トピックスTopics
- 2024/10/30
高所得者の国民健康保険料、年間上限3万円引き上げへ=厚労省
- 2022/10/13
保険証、24年秋にマイナンバーカードと一体化=政府発表
- 2021/10/17
マイナンバーカード、健康保険証にも、20日から本格運用
- 2019/05/16
改正健保法が成立、マイナンバーカードを保険証代わりに
- 2017/04/16
大企業の健保料48万円超、17年度予算、3314円増
- 2016/06/06
保険証番号流出、1万8470人分現存ー該当者に通知
- 2015/05/28
国保の財政基盤強化=医療制度改革法が成立
- 2015/04/29
介護保険料11%増=平均月額5514円に−厚労省
- 2015/03/02
シルバー人材けが保険使えず…健保と労災の谷間
- 2014/12/26
国保の再建急務、自治体に国費1700億投入へ
- 2014/12/23
75歳以上の保険料上げ、17年4月に延期 政府が調整
- 2014/10/09
12年度国民医療費1.6%増、現役世代の負担が増加
- 2014/08/13
協会けんぽ、準備金が18年度枯渇も、賃金マイナスなら
- 2014/01/21
脳血流うつ診断など「保険適用を」厚労省検討会
- 2013/12/24
健康作り励む人、金券もらえるポイント制導入へ
- 2013/09/12
国保の保険診療1年受けないと…1万円還元
- 2013/07/10
協会けんぽ、3104億円の黒字=12年度
- 2013/05/25
協会けんぽの財政支援延長=改正健保法が成立
- 2013/05/11
国保、都道府県移管で保険料引き上げも=厚労省試算
- 2013/04/22
健保組合の8割強が赤字=13年度、保険料率上げ4割
- 2013/01/31
国民健康保険、3022億円の赤字=11年度
- 2013/01/31
協会けんぽ、13年度保険料率を10%に据え置き
- 2012/11/03
保険料率、最大11.5%に=17年度収支見通し−協会けんぽ
- 2012/10/29
請負業務のけが、健保を適用=労災との「谷間」救済で−厚労省
- 2012/09/27
シルバー人材作業中けが、健康保険適用求め提訴
- 2012/09/22
健康保険証、希望の性別表記一転認めず=性同一障害で厚労省
- 2012/09/14
健保組合8割が赤字…拠出金負担増、解散も増加
- 2012/08/28
国保保険料の地域差1.7倍=徳島が最高、東京は最低
- 2012/07/18
性同一性障害、保険証に戸籍と異なる性別容認へ
- 2012/07/17
国保の医療費突出、うつ病での退職者加入が一因
- 2012/05/21
協会けんぽ、保険料負担軽減を要請
- 2012/04/06
改正国保法成立=平成27年度から全医療費を都道府県単位で負担
- 2012/03/30
後期高齢者保険料、5.9%増=43都道府県でアップ−厚労省
- 2012/03/19
パートの年金・健保適用拡大で健保組合の負担増
- 2012/02/03
国保収納率、88.6%に改善=実質赤字3900億円−厚労省
- 2012/01/28
協会けんぽ保険料率アップ、初の全国平均2けた
- 2012/01/11
後期高齢者医療、保険料の年間上限引き上げへ
- 2011/11/25
国保保険料軽減対象…年収310万円以下に
- 2011/10/26
混合診療の禁止は適法…最高裁が初判断
- 2011/10/04
12年度保険料率、10%突破へ=本人負担年1/3万円増−協会けんぽ
高所得者の国民健康保険料、年間上限3万円引き上げへ=厚労省2024/10/30
厚生労働省は、自営業者らが加入する国民健康保険の年間保険料(医療分)について、高所得者が支払う年間上限額を来年度から3万円引き上げ、92万円とする方針を固めた。据え置きとなる介護保険料(17万円)を含めた上限は106万円から109万円になる。
31日に開かれる社会保障審議会の医療保険部会で示す方針だ。上限の92万円は、単身世帯で年収約1170万円の人が支払うケースで、対象者は1.5%程度の見込み。
国保保険料は、基礎額と後期高齢者医療制度への支援金を合わせた「医療分」と、40〜64歳の加入者が一緒に払う「介護保険料」で構成されている。市区町村ごとに異なるが、上限額は国が設定している。高齢化の進行で膨張する医療費の抑制に向けて応能負担を進めており、近年はほぼ毎年上限額が引き上げられている。
令和6年10月29日(火曜日)毎日新聞電子版
保険証、24年秋にマイナンバーカードと一体化=政府発表2022/10/13
河野太郎デジタル相は13日の記者会見で、現行の健康保険証を2024年秋をメドに廃止すると発表した。マイナンバーカードと一体にした「マイナ保険証」に切り替える。医療分野のデジタル化を急ぎ、マイナンバー制度の利便性を高める。
24年度末としてきたマイナンバーカードと運転免許証の一体化の時期についても前倒しする考えを示した。
岸田文雄首相はこれに先立ち、首相官邸で河野氏、加藤勝信厚生労働相、寺田稔総務相と会談し、関係閣僚で協力するよう指示した。
首相はマイナ保険証について「細部にわたりきめ細かく環境を整備する必要がある」と指摘した。各閣僚には「医療を受ける国民、医療を提供する医療機関関係者などの理解が得られるよう丁寧に取り組んでいく必要がある」と伝えた。
マイナ保険証を使えば、利用者は個人向けの専用サイトで診療履歴や薬の使用歴などを簡単に確認できるようになる。医療機関での診察券の提示も不要だ。転職や引っ越しをしても保険証として使い続けることができる。
患者の同意があれば医療機関同士でこうした情報を共有し、より適切な医療を受けやすくなる。
河野氏は記者会見で「デジタル社会へ様々な基盤整備をするなかで、マイナンバーカードはその入り口を開くパスポートのようなものだ。様々なシーンで使われていくために周知もしっかりやっていきたい」と述べた。
従来はマイナ保険証への切り替えを義務にしても、個別に申請すれば現行の保険証を交付できる仕組みを想定していた。デジタル庁の担当者は13日、「保険証の廃止は『原則』という断りなく実施する」と明言した。
ほぼ全ての医療機関・薬局に23年4月から読み取り機の設置といったマイナ保険証への対応を義務づける。いまは2カ月ほど要する場合がある紛失時の再発行までの期間短縮や、申請可能な場所の拡充といった対策もあわせて進める。
河野氏は「乳幼児などの類型の人たちにどう使ってもらうかは今後詰めていかなければいけない」と語った。
マイナ保険証の運用は21年10月に本格的に始まった。マイナンバーカードを保険証として利用する登録手続きをすれば、保険証の情報がマイナンバーとひも付く。
