みが望ましい」と指摘する。
 改正法には、来年4月から中小企業のパートタイム労働者などが労使で合意すれば厚生年金に加入できるようになる項目も盛り込まれた。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンスも強化する。理事長と外部有識者で構成し、重要事項を決定する経営委員会を設ける。

平成28年12月15日(木曜日)日本経済新聞電子版

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年金受給資格、納付10年に短縮=改正法成立2016/11/16

 年金の受給資格を得るために必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が16日午前の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。改正法は来年8月に施行され、10月から約64万人が新たに年金を受けられるようになる見通し。受給には本人か代理人が年金事務所に請求書を提出する必要がある。
 新たに受給できるようになるのは、保険料を払った期間が10年以上25年未満の人。受給期間は保険料を納めた期間や免除された期間を合計する。無年金の人の救済につながるが、過去にさかのぼって受け取ることはできない。
 年金額は保険料の納付期間に応じて増える。国民年金の場合、加入期間が10年で月約1万6千円、20年で約3万2千円。40年で満額の約6万5千円と比べて支給額は低い。
 今回の対策は、2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げと同時に実施する予定だったが、安倍政権による増税延期に伴い先延ばしされていた。ただ、受給資格期間を10年に短くしても約26万人が無年金のままだという。
 政府・与党は当初、年金給付の抑制策を盛り込んだ国民年金法改正案との一括審議をめざしていた。ただ、民進党など野党が同法案を「年金カット法案」と位置づけて強く反発。このため両法案を別々に審議していた。年金法改正案は16日の衆院厚生労働委員会で約2週間ぶりに審議を再開した。

平成28年11月16日(水曜日)日本経済新聞電子版

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政府、年金機構のマイナンバー利用了承2016/11/09

 政府は8日の閣議で、日本年金機構のマイナンバー利用を了承する政令を閣議決定した。昨年の年金情報流出を受けて利用が延期されていた。早ければ来年1月から取り扱いを始める。他の行政機関との情報連携の解禁は引き続き延期となる。
 年金加入者が年金事務所に相談に出向いたときに、これまでは年金手帳を持参する必要があったが、マイナンバーカードで手続きができるようになる。他の行政機関との情報連携が解禁されれば、手続きの際に住民票などの添付書類が省略できるメリットがある。

平成28年11月8日(火曜日)日本経済新聞電子版

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関西流通サービス業、社会保険適用拡大で「負担増」73% 2016/10/21

 10月の社会保険の適用拡大で、関西の主要な流通小売業やサービス業、食品企業の7割が保険料の負担増を見込んでいることが日本経済新聞社のアンケート調査で分かった。加入対象となる年収が130万円から106万円以上に下がり、保険料を支払うべきパート従業員の数が増えるためだ。人手不足に拍車がかからないよう各社は従業員の募集拡大や人事制度の改定などを急いでいる。
 調査は9月28日〜10月7日に、関西に本社や拠点を置く従業員501人以上の主要59社を対象に実施。37社から回答を得た。回答率は63%。
 厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料は労使折半が原則。外食や小売りなどパートの割合が高い企業ほど支払う保険料が増える。アンケートでは会社が1年間に支払う保険料が「増える」との回答は73%だった。グルメ杵屋は年1億円程度の負担増になると試算している。
 一方「ほぼ増えない」は24%。もともと年収130万円以上のパート従業員が大半で「制度変更による影響はほとんどない」(食品メーカー)。
 従業員の労働時間では「短縮を希望する従業員が多い」との回答が35%で「延長を希望する従業員が多い」(11%)に比べて多い。130万円近く稼いでいた人の中には「保険料の支払いで手取りが減るなら勤務時間を減らして収入を抑える方が合理的」と考える人が多いとみられる。
 各社は勤務時間を短縮したパートの穴埋め確保を急いでいる。調査では46%が人材の追加募集を「既に実施」または「予定している」と回答した。人材確保へ時給を引き上げた企業もあり、「長期的にみれば社会保険以外の部分でも負担は増える」(小売り大手)。
 グルメ杵屋はパートの希望に応じた労働時間の設定を進める。長時間勤務を希望する人は月160〜170時間と正社員並みに働いてもらい、そうでない人は20時間未満に短縮する。
 新たな人事制度の整備を急ぐ企業もある。ダスキンはパートなどを対象に勤務地を限定した正社員制度を10月から導入。キリン堂ホールディングスも同制度開始へ専従チームを発足した。
 長時間働けるパートを優遇して店の技術力向上を目指すのは回転ずし大手、あきんどスシロー(大阪府吹田市)だ。店開業時から働いているベテランも多く、社会保険への加入を積極的に働きかけている。社会保険加入者は優先的にシフトに配置して働きやすくするなど加入を後押しする。
 ベテランのパートは時給も上昇するが「経験豊富な人が増えることによる生産性や質の向上は時給アップ以上の効果が期待できる」(水留浩一社長)。正社員がいない時間帯の店舗運営をパートに任せることも想定して人材育成を急ぐ。

平成28年10月21日(金曜日)日本経済新聞電子版

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厚生年金と健保、パートら25万人が新たに対象2016/10/01

 厚生年金と健康保険の加入基準が1日から変わり、大企業で働くパート労働者ら約25万人が新たに対象となった。
 非正規雇用の短時間労働者の年金給付を手厚くするのが狙いだ。
 これまで、厚生年金に加入する非正規雇用の労働者は、旧厚生省が定めた「労働時間が正社員の4分の3(週30時間)以上」という条件に合う人とされてきた。
 1日からは、従業員501人以上の大企業で週20時間以上働き、残業代を除いて月収8万8000円以上(年収106万円以上)であることなどの条件を満たす人が新たに対象となる。
 厚生労働省の試算では、月収8万8000円のパートが厚生年金に20年間加入した場合、保険料を労使で月額8000円ずつ払う必要はあるものの、老後は基礎年金(満額で月額約6万5000円)に上乗せして、月額約9700円の厚生年金も受け取ることができる。

平成28年10月1日(土曜日)読売新聞電子版

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年金、強制徴収を所得300万円以上に拡大、納付率上げ2016/09/20

 厚生労働省と日本年金機構は、国民年金保険料の強制徴収の対象を広げる。現在は年間所得350万円以上の滞納者に実施しているが、2017年度から300万円以上にする。国民年金保険料の納付率は60%程度で低迷している。保険料の滞納に厳しく対処し、納付率の向上を狙う。
 保険料の徴収を担当する年金機構は、滞納が続いた人にまず文書や電話、戸別訪問などで納付を求めている。このような要請にも応じない場合、一定以上の所得がある人に強制徴収を実施している。
 年金機構では、この基準を課税所得350万円(かつ未納月数7カ月以上)から300万円(かつ未納月数13カ月以上)に引き下げる。新基準に当てはまる人は強制徴収される可能性がある。対象者は現在27万人程度だが、約9万人が加わる見通しだ。
 まず「最終催告状」という書面を送り、それでも応じない場合に督促状を送る。その後に年金機構の職員が銀行口座や有価証券、自動車などの財産を調査し、売却できないよう差し押さえる仕組みだ。
 強制徴収の所得基準は15年度まで所得400万円以上だった。保険料の徴収強化策として16年度には基準を350万円に引き下げた。17年度の実施で、基準の引き下げは2年連続となる。
 保険料の納付率は低迷が続く。被保険者が納めるべき保険料のうち、実際に払われた割合を示す納付率は15年度に63.4%だった。依然として4割近い人が納めていない。
 厚労省が発表する納付率は低所得者や学生ら保険料の納付を免除・猶予されている人を対象者から除いて計算している。このため加入者全体の納付状況を示しているわけではない。免除・猶予になっている人を対象に含めた実質的な納付率は40%程度にとどまっており、制度の持続性に懸念が生じている。
 厚労省は保険料を払う余裕がない低所得者向けに納付を猶予する制度の拡大を実施した。7月から対象者を30歳未満から50歳未満に拡大。納付の猶予期間は年金受給額に反映されないが、受給に必要な加入期間には算入できる。納付猶予を受けるには所得による基準があり、全額免除であれば単身者で57万円、扶養親族1人で92万円となっている。

平成28年9月20日(火曜日)日本経済新聞電子版

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国民年金の納付猶予、50歳未満に拡大=7月から2016/06/01

 厚生労働省は低所得者向けに国民年金保険料の納付を猶予する制度で、7月から対象者を30歳未満から50歳未満に拡大する。国民年金の納付率向上が狙い。納付の猶予期間は年金受給額に反映されないが、受給に必要な加入期間には算入できる。納付猶予を受けるには所得による基準があり、全額免除であれば単身者で57万円、扶養親族1人で92万円となる。31日に関連する政令の改正案が閣議決定された。

平成28年5月31日(火曜日)日本経済新聞電子版

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確定拠出年金、改正法成立ー主婦や公務員も対象2016/05/25

 運用成績によってもらえる年金額が変わる「確定拠出年金」の加入対象者を、実質的にすべての現役世代に広げる改正確定拠出年金法が24日成立した。来年1月から加入対象となる公務員や主婦らの取り込みに向け、金融機関も動き出した。
 確定拠出年金には会社単位で入る「企業型」と個人で入る「個人型」がある。対象が広がるのは個人型。これまでは自営業者や企業年金がない会社の社員らだったが、主婦や公務員が加わる。すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになる。
 野村総合研究所は主婦と公務員だけで最大400万人が個人型に入るとみる。その場合、資金流入額は年4800億円に達するという。厚生労働省は今回の法改正で「少額投資非課税制度(NISA)並みの加入をめざしたい」(幹部)と期待する。NISAの加入者は約千万人。確定拠出年金の加入者は現在約500万人。現在の2倍に膨らむとみる背景にあるのが大きな節税効果だ。
 NISAは120万円までなら運用益に税金がかからないのが売り。だが確定拠出年金で非課税なのは運用益だけではない。掛け金の全額が課税対象の所得から差し引かれるのでその分、所得税や住民税が安くなる。
 たとえばパートの収入などで年100万円の課税所得を稼ぐ主婦が月1万円ずつ積み立てると単純計算で年1万8千円分の所得税と住民税を節約できる。10年続ければ18万円だ。年金の受取時にも退職所得控除か公的年金等控除の対象になる。
 掛け金は多いほど有利になる。ファイナンシャルプランナーの宮崎勝己氏は「最もメリットが大きいのはすでに企業型を利用している人」と指摘。「企業型に個人型を上乗せして掛け金を増やせば一段の節税効果を期待できる」と解説する。

平成28年5月25日(水曜日)日本経済新聞電子版

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政府、年金運用情報を開示へ…懸念払拭の狙い2016/03/08

 政府は、年金積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が保有する株式や債券の銘柄などの情報を、一定期間後に開示する方針を決めた。
 運用は信託銀行などに委託しているが、情報公開には恣意しい的な運用への懸念などを払拭する狙いがある。政府は今国会に関連法の改正案を提出し、2017年中にも開示する内容を詳細に定めた厚生労働省令の改正を行う考えだ。
 政府は、GPIF法改正案に「GPIFは厚生労働省令で定める事項を記載した書類を作成し、公表しなければならない」との規定を新設する方針だ。今国会には同法改正案を含めた関連法改正案を一括して提出する予定だ。
 関連法改正案が成立すれば、厚労省令に、GPIFに個別の株式・債券の売買や時価総額などの情報公開を義務づける記述を追加。GPIFの運用方針を決める経営委員会の議事録も公開の対象とする方向だ。公開する内容や時期、具体的な公開方法については、厚生労働相の諮問機関「社会保障審議会」の年金部会での議論を踏まえて最終決定する。

平成28年3月8日(火曜日)読売新聞電子版

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年金改革法案を提出へ、厚労省方針、年金額の抑制策強化2016/02/29

