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研修医自死、両親が提訴「長時間労働で精神障害」主張2023/09/12

 兵庫県伊丹市立伊丹病院の男性研修医(当時25)が2018年、長時間労働などで精神障害を発症し自殺したとして、両親が病院側に約1億3千万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴していたことがわかった。
 提訴は7月3日付。訴状によると、男性は18年4月に同病院に採用され、外科などで業務に従事したが、7月12日に寮の自室で死亡していた。同年5月に99時間、6月に96時間の法定外労働時間があったと主張している。
 両親は、男性は医療機関を受診していなかったものの、当直勤務を含む長時間労働に加え、担当患者33人のうち4人が死亡するなど強い心理的負荷があり、「業務と死亡の関連性は強い」と主張。「病院側は安全配慮義務に違反している」として賠償を求めた。
 今年3月に伊丹労働基準監督署に労災認定を受け、死亡時までにうつ病の症状がみられたことや、死亡までの2カ月間にそれぞれ70時間と79時間の時間外労働があったことが認められたという。
 病院は4日、「係争中であるためお答えは控えるが、(労働基準法違反となる)80時間超の時間外労働は認定されていない」などとするコメントを出した。

令和5年9月4日(月曜日)朝日新聞デジタル

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仮眠時間は「労働」、労基署の決定取り消し=三重2023/03/26

 三重県鳥羽市の「鳥羽国際ホテル」での長時間労働が原因で心停止となった元従業員の60代男性が、自身に支給された休業補償給付について算定方法に誤りがあるとして、国に支給取り消しを求めた訴訟の判決が23日、津地裁であり、竹内浩史裁判長は仮眠時間の一部を労働時間と認定し、伊勢労働基準監督署の決定取り消しを命じた。
 男性は常に携帯電話を所持させられたなどとして「仮眠時間の全てが労働時間に当たる」と主張。竹内裁判長は判決理由で、仮眠中の緊急対応は例外的だったと指摘する一方で、業務の一部は仮眠時間に及んでいたとし、3時間半の仮眠時間のうち平均1時間20分を労働時間と認めた。
 判決などによると、男性は平成25年4月から施設管理課長として機械設備の点検や修理、庭園の手入れ、皿洗いなどの業務に従事。28年9月、自宅で心室細動による心停止となり、その後、低酸素脳症などと診断された。伊勢労基署は31年3月、休業補償給付の支給を決定した。

令和5年3月23日(木曜日)産経新聞電子版

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年金減額訴訟、二審も受給者敗訴=名古屋高裁2023/02/26

 平成24年の国民年金法改正による年金の減額は生存権や財産権を侵害し違憲として、愛知、三重両県の受給者ら約350人が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は22日、請求を退けた1審名古屋地裁判決を支持、受給者側の控訴を棄却した。
 各地の同種訴訟は受給者側敗訴が続いている。受給者側は上告する方針。
 土田昭彦裁判長は判決理由で、公的年金のみによって最低限度の生活を保障することが憲法上要請されているとはいえないと指摘。法改正について「著しく合理性を欠くとまでは評価できない」と判断した。
 判決によると、年金支給額は過去の物価下落時に据え置かれて本来より高い水準だったため、法改正で平成25〜27年、段階的に2・5%減額された。

令和5年2月22日(水曜日)産経新聞電子版

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総務室長過労死、電子部品メーカーに賠償命令、愛知2022/08/28

 東証プライム上場の電子部品メーカー「MARUWA」(愛知県尾張旭市)の総務室長だった男性が2013年12月、急性心筋梗塞のため57歳で死亡したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が会社に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は27日までに、過重労働と死亡の因果関係を認め、計約5700万円の支払いを命じた。
 会社側は「判決内容を確認していないのでコメントできない」とした。
 小林健留裁判官は判決理由で、男性の時間外労働は発症直前の1カ月が約69時間、その前の1カ月は約81時間だったと指摘。「移動時間を労働時間に計上していない出張を繰り返し、疲労を蓄積させていた」と述べた。
 会社側は「総務室長はいわゆる閑職で重責を担っていたわけではなかった」と主張したが、小林裁判官は「業務は総務を中心に広範囲にわたり、出張も多く多忙だった」と退けた。
 判決によると、男性は13年12月、県外出張で幹部らと共に乗っていたマイクロバス内でうずくまり、その後死亡した。
 判決後に名古屋市内で記者会見した妻(65)は「夫は頑張り通して会社に命を奪われた。一日も早い過労死のない社会実現を願っています」と話した。〔共同〕

令和4年8月27日(土曜日)日本経済新聞電子版

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セブン店主、労働者と認めず、中労委命令巡る訴訟2022/06/12

 セブン―イレブン・ジャパンとフランチャイズ(FC)契約を結ぶ店舗のオーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」(岡山市)が、FC店主を労働組合法上の労働者と認めなかった中央労働委員会の命令は違法として取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は6日、労働者には該当しないと判断し、請求を棄却した。
 布施雄士裁判長は「店主は従業員の採用や労働条件を決定し、独立の事業者と評価するのにふさわしい裁量を持つ」として、労務の提供はセブンの指揮命令に基づくものではないと指摘。ユニオン側が「店主には店舗運営に関わる判断の自由がなく、独立した事業者とはいえない」とした主張を退けた。
 判決によると、ユニオンは2009年に団体交渉を求めたが、セブンが拒否。ユニオンの申し立てを受けた岡山県労働委員会が14年3月、労働者と認めて団交に応じるよう命じた。セブンが再審査を申し立て、中労委は19年3月、岡山県労委の判断を覆す命令書を交付した。〔共同〕

令和4年6月6日(月曜日)日本経済新聞電子版

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トヨタ社員自殺、二審は労災認める 「パワハラでうつ発症」2021/09/17

 トヨタ自動車の社員だった男性(当時40)が2010年に自殺したのはパワハラや過重労働によるうつ病が原因として、遺族が労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が16日、名古屋高裁であった。古久保正人裁判長は「上司からの叱責(しっせき)と業務により精神的負荷を受けていた」と述べ、労災と認めなかった一審・名古屋地裁判決を取り消し、訴えを認める逆転判決を言い渡した。
 男性は1990年に入社し、エンジン部品の生産に従事。09年10月ごろにうつ病を発病し、10年1月、自殺した。遺族側は遺族補償給付の支給などを申請したが、労働基準監督署は「業務上疾病に該当しない」として不支給とした。
 古久保裁判長は、男性が上司から同僚の面前で大声で威圧的な叱責を1年近くにわたって反復、継続して受けたことが「態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃」と認定。心理的負荷が「強」にあたると判断した。
 昨年7月の一審判決は、上司からの叱責や業務内容による心理的負荷は、精神障害を発病させるほどではなかったと判断。「男性がうつ病を発症したことと業務に因果関係は認められない」として、遺族側の請求を棄却していた。

令和3年9月16日(木曜日)朝日新聞デジタル

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非正規に賞与・退職金なし「不合理」といえず=最高裁2020/10/18

 非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。原告側の逆転敗訴が確定した。
 最高裁は他方で「格差の状況によっては不合理との判断があり得る」とも指摘した。今回の司法判断が、政府が進める「同一労働同一賃金」の運用に一定の影響を与える可能性もある。
 賞与が争点となったのは、大阪医科大(大阪府高槻市)の元アルバイト職員が訴えた訴訟。同小法廷(宮崎裕子裁判長)は、正職員は試薬の管理などに携わり、仕事が易しかったアルバイトとは業務内容に違いがあったと指摘した。
 退職金が争われたのは東京メトロ子会社の「メトロコマース」(東京・台東)の元契約社員を巡る訴訟で、同小法廷(林景一裁判長)は正社員の間で役割などに差があったと判断。契約社員として10年前後働いた点を考慮しても、退職金の不支給は不合理とまでは評価できないとした。
 大阪医科大を巡る訴訟は裁判官5人全員一致の意見。メトロコマースは5人中4人の多数意見だった。
 非正規への不合理な格差は、2013年施行の労働契約法旧20条で禁じられた。ただ逆にいえば格差があっても不合理でなければ容認されることになる。最高裁は今回の訴訟では「格差は不合理とまではいえない」と結論付けた格好だ。
 政府は同一労働同一賃金のルールを推進している。だが待遇をどこまで「同一」にすべきかなど企業の現場に戸惑いは根強く、司法判断の積み重ねを求める声も多い。今回も企業の関心は高かったが、結果的に非正規側に厳しい結論となった。
 判決を受け、一部では歓迎する声が聞かれた。現状では非正規に退職金などを支払うケースは少ないのが実態で、ある大手自動車メーカー幹部は「正規と同様の支払いが必須になれば、繁忙期に非正規を多く雇う業界の慣行も崩れる。妥当な判決だ」と話す。
 もっとも今回、裁判官の一人は「(メトロコマースでの)正規と非正規の業務の間には大きな差はない」と判決に反対意見を述べ、退職金を支払うべきだと訴えた。非正規社員に正社員に近い業務を担わせれば、訴訟で不合理とされる可能性は高まっている。
 非正規の待遇改善に積極的に取り組む動きも徐々に広がっている。ヤマト運輸は18年、入社するフルタイムのドライバーをすべて正社員として採用するよう社内制度を改めた。従来は正社員になるには約2年間の試用期間などが必要だった。
 日本通運は19年4月に同一労働同一賃金を導入した。各地の支店で働く非正規社員6千人の賃金を正社員の水準まで引き上げたほか、福利厚生の適用も拡大した。
 企業は今後、どう対応すべきか。人事・労務問題に詳しい今津幸子弁護士は「正社員と非正規社員では求められる責任や期待度が違うということを正面から認める判決だったと感じる。企業は職種ごとに何を期待するのかを明確にする必要がある」と指摘する。
 東京大学の水町勇一郎教授(労働法)は「判決は同一労働同一賃金ルール関連の法改正前の議論に基づいた判断で、働き方改革の流れに逆行している」とした上で「賞与を非正規労働者にも支給する企業も出てきている。企業には多様な働き方を認め、能力のある人を生かしていくことを期待したい」と求めた。
 日本大学の安藤至大教授(労働経済学)は「払わないことが正しいというわけではない。法律は最低レベルの基準。企業は労働者に納得感を与え、働いてもらう制度づくりを考えるべきだ」と呼びかけている。

令和2年10月13日(火曜日)日本経済新聞電子版

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トヨタ社員遺族が賠償請求、「過労とパワハラで自殺」2020/07/15

 トヨタ自動車の男性社員(当時40)が2010年に自殺したのは過重な業務と上司のパワーハラスメントが原因として、愛知県豊田市に住む男性の妻(49)と長女(19)が14日、同社に計約1億2300万円の損害賠償を求め名古屋地裁に提訴した。
 妻は自殺を労災と認めなかった豊田労働基準監督署(同市)の処分取り消しを国に求める訴訟を15年7月に起こしており、29日に判決が言い渡される予定。
 訴状などによると、男性は1990年にトヨタに入社し、車体生産ラインの設計などに従事していた。08年のリーマン・ショックで人員削減や残業規制が行われ、男性の労働負荷は高まったが、上司から支援は得られず、大声で怒鳴られるなどのパワハラを受けた。
 男性は09年秋ごろから不眠症状などを訴え、うつ病を発症。10年1月に豊田市内の雑木林で首をつって自殺した。
 遺族は「会社は(男性の)業務負担や職場環境について配慮せず放置しており、安全配慮義務に違反した」と主張している。
 妻は労災補償を求めたが、豊田労基署は12年、「業務の心理的負荷が有力な原因とはいえない」として不支給を決めた。〔共同〕

令和2年7月14日(火曜日)日本経済新聞電子版

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長時間労働で心筋梗塞発症、元従業員、運送会社を提訴2020/03/14

 長時間労働が原因で心筋梗塞を発症したとして、兵庫県内在住の50代男性が10日、元勤務先の姫路合同貨物自動車(同県姫路市城東町清水)と同社の代表取締役2人を相手取り、約3080万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。
 訴状などによると、男性は同社の姫路市内の営業所に1997年から勤務。長中距離のトラック運転手として不規則な勤務を繰り返したほか、1日に複数回配送を任され、休憩がとれないこともあったという。2016年6月、仕事中に心筋梗塞を発症。時間外労働時間が月118時間を超えることもあったとする。
 以降、男性は心機能が低下した。軽い運動でも激しく息切れするといい、現在も通院を続けている。
 代理人弁護士によると、男性については18年3月、姫路労働基準監督署が業務上の災害として労災認定したが、会社側は長時間労働の実態はなく、発症との関連性もないとして交渉に応じていないという。
 提訴後の会見で男性は「労災を申請したいと申し出たら、上司から『自業自得だ』と言われた。会社に真剣に話を聞いてほしかった」と話した。
 同社の代理人弁護士は「まだ訴状を受け取っていないので、コメントは差し控える」としている。

令和2年3月10日(火曜日)神戸新聞電子版

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ホスト一気飲み死亡は労災 「飲酒は業務の一環」=大阪2019/06/03

 大阪・ミナミのホストクラブで2012年、ホストの男性(当時21)が一気飲みをして急性アルコール中毒となり死亡したのは接客業務が原因として、両親が労災認定を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。内藤裕之裁判長は「飲酒は業務の一環」として国の労災不支給決定を取り消した。
 代理人弁護士によると、飲酒を伴うサービス業での急性アルコール中毒を労災と認める司法判断は初めてとみられる。
 判決理由で内藤裁判長は、先輩ホストからの飲酒の強要を拒絶することは極めて困難な状況だったと指摘。飲酒は売り上げを伸ばすための行為で、急性アルコール中毒は「ホスト業務に伴う危険が現実化した」と判断した。
 判決などによると、亡くなったのは通信制高校に通っていた田中裕也さん。12年4月ごろから大阪市中央区の店で勤務し、8月1日の早朝、先輩ホストから強要され、客席を盛り上げようと、焼酎やテキーラを一気飲みした。酔いつぶれ、泡を吹いているのを他の従業員が発見。病院に救急搬送されたが、急性アルコール中毒で死亡した。
 両親は13年6月、大阪中央労働基準監督署に労災申請したが、同年11月に不支給とされた。
 この問題を巡っては、両親が経営会社側に損害賠償を求めた訴訟も起こし、今年2月の大阪地裁判決は先輩ホストについての使用者責任を認め、約7300万円の支払いを命令。また16年に当時の店の責任者ら2人が業務上過失致死の疑いで大阪府警に書類送検されたが、いずれも不起訴となり、両親は検察審査会への不服申し立てを検討している。〔共同〕

令和元年5月29日(水曜日)日本経済新聞電子版

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産婦人科医の労災認める、広島地裁、過労自殺で2019/06/03

 中国地方のへき地にある病院の産婦人科で勤務していた50代の男性医師が2009年に自殺したのは過重労働でうつ病を発症したことが原因だとして、医師の妻が労災認定を求めた訴訟の判決で、広島地裁(高島義行裁判長)は30日までに、労災と認めた。その上で遺族補償年金を給付しないとした国の決定を取り消した。
 判決理由で高島裁判長は「常勤医が2人だけで、分娩や手術などに忙殺され、うつ病発症前の半年間は2週間以上の連続勤務が5回以上あった」と指摘。「部下とのトラブルも抱え、心理的負荷は強かった」と述べた。
 国は「業務の密度は低かった」などと主張していたが、高島裁判長は「業務以外の発症要因は認められない」とした。
 判決によると、男性医師は1999年から産婦人科の部長として勤務。09年1月ごろからうつ病を発症し、同年3月に病院に隣接した自宅ガレージで自殺した。
 妻は国の決定を不服として、12年に労災保険審査官に審査請求したが棄却され、再審査請求中の13年に提訴した。〔共同〕

令和元年5月30日(木曜日)日本経済新聞電子版

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育休で定期昇給させず、近大に賠償命令=大阪地裁2019/04/29

 育児休業を取得したことで定期昇給が認められなかったとして、近畿大(東大阪市)の男性講師(49)が、運営する学校法人に差額の賃金など約166万円の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は24日、計約50万円の賠償を命じた。内藤裕之裁判長(中山誠一裁判長代読)は「育休の取得を理由に不利益を与えており、育児・介護休業法に反して違法だ」と指摘した。
 判決などによると、男性は2012年、教職教育部の講師として採用された。15年9月に第4子が生まれ、同年11月〜16年7月に育休を取得。当時の同大の規定では、育休期間は翌年度の昇給条件を満たすために必要な期間(12カ月)に算入されないため、16年8月に職場復帰した男性の昇給は認められなかった。
 判決は、一部でも育休を取ると昇給しなくなり、将来的な不利益も大きいと指摘。法人側は「他の休業でも昇給は抑制している」と主張していたが、育休を理由とする不利益な扱いを禁じた同法に違反すると結論付けた。
 判決後、男性は「働きながら子育てをする環境作りが一歩でも前に進んで良かった」と話した。代理人の吉岡孝太郎弁護士は「同じような規定を持つ企業や団体に影響があるだろう」と指摘した。ただ、裁判で主張していた他の昇給については判決で認められず、男性は控訴を検討する。
 一方、法人は17年4月、育休を取得しても復職後に昇給するよう規定を改正している。法人は「判決文を読んで対応を検討する」としている。

平成31年4月24日(水)毎日新聞電子版

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みなし残業代は違法と提訴、ダイドードリンコ子会社を2019/03/24

 社内での周知や同意なしに、管理職を対象にした「みなし残業代制度」を導入したのは労働基準法に違反し無効だとして、清涼飲料大手ダイドードリンコの子会社「ダイドービバレッジサービス」(大阪市北区)の静岡県内の営業所長ら2人が、未払い賃金の一部など計約990万円の支払いを求め大阪地裁に提訴したことが、23日までに分かった。提訴は11日付。
 原告側弁護士によると、2人を含め全国19都府県の営業所に勤める管理職97人が、同様の調停を大阪簡裁に申し立てており、請求総額は計約4億円に上る見込み。
 訴状などによると、ダイドービバレッジサービスは2013年ごろ、賃金規定を説明なく改定し、管理職の基本給に40時間相当の時間外手当を含む「みなし残業代制度」を導入。導入前後で給料総額に変化はないが、基本給の一部をみなし残業代に移し替え、労働基準法に反するとしている。
 提訴後に大阪市内で記者会見した原告の男性副所長(51)は、残業代分を除くと基本給が約26万円となり、非管理職時代より下がるとし「自販機の管理業務を行う人もおり、勤務実態は管理職ではなく客対応。極めて詐欺的だ」と憤った。
 同社は「訴状を見ていないので、コメントはできない」としている。〔共同〕

平成31年3月23日(土曜日)日本経済新聞電子版

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契約社員にも退職金認める、駅売店員の格差訴訟2019/02/21

 東京メトロの子会社「メトロコマース」の契約社員として駅の売店で販売員をしていた女性4人が、正社員との間に不合理な待遇格差があるとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。川神裕裁判長は「長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理」とし、4人のうち2人に退職金45万〜49万円を支払うよう命じた。
 非正規労働者には退職金が支給されないケースが多い。原告側弁護団によると、支払いを認めた判決は初めて。
 川神裁判長は、原告の2人が10年前後にわたって勤務していたことから「退職金のうち、長年の勤務に対する功労報償の性格をもつ部分すら支給しないのは不合理だ」と述べた。金額は正社員と同じ基準で算定した額の「少なくとも4分の1」とした。
 住宅手当に関しても、生活費補助の側面があり、職務内容によって必要性に差異はないと指摘。3人への11万〜55万円の支払いを命じた。一方、正社員とは配置転換の有無などの労働条件が異なるとして、賃金や賞与などの格差は容認した。
 一審・東京地裁判決は請求の大半を棄却していた。
 4人は64〜71歳。2004〜06年に採用され、3人は既に定年退職した。うち1人は、正社員と非正規との不合理な格差を禁じた改正労働契約法の施行前に定年で雇用形態が変わったため、高裁は一審同様に請求を退けた。
 原告側は認められた支給額が低いとして上告する方針。
 メトロコマースによると、1年ごとに契約する駅売店の販売員は2月1日時点で55人。同社は「判決文が届いておらず詳細が分からないので、コメントは差し控えたい」としている。〔共同〕

平成31年2月20日(水曜日)日本経済新聞電子版

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バイト職員に賞与認める、大阪高裁、原告逆転勝訴2019/02/16

 大阪医科大(大阪府高槻市)の元アルバイト職員の50代女性が、正社員らと同じ仕事なのに賞与がなく、待遇格差は違法として大学側に差額の支給を求めた訴訟の控訴審判決が15日、大阪高裁であった。江口とし子裁判長は女性敗訴の一審大阪地裁判決を変更し、労働契約法20条に違反するとして差額分など約109万円の支給を命じた。
 弁護団によると、アルバイト職員への賞与支給を認める判決は異例といい、「短期間で雇い止めを受ける非正規労働者を救う画期的判断だ」と評価している。
 判決理由で江口裁判長は大学の賞与額が年齢や成績ではなく基本給に連動し、就労自体への対価の趣旨を含む点を踏まえ「(月給制で正社員より労働時間が短い)有期契約社員へは正社員の約8割の賞与があるが、アルバイト職員に全くないのは不合理だ」と指摘。本来なら約6割分が支給されるべきで、これを下回るのは不合理とした。夏の有休や病欠中の賃金、休職給の格差も一部違法とした。
 判決によると、2013年に秘書として雇われ研究費の管理などを担当。15年に適応障害となり欠勤し、約1年後に退職した。時給制で、年収は女性と同年に採用された正社員の約半分だった。
 労契法20条を巡る待遇格差訴訟で最高裁は昨年、賃金総額だけでなく手当など個別の項目ごとに妥当性を精査すべきとの判断基準を示している。
 判決後の記者会見で女性側代理人の河村学弁護士は「賞与にさまざまな趣旨があることを指摘した最高裁判決を踏まえ、勤務実態に沿った判断だ」と評価。女性は「全国の非正規労働者が働きやすくなればうれしい」と話した。大学側は「判決文が届いておらず、コメントできない」とした。〔共同〕

平成31年2月15日(金曜日)日本経済新聞電子版

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契約社員の皆勤手当、支給を命令、差し戻し審で大阪高裁2018/12/22

 同じ業務内容なのに正社員と契約社員で賃金や手当が異なるのは違法として、物流大手「ハマキョウレックス」(浜松市)の運転手が格差の是正を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が21日、大阪高裁であった。田中俊次裁判長は皆勤手当の不支給を違法と認め、同社に32万円の支払いを命じた。
 訴えたのは同社の滋賀県内の支店に勤務する元有期契約社員、池田正彦さん(56)。同社の賃金体系が、有期契約を理由とする不合理な労働条件を禁じた労働契約法20条に違反するかどうかが争点だった。
 田中裁判長は判決理由で、皆勤手当の趣旨を踏まえ、契約社員への不支給は「不合理」と結論づけた。また同条の施行時までに、正社員と契約社員の諸手当について、「均衡の取れた処遇とするように取り組むべき注意義務違反があった」と指摘した。
 同社は「判決文を確認して対応してまいります」としている。
 差し戻し前の大阪高裁は2016年7月、無事故手当や給食手当など4種類が契約社員にも支払われるべきだと指摘。最高裁は18年6月、大阪高裁判決を支持し、皆勤手当について、支給要件を満たすか検討すべきだとして審理を差し戻していた。

平成30年12月21日(金曜日)日本経済新聞電子版

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技能実習生への残業代支払い命令、中国人雇用の農家に2018/11/11

 外国人技能実習生として働いていた茨城県内の農家で残業代未払いなどの不当な行為があったとして、中国人の女性(32)が農家と実習生の受け入れを仲介した監理団体に未払い分の支払いや損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁は9日、未払い分と制裁金に当たるほぼ同額の付加金の計約199万円を支払うよう農家に命じた。
 判決は、女性に支払われていた残業代は時給400円程度と認定。代理人の指宿昭一弁護士は「重大な違法行為だ。技能実習生だからその程度で働かせていいとはならない点を裁判所が認めた意義がある」と強調した。
 判決によると、女性は2013年9月に来日し、翌月から大葉の摘み取りなどに従事していた。岡田伸太裁判長は午後5時以降の残業時間帯に大葉を10枚ずつゴムで束ねる作業に関し「農家の指揮監督下で行われ、雇用契約に基づくものだ」として、残業に当たると判断。1時間当たりの作業量などを考慮して未払い分の残業代を算定した。
 女性を含む実習生らが雇用契約の範囲外で請け負った作業だったとの農家側の主張を退けた。
 判決は、女性が訴えた農家内でのセクハラ行為や、監理団体の指導義務違反に基づく損害賠償請求はいずれも棄却。女性から相談を受けて警察へ通報したことを理由に監理団体を解雇された元職員の男性(45)が解雇無効と賃金の支払いを求めた部分も退けた。原告側は敗訴部分を不服として控訴する方針。〔共同〕

平成30年11月10日(土曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金旧規定は合憲、父子家庭除外=最高裁2018/09/26

 家計の担い手を亡くすと支払われる「遺族基礎年金」の対象から父子家庭を除外していた国民年金法の旧規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、津市の公務員の男性(53)が支給を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は25日、合憲との初判断を示し、男性の上告を棄却した。
 岡部喜代子裁判長は、社会保障に関する立法の裁量範囲が争われた1982年の最高裁判例を挙げ「国民年金法の旧規定も違憲でないことは明らか」と指摘した。
 旧規定は「働く夫を亡くした妻子を守る」目的で定められた。しかし、夫婦共働きの増加や多数の犠牲者が出た東日本大震災を契機に、父子家庭への不支給が問題化。国民年金法が改正され、2014年4月から支給されるようになった。
 一審津地裁と二審名古屋高裁判決は、母子家庭より平均年収が高い父子家庭を除外していたことには合理性があると判断。男性の妻は13年12月に乳がんで死亡し、男性は息子2人を育てている。14年4月に支給を申請したが、妻が亡くなったのは法改正前だったため認められなかった。
 遺族基礎年金は現在、性別を問わず子供を持つ親か子供に支給される。年収850万円以上の人は対象外。遺族年金はほかに会社員らが死亡したときに支給される「遺族厚生年金」などがある。〔共同〕

平成30年9月25日(火曜日)日本経済新聞電子版

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5時から読経、64日連続勤務も…僧侶労災認定2018/05/21

 うつ病などを発症したのは連続勤務が原因として、世界遺産・高野山(和歌山県高野町)の寺院に勤めている男性僧侶(46)の労災申請を、橋本労働基準監督署が認定。
 男性は、寺院を運営する宗教法人に、未払い賃金や慰謝料など計約860万円を求め、地裁に提訴していたことがわかった。提訴は4月27日付。
 訴状によると、男性は2008年4月から寺院に勤務。15年12月頃にうつ病などになり、16年3月から休職した。同労基署は男性の申請を労災と認定、17年11月に休業給付の支給を決定した。男性は勤務当時、午前5時頃から読経の準備を始め、日中は宿坊のフロント業務も担当。高野山開創1200年の15年は3〜5月に64日間、9〜10月には32日間の連続勤務があり、勤務終了時刻が午後11時頃になることもあった。
 男性の代理人弁護士は「僧侶が修行名目で長時間労働を強いられているケースは、ほかにもあるのではないか。実態を明らかにしていきたい」としている

平成30年5月18日(金曜日)読売新聞電子版

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店長過労自殺で和解=ホンダ販売会社が謝罪−千葉地裁2018/01/18

 ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」(千葉市)の男性店長=当時(48)=が自殺したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が同社を相手に損害賠償など約1億3600万円を求めた訴訟は17日、千葉地裁(小濱浩庸裁判長)で和解が成立した。同社が遺族に謝罪し、損害賠償金を支払う。金額は非公表。
 遺族の代理人弁護士によると、男性は新規オープンする販売店の店長に就任したが、部下の残業を抑えるため長時間労働を強いられ、うつ病を発症。出勤できなくなって懲戒解雇され、2016年12月に自殺した。千葉労働基準監督署は17年6月、労災認定した。
 和解条項では、業務上の死亡であることを同社が真摯(しんし)に受け止め、遺族に重大な精神的苦痛を負わせたとして謝罪。懲戒解雇の無効や安全配慮義務違反を認めた。
 遺族は「会社としての在り方を改めて考え、二度と起こらないように改善してほしい」とコメント。ホンダカーズ千葉は「心よりおわび申し上げる」とした。

平成30年1月17日(水曜日)時事通信社

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年金時効「障害発生から」、不支給分の支払い認めず2017/10/18