政府はこれまで24年度をメドに従来型の健康保険証とマイナ保険証のどちらを使うか健康保険組合などに選択させる予定だった。マイナ保険証の原則義務化は国民への普及や医療機関での体制が整うのを待つとして具体的な期限を区切っていなかった。
今回の一連の措置には9月末時点の交付率が49%にとどまっているマイナンバーカードを一気に普及させる狙いがある。政府は22年度末までにほぼすべての国民へのカード交付を目指している。
令和4年10月13日(木曜日)日本経済新聞電子版
マイナンバーカード、健康保険証にも、20日から本格運用2021/10/17
マイナンバーカードが20日から健康保険証として使えるようになる。医療機関や薬局でカードを示せば保険証提示は不要になる。専用サイト上で自身の健康情報が確認できるようにもなる。ただ開始時点で利用できるのは全医療機関の1割にも満たない見通しで、利用者は事前の確認が必要だ。交付率が4割にとどまるカード普及の原動力となるには力不足なのが現状だ。
マイナカードは表面に顔写真や氏名、住所が記載され、裏面にマイナンバーが記載されている。2016年から交付が始まった。国家公務員の身分証をマイナカードに一体化するなど利用範囲は徐々に広がり、発行開始から5年以上を経て健康保険証としての運用が始まる。
健康保険証として利用すれば、転職や引っ越し時に保険証を発行し直さなくて済む。専用サイト「マイナポータル」で過去に処方された薬の情報や特定健診の内容を閲覧できる。他の医療機関で受けた特定健診の情報を医師と共有する機能もあり、自身の健康状態を伝えやすくなる。
11月からは自分が使った医療費を閲覧できるほか、21年分所得税の確定申告から医療費控除の手続きもできるようになる。医療機関でもらった紙の領収書などを1枚ずつ管理する手間を減らせる。
医療機関や健康保険組合も業務効率化の利点がある。受付の事務処理を効率化できるほか、診療報酬を誤って請求するといったミスも減ると期待されている。
野村証券の健康保険組合は23年4月以降、約6万人の加入者の健康保険証をマイナカードに一本化する。組合所在地が変わる際、事務を効率化できる。従来の保険証は特段の事情がない限り発行しない。23年3月までにほぼすべての医療機関などが対応するとの政府目標を見据えた対応だが、足元で使える医療機関や薬局がまだ少ないことが最大のネックだ。
患者がマイナカードを健康保険証として利用するためには医療機関や薬局がシステム対応を済ませている必要がある。厚生労働省のまとめでは、システム改修などの準備を終えた医療機関・薬局はわずか8%程度。利用機会が多い診療所(歯科を除く)では3日時点でわずか5.8%にとどまる。
政府目標では21年3月までに医療機関などの6割が導入完了する予定だった。データ確認に手間取ったほか、半導体不足によるIT機器の調達遅れなどが影響した。厚労省は機器の一部を無償提供するほか補助金制度も設け、導入を促しているが、対応は鈍い。
医療機関側が準備を終えていなければ患者側は従来通り、健康保険証を持参しなくてはならない。厚労省が9月に開いた社会保障審議会の部会では出席委員から「システム的にはまだ途中経過」「(取り組みが)うまくいくかどうかの大きな分岐点」との厳しい指摘が相次いだ。厚労省に普及への工夫を求める声も目立った。
カード自体の普及も遅れている。総務省によるとカード交付率は全住民の4割に届いていない。政府はマイナカードの申請者や保有者を対象に買い物で使えるポイントを付与するなど普及策をとってきたが行き渡っていない。
NTTデータ経営研究所とNTTコムリサーチが6月に実施した調査によると、カードを持っていない人のうち35%が「なくても生活ができる」と回答し、「利用したいと思えるサービスが少ない」も25%だった。
カードは運転免許証との一体化なども想定されている。普及の後押しには、まず健康保険証としての利用を早期に軌道に乗せる必要がある。
令和3年10月17日(日曜日)日本経済新聞電子版
改正健保法が成立、マイナンバーカードを保険証代わりに2019/05/16
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする改正健康保険法などが15日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。2021年3月までの利用開始を目指す。公的手続きなどをネット上で済ませられるデジタル社会づくりを後押しする。
健保法を含む8つの法律を一括で改正する。マイナンバーカードの普及率は現在1割強にとどまる。健康保険証代わりに使えるようにして利用者を増やす。健康保険組合も保険証を発行するコストを減らせる。
今回の法改正では外国人労働者の受け入れ拡大に対応し、健康保険の適用対象を厳しくした。給付を受けることができる扶養家族を原則、国内居住者に限る規定を盛り込んだ。医療費の抑制や不正利用の防止が狙い。同規定は20年4月に施行する。
4月に始まった新たな在留資格「特定技能」で日本で働く外国人労働者が増えるとみられる。母国に残した家族の医療費も日本の健康保険で賄えば、医療費の膨張につながるとの指摘があった。
令和元年5月15日(水曜日)日本経済新聞電子版
大企業の健保料48万円超、17年度予算、3314円増2017/04/16
健康保険組合連合会(健保連)は14日、大企業の会社員が入る健保組合の2017年度予算の集計結果を発表した。1人当たりの年間保険料は労使合計で48万2590円。前年度より3314円増えた。平均保険料率も9.168%と前年度から0.068ポイント上がる。高齢者医療向けの支援金の負担が重く、保険料は10年連続の引き上げとなる。
1375組合が回答した。保険料率を引き上げたのは214組合で全体の15.6%に上り、保険料率が10%台に乗せた組合は前年度比で13増えて316だった。
健康保険料は国が収入に応じて決めている「標準報酬」に料率をかけた金額で、原則として労使で折半する。保険料率を引き上げるのは、高齢者医療制度の維持のために支出する負担金が重いためだ。
医療費増大と財政悪化を受けて、今年度は加入者の収入に応じて支援金を負担する「総報酬割」が全面的に導入された。支援金は3兆5323億円と前年度比で7.2%増えた。支援金が保険料収入に占める割合は44.5%に達し、サラリーマンの家計を一段と圧迫する要因になっている。