 厚生労働省は26日、年金の給付水準を毎年少しずつ下げていく「マクロ経済スライド」の強化策を柱とする年金制度改革法案を今の国会に提出する方針を決めた。十分に審議時間が確保できない可能性があり、今国会での成立は微妙だ。
 提出するのは、国民年金法や厚生年金保険法などの改正法をまとめた一括法案。この日午前、自民党の部会に示して了承された。
 マクロ経済スライドは、賃金や物価の上昇に応じた年金額の伸びを毎年度1%ほど抑える仕組み。少子高齢化で保険料の払い手が減っても将来世代の年金を維持する狙いで、2004年に導入された。だが、物価が下がるデフレ時は実施しないルールで、15年度の1度しか発動されていない。

平成28年2月26日(金曜日)朝日新聞デジタル

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厚生年金の加入逃れ阻止、厚労省、79万社特定し強制も2016/02/24

 従業員のための厚生年金や健康保険への加入手続きを企業が怠らないように厚生労働省が抜本的な対策を始める。4月から企業版マイナンバー(法人番号)を活用し、2017年度末までに全ての未加入企業を特定する。未加入の疑いのある企業は79万社にのぼる。悪質な企業には立ち入り検査を実施して強制加入させる方針だ。
 厚生年金や従業員向けの健康保険は、法人や従業員5人以上の個人事業主に加入する義務がある。保険料は労使で折半して負担している。ところが、保険料の負担を逃れるため、意図的に加入せずに義務を果たしていない悪質な企業があり、問題になっている。
 厚労省の推計では、本来は公的年金制度で2階建ての部分に当たる厚生年金に加入できるはずなのに、1階部分の国民年金(基礎年金)にしか加入していない会社員が約200万人にのぼる。国民年金は厚生年金よりも年金額が少ない。医療保険も国民健康保険のままだと全額自己負担なので保険料が高くなるケースが多い。
 企業向けマイナンバーを使った加入逃れの防止対策は保険料を徴収する日本年金機構が4月から始める。従業員に代わって所得税を納める義務が課されている企業の法人番号を国税庁からもらう。保険料を支払う企業の法人番号と照らし合わせ、未加入の企業をあぶり出す。
 法人番号を使えば、同じ名前の企業など紛らわしいケースで、職員が個別に審査する作業を大幅に省くことができる。未加入企業の特定が今より格段に早くなる。
 年金機構は未加入企業を特定したら、まず文書や電話で加入を要請する。それでも加入しない場合は企業を訪問するなどして加入を求める。何度要請しても拒否する企業は立ち入り検査に入り、強制的に加入手続きする。
 厚労省と年金機構は14年11月、国税庁から源泉徴収義務を課されている企業の社名と住所をもらい、加入漏れ企業の特定を進めてきた。
 79万社で加入漏れの疑いのあることは分かったものの、個社の特定作業を進めるなかで、社名の表記違いや転居している場合など紛らわしいケースも多く、手間と時間がかかっていた。
 15年4月から9月までの半年間で調査が済んだのは18万事業所にとどまる。今の調査では17年度末までに終わらない可能性が高まっていた。

平成28年2月24日(水曜日)日本経済新聞電子版

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障害年金申請書、窓口の8割渡さず、機構が専門員配置へ2016/02/09

 日本年金機構は8日、各地にある年金事務所の77%が機構本部の指示に従わず、障害年金の支給申請書を希望者に渡していなかったとの調査結果を、社会保障審議会の部会に示した。障害年金は制度が複雑で、窓口で誤った説明をしてしまうこともあるため、機構は2016年度から専門職員を順次配置する方針。
 調査は昨年4〜6月、全国に312ある年金事務所のうち56カ所と「街角の年金相談センター」4カ所を対象に、機構の依頼を受けた社会保険労務士が身分を明かさずに訪問する「覆面調査」の形で実施した。
 機構は昨年2月、申請書の交付を徹底する指示を年金事務所に出している。今回の調査結果について、機構は「申請に必要な診断書の取得にはお金がかかる。受給条件に該当しない人に申請書を渡し、その人が診断書を取ってしまうとお金が無駄になるので、きちんと調べてから渡した方が良いという意識が強い」としている。
 申請書の交付を含め、障害年金に関する窓口対応計150項目を調べた結果、120項目以上が完全にできたのは20%の事務所にとどまった。
 機構は来月から職員向けに窓口対応の手引を導入し、申請者には書類一式をまとめた「障害年金請求キット」を渡すようにする方針だ。〔共同〕

平成28年2月8日(金曜日)日本経済新聞電子版

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厚生年金未加入200万人、79万事業所調査へ2016/01/14

 塩崎厚生労働相は13日の衆院予算委員会で、厚生年金に加入する資格があるのに未加入になっている人が約200万人に上るとの推計を明らかにした。
 塩崎氏は「(本来は)厚生年金に入れるのに国民年金であるならば大変な問題だ」と述べた。
 未加入者の年代別内訳は、20歳代71万人、30歳代52万人、40歳代44万人、50歳代35万人。厚生労働省が2014年10月から15年3月にかけて、自営業者や学生ら国民年金加入者約1805万4000人から抽出調査した結果をもとに推計した。厚労省によると、厚生年金の加入者は14年度末で3599万人いる。
 厚生年金は、国民年金よりも受け取る年金が多くなるが、従業員と企業側が折半して保険料を納める必要がある。未加入者問題の背景には、企業が厚生年金保険料の負担を避けるために加入逃れをしているケースが多いとみられている。
 厚労省は、厚生年金が適用される可能性がある約79万事業所を調べる方針だ。

平成28年1月14日(木曜日)読売新聞電子版

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年金機構、加入逃れ企業検査せず…予告後も放置2015/10/27

 日本年金機構が、厚生年金保険への加入逃れの疑いがある中小の事業所に立ち入り検査すると予告しながら、うち6割は3か月以内に実施していなかったことが、会計検査院の調べでわかった。
 加入逃れを許せば従業員が老後に厚生年金を受け取れないことになり、検査院は26日、厚生労働省と機構に対し、速やかに立ち入り検査を実施するよう求めた。
 厚生年金の加入逃れの疑いがあるのは、2014年度末に24万5335事業所を数え、5年前の2倍に増えた。機構はこれらの事業所に電話や戸別訪問などで加入を促し、応じなければ厚生年金保険法に基づき立ち入り検査を行うことができる。検査拒否には罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)もある。

平成27年10月27日(火曜日)読売新聞電子版

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障害年金の判定不服3.5倍に=10年前比2015/07/27

 障害年金を申請して不支給と判定されたり、更新時に支給を打ち切られたりした人が不服を申し立て、国が審理、決定した件数が2014年度は約6500件に上り、10年前の04年度に比べ3.5倍に増えたことが25日までに分かった。
 支給申請自体は微増。不服申し立てが急増しているのは、日本年金機構の判定が不透明で納得できない人が増えていることや、判定の厳格化が背景にあるとみられる。
 年金や健康保険では給付など国の決定に対し不服申し立てができる審査請求の制度がある。二審制で最初は地方厚生局の社会保険審査官に申し立て、決定に納得できない場合は、厚生労働省に置かれる社会保険審査会に再審査請求ができる。
 厚労省の公表データや各厚生局への取材によると、国民年金、厚生年金などの「障害給付」に関する一審段階の件数は04年度で1851件だったが、年々増加。特に10年度以降に急増し、13年度には6692件に達した。14年度は微減したものの、04年度比3.5倍の6474件だった。二審段階の件数も10年間で4.4倍に増えた。
 一審で申し立てが認められた割合は00年度以降、7〜13%で推移していたが、14年度は6%と15年間で最低だった。
 障害年金のうち多くの人が受け取る障害基礎年金をめぐっては、支給の可否を決める年金機構の都道府県事務センター間で判定にばらつきがあり、不支給判定の割合に最大6倍の地域差があることが判明している。〔共同〕
▼障害年金 病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる公的年金。障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金があり、その傷病で初めて医療機関にかかった「初診日」の加入制度によって種類が変わる。
 障害の重さで1〜3級に分かれるが「基礎」は3級では支給されず、1級で月約8万1千円、2級で月約6万5千円。受給者は「基礎」と「厚生」で2012年度に約198万人。

平成27年7月25日(土曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金、男女差は合憲=夫、逆転敗訴ー大阪高裁2015/06/20

 地方公務員の配偶者が亡くなった場合、妻は年齢を問わず遺族補償年金を受け取れるのに、夫は55歳以上でないと受給できない地方公務員災害補償法(地公災法)の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法に反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。志田博文裁判長は「不合理な差別とはいえない」として一審の違憲判決を取り消し、合憲と判断した。
 原告側は判決を不服として上告する方針。
 同様の男女差の規定は国家公務員災害補償法や民間対象の労働者災害補償保険法にもある。一審と二審の判決が正反対の結論となり、規定のあり方について改めて論議を呼びそうだ。
 判決などによると、1998年に公立中学教諭の妻(当時51)を亡くした堺市の男性(68)は、地方公務員災害補償基金に遺族補償年金の支給を申請した。しかし、妻の死亡時点で男性が「51歳」だったため、受給要件の55歳に達していないとして同基金は不支給処分とした。
 判決はまず、地公災法に基づく遺族補償年金について「公務員の死亡により、独力で生計を維持することが難しい遺族の生活の保護が目的」と位置づけた。
 その上で、女性を取り巻く社会情勢について、非正規雇用の割合が男性の3倍近いことや、賃金額が男性の約6割以下と低いことなどを指摘。「妻を亡くした夫が独力で生計を維持できなくなる可能性は、夫を亡くした妻よりも著しく低い」とし、「現在の社会情勢でも、夫のみに年齢の受給要件を設けることは不合理な差別とは言えない」と結論づけた。
 2013年の一審・大阪地裁判決は、「配偶者の性別で受給権の有無を分けるような差別的取り扱いは合理性がなく、違憲」として基金側の不支給決定を取り消し、基金側が控訴していた。
 地方公務員災害補償基金の話:判決の内容を精査しておらず、具体的なコメントは差し控えたい。

平成27年6月20日(土曜日)日本経済新聞電子版

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総務省、年金記録確認第三者委を6月末で廃止2015/05/16

 総務省は15日、公的年金の納付記録に大量のミスがみつかったいわゆる「消えた年金」問題で、記録の訂正業務を受け持っていた年金記録確認第三者委員会を6月末で廃止すると発表した。2007年の設置後、これまでに約27万件を扱った。最近は処理件数が大幅に減少しており、一定の役目を終えたと判断した。年金記録の訂正業務は厚生労働省に引き継ぐ。
 同委員会はこれまで、年金記録の訂正を求める約30万件の申し立てのうち、本人からの取り下げなどを除く約27万件を処理。このうち約15万件の年金記録を回復した。8年間の活動をまとめた報告書も15日、あわせて公表した。
 すでに新規の申し立ての受け付けを終えていたが、周知期間を経て6月末に廃止する。今後の訂正手続きは厚労省が担当するが、5000万件超あった消えた年金記録は、まだ4割が照合できていない。本人の死亡などですべての記録の照合は困難な情勢だ。

平成27年5月15日(金曜日)日本経済新聞電子版

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国保の都道府県移管、知事会など了承=18年度から2015/02/13

 厚生労働省は12日、市町村が運営する国民健康保険(国保)を2018年度から都道府県に移管する案を全国知事会など地方団体に示し、了承を得た。財政基盤を安定させる狙いで、移管に先立ち国保への財政支援も広げ、17年度から公費3400億円を毎年投じる。都道府県は財政を運営し、市町村は引き続き保険料徴収や健康づくりと、役割を分担する。
 国保への財政支援拡大では、まず15年度から公費1700億円を、低所得者が多い国保のてこ入れに充てる。また大企業の健康保険組合や公務員の共済組合の負担を増やして財源を捻出し、17年度から国費として1700億円を追加する。同年度にはこの国費を使って、支出急増で資金が逼迫した国保を支える財政安定化基金を2千億円規模に積み上げを目指す。
 国保を都道府県に移した18年度からは、国費1700億円のうち700億〜800億円を使い、安価な後発医薬品の普及などで医療費の伸びを抑えた自治体を支援する。支援を受けた自治体では保険料が下がるなど、住民にも利点がある。
 厚労省は3月にも通常国会に関連法案を提出し、成立を目指す。