 大けがをして長い年月がたった後で障害年金を申請したところ、5年の時効を理由に一部しか支給されなかった札幌市の男性(67)が、不支給分約2700万円の支払いを国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は17日、年金を受ける権利の時効は障害の発生から進行するとの判断を示し、男性の上告を棄却した。男性の敗訴が確定した。
 障害年金は、申請を受けて障害の発生時期を認定し、当時にさかのぼって支給する仕組み。法律に「権利は5年を経過すれば消滅する」という時効の規定があり、訴訟では、いつの時点から時効が進行するかが争われた。
 行政実務や他の多くの訴訟では今回の最高裁判決と同様の判断がされているが、別の訴訟で名古屋高裁は2012年、「年金を申請し、支給が決まったと本人に通知された時点から時効は進行する」と指摘。国が認めなかった分の支払いを命じた。年金制度を知らないなどの理由で申請が遅れるケースもあることから、この判決を評価する声も出ていた。
 男性は1970年6月、交通事故で左脚を切断。11年6月に障害年金を申請した。同8月、障害2級と70年からの年金受給権が認められたが、申請から5年さかのぼった分しか支給されなかった。15年に提訴し、一審札幌地裁判決は16年4月に請求を棄却。同10月の二審札幌高裁判決も支持した。〔共同〕

平成29年10月17日(火曜日)日本経済新聞電子版

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契約社員への住宅手当支給命じる「画期的判決」2017/09/15

 東京や愛知など3都県の郵便局に勤務する契約社員3人が、同じ仕事内容の正社員と待遇格差があるのは不当だとして、日本郵便(東京)に正社員との手当の差額計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟で、東京地裁(春名茂裁判長)は14日、住宅手当などの不支給は違法だとして、計約92万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 原告弁護団によると、同種訴訟で住宅手当の支給を命じたのは初めて。日本郵便は約40万人の従業員のうち、正社員以外が約半数を占める。弁護団は「他企業にも大きな影響を与える画期的な判決だ」としている。
 労働契約法は、雇用期間に期限のある契約社員らと正社員の労働条件に不合理な格差を設けることを禁止。原告側は、同社の就業規則で手当や休暇が正社員と契約社員で異なるのは、同法に違反すると主張していた。
 判決は、正社員であれば、一定額が支給される「年末年始勤務手当」や「住宅手当」について、契約社員に全く支払われないのは「不合理だ」と指摘。正社員の8〜6割の手当を支払うよう命じた。また、契約社員には夏期・冬期休暇がないことや病気が理由の有給休暇が認められていないことについても、「官公庁や企業で広く制度化されており、不合理だ」などとして違法と判断した。
 一方、判決は、「同法は、契約社員と正社員の間で一定の賃金制度の違いを認めている」と指摘。賞与など6種類の手当については、仕事内容にも異なる点があるとして格差を容認した。
 日本郵便の話「判決内容の詳細を確認し、今後の対応を決める」

平成29年9月14日(木曜日)読売新聞電子版

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自殺社員の遺族が提訴、ゼリア新薬「研修で心理的負荷」 2017/08/09

 製薬会社「ゼリア新薬工業」(東京・中央)の新入男性社員(当時22歳)が自殺したのは、新入社員研修で受けた心理的負荷が原因だとして、男性の両親が8日、同社や研修の委託先のコンサルティング会社などに約1億500万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
 遺族側の弁護士らによると、男性は2013年4月に入社。約4カ月の予定の新入社員研修に参加し、5月上旬に精神疾患を発症した。同月18日、研修施設から帰宅する途中に自殺した。
 研修では、それぞれの悩みや弱みを打ち明けさせる「意識行動変革研修」を実施。講師が多くの受講者の前で男性がきつ音だと指摘したり、過去のいじめの体験を話させたりした。
 男性は、研修の報告書で「一番知られたくなかった同期の人々にまで知られてしまい、ショックは数倍増しだった」とつづっている。
 遺族は14年12月に労災申請した。中央労働基準監督署(東京・文京)は、研修内容が自殺の原因だとして、15年5月19日に労災認定した。
 ゼリア新薬工業は「訴状を受け取っていないためコメントは控える」としている。

平成29年8月8日(火曜日)日本経済新聞電子版

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勤務医の高額年俸「残業代含まず」=最高裁判決2017/07/10

 勤務医の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代に当たる部分を他の賃金と判別できず、残業代を年俸に含んで支払ったとはいえない」と判断した。好待遇などを理由に「年俸に含まれる」とした一、二審判決を破棄した。
 最高裁の判例は、労働基準法の規定に沿って時間外賃金が支払われたことをはっきりさせるため、「時間外の割増賃金は他の賃金と明確に判別できなければならない」としている。第2小法廷は高額な年俸の場合も例外とせず、これまでの判例を厳格にあてはめた。
 訴えを起こした40代の男性医師は2012年4〜9月、神奈川県の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半〜午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定だった。医師側はこの間の時間外労働約320時間の一部が未払いだと主張していた。
 第2小法廷は「雇用契約では時間外賃金を1700万円の年俸に含むとの合意があった」と認めたが、「どの部分が時間外賃金に当たるかが明らかになっておらず、時間外賃金が支払われたとはいえない」と判断。未払い分の額を算定するため、審理を東京高裁に差し戻した。
 労働基準法は、長時間労働を抑えるため、法定労働時間(1日8時間)を超える残業に通常の1.25倍以上の賃金を支払うよう義務付けている。
 一審・横浜地裁判決は「医師は労働時間規制の枠を超えた活動が求められ、時間数に応じた賃金は本来なじまない」と指摘。好待遇であることから「時間外賃金は年俸に含まれている」として病院側の主張を認めた。二審・東京高裁も一審の判断を支持し、医師側が上告していた。
 医師側代理人の新井隆弁護士は「企業が給与体系を見直すきっかけになる」、病院側代理人の最所義一弁護士は「労働法規の厳格な適用が現実に合致していない側面があるにもかかわらず、最高裁は形式的判断をした」とのコメントを出した。
 男性医師は12年9月に勤務態度を理由に解雇され、解雇無効や未払い賃金の支払いなどを求めて提訴した。7日の判決で、解雇を有効とした一、二審の判断は確定した。

平成29年7月7日(金曜日)日本経済新聞電子版

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医師の残業代「含む」見直しへ、上告審結審、7月判決 2017/06/11

 医師の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審弁論が9日、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)で開かれ、結審した。判決は7月7日。弁論は二審の結論を変更する場合に開かれるため、「残業代は年俸に含まれる」とした一、二審判決を見直す可能性が高い。
 訴えを起こした40代の男性医師は2012年4〜9月、神奈川県内の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半〜午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定になっていた。
 医師側は弁論で、過重労働を防ぐために割増賃金の支払いを義務付ける労働基準法の趣旨に触れ、「医師の過重労働を防ぐには、通常の賃金と時間外の割増賃金が明確に区分できる必要がある」と主張。年俸に残業代が含まれないと訴えた。
 病院側は「職種によっては経営者と同等の給与を得ていて、必ずしも手厚く保護する必要がない労働者もいる」と強調し、仕事の実態に応じた柔軟な法解釈を求めた。

平成29年6月9日(金曜日)日本経済新聞電子版

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警備中の仮眠は労働時間、地裁、賃金支払い命じる2017/05/18

 警備員として勤務中に定められた仮眠時間は労働時間に当たるとして、イオングループの警備会社「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の男性社員(52)が同社に未払いの割増賃金など約700万円の支払いを求めた訴訟で、千葉地裁(小浜浩庸裁判長)は17日、同社に割増賃金と制裁金に当たる「付加金」の計約177万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決によると、男性は2011年9月に入社。15年5月まで東京や千葉のイオン系列の商業施設などで警備業務を担当してきた。24時間連続の勤務があり、その際は未明に4〜5時間の仮眠時間が定められていた。
 男性側は「仮眠時間内は外出も認められず、会社は従業員に警備態勢の継続を求めていた」と主張していた。
 同社は「判決文を精査し対応を検討する」とコメントした。
 勤務中の仮眠時間を巡っては02年、最高裁が「労働からの解放が保障されていない場合、労働時間に当たる」との判断を示している。〔共同〕

平成29年5月17日(水曜日)日本経済新聞電子版

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「長時間労働でうつ」和解、ホームセンター元社員2017/05/07

 東日本を中心にホームセンター「ビバホーム」を運営する「LIXIL(リクシル)ビバ」(さいたま市浦和区)の元社員の50代男性が、長時間労働でうつ状態になったとして同社に約4600万円の損害賠償を求めた訴訟がさいたま地裁(森冨義明裁判長)であり、同社が解決金1100万円を支払う内容で和解していたことが2日、分かった。3月21日付。和解では、男性の疾病が業務に起因するものではないとの内容も盛り込まれた。
 訴状によると、男性は平成15年に入社し、ホームセンターの店長などを務めた。同年5〜12月、毎日の労働時間が平均16時間となり、月の残業時間が200時間に達したこともあった。その後も長時間労働が続き、16年12月にうつ状態と診断されたとしている。
 会社側は「原告は遺伝的要因に基づく双極性障害で賠償義務はない」「裁量で自ら労働時間を決めていた」などと主張していた。

平成29年5月3日(水曜日)サンケイビズ

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遺族年金 一転支給へ、同居女性に「生計同一」認める2017/04/09

 岡山県在住の50代の女性が2014年5月に申請し、認められなかった遺族厚生年金について、厚生労働省が今年3月に一転して不支給処分を取り消し、支給する方針を示したことが7日、分かった。厚労省が一度決定した処分を変更するのは異例。
 女性は妻子と離れた男性と約25年間同居。男性は認知症になり、妻と同じ介護施設に入所して数年後に亡くなった、という事情があった。
 遺族年金を受け取るには、被保険者の死亡時に、その人によって生計を維持されていたという「生計同一要件」などを満たす必要がある。女性は男性名義の衣料店を引き継いで収入を得ていたが、厚労省は、男性が妻と家族関係を再構築し、女性との間の同一要件は認められないとしていた。
 女性は不支給処分の取り消しを求めて昨年、岡山地裁に提訴。男性が亡くなる数カ月前に金融機関から運転資金の融資を受けた事実を新たに示した。男性が仕入れた商品が残っていた店への融資が実行され、経営できたとの主張で、厚労省は3月14日に女性側に処分を見直すと伝達した。
 女性の代理人を務める作花知志弁護士は「認知症前の生活が総合的に評価された。生計同一関係の基準が緩和される先例になるのでは」と話した。
 訴状などによると、女性は1983年ごろから男性と同居。認知症発症後の2010年、子どもらが住民票を移して施設に入所させ、妻が12年、男性は13年に死亡した。〔共同〕

平成29年4月8日(土曜日)日本経済新聞電子版

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遺族年金の男女差「合憲」、最高裁が初判断2017/03/22

 労災で配偶者を亡くした場合の遺族補償年金をめぐり、夫だけは55歳以上でないと受給できない規定が憲法違反がどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は21日、規定は合憲とする初判断を示した。「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘した。
 合憲かどうかが争われたのは、1967年施行の地方公務員災害補償法の規定。妻は年齢を問わずに受け取れるため、妻を亡くした原告の堺市の男性(70)が、法の下の平等を定めた憲法に反するとして提訴した。
 同小法廷は判決理由で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と判断した。裁判官5人の全員一致。男性の敗訴が確定した。
 民間や国家公務員の労災の遺族補償にも同様の年齢制限がある。
 2013年11月の一審・大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」とし、地方公務員災害補償基金(東京)による不支給の決定を取り消した。
 15年6月の二審・大阪高裁判決は男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘。規定は不合理な差別ではないとした。逆転敗訴した男性が上告していた。
 一、二審判決などによると、1998年、市立中学の教員だった妻(当時51)が自殺。男性は遺族補償年金の支給を申請したが、妻の死亡時点で男性が51歳だったため、受給要件の55歳に達していないとして支給されなかった。

平成29年3月21日(火曜日)日本経済新聞電子版

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「さと」など違法労働、正式裁判へ…大阪簡裁2017/03/21

 従業員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反で法人として略式起訴された飲食店経営会社「サトレストランシステムズ」(大阪市中央区)について、大阪簡裁は6日、「略式命令は不相当」と判断し、通常の公判を開いて審理することを決めた。
 同社は「和食さと」などを全国展開。2015年1〜11月、本社と大阪府内の「和食さと」や「すし半」など4店舗で、労使協定で定めた上限時間を超える時間外労働をさせたなどとして書類送検され、大阪区検が今年2月27日付で略式起訴していた。

平成29年3月7日(火曜日)読売新聞電子版

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従業員に違法な長時間労働「和食さと」略式起訴2017/03/06

 従業員に違法な長時間労働をさせたとして、大阪区検は、「和食さと」などを全国展開する「サトレストランシステムズ」(大阪市中央区)を労働基準法違反で大阪簡裁に略式起訴した。2月27日付。
 同社は2015年1〜11月に本社と大阪府内の4店舗で、労使協定で定めた上限時間を超える時間外労働をさせたなどとして、昨年9月、大阪労働局・過重労働撲滅特別対策班(通称・かとく)から書類送検されていた。同時に書類送検された店長ら5人は不起訴になった。
 同社によると、かとくの捜査を受け、一部の店舗で営業時間を短縮するなどしたほか、サービス残業をしていた従業員653人に過去2年分の残業代として計約4億6200万円を支払ったという。

平成29年3月4日(土曜日)読売新聞電子版

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ほっともっと元店長、地裁が残業代支払い命令2017/02/19

 弁当店「ほっともっと」店長は権限や裁量のない「名ばかり管理職」で、残業代が支払われなかったのは違法だとして、元店長の30代女性が運営会社「プレナス」(福岡市)に未払い賃金など511万円と懲罰的付加金約200万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、静岡地裁であった。関口剛弘裁判長は原告の請求を認め、約160万円の支払いを命じた。
 関口裁判長は判決理由で、元店長について「勤務実態や権限から、管理監督者に当たるとはいえない」と判断した。
 労働基準法は、給与などで相応の待遇を受ける「管理監督者」は残業代の支給対象外と規定。人件費抑制の抜け穴とされ、労働基準監督署が監視を強めている。訴訟では元店長が管理監督者に該当するかが争点だった。
 運営会社は「店長は経営に責任を持つ管理監督者」と主張したが、関口裁判長は「アルバイト採用などで限定的な権限しかなく、店舗運営は本社のマニュアルに従っていた」と指摘。労働時間についても「自由裁量で決めることができたとまではいえない」と述べた。
 また原告の年収は320万円ほどで、同社の管理監督者以外の平均年収と大差がないとして「高い待遇を受けていたとは認められない」と認定。これらのことから「店長は管理監督者とする」と定めた就業規則は労基法に反し、無効と指摘した。
 一方、過労で体調を崩したとして原告側が求めていた損害賠償は「法定外労働は40〜70時間程度で、著しく多かったわけではない」と退けた。
 元店長の女性は記者会見し「悔しさを晴らせた。同じ境遇の人に勇気を与えたい」と語った。プレナスは「判決文が届いておらずコメントは差し控える」としている。
 判決によると女性は2012年7月に入社。同11月に静岡県内の店長となった。13年9月から休職し14年10月に退職した。〔共同〕

平成29年2月17日(金曜日)日本経済新聞電子版

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西濃運輸「パワハラ」2600万円支払いで和解2017/02/15

 トラック運送大手・西濃運輸(岐阜県大垣市)の元従業員の男性(51)が上司のパワーハラスメントや長時間労働でうつ病を発症したとして、同社と上司2人に約1億円の損害賠償を求めた訴訟があり、大阪地裁で和解が成立した。
 10日付。同社と上司が解決金として2600万円を支払う。
 訴状によると、摂津支店(大阪府)でトラック運転手をしていた男性は、月100時間を超える時間外労働を強いられたほか、2011年6月には、当て逃げ事故を起こしたとして上司から職場の草むしりを命じられ、その直後にうつ病を発症。男性は12年6月に労災認定を受けた。
 和解条項では、男性が当て逃げ事故を否定したにもかかわらず、十分に確認しないまま、草むしりを命じたことなどを上司2人が謝罪。同社も、長時間労働によって、うつ病を発症させた責任を認めた。
 西濃運輸は「同様の事例が起きないよう社員教育を一層強化する」としている。

平成29年2月14日(火曜日)読売新聞電子版

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労災の東北大助手の自殺、民事訴訟では請求棄却2017/02/15

 東北大の助手だった阿部幸平さん=当時(24)=が平成19年に自殺したのは、長時間労働や教授のパワーハラスメントが原因として、東京都北区の両親が東北大に約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は14日、請求を棄却した。
 判決理由で高宮健二裁判長は「助手の日常業務は、自殺に至らしめる精神的負担を与えるほどではなかった。教授のパワハラも認められない」と指摘した。原告側は、時間外労働が100時間を超える月もあったと主張したが、判決は「長時間労働を客観的に裏付ける証拠はない」と退けた。
 判決によると阿部さんは19年6月、東北大病院薬剤部の助手になり、抗がん剤の研究をしていた同12月、病院の研究室から飛び降り自殺した。宮城労働局は24年3月、阿部さんに鬱病や長時間労働があったとして労災認定している。
 原告で父親の幸秀さん(61)は判決後「国の労災認定と司法の判断が食い違っている」として控訴の意向を示した。

平成29年2月14日(火曜日)産経ニュース

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ミスド店長過労死、経営の菓子会社に賠償命令2017/01/31

 ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」の三重県内のフランチャイズ店で店長だった男性(当時50歳)が死亡したのは長時間労働が原因だとして、遺族が店を経営する菓子製造会社「竹屋」(三重県四日市市)と社長らを相手取り、約9500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、津地裁であった。
 岡田治裁判長は「長時間労働により心身に負荷がかかったことが主たる原因と認められる」と述べ、竹屋側に約4600万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1986年、竹屋に入社。2011年7月から三重県内の2店の店長と、9店の店長不在時の代理業務などで長時間労働が続き、12年5月、出勤途中に致死性不整脈で死亡した。四日市労働基準監督署からは、13年に過労死と認定された。
 判決は、男性が少なくとも約5か月間、月平均120時間以上の時間外労働を続けていたと指摘。「労働時間が長期にわたり、長時間に及んでいるのに、上司は改善策を講じなかった」と竹屋の安全配慮義務違反を認めた。死亡する1か月前に業務時間が短縮されたことなどを考慮し、賠償額は減額した。
 男性の妻(52)は判決後、弁護士を通じて「会社には労務管理を徹底し、二度と同じようなことを起こさないでほしい」とコメントした。
 竹屋管理本部の真弓浩一部長は「判決を真摯に受け止める。社を挙げて労働環境の改善に努め、今後については弁護士と協議の上、対応したい」としている。

平成29年1月30日(月曜日)読売新聞電子版

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ファミマ、過労死訴訟で和解、店員遺族側に4300万円2016/12/30

 コンビニエンスストア大手「ファミリーマート」(本部・東京)の加盟店で働いていた男性従業員(当時62)が死亡したのは、長時間労働による過労が原因として、遺族が同社と店主に損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁で和解した。連帯して解決金計4300万円を支払う内容で、フランチャイズ本部が雇用関係が直接ない加盟店の従業員の労災に関し、解決金の支払いに応じるのは極めて異例。
 22日付の和解条項では、ファミマが、著しい長時間労働の中で死亡したことに遺憾の意を表明する▽労働法規の遵守(じゅんしゅ)を加盟店に指導して欲しいとの遺族の要望を受け、加盟店や従業員と適切な関係を築き、信頼される企業となるよう不断の努力をする――ことが盛り込まれた。
 訴状によると、男性は2011年から大阪府大東市の加盟店で勤務。12年からは店主に指示され、店主が経営する同府門真市の別の店でも働くようになった。掛け持ち勤務をしていた同年12月21日夜、男性は大東市の店で脚立から転落して頭の骨を折り、急性硬膜下血腫で翌月に亡くなった。
 妻子3人は、男性の不注意ではなく過労による転落だとして、15年4月に損害賠償計5837万円を求めて提訴。同僚への聞き取りなどから、平日は15時間、土日は9〜12時間勤務し、12年4月16日以降の休日はわずか4日で、死亡前の半年間の残業時間は国が定めた「過労死ライン(2カ月以上にわたり月平均80時間)」を大幅に上回る月218〜254時間に上ったと主張した。さらに「ファミマは店舗の担当者を通じて過重労働を把握できたのに、漫然と放置した。使用者責任があるのは明らか」と訴えていた。
 ファミマは訴訟で責任を否定していたが、今年8月、和解申し入れをした。
 男性の妻は「家族思いで真面目だった主人はもう帰ってきませんが、せめて犠牲者を二度と出さないようにしたいと裁判を起こしました。和解をきっかけに本部企業が加盟店の従業員の労働環境を改善するために指導、監督するようになっていただければと願っています」とのコメントを出した。

平成28年12月30日(金曜日)朝日新聞デジタル

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遺族の労災請求を認めず、死亡の宮大工=大阪地裁2016/11/28

 日当をもらって建設現場で働いていたのに、労働者ではなく個人事業主(一人親方)と見なされ、労災補償の対象外とされたとして、作業中に死亡した宮大工の男性=当時(44)、京都府長岡京市=の妻が、国に労災認定を求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であり、内藤裕之裁判長は「法律上の労働者には該当しない」として原告の請求を棄却した。
 男性が労働基準法で定める労働者に当たるかどうかが争点だった。内藤裁判長は、仕事を依頼してきた知人と原告とのやり取りから、断ろうと思えば断れる状況だったと判断。相手方に従属して労務を提供するような関係にはなかったと結論づけた。
 判決によると、男性は平成26年4月、知人の依頼で埼玉県の現場で屋根の修理中に転落し、その後死亡した。川越労働基準監督署は労災認定せず、遺族補償給付金などの不支給を決定した。

平成28年11月21日(月曜日)産経ニュース

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JCBに略式で罰金50万円、違法な長時間労働2016/11/07

 従業員に違法な長時間労働をさせたとして、東京区検が、労働基準法違反罪でクレジットカード大手「JCB」(東京都港区)を略式起訴していたことが1日、分かった。3月27日付。東京簡裁は同月30日に罰金50万円の略式命令を出し、JCBは4月に納付した。
 東京地検によると、JCBは2014年2〜3月、二つの部署の従業員計7人に対し、労使協定で定めた時間外労働の限度(月80時間)を超えて働かせていた。三田労働基準監督署(東京)によると、限度の超過は月約39〜67時間だった。

平成28年11月1日(火曜日)西日本新聞電子版

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ドン・キホーテ、違法な長時間残業で罰金命令=東京簡裁2016/11/07

 従業員に違法な長時間残業をさせたとして、ディスカウント店を運営する「ドン・キホーテ」(東京都目黒区)が労働基準法違反(長時間労働)の罪で東京簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。10月26日付。同社は今後、納付するという。
 同社をめぐっては、都内の「ドン・キホーテ町屋店」など5店舗で、従業員数人に労使で定めた残業の限度(3カ月120時間)を超える最長415時間の残業をさせたとして、東京労働局が今年1月に同社と執行役員ら8人を書類送検していた。
 親会社のドンキホーテホールディングスは「司法の判断を重く受け止め、真摯(しんし)に反省し、全社を挙げて関係法令の順守を徹底する」とコメントした。

平成28年11月4日(金曜日)朝日新聞デジタル

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「同じ仕事で賃金差」容認、定年後の雇用=東京高裁2016/11/03

 定年退職後に再雇用され、同じ内容の仕事を続けた場合に賃金を引き下げることの是非が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2日、引き下げを容認する判断を示した。減額を不当として会社に賃金の差額の支払いを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却した。
 訴えていたのは、運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人。原告側は判決を不服として上告する方針。
 判決理由で杉原則彦裁判長は「企業は賃金コストが無制限に増大することを避け、若年層を含めた安定的な雇用を実現する必要がある」と指摘。定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて「一般的で、社会的にも容認されている」との判断を示し、不合理ではないと結論づけた。
 5月の一審判決は「仕事や責任が同じなのに、会社がコスト圧縮のために定年後の賃金を下げるのは不当だ」と判断。正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反しているとし、正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう会社に命じた。
 一審判決などによると、3人は2014年に60歳の定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用された。セメントを運ぶ仕事が定年前と変わらない一方、年収は2〜3割下がった。
 原告側代理人によると、運送業などでは定年退職者を再雇用した場合に同じ仕事のまま賃金を下げる例が多いという。
 判決後に記者会見した原告男性(62)は「納得できない。最高裁でたたかう」と話した。

平成28年11月2日(火曜日)日本経済新聞電子版

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再雇用で別業務は違法、トヨタに賠償命令=名古屋高裁2016/09/29

 トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、訴えを棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた。地位確認は認めなかった。
 藤山裁判長は判決理由で、全く別の業務の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当たる」と判断した。高齢者の継続雇用を巡る裁判で企業の賠償責任が認められるのは異例。
 男性は最長5年の雇用が認められる社内制度で事務職としての再雇用を求めたが、1年契約のパート労働で清掃業務を提示され、拒否していた。
 男性は取材に「会社の違法性を認めた画期的な判決だ」と話した。
 トヨタ自動車は「主張が認められず残念。今後の対応は判決を精査して判断する」としている。
 藤山裁判長は、定年後にどんな労働条件を提示するかは企業に一定の裁量があるとした上で「適格性を欠くなどの事情がない限り、別の業務の提示は高年齢者雇用安定法に反する」と指摘した。
 今年1月の一審名古屋地裁岡崎支部判決は「男性は事務職で再雇用されるための基準を満たしていなかった」とする会社側の主張を認め、男性の請求を退けていた。
 判決によると、男性は大学卒業後、トヨタ自動車に入社し、2013年7月に定年退職した。
 高年齢者雇用安定法は希望者を65歳まで雇用するよう企業に義務付けている。〔共同〕

平成28年9月28日(水曜日)日本経済新聞電子版

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労災受給者の解雇可能、元専大職員の訴え退け2016/09/13

 労災保険の休業補償を受けて療養中、一定の賃金をまとめて補償すれば解雇ができるかどうかが争われた訴訟の差し戻し控訴審判決が12日、東京高裁であった。河野清孝裁判長は、解雇の無効確認を求めた元専修大職員の男性の請求を棄却し、解雇は有効と認めた。
 労働基準法は業務上の病気やけがで療養中の解雇を原則禁止。一方雇い主の費用負担による療養期間が3年を過ぎても治らなければ、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払って解雇できると定めている。
 雇い主が直接費用を負担せず、国の労災保険が適用される場合については明確な規定がない。昨年6月の上告審で最高裁が「解雇できる」との初判断を示し、審理を差し戻していた。
 河野裁判長は判決理由で「労災保険は国が雇い主に代わって、保険給付の形式で実質的に災害の補償をしている」と指摘。雇い主が保険料を負担している労災保険が適用された場合も打ち切り補償で解雇ができると述べた。
 差し戻し控訴審の判決によると、男性は入試事務を担当し、2003年、肩などに痛みが生じる頸肩腕(けいけんわん)症候群と診断された。07年に労災認定を受け、休職。専修大は11年に打ち切り補償約1600万円を支払って男性を解雇した。
 一、二審は「労災保険で補償を受けている労働者を打ち切り補償によって解雇することはできない」とし、解雇が無効と認めていた。

平成28年9月12日(月曜日)日本経済新聞電子版

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東芝に賠償命令、過労でうつ病の社員解雇=東京高裁2016/09/07

 過重労働でうつ病になり、不当に解雇されたとして、東芝元社員の重光由美さん(50)が東芝に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、東京高裁(奥田正昭裁判長)は1日までに、約6千万円の支払いを命じた。差し戻し前から賠償額を増額した。
 訴訟では重光さんが精神科への通院歴を申告しなかったことの過失が争われた。最高裁は2014年、「申告がなくても会社には安全管理に注意すべき義務がある」と判断。重光さんの過失を認めて賠償額を2割減額した控訴審判決を破棄し、審理を差し戻した。
 判決によると、重光さんは埼玉県深谷市の工場で液晶生産ライン開発のプロジェクトリーダーを務め、01年にうつ病を発症。休職後に職場復帰しなかったとして04年に解雇された。解雇の無効については、差し戻し前の控訴審ですでに確定している。

平成28年9月1日(木曜日)日本経済新聞電子版

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労基署、管理職の長時間労働による過労死を労災認定2016/08/08

 東京都内の建設コンサルティング会社に勤務し、くも膜下出血で亡くなった川崎市の男性(当時42)について、渋谷労働基準監督署が、長時間労働が原因の過労死だとして労災認定していたことが3日、分かった。
 遺族代理人の川人博弁護士が明らかにした。認定は7月26日付。
 川人弁護士によると、男性は課長代理で、社内では残業代の支払い対象外の「管理監督者」として扱われていた。しかし労基署は、管理監督者に当たらないとの見解を示したという。
 川人弁護士は「実際には管理職と言えない人たちも管理職とされ、残業代の不払いが常態化している。長時間労働の温床だ」と訴えた。
 男性は、主に自治体発注の下水道工事の設計業務に従事。昨年7月、仕事中に倒れ搬送先の病院で死亡した。直前6カ月の残業時間は過労死ラインとされる月平均80時間を超え、多い月には171時間に達した。宮城県や長野県などへ頻繁に出張、負荷が大きかった。
 遺族は今後、会社に未払い残業代と損害賠償を請求する方針。(共同)

平成28年8月3日(水曜日)日刊スポーツ電子版

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歓送迎会から残業に戻る途中、事故死は「労災」2016/07/11