医療給付費の負担も重い。今年度は4兆1193億円の見込みで、前年度比3.6%増える。高額な新薬の普及などが背景だ。健保全体の収支見込みは3060億円の赤字で、前年度の2倍以上に膨らむ。赤字を見込む組合は全体の7割を超える。健保連の白川修二副会長は会見で「高齢者医療の負担構造改革などが必要」と指摘した。
平成29年4月14日(金曜日)日本経済新聞電子版
保険証番号流出、1万8470人分現存ー該当者に通知2016/06/06
健康保険証の番号など約10万人分の個人情報のリストが流出した問題で、このうち36都府県の1万8470人分の番号が現在も使用されていることが、1日までの厚生労働省の調査で判明した。成り済ましや詐欺に悪用される恐れがあるため、厚労省は、該当者に通知した上で要望があれば番号変更を認める。これほど大規模な番号変更は異例。
流出元は医療機関の可能性が高いとしているが、特定できないまま調査を終えた。番号が現在も使われている人が最多の都府県は大阪の7915人で、奈良4122人、滋賀3482人が続き、近畿地方に集中した。
厚労省は5月31日付で都道府県などに対し、医療機関に個人情報の適切な取り扱いを徹底し、指導、監督するよう求める通知を出した。
問題は昨年末、報道によって表面化。同省が流出リスト約10万3千人分を入手し調査していた。
厚労省はリストにあった「保険者番号」から、加入先の自治体や健康保険組合など「保険者」を特定。約千の保険者に調査を依頼した。約8万5千人分の保険証番号は、転職や退職などを機に保険者が変わるなどし、現存していなかった。
一方、流出経路については、リストに載った人たちの2007〜09年のレセプト計約17万件を分析。該当する医療機関数は約1万に上ったが、特定の病院や薬局だけを利用していた状況はなく、流出元は分からなかったと結論付けた。〔共同〕
平成28年6月1日(水曜日)日本経済新聞電子版
国保の財政基盤強化=医療制度改革法が成立2015/05/28
国民健康保険(国保)の財政基盤強化策などを盛り込んだ医療制度改革法が27日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で成立した。2018年度から国保の運営主体を市町村から都道府県に移すのが柱。入院時の食事代引き上げなど、患者の負担増も盛り込まれた。
国保は、定年退職後の高齢者や低所得者が多く加入することから、財政状況が厳しい。このため同法は、国保の財政運営で都道府県が中心的な役割を果たすよう見直すほか、国による財政支援を強化し、制度の安定化を目指す。
具体的には、国保への公費投入額を年3400億円に拡大し、医療費抑制に努める自治体の支援などに乗り出す。その財源を捻出するため、75歳以上の後期高齢者医療制度に対し大企業の健康保険組合が拠出する支援金の割合を17年度まで段階的に増やす。現役世代の保険料アップにつながりそうだ。
患者負担の関連では、入院時食事代の自己負担額を18年度までに1食260円から460円に引き上げるほか、紹介状なしで大病院を受診した場合に16年度から5000〜1万円の定額負担を求める。
平成27年5月27日(水曜日)時事通信社
介護保険料11%増=平均月額5514円に−厚労省2015/04/29
厚生労働省は28日、65歳以上の高齢者が支払う2015〜17年度の介護保険料が、全国平均で月額5514円になるとの集計結果を発表した。高齢化による介護サービス利用者の増加とサービスの充実のため、12〜14年度の平均4972円と比べて542円(11%)増となった。同省はまた、20年度に6771円、25年度には8165円に上昇するとの推計も示した。
介護保険料は、保険を運営する全国1579の自治体と広域連合が3年ごとに改定している。集計結果によると、全団体のうち94%が保険料を引き上げた。改定しなかった団体は4%、引き下げた団体は2%。
保険料が最も高いのは奈良県天川村の8686円、最も安いのは鹿児島県三島村の2800円と、地域差が拡大している。
65歳以上の高齢者は14年末時点で3278万人、そのうち要介護と要支援の認定を受けた人は18%に当たる588万人に上る。
介護保険制度が始まった00〜02年度の保険料の全国平均は2911円で、15〜17年度は1.9倍に増えることになる。
平成27年4月28日(火曜日)時事通信社
シルバー人材けが保険使えず…健保と労災の谷間2015/03/02
シルバー人材センターの作業でけがをした奈良県内の男性の長女(43)が健康保険も労災保険も適用されず医療費が全額負担になるのは法の不備として、国などを相手に慰謝料などを求めた訴訟の判決で、奈良地裁は26日、原告の請求を棄却した。牧賢二裁判長は「立法をしなかったことが国家賠償法上、違法とは評価されない」と述べた。
シルバー人材センターは、高年齢者雇用安定法に基づき市町村などに置かれた公益法人で、会員登録した高齢者に就業の場を提供する。ただ、作業中のけがには、「業務外」を対象にした健保も、「労働者」に対する労災も適用されず「保険の谷間」として問題化。国は2013年5月に健康保険法を改正し、原則として健保で救済できるようにしたが、男性のような改正前のけがには適用されない。
判決によると、男性は09年11月、会員登録する奈良県内のセンターから委託された庭木の枝切り作業中に右足の指を骨折。長女が加入する健保の被扶養者だったが、全国健康保険協会奈良支部は11年4月、労災を優先するよう健康保険法で規定された「業務中のけが」として医療費を支給しないと決定した。
男性はセンターと雇用関係になく、個人で作業を請け負う形で、労災の対象からも外れ、医療費の約85万円全額を自己負担することになった。
長女が12年9月、国に慰謝料など80万円、同協会には医療費を不支給とした処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴し、その後、奈良地裁に移送。男性は13年5月に71歳で死亡した。
原告側は、改正前の健康保険法は対象を「業務外」のけがと限定的にしており、国は健保も労災も適用されないと認識しながら立法措置を怠り、憲法に基づく社会保障の受給権を奪ったなどと主張した。
判決は、「業務外」の要件でどちらの保険も受けられないケースが生じても、国民健康保険など何らかの医療給付を受けることはできると指摘。著しく合理性を欠いているとは言えず憲法には違反しないとした。
平成27年2月26日(木曜日)読売新聞電子版
国保の再建急務、自治体に国費1700億投入へ2014/12/26
政府は来年度、市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政再建の一環として、1700億円の国費を自治体に投入する方向で調整に入った。