平成27年2月12日(木曜日)日本経済新聞電子版

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主婦の未納年金保険料、2月から追納受け付け2015/02/01

 厚生労働省は2月から、主婦が納め忘れた年金保険料の追納を受け付ける。夫の退職などで保険料を払う義務が生まれていたのに払っていなかった人が対象。4月から2018年3月まで過去10年分の保険料を納められるようになる。納付分は受け取る年金額に反映するため、無年金や低年金の人が減る。
 主婦の年金未納問題は10年ごろに大量に発覚した。夫が会社員の専業主婦は国民年金の第3号被保険者となり、保険料を納めなくても年金をもらえる。ただ夫が脱サラしたり、離婚したりした場合は、手続きをして60歳まで国民年金の保険料を納める必要がある。この手続きを忘れていた人が今回の追納制度の対象だ。
 国民年金の保険料は月額で約1万5000円。未納分は通常2年分しかさかのぼって納められないが、対象者は最大10年分納められるようになる。未納期間が過去5年なら約90万円を払えれば、満額払ったことになる。
 さらに10年以上前の未納期間があっても、年金事務所で手続きを取れば将来年金を受け取るときに未納扱いにせずに年金額をはじく。老後に国民年金を受け取るには最低でも25年間、保険料を納める必要がある。未納期間が減れば25年間の資格を満たす主婦が増え、無年金になる人が減るとみている。ただ実際には保険料を納めていないため年金額は減らされる。

平成27年2月1日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金抑制、8年遅れ始動ーマクロスライドを初適用2015/01/31

 厚生労働省は30日、公的年金の支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動することを決めた。2015年4月からの年金受取額は14年度より0.9%増にとどまる。年金財政の悪化を食い止める狙いだが、発動時期が当初計画から8年も遅れており、保険料を支払う現役世代に負担のしわ寄せが及んでいる。
 公的年金にはもともと賃金や物価の上昇分を毎年反映して支給額を増やす仕組みがある。14年の上昇分は2.3%だったため、これまでなら夫婦2人のモデル世帯の年金額も同率増えて、15年度は月22万4千円ほど受け取れるはずだったが、マクロスライドの実施で2千円ほど差し引かれる。また過去の年金のもらい過ぎを解消するため、さらに0.5%減り、年金額は月22万1507円にとどまることになった。
 マクロスライドの導入を決めたのは、100年間にわたって現役世代の所得の50%以上の年金を受け取れる「100年安心」をうたった04年だ。年金財政が大幅に悪化するのを避けるため、一定の調整率を決めて年金の支給額を差し引いて伸びを抑える仕組みにした。
 ただマクロスライドは物価が下落しているデフレ環境下では使わないルールがあったため、当初計画の07年度からの発動は大幅に遅れて実施まで8年もかかった。そのため年金の支給額は、現役世代の収入と比べて62.7%と高止まりしている。マクロスライドを予定通り07年度から適用していれば、54%に抑制できる見通しだった。
 そのため公的年金は保険料の支払額と受給額にギャップが生じ、世代間格差が広がっている。14年時点で65歳の高齢者の年金受取額は、現役世代の収入の62.7%あるが、同30歳の場合は年金を受け取れるようになっても現役世代の収入の50.6%しかもらえない見込みで不公平感がある。
 「100年安心プラン」はスタートから出遅れつつあるが、もう一段の年金改革の機運は乏しい。公的年金は5年に1度、財政状態を見直すことになっており、14年がその年だった。厚労省は現在は60歳までとしている保険料の支払期間を65歳まで5年間延ばす案を検討したが、政府内に慎重論もあり通常国会への法案提出は先送りする。
 物価が下落するデフレ環境でもマクロスライドを適用する案もあったが、これも完全導入は見送る方向だ。公的年金の財政は株価の上昇などで運用益があり、足元では悪化に歯止めがかかっている。ただ長続きする制度にするにはもう一段の改革議論が必要だ。

平成27年1月30日(金曜日)日本経済新聞電子版

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障害年金不支給判定の割合、地域差6倍ー新指標で是正へ2015/01/16

 厚生労働省は15日までに、国の障害年金を申請して不支給と判定される人の割合に都道府県間で最大約6倍の差があったとの調査結果を発表した。精神障害と知的障害について異なった目安で審査していたことが主な原因として、不公平があったことを認めた。同省は、是正へ向け専門家の検討会を2月にも設置し、今夏をめどに客観的な判定指標を策定する。
 多くの人が受け取る障害基礎年金は、支給実務を担う日本年金機構の都道府県事務センターごとに審査している。
 厚労省が2010〜12年度の3年間を対象に、都道府県ごとの不支給割合を調べた結果、最高の大分(24.4%)と最低の栃木(4.0%)の間で6.1倍の差があった。不支給割合が高かったのは、大分に続き茨城、佐賀、兵庫の順だった。
 精神、知的障害では、審査に使われる診断書に5段階構成の「日常生活能力の程度」という項目がある。10、12年度のサンプル調査では、この項目で異なる運用が判明。不支給割合が低い10県では、障害程度が軽い方から2番目の段階以上を支給の目安としていたが、不支給割合が高い10県は3番目以上でないと支給しないという、より厳しい目安だった。
 厚労省は3番目以上とする方が適切と考えているとみられる。審査が厳しくなって年金を打ち切られる人が増える可能性があり、懸念の声も出ている。
 支給申請全体のうち約3分の2が精神、知的障害の人からで、これらの障害に関する審査のばらつきが全体に大きな影響を与えていた。
 精神、知的障害者の団体からは「仕事に就くと不利に判定されているのではないか」との指摘があったが、診断書に就労状況を記入しているかどうかで不支給割合に大きな違いはなかった。

平成27年1月15日(木曜日)日本経済新聞電子版

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年金額抑制、来年度から…全受給者が対象に2014/12/27

 2015年4月から、公的年金を受け取るすべての人の年金額が抑制されることが確実となった。
 物価の上昇などで、04年の年金改革で導入された抑制策「マクロ経済スライド」が初めて適用されることになるためだ。受け取る年金額そのものは、物価や賃金の上昇に伴って増えるが、抑制策などで上昇分が抑えられる。読売新聞試算では、40年間サラリーマンとして働いた夫と専業主婦によるモデル世帯の場合、年金の伸びが月約3400円分抑えられる計算だ。
 マクロ経済スライドは、物価が上がると年金の支給額が同時に増えてしまうため、一定程度を抑制する仕組み。総務省が26日発表した11月の全国消費者物価指数は、前年同月に比べて2・7%上昇した。10月までの数値を含めて試算すると、1〜11月は前年同期比2・8%プラスとなり、12月も含めた1年間の物価が上昇することが確実だ。これまで抑制策が適用されてこなかったのは、物価が下がるデフレが長引いたことも要因の一つだ。
 厚生労働省は、現時点で支給額を抑制する割合(調整率)を1%程度と見込んでおり、最終的な調整率は来年1月に決まる。

平成26年12月27日(土曜日)読売新聞電子版

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老齢加算廃止は適法…最高裁、2訴訟の上告棄却2014/10/07

 70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた「老齢加算」の廃止は違法だとして、北九州市の29人と京都府の3人が自治体に支給額の減額決定を取り消すよう求めた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は6日、原告側の上告を棄却する判決を言い渡した。
 判決は「廃止による減額で受給者の生活に看過しがたい影響が生じたとはいえない」と指摘。原告側の敗訴が確定した。
 最高で月額1万7930円が上乗せされる老齢加算が2005年度末に全廃されたことについて、最高裁は12年に別の訴訟で適法としており、今回も同内容の判断となった。
 北九州の訴訟では、2審・福岡高裁が「正当な理由のない変更で違法」と判断したが、最高裁は12年4月、これを破棄して差し戻し、同高裁は昨年12月に原告側逆転敗訴を言い渡した。京都府の訴訟では1、2審とも原告側が敗訴していた。同種訴訟はほかに6件が係争中。

平成26年10月6日(月曜日)読売新聞電子版

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厚生年金、週30時間未満にも門戸2014/09/18

 厚生労働省は中小企業の社員でも手厚い給付を受けられる厚生年金に加入しやすくする。従業員500人以下の企業で働くパート労働者も労使が合意すれば加入できるようにする。月6万円余りしか受け取れない国民年金からの切り替えを促し、老後の生活資金を確保しやすくする。
 厚労省が18日に開く社会保障審議会の年金部会で提案し、2015年の通常国会に厚生年金保険法の改正案を出す。
 パート労働者は現在、企業の規模にかかわらず週30時間以上働く人だけ厚生年金に加入している。16年10月には、週に20時間以上働く人で月収が8.8万円以上の場合は追加で加入させることが決まっているが、対象は501人以上の企業に限っていた。500人以下の中堅・中小企業で働くこうした労働者も、労使の合意を前提に加入できるようにする。
 人手不足が広がるなかで、福利厚生を充実して人材を集めようとする企業に応える狙いがある。一方、企業は従業員を厚生年金に入れれば年金保険料の半分を負担することになる。人材を集めるために賃金を増やす動きは広がっているが、社会保険料の負担が膨らむことを嫌う企業も多い。どこまで新制度が使われるかは未知数だ。
 厚労省は16年10月に501人以上の企業に適用を広げたのち、中小企業も含め強制加入の対象にしたい考えだ。労使の任意を前提にした制度の拡大はそれに向けた布石という面もありそうだ。

平成26年9月17日(水曜日)日本経済新聞電子版

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障害年金「初診日」、第三者証言で認定ー大阪地裁2014/08/01

 障害厚生年金の支給申請で求められる「初診日」の証明としてカルテなど医療記録が必要かどうかが争われた訴訟の判決で、大阪地裁は31日、第三者の証言などで特定できれば、記録がなくても支給できるとの判断を示した。田中健治裁判長は「申請者の話なども踏まえ総合的に判断すべきだ」とし、兵庫県の60歳代女性への不支給処分を取り消し、国に申請翌月の2009年12月以降の支給を命じた。
 障害厚生年金は、厚生年金に加入する会社員らが対象で初診日時点の加入などが支給要件。傷病の発症日を個々に把握するのは難しく、画一的に判断するため初診日の特定を必要とし、申請時は医師の証明書などが求められる。女性側の弁護団によると、同年金を巡り、証言で初診日の特定を認めた司法判断は初めて。
 判決によると、女性は会社員だった1987年1月、周囲が暗く感じるなどしたため眼科を受診し、失明に至る進行性の病気と診断された。両目の視力は徐々に悪化し、障害の程度が年金の支給対象になったため、09年11月、社会保険庁(現・日本年金機構)に支給を申請したが、初診日が確認できないと却下された。
 カルテは医師法に基づく保存期間(5年)が過ぎており、診察券なども阪神大震災で被災した際に自宅の後片付けで紛失していた。
 田中裁判長は判決で「初診日は可能な限り客観性の高い資料で特定されるべきだが、第三者の記憶に基づく証言などを排斥すべきではない」と指摘。眼科に同行した知人は陳述書で「女性は治療法がないなどと泣きながら話した」「自分の姉が死亡した年でよく覚えている」などとしており、「具体的で女性本人の説明にも沿う」と判断した。
 女性側の弁護団は「初診日が証明できず申請を諦めている障害者は相当数いるとみられ、救済につながる」と評価。厚生労働省は「厳しい判決。内容を精査し、関係省庁と協議して適切に対処する」としている。

平成26年8月1日(金曜日)読売新聞電子版

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国民年金追納、特例期間後も5年分可能にー厚労省 2014/07/21

 厚生労働省は国民年金の加入者が納めていない保険料を過去5年分まで後払いできるようにする。現在は特例で10年分を追納できるが、2015年10月からは2年に短縮される。特例期限の終了後も2年を超す期間の追納を認めることで納付を促し、老後に十分な年金を受け取れずに生活保護に陥る人を減らす。
 自営業者や非正規労働者らが加入している国民年金は20歳から60歳までの40年間、保険料を納めると満額となり、月に約6万4400円が支給される。納め忘れがあったり、生活に困って納付できない期間があると、その期間に応じて将来の年金額も少なくなる。
 未納分の保険料は本来、過去2年分しか後払いできないが、15年9月までの3年間に限って10年分の追納を特例で認めている。手続きを忘れて十分な年金を受け取れない主婦が多数いることが発覚したためだ。
 ただ非正規労働者らを中心に未納者が多いため、特例期間が終わった後も追納できる期間を本来の2年間とせず、5年分の追納を認めることを決めた。

