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非正規に賞与・退職金なし「不合理」といえず=最高裁2020/10/18

 非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。原告側の逆転敗訴が確定した。
 最高裁は他方で「格差の状況によっては不合理との判断があり得る」とも指摘した。今回の司法判断が、政府が進める「同一労働同一賃金」の運用に一定の影響を与える可能性もある。
 賞与が争点となったのは、大阪医科大(大阪府高槻市)の元アルバイト職員が訴えた訴訟。同小法廷(宮崎裕子裁判長)は、正職員は試薬の管理などに携わり、仕事が易しかったアルバイトとは業務内容に違いがあったと指摘した。
 退職金が争われたのは東京メトロ子会社の「メトロコマース」(東京・台東)の元契約社員を巡る訴訟で、同小法廷(林景一裁判長)は正社員の間で役割などに差があったと判断。契約社員として10年前後働いた点を考慮しても、退職金の不支給は不合理とまでは評価できないとした。
 大阪医科大を巡る訴訟は裁判官5人全員一致の意見。メトロコマースは5人中4人の多数意見だった。
 非正規への不合理な格差は、2013年施行の労働契約法旧20条で禁じられた。ただ逆にいえば格差があっても不合理でなければ容認されることになる。最高裁は今回の訴訟では「格差は不合理とまではいえない」と結論付けた格好だ。
 政府は同一労働同一賃金のルールを推進している。だが待遇をどこまで「同一」にすべきかなど企業の現場に戸惑いは根強く、司法判断の積み重ねを求める声も多い。今回も企業の関心は高かったが、結果的に非正規側に厳しい結論となった。
 判決を受け、一部では歓迎する声が聞かれた。現状では非正規に退職金などを支払うケースは少ないのが実態で、ある大手自動車メーカー幹部は「正規と同様の支払いが必須になれば、繁忙期に非正規を多く雇う業界の慣行も崩れる。妥当な判決だ」と話す。
 もっとも今回、裁判官の一人は「(メトロコマースでの)正規と非正規の業務の間には大きな差はない」と判決に反対意見を述べ、退職金を支払うべきだと訴えた。非正規社員に正社員に近い業務を担わせれば、訴訟で不合理とされる可能性は高まっている。
 非正規の待遇改善に積極的に取り組む動きも徐々に広がっている。ヤマト運輸は18年、入社するフルタイムのドライバーをすべて正社員として採用するよう社内制度を改めた。従来は正社員になるには約2年間の試用期間などが必要だった。
 日本通運は19年4月に同一労働同一賃金を導入した。各地の支店で働く非正規社員6千人の賃金を正社員の水準まで引き上げたほか、福利厚生の適用も拡大した。
 企業は今後、どう対応すべきか。人事・労務問題に詳しい今津幸子弁護士は「正社員と非正規社員では求められる責任や期待度が違うということを正面から認める判決だったと感じる。企業は職種ごとに何を期待するのかを明確にする必要がある」と指摘する。
 東京大学の水町勇一郎教授(労働法)は「判決は同一労働同一賃金ルール関連の法改正前の議論に基づいた判断で、働き方改革の流れに逆行している」とした上で「賞与を非正規労働者にも支給する企業も出てきている。企業には多様な働き方を認め、能力のある人を生かしていくことを期待したい」と求めた。
 日本大学の安藤至大教授(労働経済学)は「払わないことが正しいというわけではない。法律は最低レベルの基準。企業は労働者に納得感を与え、働いてもらう制度づくりを考えるべきだ」と呼びかけている。

令和2年10月13日(火曜日)日本経済新聞電子版

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管理職の女性比率、2030年に40%超へ=経団連目標2020/10/04