財源となる消費税率の10%への引き上げが2017年4月に先送りされ、実施が懸念されていたが、政府は国保の立て直しが急務と判断した。
国保は、自営業者や退職者ら3500万人が加入する公的医療保険の一種。他の公的保険よりも高齢者や低所得者が多く、保険料収入が少ないのに、医療費の支出が多い構造的問題がある。市町村の予算から赤字を補填している総額は3500億円に上っている。
政府は12年2月に社会保障・税一体改革大綱を閣議決定。この大綱で、国保運営を予算規模が小さな市町村から、財政基盤が確立している都道府県に移管するとともに、国費投入の方策を打ち出していた。
平成26年12月25日(木曜日)読売新聞電子版
75歳以上の保険料上げ、17年4月に延期 政府が調整2014/12/23
政府は75歳以上の高齢者医療の保険料を特例で軽減する措置を、2017年4月に廃止する調整に入った。制度上は所得が少ない高齢者の軽減幅は最大で7割だが、現在は予算で補填して9割まで広げている。これを本来の軽減幅に戻す。当初は16年度の廃止を検討したが、来年の統一地方選や16年の参院選を控える与党内で懸念が強いため、時期を後ろにずらす。
特例を具体的にどのように撤廃していくかは、今後詰める。保険料の特例軽減は、合計で865万人が対象で、75歳以上人口の約半数にあたる。厚生労働省は低所得高齢者の負担が急に増えないように経過措置を設けて段階的に廃止すべきだと主張しているが、財務省は原則通り一度に廃止すべきだとし、政府内で意見が分かれている。
特例には、年間計811億円の国費(14年度予算ベース)を投じている。特例を廃止すると、例えば年金年収が80万円以下と最も所得の低い層で保険料が現行の9割軽減による月370円から、制度上の7割軽減による月1120円となる。
子どもなど会社勤めの家族に養われ、74歳までは自ら保険料を払ってこなかった人への軽減も縮小する。現行の特例では75歳以降無期限に9割軽減するのを、75歳になってから2年限りの7割軽減という原則に戻る。
特例は08年度から続いている。同年度に施行した75歳以上の高齢者医療制度において保険料軽減を設けたが、さらに負担を軽くすべきだと歴代政権が判断。毎年予算を組んできた経緯がある。
平成26年12月23日(火曜日)日本経済新聞電子版
12年度国民医療費1.6%増、現役世代の負担が増加2014/10/09
厚生労働省は8日、2012年度の国民医療費が前年度より1.6%増えて39兆2117億円になったと発表した。6年連続で過去最高を更新したが、財源別では患者の窓口負担が1.7%減った。負担割合が軽くなる75歳以上の高齢者が増えているためだ。窓口負担が減った分は公費と保険料の伸びで補っており、現役世代の負担増で高齢者医療を支えている。
患者の窓口負担の額は4兆6619億円で、前年度より約800億円減った。国民医療費の財源別構成比で過去10年は14%前後を占めてきたが、12年度は11.9%まで下がった。
窓口負担割合は原則、就学後〜70歳未満は3割、70〜74歳は2割、75歳以上は1割となっており、年齢を重ねるほど負担が減る。13年度までは70〜74歳の負担割合を1割に抑える特例も実施し、ようやく14年度の新70歳から廃止したほどだ。高齢化による医療費の急な伸びに比べ、窓口負担は低く抑えられている。
半面、公費は2.3%増の15兆1459億円、保険料は2.0%増の19兆1203億円となり、現役世代の負担が膨らんでいる。高齢者は少ない収入の中で医療のほか介護と支出をやりくりするのは確かだが、今後さらに高齢者人口が増えるなかで、窓口負担の見直しは避けられそうにない。
人口1人あたりの医療費は前年度より5600円増え30万7500円となり、2年連続で30万円を上回った。年齢別では65歳以上の1人あたりの額は71万7200円で、65歳未満(17万7100円)の4倍にも上る。
平成26年10月8日(水曜日)日本経済新聞電子版
協会けんぽ、準備金が18年度枯渇も、賃金マイナスなら 2014/08/13
中小企業の会社員とその家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は、2018年度までの収支見通しを試算した。保険料を現状の10%で固定した場合、賃金が上昇しなければ支払いのための準備金(積立金)が18年度に枯渇する可能性があるとした。
準備金は13年度末で6921億円ある。試算では3つの経済前提を置いた。準備金が枯渇するのは、賃金上昇率が過去10年間の平均であるマイナス0.4%の時だ。賃金上昇率が0%以上になれば、準備金は残る。
協会けんぽは法律で、保険の支払いや高齢者医療制度への拠出に必要な額の1カ月分を準備金として積み立てなければならない。18年度には6500億円と見積もっており、いずれのケースでも下回った。
このため、協会けんぽは国の国庫補助率を今の16.4%から20%に引き上げることを要求する。国庫補助を引き上げた場合は、いずれのケースでも準備金が枯渇することはなく、法律で決められた準備金の水準を上回る。
厚生労働省は今秋以降、社会保障審議会で協会けんぽの財政健全化や高齢者医療制度の見直しを議論する。協会けんぽは、高齢者医療制度への拠出金の負担が重すぎることが財政悪化につながっていると主張している。高齢者医療制度を抜本的に見直すことも求める。
協会けんぽには約3500万人が加入している。自営業者などが入る国民健康保険の3800万人に次いで、大きな規模の健康保険組合だ。
平成26年8月12日(火曜日)日本経済新聞電子版
脳血流うつ診断など「保険適用を」厚労省検討会2014/01/21
脳の血流量を測ってうつ病などの診断に役立てる技術や、肥満患者への胃切除手術など、保険外の治療だが入院費など一部に保険がきく先進医療の8技術について、厚生労働省の有識者検討会「先進医療会議」は、「保険適用するのが望ましい」という見解をまとめた。
22日の中央社会保険医療協議会に報告し、了承されれば4月に保険適用となる。
うつ病などの診断は「光トポグラフィー検査」と呼ばれ、患者に帽子状の装置を頭にかぶってもらい脳の血流量を測る。うつ病や統合失調症などを見分け、適切な治療につなげる。現行で約1万3000円かかる検査が、保険適用になれば数千円で済む見通しだ。
このほかBMI(体格指数)が35以上の重度の肥満患者を対象に、食べられる量を減らすため、腹部に小さい穴を開けて胃を切除する技術も保険適用の候補となった。開腹手術による胃切除に伴う感染症のリスクを減らせる。先進医療では約29万円かかるが、保険適用で約10万円になる可能性があるという。
平成26年1月21日(火曜日)読売新聞電子版