平成26年7月20日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金水準、年取るほど低下=現役所得比40%台にー厚労省2014/06/29

 厚生労働省は、65歳で公的年金を受け取り始めてから90歳になるまでの受給水準の推移に関する試算結果をまとめた。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合を示した「所得代替率」は、現在30〜65歳のどの年齢層についても、受給開始時は50%を超える。しかし、その後40%台に低下し、90歳時点では40%程度に落ち込む見通しだ。
 2004年の年金制度改正では、65歳の受給開始時点の所得代替率を50%以上とする目標を法律に明記。厚労省が今月3日に公表した検証結果では、一定の経済成長が続けば目標を達成できるとの見通しを示していたが、50%以上の受給水準を確保できる期間が長くは続かないことが明らかになった。
 試算によると、経済成長が中程度のケースでは、1949年度生まれ(現在65歳)の人の受給開始時の年金月額(夫婦2人のモデル世帯)は21万8000円。現役世代の手取り収入は月34万8000円で、所得代替率は62.7%になる。しかし、給付水準は徐々に低下し、75歳で51.6%、80歳で47.3%、85歳で43.9%、90歳で41.8%に落ち込む。
 給付水準が下がるのは、少子高齢化が進んでも年金財政を維持するため、来年度から受給額を抑制する「マクロ経済スライド」を発動することが要因。また、年金受給額は物価の伸びに連動して毎年度改定するが、一般的には物価よりも現役世代の賃金の伸びの方が大きいという事情がある。

平成26年6月28日(土曜日)時事通信社

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国民年金納付率、60.9%に改善=催告状が効果2014/06/24

 厚生労働省と日本年金機構は23日、2013年度の国民年金保険料納付率が前年度比1.9ポイント増の60.9%だったと発表した。60%台回復を目標として掲げてきたが、09年度以来4年ぶりに達成した。経済状況の好転に加え、未納者に対して財産の差し押さえを警告する「特別催告状」を送付する取り組みに力を入れたことから、納付率が向上したと分析している。
 世代別に見ると、20歳代の納付率が伸びた。30歳以上は前年度比1〜2ポイントの改善にとどまったが、20〜24歳は5.0ポイント増の56.3%、25〜29歳は3.1ポイント増の49.9%だった。
 年金事務所から送付した特別催告状の件数は、12年度に182万件だったが、13年度は568万件に増加。13年度は25歳未満の滞納者にも送る取り組みを始めた。コンビニ納付利用件数も増えており、同省などは特別催告状を受け取った20歳代の未納者が、身近なコンビニで納付したケースが多かったとみている。

平成26年6月23日(月曜日)時事通信社

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国民年金、475円減…月6万4400円に2014/02/01

 厚生労働省は31日午前、2014年度の公的年金の支給額を0.7%引き下げると発表した。
 これを受け、4月から国民年金を満額受給(月6万4875円)する場合は、475円減の月6万4400円となる。厚生年金は、夫婦2人世帯のモデルケース(月22万8591円)で、1666円減の月22万6925円となる。
 公的年金は、物価変動に合わせて支給額が決まる仕組み。過去のデフレ下でも引き下げを実施せず、本来の水準より2.5%高い状態が続いていたため、当初は4月から1%引き下げる予定だった。
 しかし、31日に発表された13年平均の消費者物価指数が前年より0.4%上昇したことを受け、引き下げ幅を圧縮することにした。

平成26年1月31日(金曜日)読売新聞電子版

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国民年金保険料、14年度210円増=月額1万5250円2014/01/29

 2014年度の国民年金の保険料が月額で1万5250円と13年度から210円増えることが28日、分かった。国民年金は自営業者や学生らが加入する。保険料の上昇は2年連続で、今年4月分から保険料を変更する。厚生労働省は31日に公表する。
 国民年金保険料は04年の法律改正で毎年280円ずつ上げると決めた。ただ、その後の物価や賃金の動向を反映して毎年上げ幅を調整している。
 04年以降、賃金や物価は伸びておらず、保険料は当初予定より抑えられている。11〜12年度はデフレの影響で減額され、13年度は60円増にとどまった。14年度の保険料は04年時点の想定より850円低い水準となる。
 国民年金の14年度の年金支給額は0.6〜0.7%減額される見通し。国民年金を満額支給している人(現在、月6万4875円)の場合、400円ほど減り、約6万4400円になる。会社員が加入する厚生年金の保険料は毎年0.354%引き上げられており、今年9月分から17.474%(労使折半)になる。

平成26年1月28日(火曜日)日本経済新聞電子版

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年金記録の訂正、迅速化へ新組織ー厚労省に15年度にも2014/01/15

 政府は年金保険料を支払ったのに記録がない「消えた年金」の問題を巡り、記録の訂正を迅速にできるようにする。2015年度にも厚生労働省に記録の訂正を審査する専門組織をつくる。素早く記録の訂正ができる組織を設けることで、再び消えた年金問題が広がらないようにする狙いだ。
 現在は記録の訂正・請求の手続きを定める年金制度の法律はない。厚労省に記録訂正の調査や権限を持たせるように法改正する。14年の通常国会に関連法の改正案を提出する。
 政府は「消えた年金」が発覚した07年以降、総務省に「年金記録確認第三者委員会」を設け対応してきた。年金を所管する厚労省に法的な組織をつくることで、確認作業を早める。

平成26年1月14日(火曜日)日本経済新聞電子版

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国民年金保険料、滞納者に強制徴収ー年収400万円以上2013/12/18

 厚生労働省は17日、自営業者や学生らが加入する国民年金の保険料を滞納している年収400万円以上の人に対し、強制徴収する方針を固めた。13カ月以上、保険料を滞納している人が対象で、推計では約14万人にのぼる。対象者全員に財産の差し押さえにつながる督促を実施し、低迷する納付率の改善につなげる。2014年度から実施する。
 いまも滞納者に督促を実施できるが、人員不足などの理由で、滞納保険料の全体の0.2%程度しか実施していない。14年度から人員を拡充して対応する。督促状を送ると保険料納付の時効が停止し、納付に応じない場合には財産を差し押さえる。
 滞納者には低所得を理由にする人も多く、厚労省は一定の所得を得ている人を対象にする。低所得者向けに納付を一定期間、猶予する対象を現在の20代だけでなく30〜40代にも広げることを検討する。自営業者らが加入する国民年金は納付率が低迷している。12年度の納付率は59%と目標の60%を下回った。所得に余裕があるにもかかわらず保険料を納めない人が多くいることで、制度の存在意義が問われていた。

平成25年12月18日(水曜日)日本経済新聞電子版

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年金男女差訴訟で基金側が控訴2013/12/07

 地方公務員の遺族補償年金の受給要件をめぐり、夫だけ年齢制限があるのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして、公務災害で中学教諭の妻を亡くした大阪府内の元会社員の男性(66)が不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、被告の地方公務員災害補償基金(東京)は6日、受給要件を違憲として処分を取り消した大阪地裁判決を不服として控訴した。
 同基金は「判決には受け入れられない点があり、関係者とも協議の上、総合的に検討した結果」とコメント。原告の代理人弁護士は「判決に即して法改正を進めて欲しかった。控訴となって遺憾」と話している。
 地裁は11月25日、公務災害で配偶者が死亡した場合、妻には年齢制限がないのに夫だけ原則55歳以上とする地方公務員災害補償法の遺族補償年金の受給要件について「性別で分けるのは不合理で違憲、無効」と判断していた。

平成25年12月6日(金曜日)MSN産経ニュース

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遺族年金、夫の受給年齢制限は「差別的」で違憲2013/11/26

 公立中教諭だった妻(当時51歳)を職務に起因する自殺で亡くした元会社員の男性(66)(堺市)が、遺族補償年金の受給要件で夫に年齢制限があるのは法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、地方公務員災害補償基金(東京)に不支給決定取り消しを求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。
 中垣内健治裁判長は「性別で受給権を分けるのは不合理な差別的取り扱い」として違憲、無効とする初判断を示し、決定を取り消した。
 地方公務員災害補償法は、妻の死亡時に夫が55歳以上なら60歳から同年金を受給できると規定し、夫の受給に年齢制限を設けているが、妻の受給にはない。同様の男女差規定は民間の労災保険や厚生年金などの遺族年金にもあり、判決は他の年金制度にも影響する可能性がある。
 判決によると、堺市立中教諭だった妻は1998年に自殺。公務災害と認めなかった同基金を相手取り、夫が起こした訴訟で、大阪地裁が勤務先の学級崩壊に関係する自殺と認め、2010年4月、公務災害に認定された。男性は同基金に遺族補償年金の支給を申請。しかし、妻の死亡時に51歳だったため不支給になった。

平成25年11月25日(月曜日)読売新聞電子版

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公的年金:10月分から減額、段階的に本来水準へ2013/09/29

 公的年金の支給額が過去の物価下落を反映し、10月分(12月支給)から1%減額される。2015年度まで3段階で引き下げられ、減額幅は計2.5%となる。年金支給額の増減は原則、前年の物価変動に応じて決定。1999〜01年度は物価が下がったのに、政治判断で支給額が据え置かれ、約7兆円の「払い過ぎ」が生じており、政府が10月から3段階で本来水準に戻すことを決めていた。
 減額後、15年度の満額の国民年金は、13年度の月額6万5541円に比べて月1675円減の6万3866円。モデル世帯の厚生年金(夫婦2人分)は13年度の月額23万940円に比べ月5900円減り、22万5040円になる。
 毎年の減額幅は13年度(10月〜)と14年度が1%ずつで、15年度が0.5%。物価変動がない場合、1カ月にどれだけ減るかをみると、国民年金は、13年度666円▽14年度675円▽15年度334円。厚生年金は、13年度2349円▽14年度2375円▽15年度1176円の減額となる。
 これにより、年金の伸びを物価の伸びより抑える「マクロ経済スライド」を発動する環境が整う。同スライドは「特例水準解消後」に適用することが決まっているためで、16年度以降も年金額は伸びない可能性がある。

平成25年9月29日(日曜日)毎日新聞電子版

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障害年金「制度知らない」多数…厚労省調査2013/08/24

 厚生労働省は、障害年金について、制度が知られていないため、申請せずに未受給のままの障害者が相当数いるとみて、広報の強化を図る。
 厚労省が行った調査で、未受給者の多くが制度や手続き方法を知らなかったと答えたためで、障害者団体を通じてPRするとともに、新たに障害者手帳に障害年金の申請方法を記載する。
 厚労省の調査は2011年11月〜12年2月に身体障害者を対象に行った。自治体を通じて選んだ障害者手帳を持つ20歳以上の身体障害者6679人のうち、障害年金の未受給者で、障害年金の対象となる65歳未満の335人を抽出してアンケート形式で実施した。調査に対しては、295人が回答した。
 この調査をきっかけに、少なくとも27人が基準を満たしているのに申請していないことが判明し、障害年金を新たに受給した。このうち7人は、最も障害が重く支給額も多い「1級」と認定された。

平成25年8月23日(金曜日)読売新聞電子版

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財政悪化の基金廃止、改正厚生年金保険法が成立2013/06/20