 会社の歓送迎会に参加した後、職場へ戻る途中に交通事故で死亡した場合、労災と認められるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、「会社の行事の一環だった歓送迎会に上司の意向で参加し、仕事を再開するための運転中に事故に遭ったのだから、労災に当たる」との判断を示した。
 その上で、1、2審判決を破棄し、死亡した男性(当時34歳)の妻の請求を認めて、労災認定しなかった国の処分を取り消す判決を言い渡した。妻側の勝訴が確定した。職場の飲み会に絡んで事故が起きても通常は労災とは認められないが、飲み会への会社の関わり次第では、労災と認められる余地があることが示された。

平成28年7月8日(金曜日)読売新聞電子版

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十六銀社員の自殺は「パワハラ原因」労災認定求め提訴2016/05/30

 十六銀行(岐阜市)の新入社員の男性(当時25)が自殺したのは過労とパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が労災保険の不支給処分の取り消しを国に求めて名古屋地裁に提訴した。第1回口頭弁論が25日あり、国側は請求棄却を求めた。
 訴状によると、2011年4月に入行した男性は、岐阜県内の支店へ配属後、内規などに反して窓口や融資業務を任せられ、同年8月には上司から「幼稚園児か」などと罵倒された。男性は同年12月に自殺した。
 原告側は「昼食時間も確保できないほどの長時間労働、上司のハラスメントで心身ともに疲労困憊していた」と主張。自殺する1、2カ月前の時間外労働が70時間超で、自宅学習の時間を含むと100時間を超え、「うつ病」も発症していたと訴えている。
 岐阜労働基準監督署は14年3月、業務が原因の自殺と認められないとして労災保険の不支給を決定。再審査請求も退けられていた。

平成28年5月25日(水曜日)朝日新聞デジタル

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定年後の再雇用「同じ仕事で賃金減」違法判決2016/05/25

 定年後の再雇用で正社員時代と同じ仕事をしているのに、賃金が減ったのは違法だとして、横浜市の運送会社で働くトラック運転手の男性3人が、正社員との賃金の差額分計約415万円の支払いなどを求めた訴訟で、東京地裁は13日、全額の支払いを命じる判決を言い渡した。佐々木宗啓裁判長は「正社員と同じ業務をさせながら賃金水準だけを下げるのは不合理で、労働契約法違反だ」と述べた。
 同法は2013年4月の改正で、雇用期間に期限がある社員と正社員との間で不合理な労働条件の格差を設けることが禁止された。原告側弁護団によると、運送業界では同様の雇用形態が少なくないが、定年後の再雇用を巡って同法違反を認めた判決は初めてという。弁護団は「不合理な賃金格差の是正に大きな影響力を持つ画期的な判決だ」と評価している。
 判決によると、61〜62歳の男性3人は、横浜市の運送会社「長沢運輸」で20〜34年間、正社員として勤務。14年に60歳の定年を迎え、1年契約の嘱託社員として再雇用された。仕事内容は正社員時代と同じだったが、賃金は3割前後減らされた。
 訴訟で同社側は「退職金も支給されており、再雇用で賃金が下がるのはやむを得ない」などと主張した。しかし、判決は「同社の再雇用制度には、新規に正社員を雇うよりも賃金コストが抑えられるという側面がある」と指摘。「同社の経営上、コスト圧縮の必要性があったとは認められず、不当だ」として、同社側の主張を退けた。
 長沢運輸は「コメントしない」としている。

平成28年5月13日(金曜日)読売新聞電子版

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上海で過労死、労災適用認める判決ー遺族が逆転勝訴2016/04/30

 運送会社の社員として、中国・上海の現地法人に赴任中に過労死した男性(当時45)に対し、日本の労災保険が適用されるかが争われた訴訟で、東京高裁は27日、適用を認める判決を言い渡した。杉原則彦裁判長は「日本からの指揮命令関係などの勤務実態を踏まえて判断すべきだ」と指摘。「適用できない」とした一審・東京地裁判決を覆し、労災適用を国に求めた遺族の逆転勝訴とした。
 判決によると男性は2006年に、東京都に本社がある運送会社から上海の事業所に赴任。10年に設立された現地法人の責任者になったが、同年7月、急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。死亡前の1カ月の時間外労働は約104時間だった。
 労災保険法によると、海外勤務者は独立した現地の会社で働く場合は、「特別加入」をしないと日本の労災は適用されない。男性の会社は特別加入をしておらず、昨年8月の一審判決は労災適用を認めなかった。だが、27日の判決は「男性は本社の指揮命令下で勤務していた」として、労災を適用すべきだと判断した。
 遺族の代理人弁護士は「海外赴任者の労災が認められず、多くは泣き寝入りしてきたのではないか。労災制度の原則に立ち返った画期的な判決だ」と話した。

平成28年4月27日(金曜日)朝日新聞デジタル

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女性が働きやすい企業のはずが…マタハラ認定、賠償命令2016/04/25

 妊娠後に業務軽減を求めたのに怠ったのはマタニティー・ハラスメントにあたるとして、北九州市小倉北区の介護職員、西原ゆかりさん(35)が、勤務する介護事業会社「ツクイ」(本社・横浜市)と元営業所長の女性に慰謝料など約500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁小倉支部であった。足立正佳裁判長は訴えの一部を認め、同社と元所長に35万円の支払いを命じた。
 判決によると、西原さんは2009年から同区内の営業所に勤務し、13年に妊娠が判明。同社の対応で切迫早産になるなど精神的苦痛を受けたと主張した。足立裁判長は、西原さんが業務軽減を求めた13年9月の面談で、元所長が「妊婦として扱うつもりはない」などと発言したことについて「妊産婦労働者の人格権を害するもの」と労働基準法などへの違法性を認めた。
 同社によると、女性が働きやすい職場作りを進める企業を東証などが選ぶ「なでしこ銘柄」に13年度に選定された。昨年9月現在で全従業員に占める女性の割合は75・9%。同社は「判決文を確認できていないのでコメントできない」としている。

平成28年4月20日(水曜日)朝日新聞デジタル

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仁和寺で349日連続勤務…元料理長のうつ認定2016/04/17

 世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の食堂で働いていた元料理長の男性(58)が、長時間労働で精神疾患を発症したとして、同寺に慰謝料や時間外手当など約4700万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁は12日、寺に約4200万円の支払いを命じた。
 1か月の時間外労働は最長約240時間で、349日の連続勤務もあり、堀内照美裁判長は「尋常ではない過酷な業務だった」として発症との因果関係を認めた。
 判決によると、男性は2004年に仁和寺に雇用され、境内の宿泊施設「御室おむろ会館」で、レストランや宿泊客用の料理を担当。05年に料理長となったが、12年8月に「抑うつ神経症」と診断され、休職した。13年7月に労災認定され、現在も後遺症が残っている。発症まで約1年3か月間の時間外労働は、1か月を除き毎月140時間以上で、最長約240時間。11年は1年間で356日出勤し、うち349日は続けて勤務していた。

平成28年4月13日(水曜日)読売新聞電子版

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ほっともっと店長「長時間労働で自殺」ー遺族が提訴2016/04/04

 弁当チェーン「ほっともっと」の店長だった男性(当時30)がうつ病を患って自殺したのは、長時間労働などが原因だとして、長野市の男性の父親(70)らが29日、弁当チェーンを展開する「プレナス」(福岡市)に対し、約9394万円の損害賠償を求める訴えを長野地裁に起こした。
 原告側代理人の一由貴史(いちよしたかし)弁護士によると、男性は2010年4月に同社に正社員として入社し、同12月に三重県内の店舗に異動。11年3月ごろから精神的に不安定になり、同7月に店舗内で首をつって亡くなった。
 会社のパソコンの履歴や勤務管理表、妻にあてたメールなどから、男性が亡くなる前の半年間の時間外労働は、月に110時間35分〜274時間29分にのぼっていた。また、上司から「(売り上げが伸びなかったら)死刑にします」「死んでください」などの内容のメールが、男性に送られていたという。
 プレナスの担当者は「訴状が届いていないので、コメントは差し控えたい」としている。

平成28年3月29日(火曜日)朝日新聞デジタル

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IBM解雇「無効」、5人の賃金支払い命令ー東京地裁2016/03/29

 本人の業績が悪いことを理由に突然解雇したのは不当だとして、日本IBMで働いていた4都県の43〜59歳の男女5人が雇用継続などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、「解雇は権利の乱用で無効だ」として5人全員の雇用継続と解雇後の賃金支払いを命じた。
 吉田徹裁判長は、原告らの業績が解雇するほど悪くはなかったとし、適性に合った職種に変えたり職位を降格したりして改善の機会を与えるべきだったと指摘。「解雇には合理的理由がない」と述べた。
 判決によると、5人は正社員で2012年7月〜13年6月、1〜2週間後の解雇を通告され、出社を禁じられた。その際自主退職すれば退職金を増やすと提案されたが拒否し、解雇された。
 原告は、解雇予告とともに出社を禁じる「ロックアウト解雇」と呼ばれる手法が違法として損害賠償も求めたが、判決は「会社と対立し機密情報を漏らす恐れがあり、違法性はない」と退けた。
 判決後に記者会見した原告の男性(59)は「解雇手法はあまりに強引。他の会社に広がる前に止められて良かった」と話した。日本IBMは「主張が認められず遺憾だ。判決内容を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。
 原告弁護団によると、同様に日本IBMを解雇された別の6人も、雇用継続を求めて東京地裁で係争中。〔共同〕

平成28年3月28日(月曜日)日本経済新聞電子版

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妊娠報告後の解雇「無効」ー東京地裁、かばん製造会社2016/03/24

 東京都台東区のかばん製造会社「ネギシ」で働いていた中国籍の何尭さん(32)が、妊娠を伝えた後に解雇されたのは無効だとして地位確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、解雇を無効と判断し、請求を全面的に認めた。解雇以降の賃金の支払いも命じた。
 原告側は「男女雇用機会均等法が禁じる妊娠を理由とした解雇だ」と主張。会社側は、何さんがほかの従業員を大声で怒鳴ったなどとして「協調性、適格性がない。妊娠が理由ではない」と反論していた。
 五十嵐浩介裁判官は「会社側が指摘する事実は認められないか、あるいは有効な解雇理由にならない」と判断。妊娠が理由ではないとしても労働契約法に基づき無効な解雇と述べた。男女雇用機会均等法に抵触するかには踏み込まなかった。
 ネギシは取材に「残念だ。控訴するかは弁護士と話し合って決める」とコメントした。

平成28年3月23日(水曜日)産経ニュース

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自殺は「過労」、会社側に6000万円賠償命令ー東京地裁 2016/03/18

 東京都内のIT関連会社社員の男性(当時31)が自殺したのは会社側の責任だとして、埼玉県の両親が会社や上司に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日までに、2カ月連続で時間外労働170時間を超す過労が原因と認め、計約6千万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は2001年入社。会社に籍を残したまま11年10月に経営者が同じ関連企業に出向した後、長時間労働が続いて精神障害となり、同12月に自殺した。
 伊藤由紀子裁判官は、精神障害によってミスが増え、職場で叱られて症状が悪化したと指摘。「会社や関連企業は極度の長時間労働が自殺につながると予測できたのに、業務軽減などの対応をしなかった」と述べた。
 会社側は「責任を痛感している。大切な仲間を失わないよう再発防止に努める」とし、控訴しない方針を明らかにした。〔共同〕

平成28年3月17日(木曜日)日本経済新聞電子版

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郵便局パワハラ賠償命令、突然死との関係は否定2016/03/14

 整脈で突然死した福岡県の男性郵便局員(当時41歳)の遺族が「局長らのパワーハラスメントによるストレスが死因」として、日本郵便(東京)に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、福岡地裁小倉支部であり、野々垣隆樹裁判長は同社に220万円の支払いを命じた。局長らの10件の言動のうち2件をパワハラと認めたが、死亡との因果関係は否定した。
 判決によると、男性は2011年5月、勤務していた飯塚郵便局(福岡県飯塚市)で、保険渉外支援から郵便窓口への業務替えを申し出た際、局長から「いつ辞めてもらってもいい」などと言われて拒否された。
 うつ病で休職していた同10月に復職の意向を伝えた際には、局長から「あんたが出てきたら皆が迷惑。病気でも容赦しない」などと言われた。男性は同12月、同郵便局の駐車場の自家用車内で、致死性不整脈で亡くなった。

平成28年3月11日(金曜日)読売新聞電子版

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社員自殺で1億円支払い=イビデン−岐阜地裁2016/03/12

 電子機器製造大手のイビデン(岐阜県大垣市)の30代男性社員が自殺したのは上司のパワハラや長時間労働が原因として、遺族らが同社と上司に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、岐阜地裁(唐木浩之裁判長)で開かれ、イビデンと上司は遺族側請求を全面的に受け入れ、訴訟は終結した。男性社員をめぐっては昨年1月、大垣労働基準監督署が労災と認定していた。
 訴状によると、男性社員は岐阜県内の事業所で設計などを担当していた2013年10月に自殺。自殺前の6カ月間は月67〜140時間の超過勤務を強いられ、上司からは「何でできんのや」「バカヤロー」などと叱責されていた。

平成28年3月10日(木曜日)時事通信社

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退職金減額「事前説明が必要」、信組訴訟で最高裁初判断2016/02/20

 山梨県民信用組合(甲府市)と合併した信組出身の元職員12人が退職金を大幅に減らされたのは不当として、合併前の基準での支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」との初判断を示した。
 その上で元職員側の請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、信組側の説明が十分だったかどうかを審理させるため、同高裁に差し戻した。
 判決によると、元職員らは2003年に山梨県民信用組合と合併した旧峡南信用組合の出身。合併後に退職金がゼロにされたとして、従来の基準の総額8千万円の支払いを求めて提訴した。一審・甲府地裁と二審・東京高裁は、退職金を大幅に減らす内規変更の同意書に署名押印があるとして請求を棄却。元職員側が上告していた。
 同小法廷は判決理由で、賃金や退職金の不利益変更に関する同意について、「立場の弱い労働者側が同意していたとしても、それだけで判断せず、事前の情報提供や説明内容などを考慮して判断すべきだ」と指摘した。

平成28年2月20日(土曜日)日本経済新聞電子版

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「職場いじめでうつに」 保育園に賠償請求2016/01/02

 職場でのいじめや嫌がらせにより精神疾患を発症したとして、大分市内の女性2人が働いていた小中島保育園(同市)に休業損害や治療費など計約2910万円の支払いなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、大分地裁(後藤慶一郎裁判長)であった。保育園側は請求の棄却を求めた。
 訴状によると、2人は給食担当の職員として勤務。保育士らに対する給食の提供などをめぐり、原告らは元園長や保育士と意見が対立。2008年11月ごろから、意見交換会での糾弾や無視などのいじめに遭い、いずれもその後うつ病と診断された。
 原告の女性(50)は、09年12月から休職し、現在も入院中。13年7月に労災認定されたため、労災によって認められた休業補償などを除く約1370万円の支払いを求めている。もう1人の原告女性(56)は10年10月から断続的に休職し約1540万円を賠償請求。12年12月に退職発令を受けたが「精神疾患は業務が原因であり発令は無効」として、現在も職員であることの地位確認も求めている。
 原告の代理人弁護士は「大人ならではの、いじめのつらさもある。職場は生活の基盤であり、簡単に退職することもできず、責任感の強い人ほど追い込まれがち。職場にはいじめを予防し、いじめを把握した場合は改善のため対処する責任がある」としている。
 労災認定された原告女性は「うつ病は本当につらい病気。二度とこのようなことが起きないようにしてほしい」と訴えている。
 保育園側の代理人弁護士は「訴訟の中で具体的な主張をしていきたい」としている。

平成27年12月26日(土曜日)大分合同新聞電子版

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ワタミ、過労自殺訴訟で和解、1億3000万円支払い謝罪2015/12/09

 居酒屋チェーンを経営するワタミ子会社の正社員だった森美菜さん=当時(26)=が2008年に過労で自殺したのは会社の責任だとして、両親が会社側に損害賠償を求め東京地裁に起こした訴訟は8日、ワタミ側が約1億3千万円を支払い、謝罪することで和解が成立した。
 このケースをきっかけに過酷な労働条件に注目が集まり、労働者を酷使する会社に対する「ブラック企業」との批判も広がった。
 訴状によると、森さんは08年4月、ワタミフードサービス(現ワタミ)に入社し、神奈川県内の店舗に配属された。休日がほとんどないまま午後から早朝にかけて長時間勤務が続き、同年6月に自殺した。残業は月140時間以上で、過労が原因で適応障害を発症していたとして、12年に労災と認定された。
 調停が成立せず、両親が13年12月に提訴。訴訟でワタミ側は当初、安全配慮義務違反はなかったとして請求棄却を求めていた。〔共同〕

平成27年12月8日(火曜日)日本経済新聞電子版

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「パワハラでうつ病」=休業補償不支給取り消し−広島高裁2015/10/23

 職場でのパワハラなどが原因でうつ病になったのに、広島中央労働基準監督署が休業補償の支給を認めなかったのは違法だとして、広島市の40代男性が国を相手に不支給処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が22日、広島高裁であった。竹内民生裁判長は訴えを棄却した一審広島地裁判決を見直し、処分を取り消した。
 判決によると、男性は1998年、中国新聞システム開発(広島市)に入社。2009年12月、うつ病性障害を発症し、11年3月に退職した。
 竹内裁判長は、同社が09年に個人情報や重要なサーバーのあるマシンルームへの男性の入室を禁じ、具体的な業務を与えなかったことが心理的な負荷を増大させたと指摘。うつ病と因果関係があると認定した。
 広島地裁は今年3月、「うつ病は業務上の傷病に当たらない」などとして請求を棄却していた。
 中国新聞システム開発は「男性とは和解しており、今回の裁判にわが社は関係していない。プライバシーもあり、コメントできない」としている。

平成27年10月22日(木曜日)時事通信社

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「残業220時間で7万円は不当」しゃぶしゃぶ店を提訴2015/10/05

 月150〜220時間以上の残業をさせられたが、月7万円程度の「固定残業代」だったのは不当だとして、東京都内の男性(26)がしゃぶしゃぶ料理店などを運営する永和商事(東京)に対して、未払い残業代約545万円や地位確認などを求めて東京地裁に提訴した。
 訴状などによると、男性は2013年4月〜14年4月、長時間労働を強いられ精神障害になったという。固定残業代については、「残業時間が明示されておらず無効だ」と主張している。また、今年2月に受け取った休職期間満了による自然退職の通知は、休職が業務上の疾病によるもので無効とも訴えている。男性は今年8月、労働基準監督署から労災認定を受けた。
 永和商事は「訴状は届いていないが、残業時間について見解の相違がある。男性は当初、腰痛と訴えて休んでおり、主張は信頼できない」としている。

平成27年9月28日(月曜日)朝日新聞デジタル

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光通信社員の突然死=2審も労災認定支持2015/10/05

 携帯電話・OA機器販売会社「光通信」(東京都)に勤めていた男性(当時33歳)が突然死したのは過重労働が原因として、神戸市の両親が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。中村哲裁判長は過労死と認定した今年2月の1審・大阪地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
 判決によると、男性は1999年に入社。出向した子会社で法人顧客のクレーム処理を担当していた2010年2月、虚血性心不全で死亡した。両親が池袋労働基準監督署に労災を申請したが、6カ月前までの残業時間が労災認定の目安となる月80時間に満たなかったなどとして認められなかった。
 中村裁判長は1審と同様、男性の出退勤記録から死亡前の3年間の勤務状況を検討。その結果「恒常的な長時間労働で疲労が蓄積し、解消できなかった」として長時間の過重労働を認定し、虚血性心不全発症との因果関係があったと判断した。
 判決後、両親らが記者会見し、母親(63)は「ほっとしている。判決文を仏壇に供え、報告したい」と話した。また弁護団は、両親が光通信に約1億6400万円の損害賠償を求め神戸地裁に提訴した訴訟は和解が成立したと明らかにした。24日付で、同社が解決金を支払い、男性の死亡に「遺憾の意」を表明するなどの内容という。
 東京労働局労災補償課は控訴審判決について「関係機関と協議し対応する」、光通信広報部は「和解の経緯や内容についてはコメントを控える」とした。

平成27年9月25日(金曜日)毎日新聞電子版

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「抑うつ」診断書無視で自殺、1億円支払い命令2015/09/11

 建設会社「南山建設」(京都市伏見区)の男性社員(当時36歳)が自殺したのは長時間労働による過労などが原因として、京都府京田辺市の妻(41)と長男(9)、長女(7)が同社に計1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は10日、同社側に慰謝料など1億円の支払いを命じた。
 堀内照美裁判長は「社員の健康を守るべき安全配慮義務に違反した」と述べた。
 判決などによると、男性は1997年に入社し、2009年5月以降、不動産の契約書や家賃請求書の作成などを担当。早朝、夜間の残業などが重なり、営業課長だった11年5月24日に「抑うつ状態」の診断を受けた。
 同月26日朝、社長に診断書を見せたが、男性を休ませることはなく、数時間後に自殺。京都南労働基準監督署が12年1月、自殺は過労が原因として労災認定した。
 判決は時間外労働が約2年にわたって、恒常的に100時間以上に及び、自殺前の約6か月は平均で月約129時間、連続10日以上の勤務も4回あったと認定。「診断書を見ていたのに負担軽減の措置を取らなかった」などとした。

平成27年9月11日(金曜日)読売新聞電子版

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英会話講師自殺は自宅残業が原因…会社を提訴へ2015/09/09

 金沢市で2011年に英会話教室の女性講師(当時22歳)が自殺したのは長時間の持ち帰り残業が原因だったとして、大阪府の女性の両親が英会話教室を運営する「アミティー」(岡山市)に約9100万円の損害賠償を求める訴訟を14日に大阪地裁に起こすことが、8日わかった。
 両親の代理人弁護士によると、女性は11年3月下旬から同社の金沢校で勤務。5月下旬にうつ病を発症し、6月4日、自宅マンションから飛び降りて自殺した。自殺の直前、両親や知人に、自宅に多くの仕事を持ち帰っているとメールや電話で訴えていた。両親は13年1月に労災認定を申請し、金沢労働基準監督署は14年5月、女性が業務命令で「単語カード」を作るため、月に80時間ほど自宅で残業をしていたと判断した。
 アミティーの山崎高人社長(63)は「社員が亡くなったことを大変残念に思っている。訴訟と真摯に向き合い、事実を一つひとつ確認していきたい」と話した。

平成27年9月9日(水曜日)読売新聞電子版

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自己申告より「長時間残業」で自殺、遺族が提訴2015/08/10

 システム開発会社「オービーシステム」(大阪市)に勤務していた男性(当時57歳)が自殺したのは長時間の残業による過労が原因として、大阪府内在住の妻子4人が7日、同社と当時の上司ら4人に計約1億4000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。男性の時間外労働は同社への自己申告より2〜7倍も長かったとみられ、遺族らは「社員の健康を守る義務を怠った」と主張している。
 訴状によると、男性は同社で技師としてシステム開発などを担当。東京勤務だった2013年9月、うつ病となり、14年1月に自殺した。同社は社員に労働時間を自己申告させており、男性の時間外労働は自殺前1年間が月20〜89時間となっていた。だが品川労働基準監督署は、職場のパソコンの記録などから、うつ病発症前の半年間は月120時間以上が続き、発症直前の1か月は170時間に上ったと推計。国の過労自殺の認定ライン(直前1か月で160時間以上など)を上回るとして同年9月に労災認定した。
 同社の代理人弁護士は「亡くなられたことは非常に残念で、真摯な対応を続ける」とコメントを出した。

平成27年8月8日(土曜日)読売新聞電子版

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遺族年金、男女差は合憲=夫、逆転敗訴ー大阪高裁2015/06/20

 地方公務員の配偶者が亡くなった場合、妻は年齢を問わず遺族補償年金を受け取れるのに、夫は55歳以上でないと受給できない地方公務員災害補償法(地公災法)の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法に反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。志田博文裁判長は「不合理な差別とはいえない」として一審の違憲判決を取り消し、合憲と判断した。
 原告側は判決を不服として上告する方針。
 同様の男女差の規定は国家公務員災害補償法や民間対象の労働者災害補償保険法にもある。一審と二審の判決が正反対の結論となり、規定のあり方について改めて論議を呼びそうだ。
 判決などによると、1998年に公立中学教諭の妻(当時51)を亡くした堺市の男性(68)は、地方公務員災害補償基金に遺族補償年金の支給を申請した。しかし、妻の死亡時点で男性が「51歳」だったため、受給要件の55歳に達していないとして同基金は不支給処分とした。
 判決はまず、地公災法に基づく遺族補償年金について「公務員の死亡により、独力で生計を維持することが難しい遺族の生活の保護が目的」と位置づけた。
 その上で、女性を取り巻く社会情勢について、非正規雇用の割合が男性の3倍近いことや、賃金額が男性の約6割以下と低いことなどを指摘。「妻を亡くした夫が独力で生計を維持できなくなる可能性は、夫を亡くした妻よりも著しく低い」とし、「現在の社会情勢でも、夫のみに年齢の受給要件を設けることは不合理な差別とは言えない」と結論づけた。
 2013年の一審・大阪地裁判決は、「配偶者の性別で受給権の有無を分けるような差別的取り扱いは合理性がなく、違憲」として基金側の不支給決定を取り消し、基金側が控訴していた。
 地方公務員災害補償基金の話:判決の内容を精査しておらず、具体的なコメントは差し控えたい。

平成27年6月20日(土曜日)日本経済新聞電子版

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労災療養中でも解雇可能=初判断−最高裁2015/06/09

 労災で療養中に解雇されたのは不当だとして専修大の元職員の男性(40)が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「労災保険給付を受けている場合でも、補償金を支払えば解雇できる」との初判断を示した。
 その上で、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、一審同様に男性勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。雇用側の解雇対象が広がる判断で、男性の弁護団は「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判した。
 労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。
 男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇した。
 第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。

平成27年6月8日(月曜日)時事通信社

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JR西に1億円賠償命令=過労死−大阪地裁2015/03/21

 長時間労働によるうつ病が原因で自殺したJR西日本社員の男性=当時(28)=の妻と両親が、同社に約1億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は20日、同社に約1億円の支払いを命じた。森木田邦裕裁判長は「労働時間が正確に把握されていなかった」と述べ、安全配慮義務に違反したと認めた。
 判決によると、男性は、信号保安システム工事の管理を担当していた2012年10月、勤務先近くのマンションで飛び降り自殺した。昼夜連続勤務や休日労働が恒常化し、同年3月の時間外労働は、同社の調査で月254時間に達し、尼崎労働基準監督署が労災と認定していた。
 森木田裁判長は、男性が自己申告した同年3月の時間外労働は月72時間などと、同社の調査と大きくかけ離れていた点について、「社員の労働時間管理が十分ではなく、時間外労働が適正な範囲を大きく超えていた」と指摘した。
 JR西日本の話 長期にわたって休日出勤や長時間残業があったことは事実。社員の労働時間管理に万全を期し、再発防止に取り組む。

平成27年3月20日(金曜日)時事通信社

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契約解除で自殺、遺族が福山通運と子会社を提訴ー大阪地裁2015/03/10

 運送大手の福山通運(広島県福山市)の子会社から委託を受け、配送業務に従事していた大阪市の男性=当時(61)=が自殺したのは、過重労働と契約を突然打ち切られたことが原因だったとして、遺族3人が福山通運と子会社に計約5400万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが3日、分かった。同日開かれた第1回口頭弁論で、福山通運側は争う姿勢を示した。
 訴状によると、男性は大阪市にある福山通運の子会社と業務委託契約を結び、約23年間にわたって福山通運茨木支店で配送業務を担当。平成23年12月、顧客からのクレームを機に契約打ち切りを一方的に告げられ、その日のうちに電柱で首をつって自殺した。
 茨木労働基準監督署は昨年1月、男性が自殺半年以内に月平均100時間近くの時間外労働をしていた上、過重な懲戒処分で心理的負荷を受けたとして労災を認めた。
 原告側は「(男性は)不利益処分によって急激なストレスを受け、鬱病を発症した」と主張している。

平成27年3月3日(火曜日)産経新聞電子版

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労災認定:「長時間労働でうつ病…自殺」長崎地裁判決2015/03/10

 うつ病で自殺した長崎大病院(長崎市)の男性職員(当時56歳)の遺族が労災認定を求めた訴訟で長崎地裁は2日、遺族補償を不支給とした国の処分を取り消す判決を言い渡した。
 田中俊行裁判長は「上司の叱責や長時間労働によるうつ病で自殺に至った」と結論づけた。
 判決によると、男性は2009年3月に仕事上のミスを他の職員の前で上司らに叱責された他、3、4月には1カ月当たりの時間外労働が計100時間を超えてうつ病になり、4月に自殺した。
 国はうつ病の発病は09年1月で、業務には起因しないと主張したが、判決は「発病は自殺の直前で業務に起因する」と指摘した。
 男性の妻(58)は「認められてほっとしている。勤務環境のあり方を見直してほしい」と話した。原告代理人で過労死弁護団全国連絡会議代表の松丸正弁護士は「労基署はこの件を参考にして慎重に発病の時期を判断すべきだ」と話した。