健康作り励む人、金券もらえるポイント制導入へ2013/12/24
総務省と厚生労働省は、健康作りに励んだ人が割引券や金券に交換できるポイントをもらえるモデル事業を2014年度から始める。
生活習慣病を予防して、医療費を抑える狙いがある。
複数の健康保険組合や市町村国保の加入者約100万人が対象となる。希望者に、通信機能を持つ体重計やスマートフォンと連動する歩数計を使ってもらう。このデータを、健保組合が持つ加入者の健康データと突き合わせて、健康状態が改善していれば「ヘルスケアポイント」を与える。
ポイントは、地元の商店で使える金券や割引券と交換できるようにする。
平成25年12月23日(月曜日)読売新聞電子版
国保の保険診療1年受けないと…1万円還元2013/09/12
岡山県総社市は11日、生活習慣病を予防する特定健診(メタボ健診)を受けたうえで、市の国民健康保険の保険診療を1年間受けなかった保険加入世帯に1万円を支給する「キャッシュバック」制度を来年11月に始めると発表した。医療費抑制が狙いで、全国初という。
市には、1年以上保険診療を受けていない世帯を表彰し、記念品を贈る制度がある。しかし、生活習慣病にかかりながら、受診しないケースもあるとみられ、医療費抑制につながらない恐れがあるとして、特定健診の受診を条件にした新制度の導入を決めた。同市では全体の36%に当たる9100世帯が国保に加入しており、現金支給対象は約130世帯と試算している。
市では「現金支給で市民の関心を高めたい。がん検診なども合わせて受けることを勧め、医療費削減につなげたい」としている。
平成25年9月12日(木曜日)読売新聞電子版
協会けんぽ、3104億円の黒字=12年度2013/07/10
中小企業の会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は9日、2012年度の決算を発表した。保険料などの収入から医療費などの支出を差し引いた収支は、3104億円の黒字だった。黒字は3年連続だが、国庫補助率の引き上げなど国の支援拡大が主因。
保険料収入が7兆3156億円と前の年度に比べ4301億円増えた。保険料率を10.0%に引き上げたのに加え、加入者の賃金が下げ止まった。国庫補助などを加えた収入全体は8兆5127億円だった。
支出では、医療費の伸びが例年より小さく保険給付費が当初見込みを下回ったため、結果として収支で見込みより約600億円黒字額が増えた。
12年度末の剰余金は5054億円。協会けんぽの試算では14年度に再び赤字となり、剰余金を食いつぶす見込み。
平成25年7月9日(火曜日)日本経済新聞電子版
協会けんぽの財政支援延長=改正健保法が成立2013/05/25
中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に対し、現行の財政支援策を2014年度まで2年間延長することなどを定めた改正健康保険法が24日の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
延長する支援策は、▽国の補助率を13%から16.4%に拡大▽75歳以上が加入する後期高齢者医療制度に拠出する支援金について、全体の3分の1は収入が高い企業の健康保険組合ほど負担が増える「総報酬割」で算定−など。
平成25年5月24日(金曜日)時事通信社
国保、都道府県移管で保険料引き上げも=厚労省試算2013/05/11
厚生労働省は10日、社会保障審議会の医療保険部会で、自営業者らが入る国民健康保険(国保)の運営を市町村から都道府県に移した場合、離島や山間部を中心に保険料の負担が増えるとする試算を示した。1人あたりの保険料は、最大で年間約3万9000円増えると試算した。
各都道府県内の平均額に一本化した場合、保険料の想定上げ幅が最も大きいのは東京都三宅村だった。現在の約4万2000円から約8万1000円と、ほぼ2倍になる。長野県大鹿村や愛知県豊根村、奈良県下北山村でも3万5000円強上がるとした。
政府の社会保障制度改革国民会議は、国保の都道府県移管を求めていく方針で大筋一致している。実際に保険料を上げることになれば反発が強まるのは確実。移管の時期などとともに、課題を整理する必要に迫られる。
一方、財務省や国民会議の一部には、国保の財政基盤を強化するため、加入者の所得が高い企業の健康保険組合ほど負担を重くする「総報酬割」を全面導入し、浮いた国費を活用すべきだとの声が出ている。ただ10日の会議ではこの案に否定的な意見が多く出た。
平成25年5月10日(金曜日)日本経済新聞電子版
健保組合の8割強が赤字=13年度、保険料率上げ4割2013/04/22
健康保険組合連合会(健保連)は22日、大企業の会社員などが加入する健康保険組合の2013年度予算をまとめた。全1420の健保組合の8割強が赤字で、全体の経常赤字は4573億円。赤字は6年連続で、全体の4割の557組合が保険料率を引き上げる。健保全体の平均保険料率(労使合計)は前年度比0.3ポイント高い8.6%で、6年連続で上昇する。
健保連に予算を出した1393組合のデータから全体の収支を推計した。保険料率は比較可能な03年度以降で過去最高を更新する。
保険料の収入総額は4.6%増えるが、高齢者医療制度への支援金も4.6%増の3兆2863億円になる。赤字の健保組合は積立金を取り崩し、給付にあてる。それでも賄えずに保険料の引き上げに動いている。
積立金は07年度末に2兆8千億円あったが、13年度末には9700億円までへる見通しだ。6年間で1兆8千億円を取り崩すことになる。白川修二専務理事は「2年強で積立金はなくなる」とした。赤字を出さずに収支を均衡させる実質保険料率は9.6%だ。
健保財政が厳しいのは高齢者医療制度への支援金負担が重いのが理由だ。13年度、保険料収入に占める支援金の割合は46.2%と過去最高になった。高齢者医療制度への支援金は08年度に比べて2割増加している。健保連は高齢者医療制度への公費負担を増やすよう求めている。
平成25年4月22日(月曜日)日本経済新聞電子版
国民健康保険、3022億円の赤字=11年度2013/01/31
厚生労働省は31日、年金生活者や自営業者などが入る国民健康保険(国保)の2011年度の実質収支が3022億円の赤字だったと発表した。赤字幅は前の年度に比べ縮小したものの、高齢化による医療費の増加などで、厳しい財政状況が続いている。
国保の赤字を補填するために市町村は11年度に3508億円を投入した。医療費が膨張しているにもかかわらず、無職など低所得者の加入者が多いために保険料を大きく上げられないでいる。慢性的な赤字体質の脱却からは遠い。11年度は保険給付が2.9%増の9兆821億円だった。