 企業年金の一種である厚生年金基金の制度を見直す改正厚生年金保険法が19日午前の参院本会議で、自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。財政状況が悪化した基金に解散を促すのが柱。AIJ投資顧問による年金消失事件をきっかけに表面化した厚年基金の財政難問題に対応する。
 厚年基金は独自の企業年金と、厚生年金の一部を国に代わって支給する代行部分を一体で運用する仕組み。運用難から代行部分に穴が開き、資金を国に返せない事態が生じている。
 改正法は財政状況が特に深刻な基金を5年以内に解散させ、母体企業に代行部分を返還させる。それ以外の基金も基準を下回れば厚生労働相が解散命令を出せる。約560ある厚年基金のほぼ9割が廃止となる見通しだ。与野党の修正協議で民主党が求めた「10年以内に、存続基金は解散するか他の企業年金に移行するよう検討する」との付則も加えた。
 夫が「脱サラ」した時に国民年金への資格変更などを怠っていた専業主婦への救済策も盛り込んだ。切り替えを忘れていた期間は未納だが年金に加入はしていたものとして扱い、過去10年分の保険料の追納を認める。

平成25年6月19日(水曜日)日本経済新聞電子版

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国民年金納付率、7年ぶり増へー目標は未達2013/05/26

 2012年度の国民年金保険料の納付率は7年ぶりに前年を上回る見通しだ。厚生労働省の調べでは12年4月〜13年2月までの納付率は58.2%で前年を0.2%上回った。3月も前年を上回ったもよう。11年度は過去最低を記録していたが、底打ちする格好。ただ、若者を中心に未納問題は根強く、政府は一段の改善策を検討している。
 国民年金は会社員や公務員以外の自営業者などが加入する公的年金制度だ。最近は非正規労働者が増え、低所得を理由に未納が広がっている。納付率は1990年代半ばは80%台だったが、11年度は58.6%まで落ち込んだ。厚労省や日本年金機構は納付督促を委託している民間業者との連携を強化して納付率の引き上げに注力し、「12年度は一定の成果が出た」(厚労省)。
 ただ、このまま改善傾向が進むかは不透明だ。政府は07年度に納付率を80%に高めるとしていたが、達成できなかった経緯がある。12年度の目標(60%)も未達となる見通し。未納分は年金の受給額に反映されないため年金財政に大きな影響はないが、このまま放置すれば将来、生活保護者が増え国庫負担が増す可能性がある。

平成25年5月25日(土曜日)日本経済新聞電子版

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障害年金不支給は違法=母証言で認定−名古屋地裁2013/05/23

 てんかん患者の愛知県一宮市の40代女性が厚生労働省を相手に、障害基礎年金の受給を認めなかった処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が23日、名古屋地裁であった。福井章代裁判長は発症当時の発作の程度について「介助に当たった母親の証言は信用できる」と指摘し、不支給は違法だとして処分を取り消した。
 福井裁判長は「母親は発作や日常生活を直接見てきた。証言は医学的知見などとも符合する」と判断。「母親の話は記録に基づかず、客観性もない」とする厚労省側の主張を退け、01年6月までさかのぼり、障害等級2級と認定した。
 判決によると、女性は1999年に脳炎で入院し、てんかんを発症。退院後も月1回は昏睡(こんすい)状態に陥り、発作のため就職できなかった。
 市役所に相談して年金制度を知り、10年に初めて申請したが、厚労省は「発症当時の詳細な状況が不明だ」として支給を認めなかった。

平成25年5月23日(木曜日)時事通信社

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公的年金、5年連続で積立金取り崩し2013/04/02

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2013年度の予算や資金計画を公表した。団塊世代の受け取りなどで増えた給付をまかなうため、積立金を4.6兆円取り崩す。12年度に比べて取り崩し額は減るが、保険料や税金で足りない分を穴埋めする異例の事態が続いている。
 取り崩しは09年度以来5年連続。公的年金は毎年入ってくる保険料と税金で給付をまかなう。以前は保険料・税収と運用益で積立金が増えていた。しかし、この5年は低成長や年金受給者の高齢化、団塊世代の大量退職などで毎年の収入だけでは給付がまかなえず、GPIFが積立金を取り崩し資産を市場で売却して支払いに充てている。
 09年度の取り崩し額は約4兆円、10年度は6兆円。12年度は当初、政府が年金交付国債をGPIFに引き受けさせて一時的に8兆8千億円まで膨らむ想定が、当時野党の自民党などの反発で撤回された。それでも取り崩し額は6兆4千億円に達した。
 厚生労働省は今後、厚生年金や国民年金の保険料が引き上げられるのにあわせ、GPIFの年金積立金の取り崩し額は減っていくとしている。

平成25年4月1日(月曜日)日本経済新聞電子版

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13年度の公的年金額、10月分から1%下げ2013/01/25

 厚生労働省は25日、2013年度の公的年金額を発表した。4〜9月分の年金額は12年度と同じ水準に据え置く。10月分からは過去の特例によって本来より高くなっている水準を1%下げる。国民年金を満額で受け取っている人は、12年度と比べ月額で666円減の6万4875円、厚生年金を受け取る標準世帯では同2349円減の22万8591円となる。
 4月分の年金は6月に支払われる。年金額は毎年、前年の消費者物価指数(CPI)の結果を基に、物価の影響を反映している。12年の生鮮食品を含めたCPI(総合)は前年と変わらなかったため、13年度の年金額は据え置く。10月分からの1%減額は、昨年11月に特例で本来より2.5%高くなっている年金水準を段階的に解消する法が成立したためだ。
 厚労省は13年度の国民年金保険料が12年度に比べ月額で60円増え1万5040円になることも発表した。

平成25年1月25日(金曜日)日本経済新聞電子版

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診断書なくても障害認定、年金請求めぐり名古屋地裁判決2013/01/18

 2001年に胃がんで死亡した男性(当時40)の妻(51)=名古屋市=が、男性の生存期間中の障害年金を支給するよう求めた請求について、診断書がないことを理由に国が却下したのは不当と訴えた訴訟で、名古屋地裁は17日、男性の障害を認め、障害厚生年金の却下処分を取り消した。
 判決理由で福井章代裁判長は「請求に対する判断の資料を診断書に限るとした規定は見当たらず、男性の日記や妻の証言などで病状の推移は認定できる」と指摘。「初診から1年半後の認定の起算日となる時期には、男性は障害等級3級の状態にあった」とした。
 妻の代理人弁護士は「診断書がなくても障害があったと認め、全国的にあまり例がない判決」と話した。
 判決によると、男性は1993年10月に胃がんで余命6カ月から1年と診断されたが、医療機関での診療を拒否し、漢方などでの治療を続けたため診断書がなかった。01年2月に死亡した。
 妻は07年9月、男性の生存中の障害年金を国に請求したが、旧社会保険庁は却下。再審査請求も却下されたため提訴した。
 厚生労働省年金局事業管理課は「国の主張が認められず、大変厳しい判決だ。関係省庁と協議し適切に対処したい」としている。

平成25年1月18日(金曜日)日本経済新聞電子版

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年金減額、来年10月から…特例解消で3党合意2012/11/14

 民主、自民、公明3党が13日、過去の特例措置に伴い本来より高くなっている年金支給額を減額する国民年金法改正案の修正案で合意したことで、来年10月から年金の減額が始まることになった。
 引き下げは、来年10月、2014年4月、15年4月の3段階で行われ、2.5%高くなっている年金支給額は本来の水準にまで引き下げられる。14日の衆院厚生労働委員会、15日の衆院本会議で可決され、今国会で成立する予定だ。
 公的年金は物価変動に合わせて支給額を決める仕組み。00年度以降の物価下落時に、当時の森政権などが高齢者の反発を恐れて、支給額を据え置いてきた結果、年金額は本来より2.5%高い特例水準の状態が続いている。厚生労働省によると、特例水準で余分に支払われる年金は年約1兆円で、年金財政を圧迫する要因の一つになっていた。
 3党の修正案は、支給額を来年10月分から1%、14年4月分から1%、15年4月分から0.5%をそれぞれ段階的に引き下げる内容だ。

平成24年11月14日(水曜日)読売新聞電子版

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厚生年金基金制度、10年後に廃止…厚労省方針2012/10/28

 厚生労働省は28日、企業年金の一種である厚生年金基金制度を10年後に廃止する方針を固めた。
 厚生年金の一部を国に代わって運用する「代行部分」の積み立て不足分は、基金の加入企業に返還を求めるが、返還しきれない分は厚生年金の保険料で穴埋めする。
 同省は11月2日に開く社会保障審議会年金部会の専門委員会にこうした改革案を示す。年内にも成案をまとめ、来年通常国会に必要な法案を提出したい考えだ。
 改革案には、基金を解散しやすいよう、加入企業が共同責任を負う連帯保証制度の廃止や返還額の減額なども盛り込む。ただ、積み立て不足分の負担を基金と無関係な厚生年金加入者に求めることには反発も予想される。
 厚生年金基金制度を巡っては、運用難で保有資産が国から借りている分を下回る「代行割れ」が相次いでいる。AIJ投資顧問の年金資産消失問題では、同社に資産を預けていた基金が大きな被害を受けた。

平成24年10月28日(日曜日)読売新聞電子版

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国民年金基金、積み立て不足1兆4千億超ー11年度末2012/10/24

 国民年金の上乗せ給付として自営業者らが任意加入している国民年金基金の積み立て不足が2011年度末に約1兆4271億円に達した。10年度末時点の1兆2989億円から増加した。過去に想定していた運用利回りを下回ったほか、高齢化による年金受給者の増加で、国民年金基金の財政問題が一段と深刻になっている。
 国民年金基金連合会の調べで分かった。11年度末に必要な積立金は4兆1015億円だったが、残高は2兆6743億円にとどまった。国民年金基金制度は将来の年金を現役時代から掛け金として積み立てて、受給者に給付する積み立て方式で運営している。将来の給付のために必要な原資として保有しておかなければならない責任準備金に占める積み立て不足の割合は11年度末時点で35%程度だった。
 国民年金基金は1991年の設立。加入者は約52万人で、受給者は約34万人いる。受給者が増える一方で加入者は減収傾向にある。
 企業年金の厚生年金基金も積み立て不足が深刻で厚生労働省が制度廃止の基本方針を打ち出した。

平成24年10月23日(火曜日)日本経済新聞電子版

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厚年基金、廃止方針を決定=10年先にも−厚労省2012/09/29

 厚生労働省は28日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受けて設置した特別対策本部(本部長・辻泰弘副大臣)の会合を開いた。会合では厚生年金の一部を国に代わって運用する企業年金「厚生年金基金」制度について「一定の経過期間をおいて廃止する方針」(辻副大臣)を決めた。
 運用に苦しむ基金のさらなる財政悪化を防ぐとともに、再建のめどが立たない基金の解散を促すのが狙い。10月中に改革原案を策定し、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会での議論を経て、年内に最終案をまとめる。来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。廃止時期は、代行部分の積立金不足(代行割れ)問題の解決や他の企業年金制度への移行準備などが必要なため、10年程度先になる見通し。
 辻副大臣は会合後の記者会見で、厚年基金制度について「時代的な使命が終わった制度だ」と指摘。代行割れ基金は「解散の方向で取り組んでいく」との考えを示した。代行割れ基金が解散した場合、厚生年金は支給されるものの、企業年金は給付されなくなる。
 会合では、代行割れ基金が解散する際の対策として、国へ返還しなければならない積立金を減額する方針も決まった。また、複数の企業が加入する基金について、解散時の国への積立金返還に関し連帯責任を負う制度も廃止する。
 厚年基金制度の存廃をめぐっては、自民党が存続容認の姿勢を示しているほか、多くの基金が存続を求めているため、廃止を決めれば反発は必至とみられる。

平成24年9月28日(金曜日)時事通信社

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通勤手当の除外議論へ=年金などの保険料算定で厚労省2012/09/11

 厚生労働省は11日、年金や健康保険などの保険料を算定する報酬の範囲を見直すための検討会を設置した。現在は報酬に含んでいる通勤手当を除くかどうかを議論する。厚労省は年金や健康保険の財政に与える影響を調べたうえで、年内にも結論を出す考えだ。
 毎月の保険料を計算する標準報酬月額には、基本給や手当など従業員が企業から受け取るすべてが含まれる。ただ、同じ基本給でも通勤距離が長い方が納める保険料が高くなるなど合理性を欠くとの見方が出ていた。
 通勤手当を報酬から除くと保険料が下がる人が出る可能性がある半面、保険料収入の減少を補うため保険料率の引き上げを招く恐れもある。