 経団連は近くまとめる独自の成長戦略で、企業の管理職に占める女性比率を40%超とする数値目標を掲げる。達成時期は2030年をめどとし、会員企業に積極的な女性登用を促す。厚生労働省によると国内企業は現状で11%台にとどまり、欧米だけでなく多くの新興国と比べても女性の活躍が遅れている。
 これまで経団連は女性登用については企業ごとの自主行動計画として、数値目標は各社の判断に委ねてきた。今回は一律で定め、日本企業の人材の多様性の乏しさに危機感を示す。
 出産や子育てがキャリアに影響しないよう、雇用慣行の抜本的な見直しを各社に求める。終身雇用ではなく「人材の流動化」をテーマに掲げる。中途採用の比率を拡大して能力で評価する給与体系への移行を促す。デジタル化の進展に合わせ、人材の再教育に投資することも求める。
 国に対しても「指導的地位に占める女性比率を40%超」にするよう求める。政府はかねて掲げた20年に30%との目標を達成できる見通しがたたずに延期した。より高い目標設定を要請し、背中を押す。
 世界経済フォーラム(WEF)が男女平等の度合いを調べた「ジェンダー・ギャップ指数」で、2019年に日本は153カ国のうち121位と過去最低に沈んだ。日本は家事や育児を女性任せにしてきた男性リーダーが多く、若手の男性が育児参加を申告しづらい傾向もある。経団連は重点事項として「職場の雰囲気を変える」ことも明記する。

令和2年10月2日(金曜日)日本経済新聞電子版

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コロナ休業者、社会保険料軽減、賃金急減1カ月で2020/06/27

 厚生労働省は新型コロナウイルス感染症による休業で賃金が急減した企業の従業員に対し、社会保険料の負担を軽減しやすくする。本来は3カ月連続で賃金の減少が続かないと保険料は軽減されなかった。1カ月でも減少すれば賃金に連動して保険料を下げる。
 24日に健康保険組合や日本年金機構に通知した。新型コロナの影響で仕事を休業し、4〜7月の間に賃金が著しく下がった人が対象。東京都で賃金が月30万円の人が27万円未満に下がった場合に保険料が低くなる。
 健康保険や厚生年金の保険料は毎年4〜6月の平均賃金をもとにした「標準報酬月額」を根拠に算定されるのが通例。年の途中でも標準報酬月額は改定できるが、3カ月連続で賃金が急減した状態が続かなければならない。今回、機動的に改定できるよう改めた。
 例えば休業で4〜7月の間に賃金が急減した状態が続き、8月以降に元の水準に戻る場合、保険料が低くなるのは7〜10月まで。今回の措置で5〜10月までの6カ月間、保険料が低くなる。すでに保険料を納付していれば差額を還付する。

令和2年6月25日(木曜日)日本経済新聞電子版

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中日新聞社に是正勧告、記者の年休取得巡り2020/05/17

 中日新聞社が女性記者(48)と雇用契約を結ばずに個人事業主扱いとし、年次有給休暇の取得を認めなかったとして、中央労働基準監督署(東京)が労働基準法に基づき同社に是正勧告したことが15日、分かった。新聞労連と東京新聞労働組合が明らかにした。
 中日新聞社は大塚浩雄・東京中日総局次長名で「既に解決済みで、特にコメントはない」との談話を出した。
 新聞労連などによると、女性は1999年から「東京中日スポーツ」で芸能担当の記者として働いてきた。女性は昨年8月に東京新聞労組に加入。労組は雇用契約を結ぶよう求めたが、中日新聞社は「業務委託に当たる」と主張。女性は今年2月に年休を1日取得しようとしたが認められず、労組が労基署に申告した。
 同社はその後、年休を認め1日分の賃金を支払った。女性は6月から限定正社員として雇用契約を結ぶことになった。〔共同〕

令和2年5月16日(土曜日)日本経済新聞電子版

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外国人実習生3年で22人労災死、国全体より高い比率 2018/01/18