保険料収入は1.8%増の3兆411億円と微増となった。11年度の納付率は89.39%と前の年度に比べて0.78ポイント上昇した。過去最低は09年度で、保険料の減免措置の対象者を拡大したため納付率が上がったとみられる。
平成25年1月31日(木曜日)日本経済新聞電子版
協会けんぽ、13年度保険料率を10%に据え置き2013/01/31
中小企業の会社員や家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は30日、2013年度の全国平均の保険料率を労使折半で10%に据え置くことを決めた。給付の増加で支出は増えるが、準備金を取り崩して12年度と同水準とする。都道府県別の保険料率も変えない。最高は佐賀県の10.16%で、最低は長野県の9.85%となる。
協会けんぽは財政状況が厳しく、保険料の上昇が続いていた。政府の13年度予算案では、財政支援を14年度まで続けることが盛り込まれた。
平成25年1月30日(水曜日)日本経済新聞電子版
保険料率、最大11.5%に=17年度収支見通し−協会けんぽ2012/11/03
全国健康保険協会は2日、中小企業の会社員が加入する同協会管掌健康保険(協会けんぽ)の今後5年間の収支見通しを発表した。国の補助率などを現行通りとした場合、単年度収支を均衡させるには、全国平均の保険料率(労使折半)を2013年度は前年度比0.1ポイント増の10.1%、17年度には最大11.5%に引き上げる必要があると試算している。
医療給付費と高齢者医療制度への支援金が増えるのが要因で、同協会は保険料率に関し、「現行の10%が限界。これ以上の引き上げは到底できない」と主張。13年度以降の対策として、国の補助率引き上げや高齢者医療制度の公費負担拡充などを政府に求める方針だ。
平成24年11月2日(金曜日)時事通信社
請負業務のけが、健保を適用=労災との「谷間」救済で−厚労省2012/10/29
シルバー人材センターから請け負った業務でけがをした高齢者が、健康保険と労災保険のいずれも適用されない事態が生じた問題で、厚生労働省のプロジェクトチーム(PT)は29日、こうしたケースに健保を適用して救済する方針を決めた。今後、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で、法改正が必要かどうかなどを議論し、年内に結論を得る。
この問題では、家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の被扶養者だった奈良県の高齢者が、同センターから請け負った木の剪定(せんてい)作業中に右足の指を骨折。しかし、センターや発注先とは雇用関係にないことから労災の対象にならなかった。健保も業務上のけがは適用外としているため、高齢者は治療費の全額自己負担を求められた。
平成24年10月29日(月曜日)時事通信社
シルバー人材作業中けが、健康保険適用求め提訴2012/09/27
シルバー人材センターから委託された作業中にけがをし、健康保険の給付が認められなかったのは制度の不備だとして、けがをした奈良県の男性(70)の長女が、国と、給付の審査を行う全国健康保険協会(東京)を相手取り、慰謝料など約80万円と療養費の不給付処分の取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こした。提訴は25日付。
健康保険法は、業務外のけがを給付対象としており、業務中のけがは労災保険法が優先される。しかし、人材センターと作業をする会員との間に雇用関係がないため労災にはならず、どちらの保険も適用されないという。
訴状によると、男性は会社員の長女の健康保険に被扶養者として加入。2009年11月、人材センターから委託された庭木の剪定(せんてい)中に足の指を骨折するなどし、療養費約85万円の全額自己負担を求められた。
原告側は、どちらの法も高齢者の就労実態にそぐわず、立法の不備だと主張。男性の作業は社会参加などが目的で、業務ではないと訴えている。
厚生労働省保険局は「書面を見て判断したい」、全国健康保険協会は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
この問題について、小宮山厚生労働相が25日、「就労形態は多様化しているのに、現行制度に隙間がある」として救済制度を新設する方針を表明した。過去の不給付決定が取り消されるかどうかは不明だという。
平成24年9月27日(木曜日)読売新聞電子版
健康保険証、希望の性別表記一転認めず=性同一障害で厚労省2012/09/22
心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断された松江市の男性が、保険証表面の性別欄に戸籍とは異なる「女」と記載するよう求めていた問題で、厚生労働省は21日、記載変更を認めないことを決めた。同省は、いったんは容認する姿勢を示していたが「医療機関が男性、女性それぞれに特有の病気を見逃す恐れがあるため」と説明している。同日付で全国の自治体などに通知した。
そのうえで同省は、保険証の表面に戸籍上の性別が記載されることに抵抗感を覚えるなど、やむを得ない理由がある場合は、表面の性別欄の記載を「裏面参照」とすることは認めた。その場合、保険証の裏面には「性別は男」などと戸籍上の性を記載する。
松江市の男性は、「医療機関で保険証を提示するのが苦痛だ」として2007年から同省に表記変更を求めていた。
平成24年9月21日(金曜日)日本経済新聞電子版
健保組合8割が赤字…拠出金負担増、解散も増加2012/09/14
健康保険組合連合会(健保連)は13日、大企業の会社員や家族が加入する健康保険組合の2011年度決算見込みが3489億円の赤字になったと発表した。
赤字総額は4年連続で3000億円を超え、赤字組合は全体の8割の1101組合に達した。
保険料収入は前年度比約6%増となったが、高齢者医療を支える拠出金負担は同2302億円増の2兆8721億円と過去最高となり、保険料収入の44%に膨らんだことなどが影響した。
厳しい財政状況に対応するため約4割にあたる571組合が保険料率を引き上げた。財政難から解散に追い込まれる組合も増加傾向にあり、12年3月の組合数は1443組合と、前年同期(1458組合)から15組合減少した。
平成24年9月13日(木曜日)読売新聞電子版
国保保険料の地域差1.7倍=徳島が最高、東京は最低2012/08/28