平成27年3月2日(月曜日)毎日新聞電子版

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シルバー人材けが保険使えず…健保と労災の谷間2015/03/02

 シルバー人材センターの作業でけがをした奈良県内の男性の長女(43)が健康保険も労災保険も適用されず医療費が全額負担になるのは法の不備として、国などを相手に慰謝料などを求めた訴訟の判決で、奈良地裁は26日、原告の請求を棄却した。牧賢二裁判長は「立法をしなかったことが国家賠償法上、違法とは評価されない」と述べた。
 シルバー人材センターは、高年齢者雇用安定法に基づき市町村などに置かれた公益法人で、会員登録した高齢者に就業の場を提供する。ただ、作業中のけがには、「業務外」を対象にした健保も、「労働者」に対する労災も適用されず「保険の谷間」として問題化。国は2013年5月に健康保険法を改正し、原則として健保で救済できるようにしたが、男性のような改正前のけがには適用されない。
 判決によると、男性は09年11月、会員登録する奈良県内のセンターから委託された庭木の枝切り作業中に右足の指を骨折。長女が加入する健保の被扶養者だったが、全国健康保険協会奈良支部は11年4月、労災を優先するよう健康保険法で規定された「業務中のけが」として医療費を支給しないと決定した。
 男性はセンターと雇用関係になく、個人で作業を請け負う形で、労災の対象からも外れ、医療費の約85万円全額を自己負担することになった。
 長女が12年9月、国に慰謝料など80万円、同協会には医療費を不支給とした処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴し、その後、奈良地裁に移送。男性は13年5月に71歳で死亡した。
 原告側は、改正前の健康保険法は対象を「業務外」のけがと限定的にしており、国は健保も労災も適用されないと認識しながら立法措置を怠り、憲法に基づく社会保障の受給権を奪ったなどと主張した。
 判決は、「業務外」の要件でどちらの保険も受けられないケースが生じても、国民健康保険など何らかの医療給付を受けることはできると指摘。著しく合理性を欠いているとは言えず憲法には違反しないとした。

平成27年2月26日(木曜日)読売新聞電子版

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労災認定:飲酒検知を苦に自殺、バス運転手遺族勝訴2015/03/02

 飲酒検査でアルコール反応が出た後に自殺した京王電鉄バスの男性運転手(当時51歳)の遺族が労災認定を求めた訴訟の判決で東京地裁は25日、「解雇されるかもしれないと強いストレスを受けたことが原因で、自殺は労災だ」と認め、遺族補償年金などを不支給とした国の処分を取り消した。原告側の弁護士によると、飲酒検知を苦にした自殺を労災と認めた判決は初めて。
 佐々木宗啓裁判長は「男性は飲酒に身に覚えがなく、アルコール検知器が誤作動したとみられる」と指摘し、会社が血液検査を提案したり、男性の自宅から酒を持ち帰ったりした対応を「退職強要に等しいものだった」と批判した。

平成27年2月25日(水曜日)毎日新聞電子版

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管理職のセクハラ発言、警告ない懲戒「妥当」ー最高裁2015/02/27

 大阪市の水族館「海遊館」の男性管理職2人による女性派遣社員へのセクハラ発言をめぐり、会社側が警告せず出勤停止とした懲戒処分が重すぎるかが争われた訴訟の上告審判決が26日、最高裁であった。第1小法廷(金築誠志裁判長)は判決理由で「会社内でセクハラ禁止は周知されており、処分は重すぎない」として、処分を無効とした二審・大阪高裁判決を取り消した。 
 懲戒処分を妥当とする一審・大阪地裁判決が確定した。
 男女雇用機会均等法は職場でのセクハラ防止対策を義務づけている。会社側が十分に対策に取り組んでいたケースでは、警告なしの懲戒処分は妥当とした最高裁判決は注目されそうだ。
 判決によると、課長代理だった40代の男性2人は派遣社員の20〜30代の女性2人に対し、浮気相手との性生活を話題にしたほか、「俺の性欲は年々増すねん」「夜の仕事とかしたらええやん」などの発言を繰り返した。
 被害申告を受けて調査した会社は2012年2月、社内のセクハラ禁止規定に該当するとして、それぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分にし、降格させた。これに対し、男性2人が「重い処分なのに、事前の警告がなく手続きが不当」として無効を求め提訴した。
 一審・大阪地裁は「管理職が弱い立場の女性にみだらな発言を繰り返した悪質な行為だ。複数回、反論の機会も与えている」として処分手続きは妥当と認めた。
 一方、二審・大阪高裁は「会社から事前に警告を受けていないことなどを考慮すると、懲戒解雇に次ぐ重い処分を突然したのは権利の乱用」と判断し、男性側の逆転勝訴とした。
 同小法廷は判決理由で、会社がセクハラ禁止文書を作成して職場で周知したり、全従業員に研修参加を義務づけたりしていたことを挙げ、「管理職としてセクハラへの懲戒の方針を当然認識すべきだった」と指摘。セクハラ発言の多くが密室で行われ、「会社が被害を具体的に認識して警告や注意をする機会はなかった」として、処分手続きに問題はなかったと結論付けた。裁判官5人の全員一致。
 最高裁判決を受け、海遊館は「会社として厳正に対処した」とコメント。管理職の男性2人は、代理人弁護士を通じて「納得できない」とのコメントを出した。

平成27年2月26日(木曜日)日本経済新聞電子版

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「固定残業代」で長時間労働、提訴−東京地裁2015/02/13

 あらかじめ決められた残業代を給与に組み込む「固定残業代」制度の説明がないまま、長時間労働を強いられたとして、東京都の20代男性が12日、勤務していた不動産仲介会社「うちナビ」(渋谷区)を相手に、未払い賃金など約370万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。
 固定残業代制度をめぐっては、一部の企業で賃金不払いや長時間労働が問題化している。固定残業を超えた分は追加の支払い義務が生じるため、専門家は「本来会社にメリットはなく、ブラック企業の典型的な手口だ」と指摘している。
 訴状によると、男性は昨年5月に新卒で入社し、都内の支店に配属。求人票には「基本給30万円」と書かれていたが、月60時間分の残業代15万円が含まれるとの説明はなく、休日も月に2日程度だった。残業は月150〜200時間に及んだが、追加の残業代は支払われなかった。男性は、店長から暴言を受け、約2カ月で退職に追い込まれた。
 男性は厚生労働省で記者会見し、「知識がなく会社は悪くないと思っていた。声を上げられない人はたくさんいると思う」と訴えた。
 うちナビの話 訴状が届いておらず、内容を確認していないので回答できない。

平成27年2月13日(金曜日)時事通信社

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光通信過労死は労災=「恒常的に長時間労働」−大阪地裁2015/02/05

 携帯電話販売大手、光通信(東京)の社員だった男性=当時(33)=が死亡したのは過重労働が原因として、神戸市に住む両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。中垣内健治裁判長は「長期間の過重業務が原因」と述べ、労災と認めた。
 判決によると、男性は光通信の子会社に出向中の2010年2月、心不全で死亡した。両親が遺族給付を請求したが、池袋労働基準監督署は認めなかった。
 中垣内裁判長は、時間外労働が100時間を超えた月が死亡前の3年間で15カ月あり、恒常的な長時間労働で疲労を蓄積させたと指摘。死亡の半年前から顧客のクレーム対応などを担当し、精神的な負荷は相当大きかったと認定した。

平成27年2月4日(水曜日)時事通信社

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残業手当除外は「無効」=大手タクシー敗訴−東京地裁2015/01/29

 タクシー大手国際自動車(東京)グループの運転手14人が、残業や深夜勤務の割り増し手当分を実質的に差し引いて歩合給を算定する賃金規定は無効として、未払い賃金などの支払いを同社側に求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。佐々木宗啓裁判長は無効と認め、計約1450万円の支払いを命じた。
 佐々木裁判長は判決で、「規定では時間外労働をしてもしなくても賃金は同じになり、労働基準法の趣旨に反している」と指摘した。
 会社側は「タクシー会社は乗務員の勤務状況を監視できず、規定は時間外労働の抑制が目的。業界でも一般的に採用されている」と反論していた。
 これに対し、佐々木裁判長は「時間外労働の制限は他の方法で容易にできる。勤務を監視できないのはタクシー営業に限った話ではなく正当化されない」と退けた。
 国際自動車の話 判決に不服があり、控訴した。上級審の判断を仰ぎたい。

平成27年1月28日(水曜日)時事通信社

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「たかの友梨」が和解=残業代未払い訴訟−仙台地裁2015/01/27

 残業代が支払われなかったとして、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」仙台店の従業員ら2人が、運営会社「不二ビューティ」を相手に未払い賃金計約1015万円の支払いを求めた訴訟は、仙台地裁で和解が成立した。2人が所属する労働組合が26日発表した。
 訴えていたのは、仙台店でエステティシャンとして勤務する20代の女性従業員と、30代の女性元従業員。訴状などで2人は、月に80時間前後の残業を強いられたが、時間外割増賃金が支払われなかったと主張していた。
 労組「エステ・ユニオン」によると、和解は23日に成立した。条件は非公表だが、不二ビューティは従業員の適切な労働管理に努め、残業代を支払うことを約束したという。
 不二ビューティは「今後ともコンプライアンス(法令順守)を重視し、女性たちがより働きやすい職場をつくっていけるように努める」とのコメントを出した。

平成27年1月26日(月曜日)時事通信社

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「長時間労働でうつ病」提訴…名古屋2015/01/25

 長時間労働でうつ病になったとして、「トップカメラ」やうどん店を展開する「イサン」(名古屋市中村区)の男性社員(47)(休職中)が16日、同社を相手取り、未払い残業代や慰謝料など計約1710万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こした。
 訴状によると、男性は契約社員などを経て2007年9月から正社員となり、トップカメラやうどん店で勤務。12年10月以降は連日、午前8時30分から翌午前0時過ぎまで働き、13年1月にうつ状態が進んで出勤できなくなったが、直前の3か月間は、月当たり135〜164時間の時間外労働をしたという。名古屋西労働基準監督署が昨年2月、時間外労働とうつ病発症との因果関係を認め、労災認定した。
 記者会見した男性は「私と同じ状態の人が今も働いている。働いていることに対しては、それなりの報酬を出してほしい」と話した。同社は「訴状が届いていないのでコメントできない」とした。

平成27年1月18日(日曜日)読売新聞電子版

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元支店長待たせ暴力受け自殺、パワハラ原因認定2015/01/15

 JAクレイン(山梨県都留市)大月支店に勤めていた男性(当時34歳)の自殺は、当時の支店長から精神的に追いつめられたり、暴行を受けたりしたパワハラが原因だとして、男性の両親が同JAと元支店長を相手取り、約8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、甲府地裁であった。
 佐久間政和裁判長は、パワハラ行為が自殺につながったと認定して原告側の訴えを認め、JAクレインと元支店長に計約3487万円の支払いを命じた。
 訴状などによると、男性は2008年に同JAに採用され、大月支店に配属された。男性は元支店長から保険契約のノルマを達成できないことを強く叱責され、自ら月6万円近くの保険に加入したり、歓送迎会の帰宅時には元支店長を待たせたことを理由に暴力を振るわれたりし、10年3月、宮崎県都城市で自殺しているのが見つかった。都留労働基準監督署は11年5月、元支店長の言動が自殺の一因になったなどとして労災認定していた。
 JAクレインの担当者は取材に対し「判決の内容を聞いていないのでコメントできない。確認した上で対応を検討する」としている。

平成27年1月14日(水曜日)読売新聞電子版

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新人社員自殺は「パワハラ」=福井地裁、未成年者で初認定2014/11/30

 福井市の消火器販売会社「暁産業」に入社後、1年もたたずに男性(当時19)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が会社と当時の上司に計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福井地裁は28日、「上司が人格否定を繰り返した」とし、計約7200万円の支払いを命じた。
 原告代理人によると、未成年へのパワハラ訴訟で自殺との因果関係が認定されるのは全国初。原告代理人は「社会経験も十分でない新入社員を指導する上司のパワハラを認定した意義は大きい」と判決を評価した。
 判決理由で樋口英明裁判官は「人格を否定する言動を繰り返し、精神障害を発症させた」と指摘。「発言は指導の域を超えており、典型的なパワハラだ」と断じた。
 原告代理人は裁判所が、上司による「うそを平気でつく」「死ねばいい」などの具体的な発言を列挙したことに触れ「今後、同様の発言があればパワハラに当たるという指標になるのでは」と話した。
 男性の父親は「当然の結果だと思います」とのコメントを出した。
 暁産業は「担当者不在でコメントできない」としている。
 男性は自身の手帳に上司の発言を記録しており、2012年7月、福井労働基準監督署が自殺の原因はパワハラと労災認定していた。
 判決によると、男性は高校卒業後の10年4月、正社員として入社。仕事の失敗が多いことを理由に、上司から「会社をやめろ」などの言動を繰り返し受けたことで鬱状態となり、同12月に自宅で首をつり自殺した。〔共同〕

平成26年11月29日(土曜日)日本経済新聞電子版

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店長自殺、パワハラ=ステーキ店に賠償命令−東京地裁2014/11/05

 首都圏を中心に展開する飲食店「ステーキのくいしんぼ」の店長だった男性=当時(24)=が自殺したのは、長時間労働と上司のパワーハラスメントが原因として、埼玉県に住む両親が経営会社のサン・チャレンジ(東京)と社長、元上司に計約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。山田明裁判長は自殺とパワハラなどとの因果関係を認め、同社側に計約5800万円の支払いを命じた。
 山田裁判長は、男性は遅くとも自殺の約2年9カ月前から恒常的に1日12時間半以上働き、上司から暴言や暴行、嫌がらせなどを受けて精神障害になり自殺したと認定。同社については、「業績向上を目指すあまり、適切な労務管理ができる体制を何ら取っていなかった」と指摘した。
 判決によると、男性は高校卒業後、別会社を経て2007年5月からサン・チャレンジで勤務。09年7月、店長に昇格したが、渋谷センター街店の店長だった10年11月、勤務終了後に店舗近くで首をつって自殺した。
 判決後に記者会見した父親(60)は「自殺の原因が証明されて、息子の名誉回復になったのではないか」と話した。
 サン・チャレンジの話 判決の詳細を把握していないのでコメントできない。

平成26年11月4日(火曜日)時事通信社

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「たかの友梨」を提訴=残業代未払いで−仙台地裁2014/10/29

 長時間の時間外労働を強いられながら、残業代が支払われなかったとして、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」仙台店の従業員と元従業員の2人が29日、同サロンの運営会社「不二ビューティ」に対して、未払いの賃金計約1015万円を求める訴訟を仙台地裁に起こした。
 原告は、仙台店でエステティシャンとして勤務する20代の女性従業員と、30代の女性元従業員。
 訴状などによると、2人は始業時間前に働いたり、タイムカードに終業時刻として打刻した後も業務を行ったりするなど月に80時間前後の残業を強いられたが、時間外割増賃金は支払われなかったとされる。
 たかの友梨ビューティクリニック仙台店をめぐっては、エステティシャンらの残業代を勝手に減額したなどとして、仙台労働基準監督署が8月に是正勧告を行っていた。
 記者会見した元従業員の女性は「お客さまのために一生懸命働いたが、本当に労働時間が長く、身も心もぼろぼろだった。会社は私たちを利益を上げる道具としか思っていなくて、残念」と述べた。
 不二ビューティの話 訴状が届いていないので詳細は答えられないが、これまで専門家指導の下、残業代について提示してきた。回答が得られないまま提訴に至ったことは残念。

平成26年10月29日(水曜日)時事通信社

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行員自殺、肥後銀行に1億2千万円余の賠償命令2014/10/18

 肥後銀行(熊本市)の男性行員(当時40歳)が2012年にうつ病で自殺したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が同行に約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は17日、同行に約1億2890万円の支払いを命じた。
 中村心裁判長は「著しい長時間労働を認識し得たにもかかわらず、漫然と従事させ、注意義務を怠った」と指摘した。同行は控訴しない方針。
 判決によると、男性行員は担当するシステムの更新作業で業務が急増。うつ病を患い、12年10月に飛び降り自殺した。同年6月以降の残業時間は毎月100時間を超え、自殺直前の1か月間は209時間だった。
 同行は昨年12月、男性行員に違法な時間外労働をさせたとして、労働基準法違反で罰金20万円の略式命令を受けた。

平成26年10月17日(金曜日)読売新聞電子版

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うつ病発症で男性自殺、会社側に賠償命令ー横浜地裁2014/10/13

 職場で脳内出血を発症しうつ病となって自殺したのは安全配慮義務を怠ったためとして、男性=当時(52)=の遺族が会社などに約1億円の支払いを求めた訴訟の判決で、横浜地裁(阿部正幸裁判長)は会社と当時の役員2人に約1938万円の支払いを命じた。25日付。
 判決によると、相模原市南区の電気設備保守会社の業務推進部部長だった男性は2004年2月に脳内出血を発症し、後遺症で右半身まひとなった。同9月に会社から嘱託社員への降格と5カ月間の休職を命じられ、同12月に自殺した。
 阿部裁判長は判決理由で、男性は長時間労働に加えて、広範な業務を任されていたとし、「過重な業務で脳内出血を発症した」と認定。発症後の降格は「極めて大きい身分の変化で、心理的負荷の強度は強い」と指摘し、業務と自殺との因果関係も認めた。
 その上で、「男性の業務が過重だったのに、健康診断の実施や口頭での注意だけで、会社は安全配慮義務を尽くしたとはいえない」と結論づけた。
 一方、男性がもともとあった疾患の治療を適切に受けていなかったことなどから、5割を過失相殺した。
 会社側は「弁護士と相談して今後の対応を決める」としている。【神奈川新聞】

平成26年9月30日(火曜日)カナロコ

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老齢加算廃止は適法…最高裁、2訴訟の上告棄却2014/10/07

 70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた「老齢加算」の廃止は違法だとして、北九州市の29人と京都府の3人が自治体に支給額の減額決定を取り消すよう求めた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は6日、原告側の上告を棄却する判決を言い渡した。
 判決は「廃止による減額で受給者の生活に看過しがたい影響が生じたとはいえない」と指摘。原告側の敗訴が確定した。
 最高で月額1万7930円が上乗せされる老齢加算が2005年度末に全廃されたことについて、最高裁は12年に別の訴訟で適法としており、今回も同内容の判断となった。
 北九州の訴訟では、2審・福岡高裁が「正当な理由のない変更で違法」と判断したが、最高裁は12年4月、これを破棄して差し戻し、同高裁は昨年12月に原告側逆転敗訴を言い渡した。京都府の訴訟では1、2審とも原告側が敗訴していた。同種訴訟はほかに6件が係争中。

平成26年10月6日(月曜日)読売新聞電子版

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新入社員の自殺で労災認定、「特別な出来事」なくても 2014/09/19

 外食チェーンに入社して3カ月後に自殺した女性(当時25)の遺族が労災認定を求めた訴訟で東京地裁は18日までに、労災と認め、遺族補償などの支給をしなかった国の処分を取り消す判決を言い渡した。佐々木宗啓裁判長は「仕事上の複数の出来事によるストレスが自殺につながった」と判断した。
 厚生労働省の基準では仕事以外の原因で精神疾患があった場合、極度の長時間労働など「特別な出来事」がなければ労災認定されない。女性は入社の3年前にうつ病で治療を受けており、国側はこの基準を根拠として、労災に当たらないと主張していた。
 佐々木裁判長は「入社前にアルバイトをしていた時点で症状が消えていた」と指摘し「特別な出来事」がなくても労災認定できるケースと判断。喫茶店責任者にされたことや、アルバイトの多くが同時期に退職を申し出たことなどが強いストレスになり、自殺に至ったと認定した。
 原告側の弁護団は「厚労省の基準を幅広く解釈した画期的な判断だ」と評価した。
 判決によると、女性は2006年8月末、外食チェーン「東和フードサービス」の正社員となり、都内の喫茶店で責任者を任されたが、人手不足などに悩み、同年12月に飛び降り自殺した。
 厚労省労働基準局は「判決を検討し、関係機関と協議したい」としている。

平成26年9月18日(木曜日)日本経済新聞電子版

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労災給付認める逆転判決=東京高裁、静岡の男性側に2014/08/30

 静岡県生活科学検査センター(静岡市)に勤務していた男性(52)が就寝中に心肺停止となったのは過重労働による労災だとして、家族が国の療養補償給付を求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は29日、請求を棄却した一審判決を取り消し、男性側の逆転勝訴を言い渡した。
 判決によると、男性は2008年3月31日早朝に心肺停止となり、意識不明の状態が続いている。原告側は「当時、上司とトラブルになって一方的に怒鳴られるなど精神的緊張を強いられていた」と主張していた。
 判決理由で山田俊雄裁判長は「一方的な叱責や決裁の拒否は強い緊張をもたらす異常事態。精神的負荷が心疾患につながった」と業務との因果関係を認めた。
 一審・静岡地裁判決は、心肺停止となる前日と前々日が休日で、決裁を拒否された期間も短いなどとして「精神的負荷は弱かった」としていた。

平成26年8月29日(金曜日)日本経済新聞電子版

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障害年金「初診日」、第三者証言で認定ー大阪地裁2014/08/01

 障害厚生年金の支給申請で求められる「初診日」の証明としてカルテなど医療記録が必要かどうかが争われた訴訟の判決で、大阪地裁は31日、第三者の証言などで特定できれば、記録がなくても支給できるとの判断を示した。田中健治裁判長は「申請者の話なども踏まえ総合的に判断すべきだ」とし、兵庫県の60歳代女性への不支給処分を取り消し、国に申請翌月の2009年12月以降の支給を命じた。
 障害厚生年金は、厚生年金に加入する会社員らが対象で初診日時点の加入などが支給要件。傷病の発症日を個々に把握するのは難しく、画一的に判断するため初診日の特定を必要とし、申請時は医師の証明書などが求められる。女性側の弁護団によると、同年金を巡り、証言で初診日の特定を認めた司法判断は初めて。
 判決によると、女性は会社員だった1987年1月、周囲が暗く感じるなどしたため眼科を受診し、失明に至る進行性の病気と診断された。両目の視力は徐々に悪化し、障害の程度が年金の支給対象になったため、09年11月、社会保険庁(現・日本年金機構)に支給を申請したが、初診日が確認できないと却下された。
 カルテは医師法に基づく保存期間(5年)が過ぎており、診察券なども阪神大震災で被災した際に自宅の後片付けで紛失していた。
 田中裁判長は判決で「初診日は可能な限り客観性の高い資料で特定されるべきだが、第三者の記憶に基づく証言などを排斥すべきではない」と指摘。眼科に同行した知人は陳述書で「女性は治療法がないなどと泣きながら話した」「自分の姉が死亡した年でよく覚えている」などとしており、「具体的で女性本人の説明にも沿う」と判断した。
 女性側の弁護団は「初診日が証明できず申請を諦めている障害者は相当数いるとみられ、救済につながる」と評価。厚生労働省は「厳しい判決。内容を精査し、関係省庁と協議して適切に対処する」としている。

平成26年8月1日(金曜日)読売新聞電子版

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サントリーに賠償命令=パワハラで休職−東京地裁2014/08/01

 サントリーホールディングスの男性社員が、上司からパワハラを受けて休職を余儀なくされたとして、同社と上司らに約2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。本多知成裁判長はパワハラを認め、同社と上司に297万円の支払いを命じた。
 本多裁判長は、中堅社員だった男性に上司が「新入社員以下だ」などと発言したことについて、「注意や指導としての許容限度を超える」と判断した。
 判決によると、男性は2006年4月から上司と同じ部署に所属。開発を担当していたシステムの稼働開始を前に上司からの指導回数が増えて精神的に追い詰められ、07年4月にうつ病と診断された。別の部署に配置換えとなった後、一時休職した。
 サントリーホールディングス広報部の話 主張が認められず残念。控訴も検討する。

平成26年7月31日(木曜日)時事通信社

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マツダと元派遣社員が和解、地位確認訴訟ー広島高裁2014/07/25

 実質的な雇用契約があったのに不当に雇い止めされたとして、マツダ防府工場(山口県防府市)の元派遣社員15人がマツダに正社員としての地位確認を求めた訴訟は22日、広島高裁(川谷道郎裁判長)で和解が成立した。
 原告団によると、15人にそれぞれ和解金が支払われる。職場に復帰はしない。金額などの和解内容は公表できないとしている。7日の進行協議で、高裁が双方に和解案を提示していた。
 原告団は「和解により、経済面や健康面などで困難を抱えた原告を早期に救済することができた」とする声明を発表。原告の一人の男性(44)は「和解と聞いて涙が出た。今日はゆっくり過ごして、明日からまた頑張りたい」と語った。
 昨年3月の山口地裁判決は、派遣期間が労働者派遣法の上限3年を超えないよう、一時的に直接雇用していたマツダの「サポート社員制度」を違法と判断。制度を利用した13人を正社員と認め、対象とならなかった2人の請求を退けた。棄却された2人とマツダ側が控訴した。
 弁護団は「全面的な解決ということで一定の評価をしている。一審判決で棄却された2人を含め和解できたことは良かった」と話している。
 マツダは「提訴から5年以上経過し、和解で早期に終結させるのが適切と判断した」とのコメントを出した。

平成26年7月23日(水曜日)日本経済新聞電子版

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育休で昇給見送りは違法、賠償命じる−大阪高裁2014/07/19

 3カ月の育児休業を理由に昇給させないのは違法などとして、京都市の看護師三尾雅信さん(44)が、勤務していた病院側を相手に、給与などの未支払い分を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁(小松一雄裁判長)は18日、育児・介護休業法に違反するとして、15万円の賠償を命じた一審京都地裁判決を変更し、約24万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
 判決によると、三尾さんは2010年度に3カ月間の育児休業を取得。病院側は11年度、就業規則に基づき職能給を昇給せず、12年度には昇格試験を受けさせなかった。

平成26年7月18日(金曜日)時事通信社

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過労自殺で遺族が逆転敗訴=大阪高裁2014/07/18

 農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務していた夫=当時(38)=が自殺したのは過重な業務でうつ病を発症したためとして、妻らが同公庫に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(金子順一裁判長)は17日、約8800万円の賠償を命じた一審大阪地裁判決を取り消し、妻らの請求を棄却した。
 一審は自殺と業務の因果関係を認め、安全配慮義務に違反したと判断したが、金子裁判長は「長時間労働が恒常的で業務が過重とは言えない」と因果関係を否定。心身の不調を予測することも困難だったとした。

平成26年7月17日(木曜日)時事通信社

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ミスド過労死で経営会社を提訴2014/06/13

 ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」の三重県内のフランチャイズ店で、店長をしていた男性(当時50歳)が死亡したのは長時間の残業が原因だとして、遺族が、店舗を経営する菓子製造会社「竹屋」(四日市市)と社長らを相手取り、約9500万円の損害賠償を求める訴訟を津地裁に起こしていたことが、わかった。
 訴状によると、男性店長は1986年に入社。2010年4月頃から津市内の店舗の店長として勤務していたが、管理する2店舗の他に9店舗の運営支援で、店長不在時などに代理業務を行うなど、恒常的に長時間の残業を続け、12年5月、出勤途中に致死性不整脈で死亡した。
 四日市労働基準監督署は昨年7月、死亡前の2か月から6か月前の時間外労働が100時間を超えているなどとして労災を認めた。
 原告側は「早朝からの勤務なのに急な注文やクレーム対応で帰宅が遅くなることもあり、長時間労働が常態化していた」と主張している。これに対し、同社は「現在、訴状の確認中で、今後適切に対応していきたい」とコメントしている。

平成26年6月11日(水曜日)読売新聞電子版

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「パワハラでうつ」、運転手、西濃運輸を提訴へ2014/06/12

 物流大手「西濃運輸」(本社・岐阜県)のトラック運転手の男性が、長時間労働や上司のパワーハラスメントが原因でうつ病になり休職したとして、同社と上司2人に約6千万円の損害賠償を求める訴えを近く大阪地裁に起こすことがわかった。
 訴えるのは、同社摂津支店(大阪府摂津市)に勤める男性(48)。2011年6月にうつ病を発症して翌7月から休職。12年6月、病気は業務が原因として労災認定された。
 訴状や労災認定の資料によると、男性は11年6月、三重県内の高速道路を走行中、たまたま並走していた得意先の車に「接触された」と苦情を言われた。車体には傷もなく、身に覚えがないのに上司から物損事故を起こしたと決めつけられ、厳しく叱責された。別の上司には、反省のためとして支店の草刈りを3日間させられたという。
 男性側は、残業時間がこのトラブル前の1年間の平均で月約140時間あり、長時間労働の末のトラブルでうつ病を発症したとして、逸失利益や慰謝料などを求める。
 西濃運輸は「誠意をもって話し合いをしてきましたが残念です。訴状の内容を確認したうえで引き続き真摯に対応させていただきます」としている。