平成24年9月11日(火曜日)日本経済新聞電子版

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消費増税、さらに最大6.2%…新年金で再試算2012/09/11

 民主党社会保障・税一体改革調査会(会長・細川律夫前厚生労働相)は6日午前の会合で、同党が目指す月7万円の最低保障年金創設を柱とする新年金制度について、新制度の移行に必要な財源の再試算結果を公表した。
 同党の新年金制度は2016年度から40年かけて移行する計画。4案で制度設計し、高齢化がピークを迎える75年度時点での財源を再試算した。必要な財源は最大58.7兆円と見込み、消費税率に換算すると、消費税率10%への引き上げとは別に、最大6.2%分の追加増税が必要になるとした。
 2月の前回試算では、追加増税の幅を最大7.1%と想定していた。その後、政府の人口推計で出生率予測が改善するデータが得られたため、年金受給世代への支え手が予想より増えると見て、追加増税幅を約1%圧縮できると判断した。

平成24年9月6日(木曜日)読売新聞電子版

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年金法改正案 今国会での成立断念2012/09/05

 政府・民主党は、過去の特例措置で本来より高くなっている年金の支給額を引き下げることなどを盛り込んだ国民年金法の改正案について、今の国会での成立を断念し、ことし10月分から引き下げられる予定だった年金は、当面、今の支給額が維持されることになります。
 政府は、過去の特例措置によって、本来より2.5%高くなっている年金の支給額を、ことし10月から3年間かけて本来の水準に戻すための国民年金法の改正案を国会に提出しています。
 しかし、野田総理大臣に対する問責決議が参議院で可決され、野党側が審議に応じない姿勢を示していることから、政府・民主党は、国民年金法の改正案を今の国会で成立させることを断念しました。これにより、当面、今の年金の支給額が維持されることになります。
 厚生労働省の推計によりますと、年金は、過去の特例措置により、平成12年の4月から今年3月末までに、合わせておよそ7兆円、本来より多く支払われており、このまま法案が成立しなければ、今年度は、さらに1兆円程度、本来より多く年金が支払われる見込みです。 

平成24年9月3日(月曜日)NHK NEWSweb

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「やむ得ぬ理由」厚生年金基金脱退、認める判決2012/08/26

 長野県内の建設会社が求めていた厚生年金基金からの脱退を認めた24日の長野地裁判決で、山本剛史裁判長は「『やむを得ない理由』がある場合には、任意脱退を制限することは許されない」などと判決の理由を示した。
 建設会社が加盟する「長野県建設業厚生年金基金」(長野市)では、2010年に23億円余の使途不明金が発覚、財務状況も悪化していたことから、建設会社が昨年1月に脱退を申請した。これに対し、基金の代議員会は不承認と議決し、建設会社が訴訟を起こした。
 訴訟では、基金側が加盟企業の脱退が相次ぐと存続できなくなるなどとして、脱退には代議員会の議決が必要だと主張したが、判決は、基金との信頼関係を損なうような「やむを得ない理由」がある場合、議決は不要との判断を示した。

平成24年8月25日(土曜日)読売新聞電子版

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厚労省、「消えた年金記録」2240万件なお未解明2012/07/25

 厚生労働省と日本年金機構は24日、約5000万件の消えた年金記録問題で、2240万件の記録が解明できていないことを明らかにした。コンピューターで管理している年金記録と原簿の紙台帳の内容が一致せず、誰のものか分からない記録が4割強も残っている。年金機構は「死亡などで手掛かりがつかめないものが多い」と説明しており、解明作業は難航しそうだ。
 消えた年金記録問題は、旧社会保険庁が名前や生年月日を間違えて記載するといったずさんな情報管理で生じた。厚労省は問題を受け、2007年から年金記録の解明を進めてきた。2855万件は解明された。1296万件の記録は正しくなった。厚労省は記録を回復できた人が生涯受け取る年金額は、1.6兆円増えたとしている。
 これまでは年金受給者の記録を優先して確認してきたが、公的年金加入者の記録を全件照合する。30代から50代までの3030万人を対象に、コンピューター上の記録と紙台帳の記録を突き合わせ、加入者を確認する。作業は13年度中に終了する。

平成24年7月24日(火曜日)日本経済新聞電子版

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11年度の国民年金納付率最低に、58.6%ー6年連続低下2012/07/05

 2011年度の国民年金保険料の納付率が58.6%で過去最低を更新したことが厚生労働省のまとめで明らかになった。10年度の59.3%を0.7ポイント下回り、6年連続の低下となる。収入が低く年金制度への不信感が強い若者の未納に歯止めがかかっていない。
 国民年金は公務員や会社員以外の人が加入する公的年金制度の一つ。加入者はこれまで自営業者が中心だったが、最近はパートなど非正規労働者も増えている。正社員になれない若者の間では月額約1万5千円の保険料を払えない人が目立ち、1990年代半ばに80%台だった納付率は低下傾向が続いている。
 主婦でも夫が公務員や会社員でなくなった後に未納者になる例がある。厚労省が昨年末から、こうした例を未納扱いし始めたことも未納率が上がった要因とみられる。厚労省などは納付督促を委託している民間業者との連携を強化して、納付率を引き上げる考えだ。

平成24年7月5日(木曜日)日本経済新聞電子版

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年金支給開始、67歳以上に=OECD加盟国の4割2012/06/11

 経済協力開発機構(OECD)は11日発表した年金に関する報告で、先進国を中心とする加盟34カ国のうち、約4割に当たる13カ国が長期的方針として、年金支給開始年齢を67歳以上に引き上げるか、既にその水準まで引き上げていることを明らかにした。平均寿命が伸びているほか、2008年の世界的な金融危機以降、経済・財政状況が深刻な影響を受けていることが背景にあるとしている。
 日本の厚生年金の支給開始年齢は段階的に65歳まで引き上げられる予定で、13カ国の中に日本は含まれていない。ただ、政府内では68〜70歳に引き上げる案が検討されている。
 OECDの報告は年金支給開始年齢引き上げの動きについて、年金財政の改善や世代間の年金負担の公正化、退職年齢の引き上げなどに役立つとして「歓迎すべき傾向」と評価している。

平成24年6月11日(月曜日)時事通信社

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67%の人が自分の年金記録確認…厚労省調査2012/05/04

 厚生労働省は2日、「過去3年程度の間に自分の年金記録を確認したことがある」という20歳以上の人が67.4%に上ったとする、公的年金加入状況調査の結果を発表した。
 調査は2010年時点。07年には旧社会保険庁が約5000万件の年金記録漏れ問題を公表しており、年金記録への国民の関心の高さが浮き彫りとなった。
 記録確認の手段としては、約8割が公的年金の加入記録を知らせる「ねんきん定期便」などを使っていた。定期便は年1回、誕生月に記録が郵送される仕組みだ。
 一方、これまでに一度も年金に加入していないなどの非加入者(20〜59歳)の推計値は89万9000人。全体に占める割合は、04年時点の前回調査より0.1ポイント増の1.4%となった。

平成24年5月4日(金曜日)読売新聞電子版

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公的年金、3521億円の黒字=保険料収入2年ぶり増−10年度2012/03/28

 厚生労働省は27日、公的年金制度の2010年度財政収支をまとめ、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)数理部会に報告した。厚生、共済、国民の各年金を合わせた全体の収支(簿価ベース)は、3521億円の黒字。会社員ら加入者の多い厚生年金の保険料率引き上げで、制度全体の保険料収入が2年ぶりに増加したのが主な要因だ。
 保険料収入は、所得減で国家公務員と地方公務員の各共済などでマイナスだったが、所得が横ばいながら保険料率を引き上げた厚生年金が前年度比2.2%増と落ち込みをカバーし、全体で1.5%増の28兆6854億円となった。

平成24年3月27日(火曜日)時事通信社

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年金支給額4月から0.3%引き下げ=政府が閣議決定2012/03/23

 政府は23日、2012年度の公的年金支給額を0.3%引き下げることを閣議決定した。国民年金は4月分から、満額支給の場合で11年度比200円減の月6万5541円、厚生年金は夫婦2人の標準的な世帯で、708円減の23万940円となる。物価下落に伴う措置で、4月分は6月に支給する。
 国民年金保険料も物価下落を反映し、40円引き下げ、月1万4980円となる。年金の支給額や保険料は物価水準を反映する仕組みがあるため、政府はこれを適用する。
 ただ、現在の年金の支給額は、過去の物価下落時に据え置いたことで本来よりも2.5%高くなっている。政府はこれを12年度から3年間かけて年金を減額しながら、解消する国民年金法の改正案を国会に提出している。法案が成立すれば、10月分の年金はさらに0.9%引き下げる。

平成24年3月23日(金曜日)日本経済新聞電子版

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滞納の年金保険料、強制徴収へ…国税庁が請け負い2012/03/22

 国税庁が22日、日本年金機構から年金保険料の滞納者に対する強制徴収の委任を受けたことがわかった。
 実施されれば、2010年1月の制度導入以来、初のケースとなる。同庁によると、滞納者は東京国税局管内の企業で、滞納額は1億円以上に上るという。
 政府は10年に社会保険庁を解体して同機構を発足させた際、悪質滞納者対策として強制徴収のノウハウを持つ国税庁の活用を決定。〈1〉保険料の滞納が2年以上〈2〉国民年金は滞納者の所得額が1000万円以上、厚生年金は滞納額1億円以上――などの要件に該当すれば同機構が厚生労働相を通じ、財産差し押さえなどの強制徴収を国税庁に委任できるよう法改正していた。

平成24年3月22日(木曜日)読売新聞電子版

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厚生年金で事業所調査へ=加入逃れ、半減目指す2012/03/22

 厚生労働省は21日、厚生年金への加入義務があるのに加入手続きをしない事業所について、3年以内に半減させる目標を定め、約175万カ所ある全ての対象事業所を4年に1度、調査する方針を決めた。
 同日の民主党厚生労働部門会議で示した。厚労省はパートなど非正規労働者を2016年度から厚生年金、健康保険に加入しやすくする法案を今国会に提出するが、加入逃れ事業所の把握を徹底し、加入拡大に備える。
 保険料負担を逃れるため、国の指導を受けても加入手続きを怠る事業所は依然として多く、10年度末で少なくとも約11万カ所に上る。

平成24年3月21日(水曜日)共同通信

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診断書作成の医師に懲役8年=障害年金不正受給−札幌地裁2012/03/19

 聴覚障害を装った障害年金不正受給事件で、うその診断書を作成したとして、詐欺などの罪に問われた札幌市の耳鼻咽喉科医前田幸◆(日の下に立)被告(77)に対し、札幌地裁(園原敏彦裁判長)は19日、懲役8年(求刑懲役15年)の判決を言い渡した。
 被告側は「患者同士が連絡を取り合い、聞こえない演技をした。だまされた」と無罪を主張したが、園原裁判長は不正受給者42人と看護師らの証言などから「被告は診察時、筆談や耳元で大声で話すことなく、普通の声の大きさで話し掛けていた」と指摘。「診断書に明らかに真実でない聴力レベルを記載し、果たした役割は大きい。偽装患者の通院で診療報酬を得た」と利益目的だったと認定した。

平成24年3月19日(月曜日)時事通信社

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共済年金、2015年10月厚生年金に統合へ2012/03/15

 政府は15日、公務員などが加入する共済年金を、会社員の厚生年金に統合する被用者年金一元化について、消費税率の10%への引き上げを予定する2015年10月に統合する方針を固めた。
 政府は、被用者年金一元化法案を4月上旬に国会に提出したい考えだ。
 一元化は、共済年金の給付内容などを15年10月に厚生年金と同一にする形で実施し、保険料率については段階的に格差をなくす。厚生年金(現在は16・412%、労使折半)は17年9月以降は上限の18・3%になることが決まっており、公務員の共済年金(15・862%、同)も1年遅れの18年9月に18・3%に統一する。
 被用者年金一元化は、社会保障・税一体改革の柱の一つ。政府は当初、消費税率引き上げ法案と同時に、一元化法案を国会に提出する方針だったが、政府・与党内の調整が間に合わず、提出を先送りした。共済年金に上乗せして支給され、公務員優遇との指摘がある「職域加算」については結論を先送りし、近く有識者会議を設けて検討を進める。