 労災による死亡と認定された外国人技能実習生が2014〜16年度の3年間で計22人に上ることが14日、厚生労働省のまとめで分かった。大半が事故とみられるが、過労死も1人いた。政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったのは初めて。労災保険の給付対象となる休業4日以上の労災件数は3年間の平均で年475件だった。
 実習生は職種が限られており、労災死比率が日本の雇用者全体の労災死比率を大きく上回っている。実習の名の下に日本人より危険で過酷な労働を負担している現実が示された。
 厚労省によると、死亡した実習生のうち労災認定されたのは14年度が8人、15年度が9人、16年度が5人。労働基準監督署に報告があった実習生の死亡事案の中で、労災認定されたものを集計した。実習生の国籍や都道府県別の人数は不明。
 法務省によると、実習生の数は14年16万7641人、15年19万2655人、16年22万8589人。集計が年と年度で違うが、単純計算すると3年間の労災死は10万人当たり3.7人になる。
 一方、日本全体では厚労省の集計で14〜16年の労災死は計2957人。総務省統計局による雇用者数の3年間合計(1億6964万人)で計算すると、労災死は10万人当たり1.7人。
 実習生の仕事は農業、機械加工など70余りの職種だけという違いはあるものの、差が大きい。
 実習生に詳しい自由人権協会の旗手明理事は「慣れない日本の労働現場、しかも労働安全衛生への意識が低い中小企業で働くことが多い上、実習生は日本語での意思疎通がうまくできない」と労災が多い背景を分析。「けがで働けなくなった実習生を強制帰国させるケースもあり、労災隠しは横行している」と話す。〔共同〕

平成30年1月14日(日曜日)日本経済新聞電子版

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日本電産、残業ゼロへ始動、在宅勤務や時差出勤2017/03/24

 日本電産の永守重信会長兼社長は23日、4月から在宅勤務制度と時差出勤制度を導入すると明らかにした。同社は「モーレツ主義」を大転換し働き方改革を進めている。柔軟な働き方へのシフトを本格化させて2020年の「残業ゼロ」達成を目指す。
 在宅勤務は本社の営業や開発などの千数百人が対象。社員の等級によって月5〜8日の上限を設け、育児などの理由で在宅勤務を認める。上司に仕事内容を事前申請し終業時に成果を報告することで業務を管理する。
 永守社長は「これまで残業の3分の1を減らしたが、さらに3分の1を減らすため制度改革に着手する」と述べた。「業績を落とさない限り、残業ゼロにするためには何でもやる」と強調した。
 時差出勤は海外拠点や顧客と応対する社員のほか、業務が集中し前日の残業が長引いた社員らに適用する。退社から出社まで一定の休息時間を確保するインターバル勤務制度の導入も検討する。
 日本電産は残業減少につながる工場の自動化や効率化システムの導入のため、20年までに1千億円を投資する方針を示している。柔軟な働き方を認める制度も導入し生産性を高める。永守社長は「残業の最後の3分の1は研修などの社員の能力向上で削減する」と話した。終業後の語学や専門分野の研修なども4月に始める考えを示した。

平成29年3月23日(木曜日)日本経済新聞電子版

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ヤマト、働く時間を厳格管理、拠点の管理職増員2017/03/04

 ヤマトホールディングス(HD)がトラック運転手などのサービス残業の実態を調査し、給料の未払い分を支給する方針であることが分かった。インターネット通販で急増する荷物をこなそうとすることで、現場が混乱をきたし、労働時間を正確に把握する仕組みが機能していなかった。集配拠点の管理職を増やすなどして労働時間の管理体制を厳格化し、再発防止に取り組む。
 子会社のヤマト運輸のトラック運転手などグループ全体の4割に当たる約7万6000人の従業員を対象に労働時間の聞き取り調査を始めた。3月末をめどに終え、未払い分を順次支給する。
 労働基準法は未払い残業代があった場合に最長2年間まで遡って支払うことを義務づけている。未払い残業代が100万円を超える従業員もいるとされ、ヤマトHDの支払総額は数百億円に上る可能性がある。
 トラック運転手は宅配業務用の携帯端末とタイムカードを併用して労働時間を管理している。これまでは携帯端末の電源が入っている時間を労働時間とみなし、タイムカードは補助的な役割としていた。しかし、電源を入れる前に荷物の仕分けをしたり、電源を切った後に伝票処理をしたりする従業員がおり、サービス残業となっていた。
 ヤマトHDはサービス残業をなくすために、勤務時間の管理をタイムカードに一本化する方針だ。職場に出社してから退社するまでを労働時間にカウントする。端末の電源を切って作業した時間も労働時間に含まれるようになる。
 また、適切な働き方が守れるように集配拠点の管理職を増員する方向だ。タイムカードに記録された時間と実際の勤務時間を見比べ、サービス残業や長時間労働があった場合に早期に把握できるようにする。現行の管理職の要員では足りないため、シニアのトラック運転手や熟練したパートタイマーを管理職に起用することを検討する。
 人件費の高騰でヤマトHDの2017年3月期の連結営業利益は580億円と16年3月期に比べ15%減る見通しだ。勤務実態に合わせて残業代を支払うようになれば、支出はさらに膨らむ。
 ヤマトはサービス残業をなくすと同時に、長時間労働の是正に取り組む。宅配便の時間帯指定サービスは「正午〜午後2時」を廃止し、トラック運転手が昼食休憩を取りやすくする。現在は午後9時までの配達時間を繰り上げることも検討する。労働組合は退社から次の出社まで10時間以上あける「勤務間インターバル制度」の導入も要求している。
 従業員の長時間労働が是正されれば、配送可能な宅配便の量は従来より少なくなる。このためヤマトは荷受量の抑制に着手する。発送量の多いネット通販事業者など大口顧客と運賃引き上げを交渉し、折り合わなければ引き受けの停止を検討する。事業者が値上げを受け入れれば、消費者が支払う配送料などに転嫁される可能性がある。