平成26年5月31日(土曜日)朝日新聞デジタル

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「職場の叱責で精神障害」ー自殺男性の労災認定2014/04/24

 岡山県備前市のデイサービスセンターに勤務していた介護員の男性=当時(42)=がうつ症状を発し、自殺したのは職場での執拗(しつよう)な叱責が原因だとして、妻が遺族補償年金の支払いなどを求めた訴訟の判決で、岡山地裁は23日、年金を不支給とした労働基準監督署の決定を取り消した。
 またセンターの指定管理者の社会福祉法人に、妻や子供2人に慰謝料など計5000万円を支払うよう命じた。
 古田孝夫裁判長は判決理由で、指示役の立場にあった生活相談員の女性が過去の失敗を持ち出し、10分にわたり男性を叱責し続けることがあったことなどを指摘。「強い責任感からとはいえ、相手の能力や精神状態を考慮しないもので、障害を発病させるほどの行き過ぎがあった」と認定、叱責と障害の因果関係を認めた。

平成26年4月23日(水曜日)MSN産経ニュース

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障害への配慮打ち切りは無効−神戸地裁尼崎支部2014/04/23

 会社分割による転籍後、障害に配慮した勤務シフトが打ち切られたのは不当として、兵庫県に住む運転手の男性(45)が、勤務先の阪神バス(同県尼崎市)に、配慮のないシフトで勤務義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決で、神戸地裁尼崎支部(田中俊次裁判長、本多俊雄裁判長代読)は22日、男性の主張を認め、同社に出勤時刻が正午以降となる勤務を担当させることなどを命じた。
 原告側代理人は「障害を持つ労働者に対する合理的な配慮を求めた訴訟の判決は初めてではないか」と話している。
 判決によると、阪神電鉄でバス運転手として勤めていた男性は、腰椎椎間板ヘルニアの後遺症で排便障害が残り、午前中の勤務が難しくなった。同社と話し合い、2003年ごろから原則として深夜帯のみ勤務していた。
 09年に阪神電鉄の自動車運送事業部門が阪神バスに承継されたことに伴い、男性は転籍したが、同社は11年1月に勤務配慮を廃止。通常シフトでの勤務を命じたため、男性が同年8月、提訴していた。
 田中裁判長は、阪神電鉄が分割する際、原告らに労働契約承継法に基づき、従前の労働契約が新会社に承継されることを説明しておらず、「勤務配慮を認めない」とする労働組合との合意は、公序良俗に反し無効として、男性の主張を認めた。
 阪神バス総務部の話 判決内容を精査した上で、慎重に対応を検討したい。

平成26年4月22日(火曜日)時事通信社

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人気アニメ制作で長時間労働…自殺を労災認定2014/04/21

 大手アニメ制作会社「A―1 Pictures」(東京都杉並区)に勤務していた男性(当時28歳)が自殺したのは、長時間労働でうつ病を発症したことが原因だとして、新宿労働基準監督署が労災認定していたことが分かった。
 認定は11日付。18日、遺族の代理人弁護士が東京都八王子市内で記者会見し、明らかにした。
 男性は2006年3月から同社に正社員として勤務し、09年12月に退社した後、10年10月、杉並区の自宅で自殺した。代理人弁護士によると、同労基署は、残業が月100時間を超えており、在職中にうつ病を発症した、と判断したという。男性の両親が昨年9月に労災認定を申請していた。
 男性は「おおきく振りかぶって」など人気アニメの制作に携わっており、退社後に通院していた精神科のカルテには「月600時間労働」と記されていた。男性自身がつけていた出退勤記録でも、最大月344時間の残業が確認されたという。
 同社は「労災認定が事実であれば予想外で、判断理由も不明であるため、コメントできない」としている。

平成26年4月19日(土曜日)読売新聞電子版

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心の疾患「配慮義務」、最高裁「社員の申告なくとも」2014/03/25

 会社員が過重労働で鬱病になった場合、過去の精神科通院歴などを会社側に申告していなかったことが社員側の過失に当たるかが争われた訴訟の上告審判決が24日、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)であった。同小法廷は「メンタルヘルスは申告がなくても(会社側に)安全配慮義務がある」と判断し、過失相殺などを理由に損害額の2割を減額した二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。
 訴えていたのは東芝の元社員で埼玉県深谷市の重光由美さん(47)。解雇無効と損害賠償を求めて提訴し、解雇無効は二審で確定している。
 東芝側は(1)精神科への通院歴などを申告しなかったため、会社側が鬱病の発症回避などの対応を取れなかった(2)業務を離れても鬱病が完治せず、もともと重光さん固有の問題があった――などと主張。重光さん側の過失を理由に損害額を減額できるかが争点だった。
 同小法廷は、重光さんの当時の業務について「負担は相当過重だった」とした上で、通院歴や病名について「プライバシーに関わり人事考課にも影響しうる情報で、通常は知られずに働き続けようとする」と指摘した。
 会社側について「労働者からの申告がなくても、労働環境などに十分な注意を払うべき安全配慮義務を負う」と判断。重光さんが体調不良を上司に伝え、1週間以上の欠勤を繰り返していたことから「(会社側は)過重な業務と認識しうる状況だった」とした。
 鬱病が完治しない状況についても「通常想定される以上の脆弱性があったとは言えない」と認定。賠償額を約690万円と算定した二審判決を破棄し、計算し直すため高裁に差し戻した。
 判決によると、重光さんは大学卒業後に東芝に入社し、工場で液晶生産ラインの開発などを担当。プロジェクトリーダーを務めていたが、2001年4月に鬱病と診断され休職。前年に神経症との診断を受けたが、会社には伝えていなかった。会社は04年9月、休職後に職場復帰しなかったとして重光さんを解雇した。

平成26年3月25日(火曜日)日本経済新聞電子版

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コンビニ店主は労働者=労働委 2014/03/22

 大手コンビニエンスストアの加盟店の店主で作る団体が、「セブン‐イレブン・ジャパン」に団体交渉に応じてもらえなかったとして、岡山県労働委員会に救済を申し立てたことについて、労働委員会は「加盟店の店主は労働者である」という判断を示し、団体交渉の申し入れに応じるよう命じました。
 岡山市に本部のある「コンビニ加盟店ユニオン」は4年前、コンビニチェーン最大手の「セブン‐イレブン・ジャパン」の本部が労働条件の改善を巡る団体交渉に応じず、労働組合と会社が対等に交渉することを定めた労働組合法に違反するとして、岡山県労働委員会に救済を申し立てました。
 これについて岡山県労働委員会は20日、「フランチャイズ契約を結んでいる加盟店の店主は事業者であるものの、セブン‐イレブンのチェーンに組み込まれ、独立性は薄い」として、労働組合法上の労働者であるという判断を示しました。
 そのうえで団体交渉を拒否する正当な理由がなく、不当労働行為に当たるとして「セブン‐イレブン・ジャパン」に対し、団体交渉の申し入れに応じるよう命じました。
 「セブン‐イレブン・ジャパン」は「当社の主張が認められず遺憾であり極めて不当なものだ。中央労働委員会への再審査を申し立てるか、裁判所に命令の取り消しを求める行政訴訟を提起する」とコメントしています。

平成26年3月20日(木曜日)NHK NewsWeb

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名神の過労運転事故、元所長ら有罪=大阪地裁2014/03/19

 大阪府茨木市の名神高速道路で2011年、6人が死傷した事故で、トラック運転手に過労状態で運転させたなどとして、道路交通法違反と労働基準法違反の罪に問われた運送会社「ランドキャリー」(名古屋市)元営業所長、鈴木弘一被告(49)の判決公判で、大阪地裁(西田真基裁判長)は19日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。
 道交法違反の罪に問われた元運行管理者、久田孝幸被告(43)は懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)とした。法人としての同社に対しては罰金50万円を命じた。
 判決は「運転手は国の基準を上回る過酷な労働状態で、正常な運転ができないほど疲労が蓄積していた」と指摘。鈴木被告らは「日報などを通じ、運転手の運行状況が国の基準に少なからず抵触し、過労状態にあることを認識していた」とした。
 判決によると、鈴木被告と久田被告は11年6月、過労で正常な運転ができない恐れがある状態と知りながら、運転手(45)=懲役5年の実刑確定=に過労による居眠り状態のまま運転させるなどした。トラックは渋滞中の車列に追突、2人が死亡するなどした。

平成26年3月19日(水曜日)日本経済新聞電子版

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パワハラ自殺、請求棄却、JR社員ー指導逸脱は認定 2014/01/31

 JR東日本新潟支社酒田運輸区(山形県酒田市)の副区長だった新潟市西区の男性=当時(51)=が自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だったとして、男性の妻が当時の上司に慰謝料1000万円を求めた訴訟で、新潟地裁は29日までに請求を棄却した。
 判決理由で大竹優子裁判官は、上司が男性をしっ責した内容のメールが「業務指導の範囲を逸脱し違法なものだった」と指摘した上で「メール送信などが強い心理的負荷を与えたとまではいえず、自殺は予見できなかった」と結論づけた。
 妻は、当時区長だった上司から何度もメールを送られるなどの嫌がらせを受け、男性がうつ病になり2009年2月に自殺したと主張していた。
 男性は11年、労働保険審査会から労災を認める裁決を受けている。

平成26年1月29日(水曜日)スポニチ

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うつ病休職中に解雇、元教諭が無効求め提訴ー横浜2014/01/31

 うつ病で休職中に解雇されたのは労働基準法に違反するとして、武相高校(横浜市港北区)に勤務していた元教諭の男性(56)が28日までに、運営する学校法人武相学園(同)に解雇無効を求める訴えを横浜地裁に起こした。同日、同地裁で第1回口頭弁論が開かれ、学園側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。
 訴えによると、男性は2011年5月ごろから、生徒への指導などについて学校側から厳しい叱責や事情聴取を受けるなどし、同8月にうつ病と診断された。その後療養休暇などを取得したが、学園は12年12月、生徒への指導が不適切だったことなどを理由に懲戒解雇とした。
 12年9月に男性から労災申請を受けた横浜北労働基準監督署は昨年5月、労災と認定し、12年5月からの労災保険支給を決めた。労働基準法は、業務上のけがや病気で療養のために休業する期間の解雇を禁止しており、同労基署は昨年10月、解雇に対する是正勧告を行ったが、学園は応じなかった。学園側は答弁書で「男性は業務上の病気でなく、私傷病だった」と主張している。
 男性の代理人は「労基署に労災と認められており、許されない解雇だ」と強調。学園の代理人は「業務上の病気ではない。今後、明らかにしていく」としている。

平成26年1月29日(水曜日)カナロコ(神奈川新聞社)

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添乗員のみなし労働認めず…最高裁が初判断2014/01/25

 旅行会社のツアー添乗員にみなし労働時間制を適用するのは不当だとして、阪急交通社の子会社の女性派遣添乗員(49)が割増賃金の支払いを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は24日、「勤務時間の算定が難しいとは言えず、みなし制は適用できない」として、子会社の上告を棄却する判決を言い渡した。
 約32万円の支払いを子会社に命じた2審・東京高裁判決が確定した。みなし労働時間制の適用について、最高裁が判断を示すのは初めて。同じような賃金体系を採用する他の旅行会社にも影響を与えそうだ。
 女性は、ツアーごとに子会社の「阪急トラベルサポート」(大阪)に雇用され、阪急交通社に添乗員として派遣されている。
 判決は、添乗員が事前に阪急側から手渡される旅行日程に従って業務を行い、ツアー後は詳細な添乗日報の提出を求められている点を重視。「添乗員の勤務状況の把握が難しいとは言えない」と判断し、みなし制の適用を認めなかった。 

平成26年1月24日(金曜日)読売新聞電子版

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長時間労働でうつ…料理長、世界遺産の寺を提訴2014/01/23

 世界遺産・仁和寺(京都市右京区)が境内で運営する食堂に勤務する男性料理長(56)が、長時間労働でうつ病を発症したとして、同寺を相手取り、慰謝料や未払い賃金計約1800万円の支払いなどを求める訴訟を京都地裁に起こしたことがわかった。22日の第1回口頭弁論で、寺側は請求棄却を求めた。
 訴状では、料理長は2004年から宿泊施設「御室会館」の食堂で勤務し、05年から料理長として調理や献立作成などを担当。遅くとも11年以降、時間外労働が月100時間を超えることが常態化し、月200時間以上になることもあったという。料理長は09年にうつ病を発症し、12年から休職中。13年7月には労基署から労災認定された。

平成26年1月23日(木曜日)読売新聞電子版

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男性自殺、パワハラ原因=5400万円賠償命令−名古屋地裁2014/01/16

 愛知県瀬戸市で2009年1月、男性会社員=当時(52)=が自殺したのは社長らのパワハラ行為が原因だとして、妻らがほうろう加工会社だった「メイコウアドヴァンス」(同県日進市)側に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、名古屋地裁であった。田辺浩典裁判長はパワハラが自殺につながったと認め、同社と社長に約5400万円の支払いを命じた。
 田辺裁判長は、男性が社長の暴言と暴行に恐怖を感じていたと指摘。自殺の直前1週間には、太ももを蹴られ12日間のけがをした上、退職届を書くよう強要され、「強い心理的負荷を連続して受け、自殺に至った」と判断した。
 判決によると、社長は仕事のミスをめぐって「ばかやろう」と男性を怒鳴ったほか、08年夏以降は頭をたたくなどした。男性が設備を壊した際には「7000万円払え。払わないと辞めさせない」とも発言していた。

平成26年1月15日(水曜日)時事通信社

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残業で自殺、会社に賠償命令、月200時間超=東京地裁2013/12/26

 月200時間を超える時間外労働が原因でうつ病になり、自殺した男性(当時24)の遺族が、会社や国、労働組合に賠償を求めた裁判の判決が20日、東京地裁であり、小野洋一裁判長は会社側に約2274万円の支払いを命じた。国や労組の責任は認めなかった。
 遺族が会見して明らかにした。亡くなった男性は新興プランテック(横浜市)に勤務し、プラント建設の現場監督をしていた2008年11月に自殺。10年9月に労災認定された。会社は月150時間、特別な場合には200時間まで時間外労働させられる協定を、労組と結んでいた。
 判決は、うつ病になった男性の仕事量を調整しなかったとして、会社の安全配慮義務違反を認めた。協定を認めた国や労組の責任は、「協定が違法であるとはいえない」と退けた。
 労働基準法は、1日8時間を超えて働かせる場合、労働組合などと協定を結び、労働基準監督署に届けるよう定めている。月当たりの上限は原則45時間だが、建設業などには適用されない。さらに、特別な場合には、それ以上の時間外労働が認められている。

平成25年12月20日(金曜日)朝日新聞デジタル

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月100時間超の時間外労働で過労自殺=和解2013/12/26

 兵庫県尼崎市の長男=当時(27)=が入社約4カ月後に過労自殺したのは猛暑にかかる負担への配慮がなかったためとして、両親が男性の勤務先だった大阪市住之江区の運送会社に約8280万円の損害賠償を求めた訴訟は25日、大阪地裁(相澤眞木裁判長)で和解が成立した。両親に謝罪し、解決金6千万円を支払う内容という。
 大阪市内で会見した両親や原告側代理人の岩城穣弁護士によると、同社が再発防止を図るため、和解内容を社内に周知するほか、今後5年間、猛暑下での勤務に配慮を促す文書を全従業員に定期配布することでも合意。父親(67)は「同じ苦しみを背負う家族を2度と出してはならない」と話した。
 訴状によると、男性は平成20年4月に入社し、自動販売機に清涼飲料水を補充する業務に従事。月100時間を超える時間外労働の末、真夏の繁忙期だった同年8月初めに過労自殺した。22年6月に労災認定を受け、両親が23年9月に会社を提訴していた。

平成25年12月25日(水曜日)MSN産経ニュース

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うつ病自殺:遺族がヤマダ電機を提訴「長時間労働で」2013/12/11

 家電量販店大手「ヤマダ電機」(本社・群馬県高崎市)の店舗に勤めていた男性社員(当時23歳)が自殺したのは、長時間労働でうつ病になったためとして、男性の遺族が11日、同社に対し約1億2000万円の損害賠償を求め、前橋地裁高崎支部に提訴した。
 原告側弁護士によると、男性は新規開店予定だったテックランド柏崎店(新潟県柏崎市)で管理職のフロア長として勤務していた2007年9月19日、同市内の社宅で首つり自殺した。死亡までの1カ月間の時間外労働は約106時間で、男性は同月15日ごろまでにうつ病にかかっていたとして、長岡労働基準監督署(同県)が11年6月に労災認定した。
 原告側は「長時間労働を認識しながらも休日に業務を命じるなどしており、安全配慮義務を怠った」と主張。同社側に資料の開示と話し合いでの解決を求めたが応じなかったため提訴したとしている。
 同社広報部は「訴状を受け取っていないので、コメントできない」としている。

平成25年12月11日(水曜日)毎日新聞電子版

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パワハラ訴訟、住友生命と元社員が和解2013/12/11

 上司のパワハラが原因でうつになり退職せざるを得なくなったとして、大阪府の50代女性が住友生命保険(大阪市)と当時の上司に計約6300万円を求めた訴訟が、同社などが解決金4000万円を支払い、元上司が女性に謝罪する内容で、大阪地裁(阪本勝裁判長)で和解したことが、11日分かった。11月13日付。
 住友生命は「個別事案で、コメントは差し控える」としている。
 訴状などによると、女性は2003年に大阪府内の出張所長になった。このころから、保険契約の成績を別の社員に付け替えるよう当時の上司から強要されるようになった。
 その後、付け替えをしなかったことをきっかけに、叱責や暴言を受けた。女性はうつを発症し休職、いったん復職したが09年6月に退職した。10年に労災認定を受けたという。

平成25年12月11日(水曜日)日本経済新聞電子版

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「和民」女性自殺は「過重労働が原因」両親提訴2013/12/10

 居酒屋「和民」で働いていた女性(当時26歳)が自殺したのは連日の長時間勤務など過重な労働が原因だとして、女性の両親が9日、和民を展開するワタミフードサービス(東京都大田区)や親会社「ワタミ」(同)、当時、ワタミ社長だった渡辺美樹氏(54)らに対し、計約1億5300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状などによると、女性は2008年、ワタミフードサービス入社直後に神奈川県横須賀市内の店に配属されたが、1か月間に約141時間の時間外勤務を強いられるなどして体調を崩し、同年6月に自殺した。女性の死亡は労災認定されており、ワタミの担当者は「和解を提案してしていたが合意できず残念。内容を確認し誠実に対応したい」とコメントした。

平成25年12月9日(月曜日)読売新聞電子版

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年金男女差訴訟で基金側が控訴2013/12/07

 地方公務員の遺族補償年金の受給要件をめぐり、夫だけ年齢制限があるのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして、公務災害で中学教諭の妻を亡くした大阪府内の元会社員の男性(66)が不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、被告の地方公務員災害補償基金(東京)は6日、受給要件を違憲として処分を取り消した大阪地裁判決を不服として控訴した。
 同基金は「判決には受け入れられない点があり、関係者とも協議の上、総合的に検討した結果」とコメント。原告の代理人弁護士は「判決に即して法改正を進めて欲しかった。控訴となって遺憾」と話している。
 地裁は11月25日、公務災害で配偶者が死亡した場合、妻には年齢制限がないのに夫だけ原則55歳以上とする地方公務員災害補償法の遺族補償年金の受給要件について「性別で分けるのは不合理で違憲、無効」と判断していた。

平成25年12月6日(金曜日)MSN産経ニュース

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遺族年金、夫の受給年齢制限は「差別的」で違憲2013/11/26

 公立中教諭だった妻(当時51歳)を職務に起因する自殺で亡くした元会社員の男性(66)(堺市)が、遺族補償年金の受給要件で夫に年齢制限があるのは法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、地方公務員災害補償基金(東京)に不支給決定取り消しを求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。
 中垣内健治裁判長は「性別で受給権を分けるのは不合理な差別的取り扱い」として違憲、無効とする初判断を示し、決定を取り消した。
 地方公務員災害補償法は、妻の死亡時に夫が55歳以上なら60歳から同年金を受給できると規定し、夫の受給に年齢制限を設けているが、妻の受給にはない。同様の男女差規定は民間の労災保険や厚生年金などの遺族年金にもあり、判決は他の年金制度にも影響する可能性がある。
 判決によると、堺市立中教諭だった妻は1998年に自殺。公務災害と認めなかった同基金を相手取り、夫が起こした訴訟で、大阪地裁が勤務先の学級崩壊に関係する自殺と認め、2010年4月、公務災害に認定された。男性は同基金に遺族補償年金の支給を申請。しかし、妻の死亡時に51歳だったため不支給になった。

平成25年11月25日(月曜日)読売新聞電子版

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「過労で自殺」JR西を提訴=社員の遺族2013/10/28

 JR西日本の大阪電気工事事務所(兵庫県尼崎市)に勤務していた男性社員(当時28歳)が自殺したのは長時間残業による過労が原因として、男性の妻と両親の計3人がJR西に約1億9000万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こし、25日の第1回口頭弁論で、JR西は請求棄却を求めた。JR西側の弁護士は取材に「過労と自殺の因果関係、会社の責任は認める方向だが、賠償額は話し合いたい」と答えた。
 訴状によると、男性は大学院修了後の2009年に総合職として入社。駅の信号など保安設備の管理業務を担当していたが、日中の勤務に加えて夜勤や休日出勤が重なり、うつ病を発症して12年10月に自殺した。
 同僚らの聴取などから毎月の時間外労働は、自殺前の同9月が162時間、同3月には最長の254時間で、厚生労働省が過労自殺の認定基準とする月160時間以上を超えており、尼崎労働基準監督署は今年8月、労災認定した。
 遺族側は「JR西は、常軌を逸した労働時間で心身の健康を損ねる可能性を認識しながら是正を怠った」と主張。JR西は閉廷後、「長時間残業があったのは事実。労働時間の管理が適切ではなく反省している。訴訟には誠実に対応する」とのコメントを出した。

平成25年10月26日(土曜日)読売新聞電子版

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「長時間労働で鬱病に」すし職人が経営会社提訴2013/10/11

 鬱病になったのは勤務先のすし店で長時間労働を強いられたのが原因として、茨城県の男性(37)が9日、JR東日本子会社のジェイアール東日本都市開発を相手取り、約290万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 訴状によると、男性は同社が埼玉県内で運営するすし店で、平成19年7月からすし職人として働いていたが、22年4月以降、1日14時間の長時間労働や休日出勤を強いられた。その結果、22年4月下旬ごろから頭痛などの症状が出始め、6月末には出社できなくなった。男性は同月、鬱病と診断されて休職。23年7月に退職し、24年9月に労働基準監督署から労災認定を受けた。発症前の1カ月間の時間外労働は最高で約97時間に上っていた。
 原告側は「従業員の生命や身体の安全を確保しつつ労働できるように配慮する義務があるのに怠った」と主張。同社は「訴状が届いていないので、コメントできない」としている。

平成25年10月9日(水曜日)MSN産経ニュース

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店員過労死訴訟、大庄側が敗訴=最高裁2013/09/27

 居酒屋チェーン「日本海庄や」の男性店員(当時24)が2007年に死亡したのは過労が原因として、両親が経営会社「大庄」(東京)と平辰社長ら役員4人に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は26日までに、大庄側の上告を退ける決定をした。大庄側に約7860万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。決定は24日付。
 一、二審判決によると、男性は07年4月に入社し、滋賀県の店舗で勤務。同年8月に自宅で就寝中に急性心不全で死亡した。残業時間は月平均約112時間だった。
 一審・京都地裁は、同社の基本給が月80時間の時間外労働を前提にしていると指摘し、「労働時間について配慮していたとは全く認められない」として会社と役員の責任を認定。二審・大阪高裁も支持した。

平成25年9月26日(木曜日)日本経済新聞電子版

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タクシー客待ちは「労働」…会社に賃金支払い命令2013/09/23

 元タクシー運転手の男性(50歳代)が、客待ち時間を休憩時間とみなされ、賃金が不当に減額されたとして、五十川タクシー(福岡市南区)に未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁であった。
 吉田祈代裁判官は「客待ち時間は客が来ればいつでも運行させなければならず、休憩時間とは評価できない」とし、請求通り約170万円の支払いを同社に命じた。男性の代理人弁護士によると、タクシーの客待ち時間を労働時間とみなした判決は珍しいという。
 判決によると、同社は男性が勤務していた2009年6月〜10年10月、本社の車庫以外で5分以上客待ちで待機した場合を労働時間に認めず、男性は未払い賃金約85万円に、労基法に基づく同額の付加金(制裁金)を合わせて請求した。
 吉田裁判官は「常に走行しながら客を取る『流し営業』しかできず、客待ちを事実上禁じている」と指摘。タクシーのタコグラフ(運行記録計)を精査した結果、未払い賃金は105万円だったと認定したが、民訴法の原則に基づき、請求の範囲内で賠償を命じた。

平成25年9月20日(金曜日)読売新聞電子版

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遺族「過労で自殺」、JVCケンウッドを提訴=横浜地裁2013/09/11

 音響機器メーカー「JVCケンウッド」(横浜市神奈川区)の社員だった男性=当時(42)=が自殺したのは、長時間の業務でうつ病を発症したためとして、男性の両親と妻は10日までに、同社に計約1億234万円の損害賠償を求め、横浜地裁に提訴した。同地裁(阿部正幸裁判長)で同日開かれた第1回口頭弁論で、同社は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 訴状などによると、男性は1993年に当時のケンウッドに入社。15年以上オーディオの商品企画を担当していたが、2008年に日本ビクターとケンウッドが経営統合した後の今年2月、心療内科でうつ病と診断され、3月に自殺した。
 原告側は、新商品開発のため昨年12月以降、職場や自宅で毎月100時間を超える残業を行ったと主張。統合後の仕事の進め方などの変化が精神的な負担となった上、職場にケンウッド出身者が1人となって仕事が集中したにもかかわらず、上司が適切な処置を取らなかった、と訴えている。
 過重労働はなかったと主張した同社は、「係争中のため、コメントは差し控える」としている。
 遺族は労働基準監督署に認定を求めており、男性の父親(76)は「息子はケンウッドを愛していた。社内で何があったのか、真実を知りたい」と話している。

平成25年9月11日(水曜日)カナロコ

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札幌地下鉄員「自殺はパワハラ」、遺族が提訴2013/08/31

 札幌市営地下鉄の男性駅員=当時(30)=が昨年3月に自殺したのは職場のパワハラが原因として、男性の両親が21日までに、勤務先の札幌市交通事業振興公社に計約8400万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。提訴は7月19日付。
 21日の第1回口頭弁論で公社側は争う姿勢を示した。
 訴状によると、男性は2006年1月に公社に入り、駅構内で利用者の案内業務や忘れ物の処理などを担当。上司から不快なあだ名を付けられるなどの嫌がらせを受けた結果、11年7月に重度のうつ病と診断され、昨年3月に自宅で首をつって自殺したとしている。

平成25年8月21日(水曜日)西日本新聞電子版

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新入社員に長時間労働、過労自殺認め賠償命令2013/06/26

 運送会社「岡山県貨物運送」(岡山市)の男性社員(当時22歳)が、2009年10月に自殺したのは過労とパワハラによる労働災害として、宮城県大崎市に住む男性の両親が同社と当時の会社の上司に計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、仙台地裁であった。
 斉木教朗裁判長は「新入社員に長時間労働を強いた」として、同社に約6940万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は09年4月に入社し、宇都宮営業所に配属。リサイクル家電の受け付け事務などを担当していたが、休日出勤や恒常的に1日15〜16時間勤務を強いられ、同年10月7日、宇都宮市内の自宅で自殺した。
 斉木裁判長は「自殺する5か月前から月100時間を超える時間外労働があった」とし、会社の安全配慮義務違反を認めた。
 一方、上司に関しては、「何で出来ないんだ」「バカ野郎」などと男性に言ったパワハラに対し、「適切ではないものの、違法性はない」として請求を棄却した。

平成25年6月25日(火曜日)読売新聞電子版

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「行員過労自殺」遺族が肥後銀提訴ー熊本地裁2013/06/14