平成24年3月15日(木曜日)読売新聞

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所在不明の年金受給者、家族の届け出義務化=厚労省が不正対策2012/02/12

 死亡した高齢者に年金が支給された例が相次いだため、厚生労働省は不正受給を防ぐ対策をまとめた。高齢の受給者の生存を確認しながら、所在がわからない高齢者と同居する家族には、日本年金機構への届け出を義務付ける。国民年金法などの改正案を今国会に提出する。
 同居する家族が受給者の死亡している場合や、連絡がつかないにもかかわらず、年金の支給が続いていた例が続出して問題になった。厚労省は所在不明の届け出を家族に義務付ければ、不正受給をある程度防げると考えている。
 現在、日本年金機構は2010年7月時点で76歳以上で、1年間医者にかかっていない約33万人を対象に、生存を確認する調査をしている。75歳以上の後期高齢者医療に入っていない受給者についても、一定期間ごとに確認する計画だ。
 そのうえで、所在がわからない年金受給者については、同居家族に対し、所在を確認する届け出を出すように求める。さらに年金受給者本人にも生存確認のための書類を送って、返信がなければ年金の支給を止める。 

平成24年2月12日(日曜日)日本経済新聞電子版

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年金支給額、0.3%下げ=物価下落で4月から−厚労省2012/01/27

 厚生労働省は27日、2012年度の年金支給額を4月分(6月支払い分)から0.3%引き下げると発表した。総務省が同日発表した、11年平均の全国消費者物価指数が前年比で0.3%下落したことに伴う措置。
 公的年金は、支給額に毎年の物価変動を反映させる「物価スライド」が適用されている。毎月の支給額は、国民年金が1人につき前年度比200円減の6万5541円、厚生年金が標準的夫婦2人分で同708円減の23万940円となる。

平成24年1月27日(金曜日)時事通信社

<ご参照ください>
厚生労働省報道発表資料

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未払い保険料、10月から追納期間延長=政府2012/01/20

 政府は20日の閣議で、国民年金保険料の未払い分をさかのぼって納められる追納期間を現行の「過去2年間」から「過去10年間」に延長する年金確保支援法の施行期日を10月1日とする政令を決めた。同法は保険料未納による無年金・低年金者を減らすのが狙い。追納期間延長は3年間の時限措置となっている。

平成24年1月20日(金曜日)時事通信社

<関連記事>
http://trace-sr.com/news.html?c=11#10

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厚生労働省、財政悪化の31厚生年金基金を監視対象に2011/12/24

 厚生労働省は財政状況が悪化した31の厚生年金基金を監視対象に加えた。これらの基金は、運用の失敗で積立金が必要額の9割を下回り、厚労省が財政健全化を促す指定基金となった。31基金は、掛け金の引き上げや給付減額など年金財政の再建につながる健全化計画をまとめる。
 厚年基金は企業年金の一つで、公的な厚生年金の一部を国に代わって運用し、企業独自の年金と組み合わせて給付する。以前は大企業も厚年基金をつくっていたが、現在は中小企業の基金が多い。
 指定基金になると、5年間の健全化計画を作る必要がある。2011年度に指定基金となった31基金はタクシー、運送業、建設業などだ。
 10年度以前の指定基金を含めると、指定基金は全体で81基金となった。厚年基金は12月1日時点で582基金あり、指定基金は1割強を占める。財政悪化が深刻化している基金は、積立金の運用がリスクの高い商品に偏っているケースが多い。現役社員がリストラや採用抑制で少なくなっているのに、退職者が増え、給付が増加する構造問題も抱えている。

平成23年12月23日(金曜日)日本経済新聞電子版

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2010年度の公的年金支給額、1.7%増の51兆円2011/12/19

 厚生労働省は19日、2010年度の公的年金支給額が前年度比1.7%増の51兆1000億円だったと発表した。団塊世代が年金受給者に加わったほか、平均寿命が延びた影響もあり、前年度より9000億円増えた。年金受給者数は前年度末比2.5%増の3796万人だった。
 公的年金には自営業者らが入る国民年金、会社員の厚生年金、公務員の共済年金、障害者らの福祉年金の4つがある。支給額は右肩上がりで増えており、09年度に初めて50兆円を超えた。11年度は予算ベースで約54兆円を計上している。
 1人当たりの平均年金支給額は国民年金が月額5万5000円。厚生年金(基礎年金と報酬比例部分の合計)は月額15万3000円だった。
 年金受給者は増えているが、年金保険料を払う現役世代は減少が続いている。公的年金の加入者数は11年3月末時点で6826万人。前年に比べて0.7%減った。内訳は国民年金が1938万人、厚生年金が3441万人などとなる。
 厚生年金では保険料の算定基準となる加入者の報酬が減少している。厚生年金の1人当たり総報酬額(給与と賞与の合計)は10年度は年430万6000円と、前年度比で0.1%減だった。国民年金では保険料の納付率が低下しており、10年度は59.3%と過去最低を記録した。

平成23年12月19日(月曜日)日本経済新聞電子版

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日本・ブラジル社会保障協定の発効について2011/12/09

 厚生労働省は7日、日本とブラジルの社会保障協定の発効手続きが終わり、来年3月1日から発効すると発表した。企業の駐在員らが両国の年金制度に同時加入する義務がなくなり、保険料の二重払いや、相手国での加入期間が足りず年金を受給できない不利益が解消する。
 駐在期間の見込みが5年以内の場合は、元の年金制度への加入を継続し、5年を超える場合は相手国の制度に一時加入。両国での加入期間が通算されるようになる。
 ブラジルでは年金保険料の事業主負担が20%。企業と社員の負担解消により、経済交流の促進が期待される。

平成23年12月7日(水曜日)厚生労働省資料より

<ご参照ください>
厚生労働省報道発表資料

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年金の国庫負担維持法が成立=復興債で財源確保2011/12/07

 2011年度の基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための改正国民年金法が、7日の参院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。
 改正法は、年金2分の1の国庫負担に必要な約2兆5000億円の財源を、東日本大震災の復興債で確保する内容。衆院で12年度以降の財源確保に関する法案付則の文言を一部修正した。

平成23年12月7日(水曜日)時事通信社

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国民年金法改正案、衆院を通過2011/12/01

 2011年度の基礎年金の国庫負担を50%に維持するため必要な約2兆5千億円に復興債を充てる国民年金法改正案が1日午後の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。全国で津波被害への備えを進める津波防災地域づくり関連2法案は全会一致で可決し、参院に送付された。ともに今国会で成立する見通しだ。
 11年度の国庫負担の財源は、2月に特別会計の剰余金を活用する法案を決定していた。だが震災後の4月に剰余金を11年度第1次補正予算の財源に転用するため、12年度以降の税制改革で確保する内容に修正していた。第3次補正で不足分を復興債で穴埋めすることになったため再び修正する。
 津波防災地域づくり関連2法案は都道府県知事が津波の危険性の高い区域を指定し、一定の土地開発や建築を制限できることなどを盛り込んだ。被害の恐れのある場所は知事が「警戒区域」などに指定し避難体制を強化する。

平成23年12月1日(木曜日)日本経済新聞電子版

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年金減額、来年度から実施へ=物価下落分、3〜5年で2011/11/30

 民主党は29日、厚生労働部門会議の年金ワーキングチーム(和田隆志座長)を開き、過去の物価下落時の特例措置で、本来よりも2.5%高くなっている年金支給額を2012年度から引き下げるべきだとする中間報告を大筋了承した。同部門会議座長の長妻昭元厚生労働相は、会合後記者団に対し、「3〜5年とか幅を持たせた方がいい」と述べ、段階的に引き下げる方向で党内の調整を進める考えを示した。30日の同部門会議に報告する。
 年金の支給水準は、物価変動に応じて見直す「物価スライド」で、前年の物価が下落した年度は支給額が減る仕組み。ただ、1999〜2001年は物価が下がったものの、00年度から3年間の年金額は当時の自公政権が年金受給者への配慮から特例で据え置いた。その結果、11年度は本来よりも2.5%高い額が支給されている。
 政府の行政刷新会議は23日の政策仕分けで、来年度からの物価下落分引き下げを提言。これを受け、小宮山洋子厚労相が3年程度かけて引き下げる意向を示していた。

平成23年11月29日(火曜日)時事通信社

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年金給付減、来年度実施を検討=仕分け提言尊重2011/11/24

 藤村修官房長官は24日午前の記者会見で、政府の行政刷新会議が「提言型政策仕分け」で年金給付額の引き下げを打ち出したことについて、「2012年度予算編成をはじめ、その実現に向けて具体的な検討を進める。(仕分けは)公開で議論を行い、(提言には)内閣としても重い意味がある」と述べ、提言を尊重して来年度からの引き下げ実施を検討する考えを示した。
 年金給付額は物価水準に連動する仕組みになっているが、景気への配慮から過去に特例として引き下げを見送った時期がある。このため、現在の給付額は本来の水準より2.5%多くなっている。刷新会議は今回の仕分けで、年金財政の健全化を図るため12年度からの是正を提言。これを受け、小宮山洋子厚生労働相は、12年度から3年間で段階的に給付額を引き下げる意向を示していた。

平成23年11月24日(木曜日)時事通信社

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厚生労働省、ネット上で「年金通帳」=紙の通帳は断念2011/11/16

 厚生労働省は16日、インターネット上で公的年金の加入記録や保険料の納付実績が確認できる年金通帳を導入する方針を固めた。早ければ2013年度からの導入を目指す。日本年金機構が運営する「ねんきんネット」で、銀行通帳のような表示形式で、年金記録を確認できるようにする。民主党が政権公約で掲げていた紙の年金通帳は断念する。
 厚労省が16日に開いた年金通帳に関する検討会で、「e―年金通帳」を導入する考えを示した。ねんきんネットでも加入記録、納付実績、年金見込み額の試算はできるが、一覧性に乏しかった。これを通帳形式で表示し、年齢ごとの納付実績や年金見込み額が分かるようにする。
 紙の年金通帳については、全国銀行協会が「銀行ATMで記帳を行うのは巨額のシステム改修費がかかり、現実的ではない」と反対していた。このため、厚労省は今年8月に年金通帳に関する検討会を設け、ネットを活用する方法を模索していた。

平成23年11月16日(水曜日)日本経済新聞電子版

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産休中の保険料免除案=厚生年金、子育て支援で−厚労省2011/10/31

 厚生労働省は31日、働く女性の子育て支援策として、厚生年金加入者の保険料を産休期間中(最大98日間)は免除する案を、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会に示した。現在は、育児期間中は3歳未満の子供の面倒を見る場合に限り母親の保険料を免除しているが、対象を産休中にも拡大する方針。同省は、来年の通常国会への法案提出を目指す。
 企業などで働く女性は、出産予定日前の6週間(42日)、出産翌日から8週間(56日)の産前・産後休暇を取得できる。ただ、期間中は7割程度が無給となり、厚生年金保険料が負担になっている。
 同省によると、産休中の保険料免除の対象者は年間20〜30万人程度。例えば、月収約20万円の人は労使で計月3万円程度の保険料を支払っているが、産休中98日間の保険料全てが免除された場合、本人負担は5万円前後減る。

平成23年10月31日(月曜日)17:56 時事通信社

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過払い分返還求めず=主婦年金、高齢者に配慮2011/10/29

 国民年金の切り替え手続きをしなかった専業主婦の保険料未納問題で、政府は29日、本来より多く年金を受給している5万3000人に対し、過払い分の返還を求めない方針を固めた。高齢者への配慮を求めた民主党の意見に沿ったもので、厚生労働省は近く、国民年金法改正案を修正した上で国会に提出する。
 厚労省は13日、専業主婦への年金過払いに関し、(1)時効にかからない過去5年間の過払い分の返還を求める(2)過払い分の返還などによる年金の減額幅は1割を上限とする−を柱とする同改正案の概要を民主党厚生労働部門会議に示した。
 しかし、主に年金収入で生活する高齢者に対し、過払い分の返還を求めることへの反対意見が同党内に多かったことから、当初の方針を変更することにした。過払い分を返還しないと、保険料を納めた人との間の公平性が問題となりそうだ。