平成29年3月4日(土曜日)日本経済新聞電子版

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ほっともっと元店長、地裁が残業代支払い命令2017/02/19

 弁当店「ほっともっと」店長は権限や裁量のない「名ばかり管理職」で、残業代が支払われなかったのは違法だとして、元店長の30代女性が運営会社「プレナス」(福岡市)に未払い賃金など511万円と懲罰的付加金約200万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、静岡地裁であった。関口剛弘裁判長は原告の請求を認め、約160万円の支払いを命じた。
 関口裁判長は判決理由で、元店長について「勤務実態や権限から、管理監督者に当たるとはいえない」と判断した。
 労働基準法は、給与などで相応の待遇を受ける「管理監督者」は残業代の支給対象外と規定。人件費抑制の抜け穴とされ、労働基準監督署が監視を強めている。訴訟では元店長が管理監督者に該当するかが争点だった。
 運営会社は「店長は経営に責任を持つ管理監督者」と主張したが、関口裁判長は「アルバイト採用などで限定的な権限しかなく、店舗運営は本社のマニュアルに従っていた」と指摘。労働時間についても「自由裁量で決めることができたとまではいえない」と述べた。
 また原告の年収は320万円ほどで、同社の管理監督者以外の平均年収と大差がないとして「高い待遇を受けていたとは認められない」と認定。これらのことから「店長は管理監督者とする」と定めた就業規則は労基法に反し、無効と指摘した。
 一方、過労で体調を崩したとして原告側が求めていた損害賠償は「法定外労働は40〜70時間程度で、著しく多かったわけではない」と退けた。
 元店長の女性は記者会見し「悔しさを晴らせた。同じ境遇の人に勇気を与えたい」と語った。プレナスは「判決文が届いておらずコメントは差し控える」としている。
 判決によると女性は2012年7月に入社。同11月に静岡県内の店長となった。13年9月から休職し14年10月に退職した。〔共同〕

平成29年2月17日(金曜日)日本経済新聞電子版

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長時間労働の是正、企業の7割超「最優先課題」2017/01/10