 2012年に肥後銀行の男性行員(当時40歳)が長時間の残業を原因とするうつ病を発症し自殺したのは、健康に配慮する義務を怠ったためとして、遺族が12日、同行を相手取り、逸失利益など約1億7000万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。
 訴えによると、行員は業務企画グループに所属。12年7月以降、業務システムの更新へ向けた作業で仕事量が急増した。休日出勤を含め残業が増え、うつ病を発症。同18日午後2時頃、同行の旧本店(熊本市中央区)7階から飛び降り、自殺した。
 1か月間の残業時間は、自殺の半年前は55時間だったが、次第に増え、自殺前は255時間にのぼった。
 原告は「銀行側は常軌を逸した長時間労働をさせ、健康に配慮する義務を怠った。長時間労働が継続する中でうつ病を発症し、自殺に至った」と主張している。
 12日、行員の妻が熊本市の県弁護士会館で記者会見し、「夫は家族を残して無責任に死んでしまったのではなく、最後まで仕事に立ち向かった結果、命を絶ったのだと証明したい」と述べた。
 同行文化・広報室は「訴状の内容を確認していないので、現時点でのコメントは差し控えたい」としている。

平成25年6月13日(木曜日)読売新聞電子版

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「営業先ないのに厳しいノルマ」夫自殺で提訴2013/06/06

 夫(当時39歳)が自殺したのは、震災の影響で取引先がなくなったのに厳しいノルマを課せられたからなどとして、仙台市青葉区に住む妻ら遺族が、夫が勤めていた医療機器販売業者(本社・東京都葛飾区)を相手取り、慰謝料など計約8850万円を求める訴訟を仙台地裁に起こしていたことが5日、わかった。提訴は5月21日付。
 訴状によると、同市の営業所で東北地方の病院に医療機器を販売する仕事をしていた夫は、2011年3月の震災以降、営業先の病院がなくなったり、病院の資金に金銭的余裕がなくなったりする中、厳しいノルマ達成を強いられ、同年11月4日に自殺したという。
 遺族は「パワハラや退職強要も受けていた」とし、社員の安全に配慮する義務に違反していると主張している。仙台労働基準監督署は今年1月、男性を労災として認定した。遺族の訴えに対し、業者は「コメントできない」としている。

平成25年6月6日(木曜日)読売新聞電子版

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パワハラでうつ・休職に…マック女性従業員提訴2013/06/01

 日本マクドナルド(東京都新宿区)に勤務する東京都内の40歳代の女性が31日、パワハラなどでうつ状態になり、休職に追い込まれたなどとして、同社に慰謝料など計約1085万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、女性は1991年に正社員となり、2009年から人事本部に勤務。10年6月から約1年間、出産と育児で休職した後に職場復帰したが、十分な引き継ぎもなく、長時間労働が続いたほか、長女に授乳していることについて仕事の支障になると上司から叱責されたという。12年2月から精神科に通院し、うつ状態と診断され、同年7月から半年間休職した。
 同社は「訴状を見ていないので何とも言えない。女性とは話し合いを続けてきたが、女性の要求は当社の見解とは隔たりがあり、合意に至らなかった」としている。

平成25年5月31日(金曜日)読売新聞電子版

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障害年金不支給は違法=母証言で認定−名古屋地裁2013/05/23

 てんかん患者の愛知県一宮市の40代女性が厚生労働省を相手に、障害基礎年金の受給を認めなかった処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が23日、名古屋地裁であった。福井章代裁判長は発症当時の発作の程度について「介助に当たった母親の証言は信用できる」と指摘し、不支給は違法だとして処分を取り消した。
 福井裁判長は「母親は発作や日常生活を直接見てきた。証言は医学的知見などとも符合する」と判断。「母親の話は記録に基づかず、客観性もない」とする厚労省側の主張を退け、01年6月までさかのぼり、障害等級2級と認定した。
 判決によると、女性は1999年に脳炎で入院し、てんかんを発症。退院後も月1回は昏睡(こんすい)状態に陥り、発作のため就職できなかった。
 市役所に相談して年金制度を知り、10年に初めて申請したが、厚労省は「発症当時の詳細な状況が不明だ」として支給を認めなかった。

平成25年5月23日(木曜日)時事通信社

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二審も記者の解雇無効=ブルームバーグが敗訴−東京高裁2013/04/25

 米ブルームバーグ通信東京支局の男性記者(51)が、「能力不足」を理由に不当に解雇されたとして、地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。坂井満裁判長は解雇を無効として賃金支払いを命じた一審東京地裁判決を支持し、ブルームバーグの控訴を棄却した。
 同社は控訴審で「国際企業と一般的な日本企業との雇用形態には差異がある」として、解雇は妥当と主張したが、坂井裁判長は「人事制度が一般的な日本企業と異なることについて、具体的に主張していない」と退けた。
 その上で、「男性は具体的な数値によって設定された課題をほぼ達成している」と指摘。「労働契約を継続できないほど重大な職務能力の低下は認められない」とした。

平成25年4月24日(水曜日)時事通信社

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「辞めろ」と怒鳴り人格否定、元社長500万円賠償命令2013/04/05

 タクシー会社「東京エムケイ」(東京都港区)の運転手ら5人が、同社の元社長から暴行などを受けたとして、計約2300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、暴行や暴言があったと認め、5人に対して計約500万円を支払うよう同社と元社長に命じた。
 秋元健一裁判官は「暴行が許されないことはもちろん、侮辱する言葉を繰り返し使って運転手の人格を否定した。指導目的であっても、明らかに限度を超えている」と述べた。
 判決によると、5人は2011年8月、タクシーの後部座席に乗り込んだ元社長に後ろから殴られたり、「お前、アホか」「辞めろ」などと繰り返し怒鳴られたりした。首や腰にけがをした人や、うつ病の診断を受けた運転手もいた。同社と元社長は「すべて指導などの正当な目的があった」と主張していた。
 東京エムケイはホームページで「控訴せず、判決に従う」とコメントした。

平成25年3月26日(火曜日)朝日新聞デジタル

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月400時間働き1万円…元外国人実習生が提訴2013/04/04

 途上国支援が目的の外国人技能実習制度を使い、長崎県の繊維会社で実習生として働き現在は京都府に住む、バングラデシュ国籍のベガム・ラベアさん(24)が低賃金で長時間労働を強いられたとして、同社と社長らを相手取り、未払い賃金や慰謝料など約880万円の支払いを求めて地裁に提訴した。
 訴状によると、ベガムさんは2011年11月に来日、制度に基づき同社が縫製の実習を受け入れた。ところが毎月400時間以上働いたのに残業代は支払われず、月10万円の賃金から同社や仲介業者が住居費や仲介料として9万円を引き、手元に1万円しか残らなかった。休みも月2、3日しかなく、12年8月に会社側に待遇改善を訴えたところ、受け入れを打ち切られ強制帰国させられそうになったという。
 ベガムさんは、記者会見で「夢を持って来日したが、深夜までの労働は言葉では表せないほどつらかった」と訴えた。社長は「賃金は出来高払いで、残業代が発生しない契約だ。賃金体系で認識の違いがあるが、説明不足だった点は反省している」と話している。

平成25年4月4日(木曜日)読売新聞電子版

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内部告発後の懲戒解雇は違法…大王製紙を提訴2013/03/20

 大王製紙の会計処理の問題を内部告発した後、懲戒解雇された同社元課長の男性(50)が19日、「解雇には理由がなく、違法」として、解雇無効と、同社に330万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、男性は、タイの関連会社に不正経理があることを上司に相談したが、適切な対応が期待できなかったため、昨年12月、金融庁などに告発文を送付した。すると、大王側から今年2月、「会社の秘密を漏らした」として課長職を解かれた上、北海道にある関連会社の事業所への出向を命じられた。男性が拒否すると、今月11日付で懲戒解雇されたという。
 訴状では、「公益通報者として保護されるべきで、降格から解雇までの一連の処分は人事権を乱用した違法行為だ」と主張している。
 大王製紙は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」としている。

平成25年3月19日(火曜日)読売新聞電子版

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過労死認定、東急ハンズに7800万円賠償命令=神戸地裁2013/03/14

 生活雑貨大手、東急ハンズ(東京)の大阪の店舗に勤務していた男性(当時30)が死亡したのは過労が原因だとして、神戸市東灘区に住む男性の妻と長男が、同社に計約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は13日、過労死と認め、計約7800万円を支払うよう命じた。
 判決理由で、長井浩一裁判長は「死亡直前は時間外労働が月80時間を超え、上司から怒鳴られるなど、精神的ストレスも抱えていた」と指摘。「過重な業務を減らさなかった」として、東急ハンズが従業員の安全に配慮する義務に違反していたと判断した。
 判決によると、男性は1997年に入社。心斎橋店(大阪市中央区)の台所用品売り場で勤務していた2004年3月、自宅で就寝中に心臓に異常をきたし、突然死した。
 東急ハンズは「判決内容を確認し、今後の対応を決める」としている。

平成25年3月14日(木曜日)日本経済新聞電子版

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マツダ元派遣13人を正社員と認定=山口地裁判決2013/03/14

 労働者の派遣期間が3年を超えないよう、派遣社員を一時的に直接雇用していたマツダの制度が適法かどうかが争われた訴訟の判決で、山口地裁(山本善彦裁判長)は13日、「派遣の常用雇用を防止する労働者派遣法の根幹を否定する施策だ」として違法と判断した。
 その上で雇用を打ち切られた原告の元派遣社員15人のうち13人について「マツダとの黙示の労働契約が成立する」として正社員と認め、雇用が続いていれば支給されていた賃金支払いも命じた。
 極めて異例の判決で、類似訴訟や100万人を超す派遣労働者の現場に影響を与えそうだ。
 問題となったのは、マツダの「サポート社員制度」。労働者派遣法は派遣期間が連続3年を超えれば、派遣先が直接雇用するよう規定。マツダは3年を迎える前に派遣社員を「クーリング期間」として3カ月以上、サポート社員に雇用。その後、再び派遣に戻すことを繰り返していた。
 山本裁判長は「派遣労働者を利用するのであれば、本来は甘受せざるを得ない生産性の低下を受け入れないで、熟練工の長期的な確保を目指していた」と指摘。マツダは派遣社員を技能に応じてランク付けし、給与に反映させる制度なども導入しており、こうしたシステム全体を違法とした。
 さらに「派遣の体裁を整えているが、実質は派遣と評価できない」とし、マツダが就業条件や賃金を実質的に決めていたと言及。13人の派遣元とマツダの派遣契約を無効とし、マツダとの黙示の労働契約を認めた。
 原告はマツダ防府工場(山口県防府市)の元派遣社員15人で、主張を認められた13人はサポート社員経験者。

平成25年3月13日(水曜日)日本経済新聞電子版

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中国人研修生に時給300円で長時間労働2013/03/12

 国際研修協力機構(JITCO、東京)が支援する外国人技能実習制度で来日した中国人女性5人(24〜30歳)が、労働基準法に違反する劣悪な条件で働かされたなどとして、長崎県島原市の縫製会社(自己破産)の元社長らを相手取り、慰謝料など約3700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、長崎地裁であった。井田宏裁判長は元社長らに計約1060万円の支払いを命じた。
 判決は、元社長のほか、受け入れ機関の雲仙アパレル協同組合や、女性らの派遣を仲介した福岡市の業者などの賠償責任を認めたが、JITCOに対する請求は「指導や調査義務があったとはいえない」として棄却した。
 判決によると、5人のうち3人は2006年12月、残り2人は07年10月に来日。就労を禁じられている研修中に、同社工場で女性用下着などを縫製する実労働をさせられた。技能実習への移行後も、最低賃金を下回る時給300〜400円で長時間残業や休日勤務を強いられ、1か月の時間外労働が190時間を超すこともあった。井田裁判長は、「女性たちの人格権を侵害するなど、不法行為が認められる」と指摘した。

平成25年3月5日(火曜日)読売新聞電子版

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過労でうつ病自殺を認定=大阪地裁、日本公庫に賠償命令2013/03/07

 旧農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務していた男性(当時38)が自殺したのは、過重労働によるうつ病が原因として、大阪府吹田市の妻(43)らが約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は6日、「うつ病となった原因は業務にある」と判断し、公庫に約8900万円の支払いを命じた。
 判決理由で、稲葉重子裁判長は「公庫は男性が相当な残業をしても業務が遅れがちだったのを認識していたのに、健康状態が悪化しないよう適切な措置を取らなかった」と指摘した。
 判決によると、男性は2005年4月、高松から長崎支店に転勤。転勤直前は残業時間が月100時間近くになり、疲労を解消しないまま長崎で業務を始めた。同年5月下旬までにうつ病を発症し、7月に自殺した。高松労働基準監督署は労災認定した。
 判決は、男性についても、健康上の問題を公庫に相談しなかった点を過失として、賠償額を減額した。
 判決後に記者会見した妻は「夫の生きざまを裁判で証明できてよかった」と話した。
 公庫は「判決内容を確認し、今後の対応を考えたい」としている。

平成25年3月7日(木曜日)日本経済新聞電子版

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月80時間未満でも「労災」、時間外労働=東京地裁認定2013/03/04

 2009年6月に脳出血で死亡した茨城県の男性会社員(当時35)について、東京地裁(竹田光広裁判長)は2月28日、「労働災害だ」とする両親の訴えを認める判決を言い渡した。労災にはあたらないとした労働基準監督署の判断を取り消した。
 男性の死亡前の4カ月間の時間外労働時間は、月65〜72時間で、過労と認定する際の目安として厚生労働省が定める月80時間を下回っていた。しかし判決は「肉体的、精神的な負担があった」などとして仕事と死亡との因果関係を認めた。
 両親の代理人を務める川人博弁護士は「80時間にこだわらず、業務の重さや精神的な緊張を考慮して労災だと認めた判決は珍しい」と評価している。
 判決によると、電気会社で経理を担当していた男性は、新会計システムの導入や、合併する会社とのシステム統合のプロジェクトに関与。休日の出勤が続いたうえ、死亡の3日前には出張先の静岡県沼津市まで車を運転し往復していた。

平成25年3月1日(金曜日)朝日新聞デジタル

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修道大に支払い命令、「名ばかり管理職」認めるー広島地裁2013/03/01

 長時間労働させられたのに「名ばかり管理職」のため、時間外勤務手当を支給されなかったとして、広島修道大の職員、日原容さん(57)が学校法人・修道学園を相手取り、未払い手当など約630万円の支払いを求めた訴訟の判決が27日、広島地裁であった。衣斐瑞穂裁判官は、手当支給の対象外となる管理監督者には該当しないという判断を示し、学園側に517万円を支払うよう命じた。
 判決では、日原さんが経営者と一体的な立場にあるか▽労働時間に関する自由裁量があるか▽他の一般労働者と比べて待遇面で優遇措置があるか−−を検討。いずれも日原さんにはなく、「管理監督者に該当する」との学園側主張を退けた。
 判決によると、日原さんは08年4月〜11年3月に財務課長を務めるなどし、最大で月に103時間の残業をこなした。学園の規程で一部の深夜勤務手当を除いて時間外勤務手当が支払われず、人事権や出退勤の時間的自由もなかった。
 日原さんは判決後の記者会見で「大学でこういった事態が長年まかり通っていることは腹立たしい」と話した。同学園の住田敏専務理事は「財務課長は予算関係の財政計画を担うなど重要な職責。控訴を視野に検討する」とコメントした。

平成25年2月28日(木曜日)毎日新聞電子版

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19歳自殺、パワハラ認めて和解…福岡地裁支部2013/02/22

 調理師だった福岡県遠賀町の少年(当時19歳)が自殺したのは、勤務先の飲食店の上司による暴力が原因だったとして、両親が店の運営会社と当時の上司2人に慰謝料など9160万円の支払いを求め、福岡地裁小倉支部(岡田健裁判長)に提訴した損害賠償請求訴訟で、和解が成立していたことがわかった。
 会社側が上司の暴力を「行き過ぎた指導」と認め、パワハラ行為を事実上認めた。成立は21日付。
 原告側弁護士によると、主な和解内容は〈1〉上司2人は事実関係を認めて「行き過ぎた行為」を謝罪〈2〉同社は再発防止策を図る――など。和解金額は明らかにしていない。
 訴状などによると、少年は2008年4月、レストランなどを運営する「グラノ24K」(福岡県岡垣町手野)に入社。岡垣町内の店で勤務していた翌年8月、自宅で自殺した。両親は前年9月頃からあざを作って帰宅するようになり、上司から大型のしゃもじで殴られたなどとして、09年に提訴。少年の自殺を巡っては北九州西労働基準監督署が10年10月、自殺は勤務先の上司の暴力やいじめなどが原因と労災認定していた。

平成25年2月22日(金曜日)読売新聞電子版

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医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定2013/02/14

 奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた。
 当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。
 同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004〜05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。
 1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩の取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。

平成25年2月13日(水曜日)読売新聞電子版

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「長時間労働 うつ病自殺」、損賠求め会社提訴=松山2013/02/13

 2011年12月に愛媛県砥部町の男性(64)が自殺したのは、長時間労働や同僚の言動が原因でうつ病となったためなどとして、遺族が12日までに、松山市のパン製造販売会社に慰謝料など約4250万円の損害賠償を求めて松山地裁に提訴した。
 訴状によると、男性は08年3月ごろから被告会社店舗で製造を担当。勤務時間は午前4時〜午後6時ごろで、月に数日は午後10時ごろまでの勤務もあり、休日は週1回しかなかった。11年9〜11月の時間外労働時間は1カ月当たり77.5〜111.5時間で、うち深夜労働時間は19〜23.5時間だった。睡眠不足で交通事故を起こし、重傷を負った際にも事故当日しか欠勤を許されなかった。
 同僚は、店内で道具が見当たらないと大声で怒鳴ったり、商品に描いた絵が下手だとののしったりした。店長に相談したが、雨の日にも外で草引きをさせるなど、さらに過酷な環境で勤務を強いた。
 被告会社は「弁護士と相談し、裁判の中で事実を明らかにしていきたい」としている。

平成25年2月13日(水曜日)愛媛新聞電子版

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石綿肺がん:2審も労災…国の07年基準否定=大阪高裁2013/02/12

 アスベスト(石綿)を吸って肺がんを発症し死亡したのに労災不認定とされた神戸市西区の港湾労働者の(当時64歳、男性)の遺族が、国に不認定処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は12日、処分を取り消した1審・神戸地裁判決を支持し、国の控訴を棄却した。不認定根拠となった厚生労働省の07年基準について、谷口幸博裁判長は「合理性を認め難い」と述べた。
 石綿肺がんの認定基準をめぐる同様の訴訟は東京地裁での原告勝訴判決や今回の訴訟を含め7件が係争中で、高裁判決は初めて。
 男性は1961年から20年間、神戸港で輸入石綿などの積み荷の確認作業に従事。03年に肺がんを発症し06年に死亡したが、神戸東労働基準監督署は労災認定しなかった。
 石綿肺がんについて、厚労省の06年労災認定基準は、石綿作業に10年以上従事したことなどを条件に労災認定し、10年未満でも「乾燥した肺1グラムに石綿小体(たんぱく質で包まれた石綿)が5000本以上」などを満たせば認定する規定を設けた。ところが07年基準では、従事歴10年以上でも、石綿小体5000本未満の場合は労災と認めないなど、条件を厳しくした。従事歴20年で石綿小体741本の男性は不認定となったが、谷口裁判長は「その量的数値は問題ではない」と指摘し、07年基準を否定した。
 神戸東労働基準監督署は「判決内容を検討した上で対応を決めたい」とコメントした。

平成25年2月12日(火曜日)毎日新聞電子版

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餃子の王将に賠償請求=「長時間労働でうつ病」−京都地裁2013/02/05

 「餃子の王将」を展開する「王将フードサービス」(京都市山科区)の男性社員(27)=休職中=が5日、長時間労働でうつ病になったとして、同社に休業損害や慰謝料など約2300万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴状によると、男性社員は2010年1月以降、正社員として京都府内の店舗で調理などを担当。うつ病発症の直前6カ月の時間外労働は、1カ月あたり平均約135時間だった。さらに、1日10時間を超えた分の労働時間は賃金に反映されない仕組みで、サービス残業が常態化していたという。
 男性は体調を崩し11年4月以降は欠勤。京都南労働基準監督署は昨年、長時間労働などとうつ病発症との因果関係を認め、労災認定した。男性は「自分と同じ働き方をしている人は他にいる。会社に職場環境の改善をしてもらいたい」と訴えている。
 原告側の佐藤克昭弁護士は「全国の外食チェーン店で、社員や店長の恒常的な長時間労働を当然視する実態があり、看過できない」と指摘した。
 王将フードサービスの話 訴状を確認できておらず、コメントを差し控えたい。

平成25年2月5日(火曜日)時事通信社

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残業170時間、過労自殺認定=バレンタイン前、チョコ会社2013/01/29

 横浜市の男性=当時(31)=が出向先のチョコレート会社で自殺したのは長時間労働が原因だとして、渋谷労働基準監督署が労災認定していたことが29日分かった。遺族は同日、同社に約9700万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。
 遺族側の弁護士によると、男性は2004年からコールセンター業務を行う会社に正社員として勤務。11年10月、関連会社のチョコレート製造・販売「コンパーテス・ジャパン」(東京都渋谷区)に出向し、トラブル対応や在庫管理、店舗スタッフの採用などを担当していたが、同年12月末に同社の非常階段で首をつって自殺した。
 労基署は、バレンタインデー前の繁忙期と重なり、男性の自殺前1カ月の時間外労働が約170時間に上っていたと指摘。上司の叱責に業務指導の範囲を超えた発言があったなどと認定した。
 男性の姉(34)は都内で記者会見し、「チョコレートを見ないように外出を避けているが、つらい」と訴えた。同社の社長は取材に対し「(自殺は)悲しく、二度と起こしたくない。遺族の方と争いたくないので、内容を見て真摯(しんし)に対応したい」と話した。

平成25年1月29日(火曜日)時事通信社

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診断書なくても障害認定、年金請求めぐり名古屋地裁判決2013/01/18

 2001年に胃がんで死亡した男性(当時40)の妻(51)=名古屋市=が、男性の生存期間中の障害年金を支給するよう求めた請求について、診断書がないことを理由に国が却下したのは不当と訴えた訴訟で、名古屋地裁は17日、男性の障害を認め、障害厚生年金の却下処分を取り消した。
 判決理由で福井章代裁判長は「請求に対する判断の資料を診断書に限るとした規定は見当たらず、男性の日記や妻の証言などで病状の推移は認定できる」と指摘。「初診から1年半後の認定の起算日となる時期には、男性は障害等級3級の状態にあった」とした。
 妻の代理人弁護士は「診断書がなくても障害があったと認め、全国的にあまり例がない判決」と話した。
 判決によると、男性は1993年10月に胃がんで余命6カ月から1年と診断されたが、医療機関での診療を拒否し、漢方などでの治療を続けたため診断書がなかった。01年2月に死亡した。
 妻は07年9月、男性の生存中の障害年金を国に請求したが、旧社会保険庁は却下。再審査請求も却下されたため提訴した。
 厚生労働省年金局事業管理課は「国の主張が認められず、大変厳しい判決だ。関係省庁と協議し適切に対処したい」としている。

平成25年1月18日(金曜日)日本経済新聞電子版

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「この世から消えろ」でパワハラ自殺…損賠提訴2013/01/13

 福井市の消防機器販売会社「暁産業」で勤務していた少年(当時19歳)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントなどが原因だったとして、少年の父親が同社と上司2人に計1億1121万円の損害賠償を求める訴訟を地裁に起こした。提訴は昨年12月6日付。
 訴状によると、少年は2010年4月に正社員として入社。消火器などの点検業務を行っていたが、長時間勤務や達成困難なノルマ設定、人格を否定する上司からの暴言により、うつ状態となって同年12月に自宅で首をつって自殺したとしており、会社側に安全配慮義務違反などがあったと主張している。
 少年の手帳には、上司の言葉として「何でうそをつく」「辞めればいい、死んでしまえばいい、もう直らないならこの世から消えてしまえ」などの文字が書かれていたという。
 この問題では、福井労働基準監督署が昨年7月、自殺は「いじめ、嫌がらせが原因」として労災を認定している。

平成25年1月12日(土曜日)読売新聞電子版

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過酷労働でうつ病自殺=両親が東北大提訴−仙台地裁2012/12/11

 東北大薬学部の助手だった男性=当時(24)=がうつ病で自殺したのは、長時間勤務と上司のパワハラなどが原因として、男性の両親が11日、大学に約1億円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 遺族は2009年に労災申請し、宮城労働局は「業務上の心理的負荷が強い」として過労自殺と認定している。
 訴状によると、男性は07年6月、指導教授の勧めで薬学部の博士課程を退学し、助手に就任。半年後、大学病院9階から飛び降り自殺した。直前2カ月の時間外労働は104時間、97時間だった。また、指導教授らからの嫌がらせでストレスが深刻化しうつ病になったとして、大学側に安全配慮義務違反があったと主張している。
 男性の父親(57)は「息子の後輩や同僚が二度と同じ苦労をしないよう、大学には未然防止に努めてほしい」と話している。
 東北大の話:訴状が届いていないのでコメントは差し控える。

平成24年12月11日(火曜日)時事通信社

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過労自殺で労災認定、横浜の男性に=東京地裁2012/11/30

 横浜市の電気通信設備会社で働いていた男性(当時27)が2005年に自殺したのは過労が原因だとして、両親が遺族補償を不支給とした横浜西労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日までに、労災と判断し、請求を認めた。
 白石哲裁判長は、男性は自殺の前に適応障害を発病し、それまでの1カ月間の時間外労働は177時間近い「極度の長時間労働」だったと指摘。ケーブル関連工事のトラブルや帰宅途中の交通事故などもあり心理的負荷は強かったとして、自殺は業務に起因すると認定した。
 判決によると、男性は03年に入社。05年7月に事故に遭い、自宅で仕事をしていたが、同年8月に自殺した。両親は08年3月に労災を申請したが翌年1月に退けられた。〔共同〕

平成24年11月29日(木曜日)日本経済新聞電子版

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労災認定公表、開示命じた一審を取り消し=大阪高裁2012/11/30

 過労死などで従業員が労災認定を受けた企業名を開示しないのは違法として、市民団体代表が大阪労働局の不開示決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。山田知司裁判長は「企業に過失がなくても『ブラック企業』と評価される恐れがある」として開示を命じた一審・大阪地裁判決を取り消し、請求を退けた。 
 山田裁判長は判決理由で「情報公開法は法人などの正当な利益を害する恐れがあるものを不開示情報と規定する」と指摘。脳・心疾患による死亡で労災認定されただけでは過失や法令違反があることを意味しないのに「社会的には『過労死』『ブラック企業』という否定的評価をされ、信用が低下し、利益が害される蓋然性が認められる」として労働局の不開示決定は適法と判断した。
 原告の「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子さん(63)=京都市=は「働く人の命が使い捨てにされる現状を改善してほしい。納得がいかない」として上告の方針を明らかにした。

平成24年11月29日(木曜日)日本経済新聞電子版

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継続雇用制度で初判決=男性の再雇用認める−最高裁2012/11/30

 高齢者の継続雇用制度をめぐり、再雇用基準を具体的に定めた労使協定を恣意的に運用し、再雇用を認めなかったのは不当として、兵庫県の男性が地位確認と賃金支払いを会社に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は29日、会社側の上告を棄却した。男性の再雇用を認め、賃金支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
 厚生労働省によると、継続雇用制度は約8割の企業が導入。制度に基づく再雇用が争われた訴訟で、最高裁判決が出たのは初めて。

平成24年11月29日(木曜日)時事通信社

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外国人実習生過労死で和解=賠償訴訟−水戸地裁2012/11/19

 外国人研修・技能実習制度で来日し、茨城県の金属加工会社で働いていた中国人の蒋暁東さん=当時(31)=が過労死した問題で、遺族が会社と第1次受け入れ機関の協同組合を相手に計5754万円の損害賠償を求めた訴訟は19日、水戸地裁(新谷晋司裁判長)で和解が成立した。
 原告側弁護団によると、蒋さんは2010年11月に労働基準監督署から労災認定を受けており、外国人実習生の過労死が認定された初のケース。遺族は11年3月に提訴していた。
 和解では、被告の「フジ電化工業」(茨城県潮来市)と「白帆協同組合」(同県行方市)が再発防止に努めるとともに、和解金を支払うなどとしている。金額は明らかにされていない。
 訴状などによると、蒋さんは来日1年目の05年から、研修生だったにもかかわらず同社でメッキ処理などに従事し、長時間労働により08年6月に心不全で死亡したとされる。
 

平成24年11月19日(月曜日)時事通信社

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自殺:「過労が原因」と西濃運輸を提訴…横浜地裁に遺族2012/11/09

 西濃運輸(本社・岐阜県大垣市)の神奈川県内の支店に事務職で勤めていた男性(当時23歳)が自殺したのはサービス残業を強いられての過労が原因として、両親は8日、同社に約8123万円の賠償を求め横浜地裁に提訴した。男性は今年4月、労働基準監督署から過労自殺として労災認定を受けている。
 訴状によると、男性は07年3月に入社し荷物管理やクレーム対応などを担当。うつ病を患い、会社への不満をつづった遺書を残して10年12月31日に自殺した。両親は、男性がタイムカードを実際の帰宅より早い時間に押させられて日常的にサービス残業を強制されたと主張。退職願を3回提出したが受理を拒まれたとしている。労基署は自殺した月の時間外労働を約98時間と認定していた。
 男性の母親は「労災認定後も会社は一貫してサービス残業はないとの対応。改善して墓前で謝ってほしい」と話した。