厚生労働省が2010年度の国民健康保険(国保)の保険料の地域差を分析したところ、負担が最も重いのは徳島県だった。一方、負担が最も軽いのは東京都で、徳島と東京では1.7倍の差があった。
自営業者らが加入する国保は、市町村によって保険料の設定方法が異なり、所得や世帯の人数によって保険料が違う。実額ベースで比較するのが難しいので、厚労省は全国平均を1とする算出式をつくり、地域間の差を比べた。
保険料負担が重いのは徳島、大分、北海道で、全国でも医療費が高い地域だ。一方、保険料負担が軽いのは、東京、神奈川、埼玉で、首都圏や周辺の自治体が目立つ。財政に余裕がある地方自治体で税金投入により加入者の保険料負担を軽くしているところもあるが、医療費抑制の取り組みの差が保険料に表れている面もある。例えば、医療費が少ない長野県は保険料負担が軽かった。
市町村別にみると、保険料負担の最高は徳島市で、東京都青ケ島村が最低だった。4.2倍の格差があった。
平成24年8月27日(月曜日)日本経済新聞電子版
性同一性障害、保険証に戸籍と異なる性別容認へ2012/07/18
厚生労働省は、心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断された人の国民健康保険証について、表面の性別欄に戸籍とは異なる性別を記載した場合や空欄の場合でも、裏面に戸籍上の性別が書いてあれば認める方針を固めた。
この問題では、松江市が、性同一性障害の市民団体代表上田地優さん(54)に対し、目に付きやすい表面には男女の別を記載せず、裏面の備考欄に「戸籍上の性別、男性(性同一性障がいのため)」と記載した保険証を交付している。厚労省がこれを容認した格好だ。
上田さんの心の性別は女性だが、性別適合手術をしておらず、戸籍上の性別は男性。「粘り強く活動してきてよかった。手術をしなくても、心の性が尊重される社会になってほしい」と話した。
平成24年7月17日(火曜日)読売新聞電子版
国保の医療費突出、うつ病での退職者加入が一因2012/07/17
自営業者や退職者が加入し、市町村が運営する国民健康保険(国保)の1人あたりの医療費が、会社員や公務員健保の2倍に膨らんでいることが厚生労働省の調査で分かった。国保の医療費は20〜69歳で会社員や公務員を上回った。精神疾患で長期間入院する患者が会社を辞めて国保に入り、医療費が押し上げられたとみられる。
厚労省が2010年度の診療報酬明細書(レセプト)を分析した。健康保険別にみると、市町村国保の1人あたり医療費が29万7260円と突出。これに対して大企業の健保組合は13万4006円、中小企業の協会けんぽは15万5388円、公務員の共済組合は15万140円だった。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は89万7084円だった。
国保は働き盛りの年齢で、医療費が会社員や公務員よりも多い傾向がみられる。「精神・行動障害」「神経疾患」にかかる医療費が特に高い。厚労省保険局は「うつ病を発症して会社を辞めると、国保に入るしかないので、医療費が膨らみやすい」とみている。
厚労省は調査結果を受け、医療費の削減に取り組む。精神疾患は1年以上長期入院する患者が全体の65%を占める。精神疾患は入院初期の患者に対応する医師の数を従来の3倍に増やし、早期の退院を促す。入院期間を1年以内に抑える対策を実施する。
年齢別の医療費でみると15〜19歳が最も低く、年齢とともに高くなる傾向にある。未成年では5〜9歳の歯科の医療費が高いことが目立つ。
平成24年7月17日(火曜日)日本経済新聞
協会けんぽ、保険料負担軽減を要請2012/05/21
中小企業の会社員と家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は21日、保険料負担の軽減を訴える活動を始めた。2012年度の協会けんぽの保険料率は、過去最高となる10%となった。記者会見した小林剛理事長は、「中小企業会社員の給料が下がり続けるなか負担は限界に達しており、国の補助金の拡充を要請したい」と話した。
協会けんぽは保険料の4割が高齢者医療のための拠出にあてられ、保険料率の上昇につながっていると主張している。国は医療費の16.4%を補助しているが、協会けんぽは補助率を法律上の上限である20%に引き上げて、保険料率を下げることを提案する。高齢者医療制度についても抜本的な見直しを求める。
協会けんぽは3500万人いる加入者を中心に署名を集める。11月をメドに政府に対し、保険料負担を下げる要請する。
平成24年5月21日(月曜日)日本経済新聞電子版
改正国保法成立=平成27年度から全医療費を都道府県単位で負担2012/04/06
市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政基盤を強化する改正国保法が5日の参院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。平成27年度に全ての医療費を都道府県単位で負担する仕組みを創設することが柱。
1件月30万円超の医療費について都道府県単位で共同負担する現在の仕組みを平成26年度まで継続した上で、27年度から対象を全医療費に拡大する。医療費の共同負担を進めることで最大2.8倍に達する同一都道府県内の保険料格差を縮小するのが狙いで、人口が少なく高齢者が多い地域の保険料の上昇が緩和される見通し。
自営業者や無職の人が入る国保の財政は加入者の保険料50%、公費(税金)50%で運営されているが、国による保険料部分への2千億円の財政支援も恒久化する。一方で、国の公費部分の負担を約1526億円引き下げ、その分を都道府県に負担させる。
具体的には医療給付費の7%を賄う都道府県調整交付金の比率を9%に引き上げ、定率国庫負担分を34%から32%に引き下げる。
平成24年4月5日(木曜日)MSN産経ニュース
後期高齢者保険料、5.9%増=43都道府県でアップ−厚労省2012/03/30
厚生労働省は30日、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の2012年度から2年間の月額保険料の全国平均月額が、高齢化に伴う医療費の増加などで、10〜11年度に比べ5.9%(312円)増の5561円になるとの集計結果を発表した。年間では3744円の負担増となる。保険料は運営主体である各都道府県の広域連合が設定するが、43都道府県で保険料がアップする。
保険料は、都道府県単位の医療費に応じて2年に1回改定される。2年前の改定で高齢化や医療の高度化による急激な上昇を抑えるため、広域連合の剰余金などを積極的に活用して伸び率を圧縮した反動で、今回は大幅に引き上げたケースが多い。