平成23年10月29日(土曜日)17:39 時事通信社

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在日韓国・朝鮮人の無年金訴訟、控訴棄却−福岡高裁2011/10/17

 外国籍を理由に老齢年金を支払わなかったのは法の下の平等を定めた憲法に反するとして、福岡県内に住む70〜80歳代の在日韓国・朝鮮人やその遺族ら9人が、国に計約1億3500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、福岡高裁であった。
 森野俊彦裁判長(木村元昭裁判長代読)は「国の対応に裁量の逸脱・濫用があるとは言えない」と述べ、原告敗訴の1審・福岡地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。原告側は上告する方針。
 判決などによると、1959年施行の旧国民年金法には、保険料を60歳までに25年以上納めた場合、65歳から老齢年金を支給すると規定したが、被保険者を日本国民に限定する「国籍条項」があった。条項は82年に撤廃され、86年の法改正で、加入期間が足りない場合でも救済する措置が取られたが、当時60歳以上だった人は対象外とされた。
 控訴審判決は、82年と86年の国の対応について「救済措置が取られていないことが著しく合理性を欠くとは言えず、違法とは判断できない」として、1審判決と同様の判断を示した。

平成23年10月17日(月曜日)読売新聞電子版

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積み立て不足の企業年金=穴埋め猶予、1年延長(厚労省)2011/10/10

 厚生労働省は運用悪化で積み立て不足に陥った企業年金に対し、穴埋めを猶予する特別措置を継続する方針だ。現在も穴埋めを猶予しているが、これを1年間延長し、2012年度まで継続する。急激な円高や株式市場の低迷で、財政が悪化している基金が増えていることに対応する。
 対象となるのは、将来の受取額をあらかじめ決めて運用する確定給付企業年金と厚生年金基金。厚生年金基金は中小企業の加入が多く、確定給付年金は中小から大企業まで幅広く加入している。これらの基金は、企業が拠出した掛け金を積み立てて運用し、退職後に従業員に約束した額を給付している。
 厚労省は将来の給付に影響がでないように、積立金が一定の水準を下回ると、基金側に掛け金を引き上げて、穴埋めを求めるルールを設けている。ただ、08年の世界金融危機を受けて、厚労省は穴埋めを猶予する特別措置を実施している。
 特別措置は今年度で終了する予定だったが、厚労省は継続する方針に転換した。。最近の欧州債務問題の広がりで、運用成績が低迷している基金が増えているためだ。厚労省は基金の財政健全化を早急に求めるのは、現実的ではないと判断した。

平成23年10月10日(月曜日)日本経済新聞

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日中で社会保障協定=年金保険料二重払い防ぐ2011/10/06

 日中両政府は年金などの社会保険料の二重払いと掛け捨てを防ぐ社会保障協定の締結に向け、来週にも交渉に入る。中国が7月に労働者に社会保険加入を義務付ける、社会保険法を施行、今月15日から外国人にも適用が決まったため。海外で働く日本人は中国が最も多い。日本政府は早期に協定を締結し、日本企業の負担を軽減する考えだ。
 北京で日本の外務省と厚生労働省、中国の人事社会保障省の実務担当者が交渉を始める。1年程度で署名し、2013年の協定発効を目指す。
 日本政府は滞在期間が5年以内の人は日本で保険料を払い、外国の保険料を払わずに済むように中国政府と交渉する。日本で働く中国人も同じ扱いにする。
 海外駐在員の保険料は、本人負担分も含め、企業が全額を支払うケースが多い。社会保障協定を結ばないと、日本企業は駐在員の保険料負担で、進出コストが増す懸念が出ていた。社会保障協定を結べば、企業の大幅な負担は回避される見込みだ。

平成23年10月6日(木曜日)日本経済新聞抜粋

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厚生年金基金、支給漏れ5万件・二重給付1万2千件2011/10/05

 日本年金機構は4日、企業年金の一つで厚生年金に上乗せして支給する「厚生年金基金」の支給漏れが推計で約5万件、二重給付が約1万2000件あったとする調査結果を厚生労働省の年金記録回復委員会(委員長・磯村元史函館大客員教授)に示した。
 国や基金を運営する事業所側の各団体が管理する加入記録に相違があったのが原因だ。支給ミスにつながる加入記録のミスは、オンラインの記録上で基金加入履歴のある約4000万件のうち、約16万6000件となった。
 機構は、対応策として、支給漏れ分を追加で払うなどの案を示し、同委はこれを了承した。支給漏れでは、時効が成立しているかどうかにかかわらず、受給者に記録の訂正を通知し、追加支給する。二重給付の場合は、時効が成立しない過去5年分の過払い分の返還を求める手続きに入る。
 調査結果によると、1年間で最大約81万4000円の支給漏れや、約16万2000円の二重給付があった。支給漏れ約5万件のほか、支給漏れにつながる可能性があるものが約8万5000件あった。二重給付は約1万2000件で、その可能性があるものが約1万9000件あった。受給者だけでみると、支給漏れの平均は約2万2000円で、二重給付の平均は約1万6000円となった。

平成23年10月4日(火曜日)読売新聞電子版

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厚生年金、専業主婦が半分受給…支払者とみなす2011/09/29

 厚生労働省は29日、サラリーマンや公務員世帯の専業主婦が、夫が支払う厚生年金などの保険料の半分を払ったとみなし、夫が受け取る厚生年金などの受給額の半分を妻の基礎年金に上乗せする仕組みに改める方向で検討に入った。
 同省は改革案を29日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に示し、2012年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。
 サラリーマンや公務員世帯の専業主婦は、保険料を支払わないのに基礎年金を受け取ることができる。この第3号被保険者制度には「専業主婦優遇だ」という批判がある。3号の保険料は年金加入者全体で負担しており、3号の夫の保険料だけでなく、共働きや単身者の分も主婦への年金の原資になっているからだ。政府・与党が6月に決めた社会保障・税一体改革成案でも見直しを求めている。
 厚労省は見直しに向け、夫の保険料を増額したり、妻に保険料を求めたりする案や、妻の基礎年金を減額する案を検討していた。しかし、理解を得るのは困難だとみてこうした案は見送る一方、保険料支払いと年金受給とを対応させる形をとるため、今回の改革を実施することにした。

平成23年9月29日(木曜日)読売新聞電子版

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社労士に懲役8年=聴覚偽装で年金詐取−札幌地裁2011/09/22

 聴覚障害を偽装し、障害年金が不正に受給された事件で、詐欺などの罪に問われた社会保険労務士香田清被告(70)の判決公判が22日、札幌地裁であり、渡辺康裁判長は「公金詐欺のシステムを主導的に形成した」などとして、懲役8年(求刑懲役14年)を言い渡した。
 判決によると、香田被告は医師前田幸◆(日の下に立)被告(76)=詐欺罪などで公判中=らと共謀。年金請求者42人の聴力レベルの数値を偽装した診断書を作成し、2003〜08年、障害基礎年金など計約1億6800万円を詐取した。

平成23年9月22日(木曜日)13:51 時事通信社

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届け出忘れで「消えた年金」=全国の年金事務所で訂正2011/09/18

 日本年金機構は転勤や賞与支払いに関する届け出忘れが原因の厚生年金の「消えた年金記録」について、10月から全国の年金事務所で記録訂正できるようにする。これまでは、総務省の年金記録確認第三者委員会に申し立てる必要があった。年金事務所が直接訂正事務を行うことで、処理時間を短縮する。
 企業が従業員の転勤届や賞与支払いの届の提出を忘れていると、年金記録に空白期間が生じ、従業員がもらう年金が少なくなる可能性がある。「消えた年金記録」と呼ばれ、これまでに転勤と賞与関連で合計1万件の申し立てがあった。一定の審査ノウハウが積み上がったことから、今後は第三者委員会を通さずに、年金事務所で記録訂正できるようにする。
  記録訂正するには、転勤や賞与支払いがあったことを証明する必要がある。転勤の場合は人事記録や出勤簿、賞与の場合は給与明細や賃金台帳などの証明書がいる。
 日本年金機構は企業へ呼びかけ、届け出漏れがないかを確認してもらう。従業員についても記録ミスに気付いた場合は、年金事務所に問い合わせるように周知活動を強化する。

平成23年9月18日(日曜日)日本経済新聞

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厚生年金の適用範囲「週20時間以上」に拡大検討(厚労省が議論着手)2011/09/02

 厚生労働省は社会保障と税の一体改革の具体化作業に入る。非正規労働者を会社員と同じ厚生年金や企業健保に入れるために、労働時間や収入条件を見直す。現状の「週30時間以上働いている人」は「週20時間以上」に広げる。年収基準は130万円以下に引き下げることを検討する。企業の負担が増えるのは確実で、新たに発足する野田政権の判断が注目される。
 厚労省は1日、社会保障審議会の特別部会を開き、厚生年金や企業健保の適用拡大について具体策の議論を始めた。
 労働時間の見直しに伴い、夫が会社員や公務員の専業主婦を指す「第3号被保険者」と認定する基準を、今の年収130万円から引き下げる方向だ。厚生年金保険料の算定に使う標準報酬の下限を月額9万8000円から引き下げることも検討する。

平成23年9月2日(金曜日)日本経済新聞抜粋

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厚生年金、2682億円の赤字=10年度、国民は黒字−厚労省2011/08/11

 厚生労働省は10日、年金特別会計の2010年度収支決算を発表した。いずれも時価ベースでサラリーマンらが加入する厚生年金では2682億円の赤字。一方、自営業者らの国民年金では2195億円の黒字となった。厚生年金の赤字は2年ぶり、国民年金の黒字は2年連続。
 厚生年金は、09年度がリーマン・ショック後の株価回復で運用収入が8兆6000億円を超す大幅なプラスとなり、3年ぶりに黒字に転じた。しかし、10年度は東日本大震災による株価低迷などの影響で運用収入が3069億円のマイナスとなり、再び赤字となった。
 一方、国民年金は10年度は保険料納付率が過去最低の59.3%となったことなどが影響し、歳入全体が4297億円減少。ただ、保険料納付率の低下に伴い、基礎年金給付のための繰入額を7553億円減らしたため、収支全体では黒字だった。

平成23年8月10日(木曜日)19:27 時事通信社

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保険料追納10年に=年金確保支援法成立2011/08/04

 国民年金保険料の未払い分をさかのぼって納められる追納期間を現行の過去2年間から10年間に延長する年金確保支援法(7月29日に参院で可決)が、4日の衆院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。追納期間延長は3年間の時限措置。
 国民年金を受給するには、最低25年(40年で満額受給)保険料を納める必要がある。しかし、何らかの事情で保険料を納付できなかった場合、追納期間はこれまで過去2年間に限られ、納付期間が25年に満たなければ無年金となる恐れがある。このため、追納期間を延長して未納者の救済を図ることにした。

平成23年8月4日(木曜日)13:20 時事通信社

<関連記事>
http://trace-sr.com/news.html?c=12#87

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公的年金、運用損3000億円(2010年度)2011/07/07

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6日、2010年度の公的年金の運用実績を発表した。長引く円高や東日本大震災後の株安で外国債券と国内株式の運用が振るわず、2999億円の損失を計上した。損失は2年ぶり。年金給付に直ちに影響することはないが、運用方針の練り直しを迫られそうだ。年金積立金の取り崩しは6兆円に膨らんだ。
 GPIFの大江雅弘審議役は6日、10年度の損失について「単年度でマイナスになったからといって、直ちに年金給付に影響が出ることはない」との見方を示した。ただ損失が続けば運用資産が目減りし、期待できる収益が小さくなる。今後の運用成績次第では、年金給付に影響を与える可能性も否定できない。

平成23年7月7日(木曜日)日本経済新聞抜粋

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