平成24年11月9日(金曜日)毎日新聞電子版

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宮崎の過労自殺、8千万円で和解=自治体職員訴訟では初2012/10/25

 宮崎県新富町の職員松本美香さん=当時(28)=が自殺したのは、長時間労働を強いられたのが原因として、両親が町に約9300万円の損害賠償を求めた訴訟は24日、町が8千万円を支払うことなどを条件に宮崎地裁で和解した。
 過労死弁護団全国連絡会議(東京)によると、自治体一般職員の過労自殺をめぐり、自治体に賠償を求めた訴訟が和解したのは全国初という。
 原告側弁護団によると、町が和解金を支払うほか、再発防止策を取ることも和解の条件に含まれている。
 松本さんの両親は「町が娘の献身的勤務を認め、再発防止策を約束し、娘の無念もいくらか晴らせた」とコメントした。

平成24年10月24日(水曜日)長崎新聞電子版

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福岡の女性SE過労死、6800万円賠償命じる判決2012/10/12

 情報処理システム会社の福岡事業所に勤務していた福岡市のシステムエンジニアの女性(当時31歳)が急死したのは過酷な労働が原因として、両親が同社合併後にできた「アドバンストラフィックシステムズ」(本社・東京)に対し、慰謝料など計約8200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。
 府内覚裁判官は「死亡と会社の業務との間には因果関係がある」として、同社に計約6800万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性はシステム移行などを担当。2007年2月の時間外労働が約127時間に上った。3月に仕事上のミスなどが原因で自殺未遂をした。約1か月間休養を取った後に復職したが、深夜残業など過酷な勤務が続き、5日後、東京出張中に致死性不整脈で死亡した。福岡中央労基署は09年に労災認定した。

平成24年10月12日(金曜日)読売新聞電子版

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元記者を「ノルマ果たせず」解雇は違法=東京地裁判決2012/10/06

 ブルームバーグ東京支局の元記者の男性(50)が「週1本の独自記事」などの過大なノルマを達成できず、能力不足を理由に解雇されたのは不当として、同社に地位確認を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。光岡弘志裁判官は「解雇に理由はない」として解雇無効を認め、解雇後の賃金支払いを命じた。
 判決によると、男性は2005年に中途入社し、主に経済分野を担当。同社は男性に09年12月、(1)「独自記事」を週1本(2)編集局長賞級の記事を月1本出すようノルマとして課し、10年8月、「職責を果たす能力がない」などとして解雇した。
 判決理由で光岡裁判官は「雇用を継続できないほど男性が能力不足だとはいえない」と指摘。そのうえで「会社側から具体的な指示や改善策の提示はなく、解雇に合理性はない」と結論づけた。
 ブルームバーグ東京支局の話 個人情報に関わるため、一切コメントできない。

平成24年10月5日(金曜日)日本経済新聞電子版

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大和ハウスと元社員和解=解決金支払い−東京高裁2012/10/04

 差別的な賞与や突然の解雇はパワハラに当たるとして、大和ハウス工業(大阪市)元社員の吉田民愛さん(44)が、同社などを相手に解雇の無効確認と約1300万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、同社が解決金を支払うなどの条件で、東京高裁(福田剛久裁判長)で和解が成立した。
 原告側代理人によると、会社側は吉田さんが解雇で精神的苦痛を受けたことに遺憾の意を表明。解雇を撤回して同日付で任意退職した形を取り、慰謝料相当分約650万円や退職までの未払い給与などを支払う。

平成24年10月3日(水曜日)時事通信社

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社員過労死で書類送検、茨城の和菓子メーカー2012/10/03

 水戸労働基準監督署は1日、男性社員に13カ月間で3日しか休日を与えなかったとして、労働基準法違反の疑いで、茨城県笠間市の和菓子製造会社「萩原製菓」と男性会長(69)、女性社長(54)を書類送検した。 
 労基署によると、社員は昨年8月30日、仕事を終えて帰宅後に倒れ、心室細動により、同9月1日に30歳で死亡。今年2月、過労死が認定された。
 送検容疑は、労基署に労働協定の届け出をせずに、平成22年8月から死亡直前の昨年8月までに休日を3日しか与えず、計53日の休日労働をさせたとしている。会長と社長は容疑を否認している。
 タイムカードには毎月100時間以上の時間外労働が記載されていたが、会社側は「休憩を取っていた」と否定し、確認できなかったという。

平成24年10月1日(月曜日)MSN産経ニュース

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うつ病自殺は過労原因=日赤に7千万円賠償命令−甲府地裁2012/10/03

 山梨赤十字病院(山梨県富士河口湖町)の男性職員=当時(43)=が自殺したのは過労などでうつ病を発症したためだとして、遺族が日本赤十字社(東京都)に約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、甲府地裁の林正宏裁判長は2日、「過重な時間外労働など業務と自殺との因果関係が認められる」として、約7000万円の支払いを命じた。
 判決は、自殺の直前1カ月の時間外労働が166時間を上回っていたと認定。また、男性が介護に関する資格を持っていないのにリハビリテーション施設の責任者として介護業務に従事させられ、強い精神的負荷を受けていたと推察できると指摘。「病院側は十分な支援態勢を整える注意義務を怠った」と判断した。

平成24年10月2日(火曜日)時事通信社

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専修大元職員の解雇認めず、 労災認定受け療養中=東京地裁2012/09/29

 労災認定されて療養中に解雇したのは不当だとして、専修大元職員の男性(37)が地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁は28日、解雇を無効とする判決を言い渡した。
 労働基準法は業務上のけがや病気などで療養中に解雇することを原則禁じる一方、療養開始後、3年たっても治らない場合、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定。専修大は昨年10月に打ち切り補償約1630万円を支払って解雇したが、伊良原恵吾裁判官は、打ち切り補償の適用は使用者による療養補償を受けている場合に限られ、労災保険の受給者は含まれないと指摘。解雇を違法と判断した。
 判決などによると、男性は2002年ごろから首や腕に痛みが生じ、「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年11月に労災認定を受けた。

平成24年9月28日(金曜日)日本経済新聞電子版

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シルバー人材作業中けが、健康保険適用求め提訴2012/09/27

 シルバー人材センターから委託された作業中にけがをし、健康保険の給付が認められなかったのは制度の不備だとして、けがをした奈良県の男性(70)の長女が、国と、給付の審査を行う全国健康保険協会(東京)を相手取り、慰謝料など約80万円と療養費の不給付処分の取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こした。提訴は25日付。
 健康保険法は、業務外のけがを給付対象としており、業務中のけがは労災保険法が優先される。しかし、人材センターと作業をする会員との間に雇用関係がないため労災にはならず、どちらの保険も適用されないという。
 訴状によると、男性は会社員の長女の健康保険に被扶養者として加入。2009年11月、人材センターから委託された庭木の剪定(せんてい)中に足の指を骨折するなどし、療養費約85万円の全額自己負担を求められた。
 原告側は、どちらの法も高齢者の就労実態にそぐわず、立法の不備だと主張。男性の作業は社会参加などが目的で、業務ではないと訴えている。
 厚生労働省保険局は「書面を見て判断したい」、全国健康保険協会は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
 この問題について、小宮山厚生労働相が25日、「就労形態は多様化しているのに、現行制度に隙間がある」として救済制度を新設する方針を表明した。過去の不給付決定が取り消されるかどうかは不明だという。

平成24年9月27日(木曜日)読売新聞電子版

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石綿肺で自殺、「労災」と認定=岡山地裁判決2012/09/26

 石綿肺と診断された夫がうつ病になって自殺したのは労災だとして、中国地方の60代女性が起こした訴訟の判決で、岡山地裁は26日、請求通り、国の遺族補償給付の不支給処分を取り消した。判決理由で古田孝夫裁判長は「夫は石綿肺悪化のたびに一生続くだろう苦しみや死への恐怖を強く感じていた。心理的負荷は精神障害を発病させるほど重かった」と指摘。うつ病発症と業務との因果関係があったと認定した。
 女性側弁護士によると、石綿肺を苦にした自殺で、労災と認めた判決は初という。
 判決によると、夫は1959〜78年ごろまで全国の工事現場で石綿(アスベスト)吹き付け作業に従事し、87年に石綿肺と診断された。闘病中だった2002年にうつ病と診断され、07年5月に60代で自殺した。女性は07年、遺族補償給付を倉敷労働基準監督署に申請したが、認められなかった。
 厚生労働省岡山労働局は「判決内容を検討した上で、関係機関とも協議して今後の対応を決めたい」としている。

平成24年9月26日(水曜日)日本経済新聞電子版

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「パワハラで自殺」さいたまの遺族、東京日野自動車を提訴2012/09/16

 東京日野自動車岩槻支店(さいたま市岩槻区)に勤務していた島村昌良さん=当時(47)=が2009年6月に自殺したのは、上司によるパワーハラスメントや会社の安全配慮義務違反などがあったためだとして、さいたま市に住む島村さんの妻英子さん(50)ら遺族が、同社と当時の岩槻支店長の男性に計約8200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は13日付。
 訴状によると、04年にうつ病を発症し、治療を続けながら勤務していた島村さんは、06年ごろ赴任してきた支店長に、休日に開催される会社行事への参加を強制されるなどしていたと指摘。自殺する2、3カ月ぐらい前からは、島村さんへの叱責(しっせき)が激しくなったと主張した。その上で、うつ病の島村さんに対する支店長のパワーハラスメントが自殺につながったとして、支店長と職場環境に関する安全配慮義務などを怠った会社側に損害を賠償する責任があるとしている。
 島村さんに対しては、埼玉労働局が今年5月、長時間労働が強度の心理的負担になってうつ病を発症し、完治しないで経過した後、自殺に至ったと判定。春日部労働基準監督署が昨年2月に行った労災保険の不支給決定を取り消し、労災として認定した。
 原告で島村さんの妻英子さんは、埼玉新聞の取材に「夫のほかにも、パワハラに遭った社員がいると聞いている。会社側から謝罪してもらい、環境改善などを通じて体質を変えてほしいので、提訴に踏み切った」と説明。東京日野自動車管理部は「社内で調査を行ったものの、パワハラは確認できていない。提訴されたことは残念だが、訴状の内容を見てから対応を検討したい」とコメントした。

平成24年9月15日(土曜日)埼玉新聞

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パワハラ:横浜美大元職員、うつ病患い告訴/神奈川2012/09/14

 退職強要などのパワーハラスメントでうつ病を患ったとして、横浜美術大学(旧・横浜美術短大=横浜市青葉区)などを運営するトキワ松学園(東京都目黒区)の男性職員(43)が、当時の上司3人を傷害と業務上過失傷害の容疑で刑事告訴していたことが分かった。横浜地検が3月26日付で告訴状を受理し、捜査を進めている。
 告訴状によると、上司3人は男性が短大職員だった09年10月ごろから、学内外で男性に対し、怒鳴ったり退職を迫ったりするなど精神的な嫌がらせを繰り返し、重度のうつ病にさせたとしている。
 また、3人は上司として部下の健康に配慮する注意義務を怠ったとして、業務上過失傷害罪にも当たると主張している。男性は「病気になってしまうかもしれないとの認識があって(パワハラを)行ったなら、犯罪の一種ではないか」と話す。
 男性は昨年9月、上司によるパワハラでうつ病を患ったとして、横浜北労働基準監督署から労災認定された。告訴対象の3人と学園を相手取り、横浜地裁に損害賠償請求訴訟も起こしている。

平成24年9月14日(金曜日)毎日新聞電子版

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うつ自殺で会社に6342万円支払い命令−地裁判決/群馬2012/09/11

 沼田市の建設会社で工事現場の責任者として働いていたみなかみ町の男性(当時50歳)が、長時間労働を強いられうつ病を発症して自殺したとして、遺族が同社に対し計9672万円の損害賠償を請求した訴訟で、前橋地裁(西口元裁判長)は7日、同社に計約6342万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
 判決によると、男性は同社が国から受注したダム管理用道路の整備工事で現場の責任者を任されていたが、07年1月に自殺した。
 西口裁判長は判決で、男性の06年9月〜07年1月の時間外労働時間は少なくとも計586時間にのぼると指摘。工事の設計変更や工期延長などで業務量が増加し、心理的負担でうつ病を発症、自殺に至ったと認定し、同社は男性の自殺を予見できたとして安全管理義務違反を認めた。

平成24年9月8日(土曜日)毎日新聞電子版

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配転無効確定のオリンパス社員が会社を提訴2012/09/04

 社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報した後の配置転換が裁判で無効と認められたのに、会社側が処遇を改善しないなどとして、オリンパス社員、浜田正晴さん(51)が3日、同社に1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、6月に最高裁で配転無効の判決が確定したが、オリンパスは配転先から異動させず、子会社への転籍や出向を打診するなどした。現在も仕事を与えられず、昇給や昇進の機会を奪われ、精神的損害を被ったなどとしている。
 確定判決によると、浜田さんは2007年、上司が取引先から営業秘密を知る技術者を引き抜こうとしていると社内窓口に通報。通報内容が上司に伝わり、3回にわたり別の部署に配転された。
 一審判決は浜田さんの請求を退けたが、二審判決は「必要のない配転」と認定し、オリンパスに220万円の損害賠償を命令。最高裁は同社側の上告を棄却した。
 浜田さんは提訴後の記者会見で「最高裁の判断をほごにする会社の対応は許されない」と話した。
 オリンパスは「本人と調整の場を十数回持ってきたが、合意に至らず時間がかかっている。提訴は非常に残念」とのコメントを出した。

平成24年9月3日(月曜日)日本経済新聞電子版

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「やむ得ぬ理由」厚生年金基金脱退、認める判決2012/08/26

 長野県内の建設会社が求めていた厚生年金基金からの脱退を認めた24日の長野地裁判決で、山本剛史裁判長は「『やむを得ない理由』がある場合には、任意脱退を制限することは許されない」などと判決の理由を示した。
 建設会社が加盟する「長野県建設業厚生年金基金」(長野市)では、2010年に23億円余の使途不明金が発覚、財務状況も悪化していたことから、建設会社が昨年1月に脱退を申請した。これに対し、基金の代議員会は不承認と議決し、建設会社が訴訟を起こした。
 訴訟では、基金側が加盟企業の脱退が相次ぐと存続できなくなるなどとして、脱退には代議員会の議決が必要だと主張したが、判決は、基金との信頼関係を損なうような「やむを得ない理由」がある場合、議決は不要との判断を示した。

平成24年8月25日(土曜日)読売新聞電子版

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「長時間労働でうつ病」愛媛大と准教授を提訴 2012/08/12

 指導担当の男性准教授から長時間労働を強制されたり、研究費名目で現金を支払わされたりし、うつ病を患って休学を余儀なくされたとして、愛媛大大学院医学系研究科の男性(31)が同大と准教授を相手取り、慰謝料など1800万円の損害賠償を求めて、地裁に提訴したことがわかった。
 訴状によると、男性は同大学付属病院で医療実務に携わり、月額10万円を給付されていたが、准教授に午前7時から深夜までの長時間労働を強制されたほか、腹を蹴られるなどの暴行を受けた。
 2009年6〜7月には、准教授に実験器材や試薬の代金約25万円を自己負担させられたり、研究費名目で財布から10万円を無理やり取られたりし、肉体的、精神的負担からうつ病を患って登校できなくなった、としている。
 男性は同年8月から休学。大学側に被害を申告し、調査と処置を求めていた。同大学人事課は「申告に基づいて調査委員会を設置し、調査は終了している。現在は結果の審議中で、訴訟に関するコメントはできない」としている。

平成24年8月11日(土曜日)読売新聞

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三田学園を提訴へ、自殺した教諭の両親2012/08/02

 2010年6月、三田学園高校(三田市)の男性教諭=当時(37)=が自殺したのは、過重労働が原因だったとして、教諭の両親=篠山市=が三田学園などを相手取り、2400万円の損害賠償請求訴訟を1日にも神戸地裁に起こす。教諭の遺書に、上司によるパワーハラスメントを示唆する記述があり、同学園の使用者責任も指摘している。
 訴状によると、1995年から同校英語教諭として勤務。07年に設置された同学園の関西学院大学進学コースを担当していたが、10年はじめごろから、疲労と精神的ストレスから体調不良を家族に訴えるようになり、同年5月ごろ、顎(がく)関節症を患い、うつ病を発症したという。
 同年6月24日、篠山市内で自殺。残されたノートに「現場無視のやり方に、しんどくてたまりません」「3年間は正直オーバーワークでした」などと記述し、パワハラを示す文言も残っていた。
 教諭は関学コースのカリキュラム作成、企画、運営をほぼ中心となって行っていたほか、クラブ活動の顧問や多数の委員会活動にも取り組んでいたという。両親は「自宅でも夜遅くまで仕事をしていた。業務の量を適切に調整していたら、うつ病にならず自殺もしなかった」と同学園の注意義務違反を指摘している。
 これに対し、同学園の西門義博理事長は「パワハラとか過重労働など一切なかった。休みも取ってもらっており、具体的な資料も残っている。弁護士とも相談し、対応したい」と話していた。

平成24年8月1日(水曜日)神戸新聞電子版

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労災不支給:観光バス運転手の遺族、取り消し求め提訴=長野2012/08/02

 長野市の運送会社に勤務する観光バスの男性運転手(当時42歳)が08年、脳出血で死亡したのは労災だとして、男性の妻(42)が国に、遺族補償年金などの不支給決定を取り消すよう求め、長野地裁に提訴したことが31日分かった。原告側は過酷な長時間労働や不規則な勤務、異常な走行距離の長さなどが死亡の原因と主張している。提訴は6月25日付。
 訴状によると、男性は群馬、栃木両県を巡る3日間のバスツアーの最終日の08年8月19日、栃木県日光市内で運転中、ろれつが回らなくなり、危険を感じた同乗のバスガイドがサイドブレーキを引き、停車させた。男性は同市内の病院で右脳出血と診断され、脳死状態になり、同年11月30日に死亡した。
 原告側は、男性が搬送前の7月にあった3日間の四国ツアーで1979キロを1人で運転。1日目は734キロ、3日目は844キロに及び、国土交通省が定める1日の最大距離670キロを超えたことなどを指摘している。
 男性の妻は08年9月以降、長野労働基準監督署に休業補償や遺族補償年金などの支給を求めたが、労災と認められず、いずれも不支給だった。

平成24年8月1日(水曜日)毎日新聞

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二審も公務災害認定=静岡の新任教諭自殺−東京高裁2012/07/19

 静岡県磐田市立小学校の新任教諭だった木村百合子さん=当時(24)=が2004年に自殺したのは、過重な勤務によりうつ病になったのが原因として、父親が地方公務員災害補償基金を相手に公務災害と認めなかった処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(三輪和雄裁判長)は19日、公務と自殺の因果関係を認めて処分を取り消した一審静岡地裁判決を支持し、同基金の控訴を棄却した。

平成24年7月19日(木曜日)時事通信社

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パワハラ原因のうつ病で休業、労災と認める判決2012/07/09

 生命保険会社に勤務していた鳥取県米子市の女性(57)が、うつ病で休業に追い込まれたのは上司のパワハラが原因にも関わらず、鳥取労働基準監督署が労災を認めなかったとして、国を相手取り、休業補償給付などの不支給処分の取り消しを求めた訴訟があり、松江地裁(和久田斉裁判長)は6日、処分取り消しを命じ、労災と認める判決を言い渡した。
 女性は鳥取支社米子営業所に勤務していた2003〜05年、支社長や営業所長らに嫌がらせを受けて休業し、退職後に同監督署に休業補償給付を請求。同監督署は「業務上のストレスは強度とは認められない」として不支給処分にしていた。一方、女性は同社と上司に対し、損害賠償を求める訴えを起こし、09年に地裁米子支部でパワハラの一部が認定され、11年に広島高裁松江支部で和解した。
 判決では、基準に照らして業務上の要因とは認められなかったとする国の主張を、上司の叱責により強いストレスを蓄積していったなどと否定。また、基準は心理的負荷の強度を適正に評価するには十分とはいえず、参考資料にとどめるべきだと指摘した。

平成24年7月7日(土曜日)読売新聞電子版

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オリンパス社員勝訴=内部通報後の配転無効−最高裁2012/06/30

 オリンパス(東京都新宿区)社員の浜田正晴さん(51)が、内部通報によって不当に配置転換されたとして、同社などを相手に配転命令の無効確認などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は28日付で、同社側の上告を棄却する決定をした。配転を無効とし、オリンパスと上司1人に計220万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。
 浜田さんは2007年6月、上司らが重要な取引先の社員を引き抜こうとしていることを知り、社内のコンプライアンス室に通報。その後、別の部署に配置転換されたのは、内部通報に対する報復だと訴えていた。
 一審東京地裁は、配転命令による不利益はわずかで、内部通報による不利益な取り扱いを禁じた公益通報者保護法の対象にも当たらないとして訴えを退けた。これに対し二審東京高裁は、命令は通報に対する制裁が目的で、人事権の乱用に当たると認定。配転後に達成困難な目標を課して低い人事評価をしたことなども違法だとして、浜田さんの逆転勝訴を言い渡していた。

平成24年6月29日(金曜日)時事通信社

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日本通運に1億3700万円賠償命令=アスベスト−神戸地裁支部2012/06/29

 クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)などでアスベスト(石綿)運搬作業に従事し、肺がんなどで死亡した「日本通運」(東京都)元従業員5人の遺族が、安全対策を怠ったとして同社に約2億2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁尼崎支部の富川照雄裁判長は28日、「危険性を予見できたのに対策を取らなかった」として約1億3700万円の賠償を命じた。
 判決によると、5人は1950〜80年代、神戸港で積んだ石綿をトラックで工場に運び込む作業などに従事。2000年以降、肺がんや中皮腫で死亡した。原告代理人によると、トラックでの運搬作業で賠償責任を認めた判決は初という。
 富川裁判長は、旧じん肺法制定までの経緯や国内外の被害報告などから、同社は遅くとも59年までに危険性を予見できたのに、防じんマスクを装着させるなどの対策を怠ったと認定した。
 原告のうち4遺族はクボタも相手取って提訴し、今年3月に1遺族当たり1000万円の和解金支払いを条件に和解した。
 05年に夫=当時(68)=を亡くした同県明石市の古嶋右春さん(78)は「日本通運は謝罪もせず知らん顔をしてきた。勝ったけど手放しでは喜べない」と批判した。
 日本通運の話 判決内容をよく検討した上で今後の対応を決める。

平成24年6月28日(木曜日)時事通信社

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セクハラ訴訟の原告女性「雇い止めは不当」ーJR西を提訴2012/06/20

 JR西日本が雇用契約を打ち切ったのは、セクハラ被害を訴えて訴訟を起こしたことへの見せしめで不当だとして、元契約社員の女性(38)が19日、同社に地位確認を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴状によると、女性は2006年に障害者雇用枠で契約社員として入社したが、10年6月〜今年3月、うつ病で休職。JR西は同2月、「出勤日数等を勘案し、3月末をもって契約を更新しない」と通知し、雇い止めにした。女性は、出勤できなくなったのは職場でのセクハラ被害が原因で、合理的理由を欠くと主張している。
 セクハラ被害を巡っては、当時の上司に賠償を命じた昨年11月の大阪高裁判決が確定している。
 JR西日本の話 訴状の内容を詳しく検討した上で適切に対応する。

平成24年6月20日(水曜日)日本経済新聞電子版

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競合他社への転職禁止、二審も「条項は無効」=東京高裁2012/06/14

 「退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない」とする契約条項は無効だとして、外資系生命保険会社の元執行役員の男性が会社に退職金約3千万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(梅津和宏裁判長)は13日、契約条項を無効と認めた一審・東京地裁判決を支持し、会社側の控訴を棄却した。
 男性は「アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー」日本支店(現メットライフアリコ生命保険)の元執行役員。
 判決理由で梅津裁判長は「保険業界では営業成績に人脈などが大きく影響するが、男性の努力で獲得したノウハウの流出を禁止することは、正当な目的とは言えない」と判断。一審同様、退職金約3千万円の支払いを命じた。

平成24年6月13日(水曜日)日本経済新聞電子版

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バイト中に震災死、安全配慮怠ったと親が提訴2012/06/10

 震災時に宮城県多賀城市内のファミリーマートでアルバイト勤務中に死亡した高校3年の女子生徒(当時18歳)の両親が、店舗の運営会社を相手取り約6900万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。提訴は1日付。
 原告側は「運営会社が災害時の避難について指導や教育をせず、労働契約上の安全配慮義務を怠った」と主張している。亡くなった女子高校生は当時、一緒にアルバイトをしていた妹(17)と2人だけで勤務しており、「未成年の2人は、勝手に避難するとお金を盗まれるかもしれないと思い、店を離れることができなかった」としている。
 運営会社側は「昨秋に見舞金を支払っているのに、なぜ訴訟になったのか、分からない。訴状も届いていない」と話した。ファミリーマート(東京都豊島区)は「訴状が確認できていない。確認次第、対応を検討したい」とコメントした。原告側代理人弁護士によると、女子高校生は10日後に遺体で見つかり、妹は救助されたという。

平成24年6月10日(日曜日)読売新聞電子版

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「談合で心労」財団元幹部が労災給付訴訟2012/06/01

 一般財団法人「県生活科学検査センター」(静岡市葵区)の幹部だった男性(50)の家族が、男性は業務で談合させられたうえ、上司から「談合をばらす」と脅されるなどの過重な業務が原因で心肺停止後に低酸素脳症になったとして、国に、労災による療養補償給付を求める訴訟を静岡地裁で起こしていたことが30日、わかった。
 同センターは1972年に県や県薬剤師会によって設立され、主に、自治体の飲料水の水質検査などを受注している。取材に対して同センターは「上司の『談合をばらす』という発言もあって調べたが、センターが談合をしていた事実は確認できていない」としている。
 訴状によると、男性は総務部課長などとしてセンターの入札業務を担当していたが、競合他社と何度も談合をさせられ、ストレスを負っていたとされる。途中で、上司から談合をやめるよう指示を受け、今度は競合他社から「ルール違反じゃないか」と怒りをぶつけられた。さらに2008年3月下旬、この上司とのトラブルがあった際、上司から「談合をばらす」と脅され、刑事責任を追及されるかもしれない恐怖や不安を感じていたという。
 男性は同月31日、心肺停止に陥り、蘇生したが低酸素脳症になった。男性の家族は業務に起因した疾患であることは明らかだと主張している。上司も同時期に退職したという。
 男性側の給付申請に対して、島田労働基準監督署は09年10月、不支給を決定。男性側は10、11年に審査請求したが、いずれも棄却され、今年3月、処分の取り消しを求めて提訴していた。

平成24年5月31日(木曜日)朝日新聞デジタル

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最高裁、解雇無効の判断…精神的不調で欠勤2012/04/28

 精神的な不調で欠勤を続けたITメーカー従業員の解雇が認められるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は27日、「まずは精神科医による健康診断などを行い、必要な場合は治療を勧めた上で経過を見る対応をとるべきだ」との判断を示した。
 その上で、解雇を無効として給与の支払いを命じた2審・東京高裁判決を支持し、会社側の上告を棄却した。会社側の敗訴が確定した。
 判決などによると、日本ヒューレット・パッカード(東京都江東区)に勤めていた原告の男性(41)は、2008年4月以降、職場で嫌がらせを受けているなどとして会社側に調査を依頼し、有給休暇を取得。会社側は嫌がらせの事実はないとする調査結果を知らせて出勤を求めたが、有給休暇の消化後も出勤しなかったため、無断欠勤にあたるとして同9月末で諭旨退職の懲戒処分とした。

平成24年4月27日(金曜日)読売新聞電子版

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残業代求め法テラス提訴=常勤弁護士「管理職でない」−青森2012/04/25

 国が設立した公的法人「日本司法支援センター」(法テラス)が常勤弁護士に超過勤務手当を支払わないのは違法として、法テラス八戸法律事務所(青森県八戸市)の安達史郎弁護士(36)が残業代など約109万円の支払いを求める訴訟を八戸簡裁に起こしたことが24日、分かった。
 法テラスによると、所属弁護士が超過勤務手当を求める訴えを起こしたのは全国初。
 訴えによると、安達弁護士は八戸事務所が開設された2010年1月から常勤弁護士として勤務。今年3月までは所長も務めた。超過勤務手当を求めたが、法テラス側は常勤弁護士が労働基準法上の管理職に当たり、拒否したとしている。
 常勤弁護士の勤務時間は、就業規則で1日7時間30分と規定されているが、安達弁護士は月約17時間の超過勤務があったと主張。訴状では11年11月分までの超過勤務手当を請求した。同弁護士は「実際は名ばかり管理職で、残業代が出ないのは実態にそぐわない」と話した。
 一方、法テラスの北岡克哉総務部長は「常勤弁護士は一定の職員を管理監督する立場と内規で明記している」としている。