平成24年3月30日(金曜日)時事通信社
パートの年金・健保適用拡大で健保組合の負担増2012/03/19
厚生労働省は19日、短時間労働者への厚生年金・企業健康保険の適用拡大に伴い、パートが多い流通・小売業、外食企業などに対する負担軽減策を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の特別部会に提示した。
後期高齢者医療への支援金や介護納付金が増える企業健保の負担を軽減するため、健保組合や公務員共済などすべての加入者が幅広く負担する仕組みとした。
厚労省は、ほかの大企業の健保組合や共済などの加入者(約7400万人)の1人当たり、年1000円程度の負担増が見込まれるとしている。
政府・民主党は社会保障・税一体改革で、パート労働者45万人を対象に、厚生年金や企業健保に加入させることを決めた。新たな加入要件は、労働時間が週20時間以上で、従業員500人超の企業に勤める年収94万円以上のパートとなる。2016年4月からの実施を予定し、政府は月内に関連法案を国会に提出する。
平成24年3月19日(月曜日)読売新聞電子版
国保収納率、88.6%に改善=実質赤字3900億円−厚労省2012/02/03
厚生労働省は3日、市町村が運営する国民健康保険(国保)の2010年度財政状況(速報値)を発表した。自営業者らが加入する国保の保険料収納率は、全国平均で88.60%と、過去最低だった前年度より0.59ポイント改善した。ただ、赤字補填(ほてん)を目的とする市町村の一般会計からの繰り入れなどを除いた国保全体の実質収支は3900億円の赤字で、厳しい財政運営が続いている。
収納率の改善は3年ぶりで、10年度から保険料減免措置の対象者をリストラされた非自発的失業者にも拡充したことなどが要因。
平成24年2月3日(金曜日)時事通信社
協会けんぽ保険料率アップ、初の全国平均2けた2012/01/28
中小企業の従業員や家族ら約3500万人が加入している「協会けんぽ」(全国健康保険協会)は27日の運営委員会で、2012年度の都道府県別の保険料率を決めた。
保険料率は保険財政の悪化を受けて全都道府県で11年度より引き上げられ、全国平均で10・0%(11年度比0・5ポイント増)となり、初の2けたとなる。
都道府県別保険料率の最高は、佐賀県の10・16%、最低は長野県の9・85%。保険料率の格差は0・31ポイントとなり、11年度より0・1ポイント拡大した。
保険料は、従業員ら被保険者と事業主が半分ずつ負担する。今回の引き上げにより、一般的な被保険者(月収28万円、賞与1・37か月分)では、平均で月780円保険料の負担が増える。新保険料率は、小宮山厚生労働相が来月認可して正式決定する。
平成24年1月27日(金曜日)読売新聞電子版
後期高齢者医療、保険料の年間上限引き上げへ2012/01/11
厚生労働省は10日、75歳以上の高齢者を対象にしている後期高齢者医療制度について、高齢者が負担する保険料の年間上限額(50万円)を、4月から55万円に引き上げる方針を固めた。
高所得者の保険料負担を増やし、中所得者の保険料の上昇を抑えるのが目的だ。保険料の上限は政令で定められており、厚労省は近く政令を改正する。
後期高齢者医療制度では、患者負担を除く医療費について、5割を公費、4割を現役世代の保険料、1割を高齢者の保険料で賄っている。高齢者の保険料は、本人の収入額に応じた部分と、1人当たり定額部分を合算して決まる。保険料は都道府県単位の市町村組織がそれぞれの高齢者医療費の総額に応じて決め、2年に1度改定している。12年4月は、その改定時期にあたる。
平成24年1月11日(水曜日)読売新聞電子版
国保保険料軽減対象…年収310万円以下に2011/11/25
厚生労働省は24日、市町村が運営している国民健康保険(国保)に加入する低所得者の保険料軽減の対象を現行の年収223万円以下(3人世帯)から、約310万円以下(同)に拡大する見直し案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で示した。
市町村国保の保険料は、加入者が定額を負担する部分と、所得に応じて負担する部分があり、軽減は定額負担について行われている。現行では、年収98万円以下で7割、147万円以下で5割、223万円以下で2割の負担減となっているが、これを約310万円以下にまで拡大する。
景気の低迷で、年収約240万〜310万円の世帯の保険料負担が大きくなっているためだ。
平成23年11月25日(金曜日)読売新聞電子版
混合診療の禁止は適法…最高裁が初判断2011/10/26
健康保険が使える診療(保険診療)と保険外の診療(自由診療)を併用する「混合診療」を原則禁止している国の政策が適法かどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は25日、「医療の質の確保や財源面の制約などを考えると政策は適法」との初判断を示した。
その上で、混合診療への保険適用を求めた原告側の請求を棄却した2審判決を支持し、原告側の上告を棄却した。原告側の敗訴が確定した。
5人の裁判官全員一致の結論。国は、混合診療を原則禁止し、個別に認定した先進医療などとの併用に限って例外的に保険適用を認める「保険外併用療養費制度」を実施しており、判決はこれを追認した形だ。
同小法廷は、混合診療を原則禁止した健康保険法の規定について、「医療の安全性を脅かすような医療行為を抑止する意味を持ち、財源など健康保険制度全体のあり方も考慮している」と指摘。「保険外併用療養費制度の対象とならない医療行為との併用については、保険診療分も含めて保険を適用できないと解釈するのが妥当だ」と結論づけた。生存権などを定めた憲法にも反しないとした。
平成23年10月26日(水曜日)読売新聞電子版
12年度保険料率、10%突破へ=本人負担年1/3万円増−協会けんぽ2011/10/04
全国健康保険協会は4日、中小企業のサラリーマンらが加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の2012年度保険料率(労使折半)が全国平均で10.2%(現在9.5%)となり、初めて10%を超えるとの試算を発表した。高齢者医療への拠出金が膨らむ一方で、保険料収入の基礎となる加入者の賃金が低下したため。
引き上げは3年連続で、平均的な加入者(年収約375万円)で、事業主、加入者本人ともそれぞれ年約1万3000円の負担増となる。
平成23年10月4日(火曜日)18:05 時事通信社