平成24年4月24日(火曜日)時事通信社

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子会社異動迫られ鬱病に=NTT西日本社員が提訴2012/04/20

 子会社への異動を迫られ鬱病になったとして、NTT西日本大分支店に勤める50代の男性社員が19日、労災給付請求を認めなかった大分労働基準監督署の決定取り消しを求めて、大分地裁に提訴した。
 訴状によると、男性は2007年から同社のリストラ計画に基づいた子会社での再就職を受け入れるよう、上司に迫られた。
 男性は家庭の事情などで拒否したが、上司から「(受け入れない場合は)九州には絶対に置かない」などと不本意な異動を示唆された。そのため、ストレスから鬱病を発症したとしている。
 男性は約2カ月の自宅療養を余儀なくされ、労基署に療養補償給付などを請求。だが、労基署は09年9月に不支給処分とし、男性は労働保険審査会に再審査請求したが退けられた。

平成24年4月19日(木曜日)MSN産経ニュース

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過労で精神疾患、飲酒で死亡=二審は賠償額減らす2012/03/23

 過労で精神疾患を発症して酒を飲み過ぎ、急性アルコール中毒で死亡したシステムエンジニアの男性(当時25)の両親が勤務先に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。斎藤隆裁判長は会社側に約5900万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更し、賠償額を約4400万円に減額した。
 斎藤裁判長は、死亡前の2カ月間の月平均の時間外労働が100時間超だった点などを挙げ、一審に続き、過重な業務と死亡の因果関係を認定。一方で、夜中に個人ブログの執筆をしていたことなどから、「睡眠不足を増長させた」と指摘、男性の過失を一審より重く判断した。

平成24年3月22日(木曜日)日本経済新聞電子版

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診断書作成の医師に懲役8年=障害年金不正受給−札幌地裁2012/03/19

 聴覚障害を装った障害年金不正受給事件で、うその診断書を作成したとして、詐欺などの罪に問われた札幌市の耳鼻咽喉科医前田幸◆(日の下に立)被告(77)に対し、札幌地裁(園原敏彦裁判長)は19日、懲役8年(求刑懲役15年)の判決を言い渡した。
 被告側は「患者同士が連絡を取り合い、聞こえない演技をした。だまされた」と無罪を主張したが、園原裁判長は不正受給者42人と看護師らの証言などから「被告は診察時、筆談や耳元で大声で話すことなく、普通の声の大きさで話し掛けていた」と指摘。「診断書に明らかに真実でない聴力レベルを記載し、果たした役割は大きい。偽装患者の通院で診療報酬を得た」と利益目的だったと認定した。

平成24年3月19日(月曜日)時事通信社

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「みなし労働制」適用認めず=残業代訴訟で添乗員勝訴−東京高裁2012/03/08

 労働時間の算定が困難な場合に、あらかじめ決められた時間を働いたこととする「みなし労働時間制」を適用するのは不当だとして、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の派遣添乗員6人が、未払い残業代など計約4800万円の支払いを求めた2件の訴訟の控訴審判決が7日、東京高裁であった。大竹たかし裁判長は、同制度の適用を認めた一審東京地裁判決を変更し、適用は不当とした上で、同社に計約2700万円の支払いを命じた。

平成24年3月7日(水曜日)時事通信社

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石綿で肺がん、元新日鉄従業員の労災認める=東京地裁2012/02/23

 11年5カ月にわたりアスベスト(石綿)を扱い肺がんを発症したのに、労災認定をしなかったのは不当だとして、新日本製鉄君津製鉄所(千葉県君津市)の元従業員男性(60)が木更津労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、「国の認定基準に合理性はない」と判断し、訴えを認め処分を取り消した。
 石綿による肺がんの労災認定について、厚生労働省は石綿作業に10年以上従事し、かつ石綿にたんぱく質が付着した「石綿小体」が見つかれば認定していたが、2007年に石綿小体が一定数以下の場合は「総合判断する」として、事実上の数値基準を定めた。
 古久保正人裁判長は厚労省の基準について「10年以上従事した人に重ねて数値基準を求めるもので、救済範囲を狭める。合理性があるとはいえない」と批判。男性は基準を満たさなかったが、「10年以上の石綿作業で発症したと認めるのが相当」と結論付けた。

平成24年2月23日(木曜日)日本経済新聞電子版

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公務災害認定が確定=パワハラでうつ病、自殺−最高裁2012/02/22

 愛知県豊川市の課長だった男性=当時(55)=がうつ病になり自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、男性の妻が地方公務員災害補償基金に公務災害と認めるよう求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は22日付で、同基金側の上告を棄却する決定をした。請求を棄却した一審判決を取り消し、公務災害を認定した二審判決が確定した。
 一審名古屋地裁は「公務とうつ病の発症に因果関係は認められない」として訴えを退けたが、二審名古屋高裁は、上司の部長が大声を出して高圧的に叱責していたことを「パワハラに当たる」と認定。この上司の下で働くことはうつ病を発症させる大きな要因だったとして、因果関係を認めていた。

平成24年2月22日(水曜日)時事通信社

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ホンダ相手取った雇い止め訴訟、原告敗訴=東京地裁2012/02/18

 契約社員として約11年間働いたのに、突然雇い止めになったのは解雇権の乱用で不当だとして、宇都宮市の男性(43)がホンダに地位確認などを求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であった。渡辺和義裁判官は「会社側はリーマン・ショックで雇い止めが避けられない状況を説明しており、原告も不満や異議を述べずに退職手続きをした」として、請求を棄却した。

平成24年2月17日(金曜日)日本経済新聞電子版

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時間外労働、月135時間=慰謝料440万円支払い命令=大阪地裁2012/02/16

 東証1部上場の建設コンサルタント会社「建設技術研究所」(東京)の元男性社員(35)が長時間労働のため精神疾患になり、その後解雇されたとして、慰謝料660万円の支払いや解雇無効を求めた訴訟の判決が15日、大阪地裁であった。稲葉重子裁判長は業務と発症との因果関係を認める一方、解雇については相当と判断し、同社に440万円の支払いを命じた。
 稲葉裁判長は判決理由で、平成14年の男性の時間外労働が、過重負荷の目安となる月100時間を上回る約135時間だったと認定。上司らには負担を軽減させる措置を取らなかった過失があると判断した。一方で、完治後も欠勤が続いたとして、解雇権の乱用はないとした。
 判決によると、13年1月に入社した男性は大阪支社河川部に配属。国土交通省が行う河川整備計画策定に必要なデータ収集などの業務に従事していたが、14年に精神疾患を発症し、17年12月に解雇された。
 建設技術研究所の話「判決文が届いていないためコメントできない」

平成24年2月15日(水曜日)MSN産経ニュース

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外国人不当労働、社長の責任認定=福島地裁支部判決2012/02/15

 外国人研修・技能実習制度で来日したベトナム人女性8人が、低賃金で不当な労働を強いられたなどとして、受け入れ先の福島県中島村の縫製会社「東栄衣料」や社長=いずれも破産手続き中=らに慰謝料などを求めた訴訟の判決で、福島地裁白河支部は14日、社長個人の責任を認定し、会社などと合わせ慰謝料計約840万円の支払いを命じた。
 実習生側の弁護団によると、同制度をめぐる違法労働訴訟で社長個人の責任を認めたのは全国初という。訴訟で実習生側は慰謝料など計約5300万円を求め、判決は慰謝料のほか、8人の未払い賃金計約2500万円の支払いも同社に命じた。
 佐々木健二裁判官は判決理由で「強制労働とはいえないが、恒常的に長時間、法律に違反する低賃金で労働を余儀なくされた」と指摘した。
 判決によると、8人は28〜40歳。2006年から約3年間、最低賃金を下回る水準で長時間労働させられたほか、パスポートを取り上げられ、給与から毎月2万〜3万円が積立金名目で天引きされた。

平成24年2月15日(水曜日)日本経済新聞電子版

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JR東社員自殺「パワハラ原因」=妻が提訴−新潟地裁2012/02/14

 JR東日本新潟支社酒田運輸区の副区長だった男性=当時(51)=が自殺したのはパワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)が原因などとして、男性の妻が14日、酒田運輸区長だった社員を相手に、1000万円の損害賠償を求める訴訟を新潟地裁に起こした。
 訴えによると、男性は2007年10月に酒田運輸区副区長になったが、区長に「役立たず」などと言われ、男性を責める内容のメールも届くようになった。男性は09年2月、新潟市の実家で自殺。前日夜、酒に酔いメールを送ってきた区長に対し、「うつ状態になり、会社を辞める方向です」と返信していた。
 09年6月、男性の妻は調査を申し立てたが、同支社はパワハラはなかったと回答。男性の妻は同年10月、庄内労働基準監督署に労災申請したが認められなかった。しかし、厚生労働省労働保険審査会が昨年11月、労災と認める裁決をした。
 JR東日本新潟支社は「(訴状の)内容をまだ見ておらず、コメントすることはない」としている。

平成24年2月14日(火曜日)時事通信社

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http://trace-sr.com/news.html?c=12#84

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製パン大手「神戸屋」社員の過労死を認定=東京高裁2012/02/03

 パン製造大手「神戸屋」(本社・大阪市)に勤めていた男性(当時41)が死亡したのは、過重な労働で持病のぜんそくが悪化したためだとして、男性の遺族が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は31日、一審判決に続いて遺族の主張を認めた。
 斎藤隆裁判長は「業務とぜんそく死には因果関係がある」と述べ、労災認定しなかった労働基準監督署の処分を取り消した一審・東京地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
 判決によると、男性は同社東京事業所に勤務していた2002年7月、ぜんそくの発作で心臓が止まり、死亡した。死亡前の6カ月間の月平均の時間外労働は88時間だったことや、業務課物流係長としての業務が精神的なストレスを伴っていたことを挙げて、「質、量ともに過重な業務が、ぜんそくを重症化させた」と認定した。

平成24年1月31日(火曜日)朝日新聞デジタル

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二審も過労死認めず=糖尿病合併症の時事通信記者−東京高裁2012/01/25

 時事通信社の政治部記者だった森田一樹さん=当時(36)=が1997年に糖尿病の合併症で死亡したのは、過重な労働が原因だったとして、岡山市に住む父一久さん(81)が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は25日、訴えを退けた一審東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
 大竹裁判長は、一樹さんの業務を「過重な負荷となるものだった」としたが、業務のストレスによって発症したとする原告側主張については「医学的知見が定まっていない」と退けた。
 判決によると、一樹さんは97年4月ごろまでに糖尿病にかかり、5月に合併症の糖尿病性ケトアシドーシスを発症、6月3日に死亡した。死亡まで半年間の時間外労働は月平均で約134時間だった。
 判決後に記者会見した一久さんは「いい結果を期待していたが、無念だ」と述べた。代理人の鴨田哲郎弁護士は「脳や心臓の疾患以外で死亡した人への補償が遅れている」と批判した。
 時事通信社社長室の話 在職中の社員が死亡したことを厳粛に受け止め、今後とも社員の健康管理には十分配慮する。

平成24年1月25日(水曜日)時事通信社

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コナミ子会社敗訴=「育休取得で降格は違法」−東京高裁2011/12/27

 育児休業取得を理由に不当に降格させられたとして、ゲームソフト大手コナミの子会社「コナミデジタルエンタテインメント」(東京都港区)の元社員(39)が、同社に減額分の賃金支払いと3300万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(設楽隆一裁判長)は27日、35万円の賠償を命じた一審東京地裁判決を変更し、支払額を約95万円に増額した。
 一審判決は、成果報酬のゼロ査定のみを違法としたが、設楽裁判長は、担当業務変更に伴う降格と年50万円の報酬減額についても、「大幅な報酬減額を同意を得ずに行うことは許されない」と指摘。ゼロ査定についても、「雇用機会均等法などが育休取得者への不利益な取り扱いを禁止した趣旨に反する」とし、いずれも人事権の乱用で違法と判断した。

平成23年12月27日(火曜日)時事通信社

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ファストフード元店長、未払い残業代など1250万円求め訴え2011/12/27

 時間外労働に対する割り増し賃金を支払わないのは不当として、京都府内でファストフード店などの店長を務めた男性(41)=滋賀県草津市=が、飲食店経営会社「ウタシカン」(京都市中京区)に未払いの残業代など計約1250万円の支払いを求める訴えを京都地裁に起こした。提訴は11月25日付。
 訴状などによると、男性は、同社がフランチャイズ経営する府内の「ケンタッキーフライドチキン」などで店長を務めた平成20年4月から21年12月までの間、1カ月で最大130時間の時間外労働をしたにもかかわらず、同社は「管理職にあたる」として割り増し手当を支払わなかったという。
 男性は「大企業のフランチャイズ店なのに、一生懸命仕事をしても報われないという状況を知ってほしい」と話した。同社は「係争中なのでコメントできない」としている。

平成23年12月27日(火曜日)MSN産経ニュース

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報知新聞社員の過労死認めず=「過重労働と言えない」−大阪地裁2011/12/26

 出張先で2004年にくも膜下出血のため死亡した報知新聞社員塚野保則さん=当時(35)=の妻が、国を相手に労災と認めるよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁の中垣内健治裁判長は26日、「過重な業務があったと評価できない」として請求を棄却した。
 中垣内裁判長は、上司の証言などから塚野さんの発症1カ月前の時間外労働は、過重負荷の基準とされる約100時間の半分強の約57時間だったと認定。「過重な労働とは言えず、喫煙や高脂血症など他の危険因子もあった」として、業務起因性を否定した。

平成23年12月26日(月曜日)時事通信社

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うつ病自殺で労災認定=旧ジェイフォン社員ー名古屋地裁2011/12/14

 携帯電話会社の旧ジェイフォン(現ソフトバンクモバイル)の社員だった小出堯さん=当時(56)=が自殺したのは過重な業務で発症したうつ病が原因として、妻典子さん(64)が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は14日、遺族補償年金を不支給とした名古屋西労働基準監督署の処分を取り消し、労災と認めた。
 田近年則裁判長は、堯さんがうつ病を発症する直前の4カ月間について「月100時間を上回る時間外労働をしていた」と認定。「携帯電話に関する知識のない者が、開局に向けた準備を急ピッチで進めなければならないなど会社の体制は不十分で、業務は質、量的に過重だった」と指摘し、業務によりうつ病を発症、自殺したと認めた。

平成23年12月14日(水曜日)時事通信社

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「過労死」の企業名開示認める=大阪地裁判決2011/11/11

 過労死などで社員が労災認定を受けた企業名を開示しないのは違法として、市民団体「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)=京都市=が国に大阪労働局の不開示決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(田中健治裁判長)は11日までに、請求を認め、不開示決定を取り消した。
 原告側弁護団によると、過労死を巡り企業名の開示を認めた判決は初めて。判決は10日付。
 田中裁判長は判決理由で「企業名だけでは特定個人を識別できない。企業の社会的評価の低下に直結するものでもない」と指摘し、情報公開法で定める不開示情報に当たらないと判断した。
 判決によると、寺西さんは2009年3月、大阪労働局管内で02〜08年度に従業員が脳や心臓の疾患で死亡したり病気になったりして社員が労災認定を受けた企業名の開示を請求したが、同年4月、不開示とされた。
 判決後、記者会見した寺西さんは「過労死を繰り返さない社会の実現に向けて一歩前進した」と判決を評価した。

平成23年11月11日(金曜日)日本経済新聞電子版

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不当な組合活動で苦痛、元社長の賠償請求認める2011/11/09

 北九州市若松区の金属加工会社(すでに清算)を解雇された従業員らの不当な組合活動で精神的苦痛を受けたとして、元社長らが元従業員17人と全国一般労働組合福岡地方本部(全国一般福岡)、連合福岡を相手に2700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、福岡地裁小倉支部であった。
 金光健二裁判長は、元従業員17人と全国一般福岡に計200万円の支払いを命じた。連合福岡については、関与が認められないとして訴えを退けた。
 判決によると、会社は08年6月9日に解散し、7月4日付で元従業員を解雇。元従業員は6月3日に連合福岡の構成組織の全国一般福岡に入り、08年7月〜09年10月、延べ47日にわたって、福岡県芦屋町の元社長宅や娘の通う小学校の周辺で、街宣車から「不当解雇された」「(元社長は)会社の資産を売って大もうけした」と訴えた。また、元社長宅や元役員の母親宅を49回にわたりビデオカメラなどで撮影した。

平成23年11月8日(火曜日)読売新聞電子版

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派遣契約、中途解約は身勝手…三菱電機などに賠償命令2011/11/03

 三菱電機(東京)の名古屋製作所で約8か月〜6年10か月間働き、契約期間中に解雇された元派遣社員の36〜45歳の男女3人が、同社と実質的な雇用関係があったとして、同社と派遣会社を相手取り、正社員としての地位確認と約1800万円の損害賠償を求める訴訟の判決が2日、名古屋地裁であった。
 田近年則裁判長は「派遣契約を突然、中途解約しており身勝手だ」などと述べ、三菱電機などに計約140万円の支払いを命じた。一方、「三菱電機が派遣先としての権限を越え、派遣社員の人事労務管理を行っていたとは認められない」とし、正社員としての雇用契約の成立は認めなかった。
 判決によると、同社はリーマン・ショック後の2008年12月、工場の生産を減らすため、派遣会社に労働者派遣契約の中途解約を通告。3人は翌年1〜2月に解雇された。
 判決は2人について、「労働者派遣法が製造業への派遣を禁止していた間は偽装請負により就業させ、製造業への派遣が認められてからも偽装請負を続けた」と認定した。そのうえで「法の規制をないがしろにした一方、生産の都合のみで中途解約した」と指摘。1人については「派遣契約を更新したばかりの時期に中途解約し、無節操な対応だ」と述べた。三菱電機は「主張が認められず残念。判決を検討して対応したい」とコメントした。

平成23年11月3日(木曜日)読売新聞電子版

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「接待も業務」ノキア所長の過労死認定=大阪地裁2011/10/27

 携帯電話端末大手「ノキア」日本法人の大阪事務所長だった男性(当時56)が接待中にくも膜下出血で死亡したのは過労が原因として、妻が労災認定を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は26日、過労死と認め、遺族補償年金などを不支給とした大阪中央労働基準監督署の処分を取り消した。
 判決理由で中村哲裁判長は、会社での会議後に行われた取引先の接待について、男性は酒が飲めないのに週5回ほど出ていたことや、費用が会社負担だったことを指摘。「技術的な議論が交わされており、業務の延長だった」と認定。時間外労働が1カ月当たり約63〜81時間だった上、「休暇中や就寝中も通信障害などの連絡に備え24時間携帯電話の電源を入れておく『24時間オンコール勤務』が求められ、業務が量的にも質的にも過重だった」と判断した。
 判決によると、男性は2005年9月、出張先の東京で接待中にくも膜下出血を発症し、翌月死亡したが、労基署は労災と認めなかった。

平成23年10月26日(水曜日)日本経済新聞電子版

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混合診療の禁止は適法…最高裁が初判断2011/10/26

 健康保険が使える診療(保険診療)と保険外の診療(自由診療)を併用する「混合診療」を原則禁止している国の政策が適法かどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は25日、「医療の質の確保や財源面の制約などを考えると政策は適法」との初判断を示した。
 その上で、混合診療への保険適用を求めた原告側の請求を棄却した2審判決を支持し、原告側の上告を棄却した。原告側の敗訴が確定した。
 5人の裁判官全員一致の結論。国は、混合診療を原則禁止し、個別に認定した先進医療などとの併用に限って例外的に保険適用を認める「保険外併用療養費制度」を実施しており、判決はこれを追認した形だ。
 同小法廷は、混合診療を原則禁止した健康保険法の規定について、「医療の安全性を脅かすような医療行為を抑止する意味を持ち、財源など健康保険制度全体のあり方も考慮している」と指摘。「保険外併用療養費制度の対象とならない医療行為との併用については、保険診療分も含めて保険を適用できないと解釈するのが妥当だ」と結論づけた。生存権などを定めた憲法にも反しないとした。

平成23年10月26日(水曜日)読売新聞電子版

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在日韓国・朝鮮人の無年金訴訟、控訴棄却−福岡高裁2011/10/17

 外国籍を理由に老齢年金を支払わなかったのは法の下の平等を定めた憲法に反するとして、福岡県内に住む70〜80歳代の在日韓国・朝鮮人やその遺族ら9人が、国に計約1億3500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、福岡高裁であった。
 森野俊彦裁判長(木村元昭裁判長代読)は「国の対応に裁量の逸脱・濫用があるとは言えない」と述べ、原告敗訴の1審・福岡地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。原告側は上告する方針。
 判決などによると、1959年施行の旧国民年金法には、保険料を60歳までに25年以上納めた場合、65歳から老齢年金を支給すると規定したが、被保険者を日本国民に限定する「国籍条項」があった。条項は82年に撤廃され、86年の法改正で、加入期間が足りない場合でも救済する措置が取られたが、当時60歳以上だった人は対象外とされた。
 控訴審判決は、82年と86年の国の対応について「救済措置が取られていないことが著しく合理性を欠くとは言えず、違法とは判断できない」として、1審判決と同様の判断を示した。

平成23年10月17日(月曜日)読売新聞電子版

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雇用調整助成金9000万円不正受給=北九州の設計会社2011/10/12

 厚生労働省福岡労働局は11日、プラント設計会社「ジャパンエンジニアリング」(北九州市)が、従業員を休業したように装って国の「雇用調整助成金」約9千万円を不正受給したと発表した。不正受給の公表は九州7県で5件目(福岡3件、大分2件)。不正額では全国3番目の大きさ。
 同社は返還命令に応じ、全額を支払っているが「今回の判断は承服できない」として国を提訴する準備を進めていることを明らかにした。同省によると、国の判断を不服として公表された企業が提訴すれば全国初。
 同労働局によると、同社は2010年2月−11年6月の17カ月間、助成金を受給。同労働局の7月の調査で、休業申請していた日に従業員を働かせていたことが判明した。
 助成金は売上高が急激に落ち込むなどした際、企業が従業員を解雇せずに休業手当を支払う場合、その一部を助成する雇用保険制度の一環。

平成23年10月12日(水曜日)西日本新聞

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過労運転下命で所長ら起訴=名神6人死傷事故−大阪地検2011/10/04

 大阪府茨木市の名神高速道路で6月、大型トラックが渋滞の列に突っ込み6人が死傷した事故で、大阪地検は3日、道交法違反(過労運転下命)の罪で、運送会社「ランドキャリー」(名古屋市)の岐阜営業所長鈴木弘一容疑者(47)ら2人と法人としての同社を起訴した。
 大型トラックを運転していた丹羽潤被告(42)=自動車運転過失致死傷罪で公判中=についても、同法違反(過労運転)の罪で起訴した。
 起訴状によると、鈴木容疑者らは6月12日、丹羽被告が過労で正常な運転ができないと知りながら、兵庫県たつの市などを経由して愛知県豊田市に向かう運送を指示したとされる。

平成23年10月3日(月曜日)23:31 時事通信社

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ニコンへの賠償命令確定=過労うつ病自殺を認定−最高裁2011/10/01

 大手光学機器メーカー「ニコン」(東京都千代田区)工場に派遣され、自殺した上段勇士さん=当時(23)=の遺族が、同社と派遣元の業務請負会社「アテスト」(名古屋市)に計約1億4400万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は9月30日付で、両社側の上告を退ける決定をした。両社に計約7050万円の支払いを命じた二審判決が確定した。
 一審東京地裁は、上段さんの業務には精神障害を発病させる恐れのある強い心理的負担があったと指摘。自殺は過重な業務によるうつ病が原因で、両社は健康状態の悪化を予見できたのに必要な措置を取らなかったとして、計約2488万円の支払いを命じた。二審東京高裁は賠償額を約4500万円増額した。

平成23年10月1日(土曜日)17:39 時事通信社

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社労士に懲役8年=聴覚偽装で年金詐取−札幌地裁2011/09/22

 聴覚障害を偽装し、障害年金が不正に受給された事件で、詐欺などの罪に問われた社会保険労務士香田清被告(70)の判決公判が22日、札幌地裁であり、渡辺康裁判長は「公金詐欺のシステムを主導的に形成した」などとして、懲役8年(求刑懲役14年)を言い渡した。
 判決によると、香田被告は医師前田幸◆(日の下に立)被告(76)=詐欺罪などで公判中=らと共謀。年金請求者42人の聴力レベルの数値を偽装した診断書を作成し、2003〜08年、障害基礎年金など計約1億6800万円を詐取した。

平成23年9月22日(木曜日)13:51 時事通信社

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被災地違法派遣の暴力団幹部に有罪判決(盛岡地裁)2011/09/21

 岩手県内の東日本大震災による仮設住宅建設現場に不正に労働者を派遣したとして、労働者派遣法違反の罪に問われた指定暴力団住吉会系組幹部で人材派遣業、千田常見被告(62)=岩手県奥州市水沢区=に盛岡地裁は21日、懲役8月、執行猶予4年(求刑懲役8月)の判決を言い渡した。
 判決理由で横山浩典裁判官は「違法だという明確な意識があったにもかかわらず、震災以前から派遣事業を行っており悪質」と述べた。
 判決によると、千田被告は今年5月、大槌町の仮設住宅工事現場など岩手県内計3カ所に従業員9人を元請の建設会社を通じて派遣し、労働者派遣法が禁止している建設業務に従事させた。
 岩手県警によると、震災後に復旧・復興事業に絡み、労働者派遣法違反事件を立件したのは岩手、宮城、福島の3県で初めてだった。

平成23年9月21日(水曜日)日本経済新聞電子

≪トラース社会保険労務士事務所より≫

 労働者派遣法が禁止されている業務としては@港湾運送業務A建設業務B警備業務Cその他政令で定める業務、となります。ご注意ください。
 また、トラース社会保険労務士事務所では、労働者派遣に関する手続業務を行っておりますので、詳しくはお問い合わせください。

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2審も添乗員の「みなし労働時間制」適用認めず2011/09/15

 労働時間の算定が難しい場合に一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」を巡り、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の派遣添乗員・豊田裕子さん(54)が、みなし労働時間制を適用するのは不当だとして、同社に未払い残業代など約112万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。
 福田剛久裁判長は、「添乗員が記録した日報を利用して、労働時間を算定することが可能」として、1審・東京地裁と同様、原告側勝訴の判断を示した。残業代については、原告側の請求を全面的に認めた1審判決の認定額を減額し、会社側に約102万円の支払いを命じた。
 判決後の記者会見で豊田さんは「添乗員は何時間働いてもみなし労働時間制を適用されてきた。判決をきっかけに業界全体が変わってほしい」と話した。一方、同社は「実態からかけ離れた判決で承服できない」として上告する方針だ。

平成23年9月14日(水曜日)読売新聞電子版

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内部通報で配転無効=オリンパス社員、逆転勝訴(東京高裁判決)2011/09/01

 社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報したことで配置転換などの報復を受けたとして、オリンパス社員が一千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。鈴木健太裁判長は請求を棄却した一審判決を変更し、「配転先の部署で働く義務はない」と確認して配転は無効とし、同社と担当部長だった男性上司に計220万円の支払いを命じた。
 鈴木裁判長は判決理由で「通報に反感を抱いた担当部長が業務に関係なく、必要のない配転をした。動機は不当」と認定。「内部通報による不利益な取り扱いを禁じた社内規定に反し人事権の乱用に当たる」と判断した。公益通報者保護法に違反するかどうかは直接言及しなかった。

平成23年9月1日(木曜日)日本経済新聞抜粋

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自衛官自殺で国に8000万円賠償命令(静岡地裁支部判決)2011/07/12

 航空自衛隊浜松基地(浜松市)の男性3等空曹=当時(29)=が自殺したのは先輩隊員による暴言などのパワハラが原因だったとして、妻や両親ら4人が国と先輩隊員の2曹に対し、計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部(中野琢郎裁判長)は11日、「先輩隊員の行為と男性の自殺の間には相当因果関係がある」とし、国に約8000万円の賠償を命じた。
 公務員が職務で他人に与えた損害について国が賠償責任を負うと定めた国家賠償法に基づき、先輩隊員への請求は棄却した。
 判決は、先輩隊員の暴言や暴行を伴う行き過ぎた指導で男性が2005年秋ごろまでに適応障害を発症し、同年11月、浜松市の自宅で首つり自殺をしたと認定した。
 男性の父親(68)は判決後の記者会見で「自衛隊には自殺の原因をしっかり調査してほしい。そうすれば、自殺者が少なくなると思う」と述べ、抜本的な対策を求めた。母親(62)は「勝っても負けてもつらい」と言葉を詰まらせた。
 空自は先輩隊員が04〜05年に数回、男性をたたいたり蹴ったりして指導が行き過ぎたとして06年12月、停職5日とした。
 岩崎茂航空幕僚長の話 判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整の上、適切に対処したい。

平成23年7月11日(月曜日)17:32 時事通信社

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