 上場企業301社の7割超が、長時間労働の是正を働き方改革の最優先課題としていることが、日本経済新聞社と日経リサーチの調査でわかった。労働時間でなく成果で賃金を決める「脱時間給制度」の導入を政府に求める意見も5割近くあり、働く時間の再設計をどう収益力につなげるかで企業は知恵を絞る。同時に実施した正社員の意識調査では、賃上げを求める声が目立った。
 上場企業301社に自社で取り組む働き方改革の優先課題を聞いたところ、73%が「長時間労働の是正」を挙げた。「女性の活用」(67%)、「子育てや介護などと仕事の両立支援」(65%)が続き、「賃金引き上げ」は14%にとどまった。
 労働時間のあり方について複数回答で聞くと、84%が「所定労働時間内の密度を高め、残業時間を短くする」を選んだ。「短時間勤務の導入」は36%、「フレックスタイム導入などで自由度を高める」は28%。政府は労働時間に上限規制を設ける方向だが、企業は規制強化だけでなく、多様な働き方を認めないと生産性も上がらないとみる。
 上場企業の回答をみると、賃上げや副業、非正規雇用の処遇改善といった課題への関心は総じて低い。どれも政府が緊急性の高い課題と位置づけているのと対照的だ。政府が昨年末にガイドライン案を示した「同一労働同一賃金」の導入にも企業は慎重。働く人の意識ともやや食い違う。
 政府に期待する政策を複数回答で挙げてもらうと、「脱時間給」が48%で最多だった。配偶者控除見直しなど「税や社会保障の制度見直し」が47%で続き、「解雇規制の緩和」も39%と高かった。いずれも政府の検討が進まず、企業も不満を募らせているとみられる。
 働き方改革は一時的に企業の負担を増やす面もあるが、回答企業の7割が改革は「経営にプラス」と答えた。「人材採用で有利」「従業員の効率的な働き方が企業の生産性を高める」といった意見が出ており、働きやすい環境を整えることが優秀な人材の確保に直結するというのが企業の共通認識になりつつある。
 一方、正社員の意識調査では、仕事で力を発揮する条件を尋ねた(複数回答)。上位は「安定した給与」(38%)と「人員の適切な配置」(37%)。給与水準の低下を警戒し、転職や離職にも慎重な姿勢が伺える。
 政府の働き方改革実現会議への期待を複数回答で聞いたところ、上場企業では「社会保障など女性や若者が活躍しやすい環境整備」(55%)がトップだったのに対し、正社員では「賃金引き上げ」(42%)が最多。政府への期待でも微妙な違いが浮かんでいる。

平成29年1月10日(火曜日)日本経済新聞電子版

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非正規にも賞与、政府指針案、同一賃金へ支給求める2016/12/16

 政府が働き方改革の目玉としている同一労働同一賃金の実現に向け、正社員と非正規労働者の賃金のあり方や不合理な待遇差を示したガイドライン案が分かった。賞与では「業績などへの貢献に応じた部分は同一の支給をしなければならない」と明示。原則として非正規労働者にも賞与の支給を求める内容で、処遇の改善につながる見通しだ。
 政府は20日に第5回の働き方改革実現会議を開き、ガイドライン案を示す。賃金や福利厚生など労働者の処遇全般について、待遇差の基本的な考え方を明記。具体的な事例を盛り込みながら説明している。
 特に企業や非正規労働者への影響が大きいのは賞与だ。業績などへの貢献度合いが同じ場合は同一の支給を求めるとともに「貢献に違いがある場合にはその差異に応じた支給をしなければならない」とも明記した。
 企業では非正規労働者に賞与を支給していない場合も多い。厚生労働省の調査では、賞与を正社員に支給する会社は8割を超すのに対して、パート労働者には4割弱にとどまる。金額も従業員1000人以上の企業ではフルタイム労働者が130万円超なのに対して、パート労働者は4万円に満たない。
 基本給を決める要素を「職業経験や能力」「業績・成果」「勤続年数」の3つに分類した。それぞれの要素が正社員と非正規労働者で同一であれば同じ水準の支給を原則としつつ、違いがある場合には待遇差を認める。
 時間外勤務や深夜・休日手当は同じ割増率で支払わなければならないとした。通勤手当や出張費、慶弔手当なども同一の支給を促す。社員食堂や更衣室の利用といった福利厚生や、職業訓練の受講機会なども同一とするように求めた。待遇差の理由を従業員に説明する義務は記載を見送った。
 政府は年明けから関連する法律の改正作業を本格化させる。ガイドライン自体に法的拘束力はないが、待遇差の是正が裁判で争われたときに司法判断の参考となる可能性がある。企業はガイドラインを参考に、賃金制度や職務規定の一定の変更を迫られる見通しだ。

平成28年12月16日(金曜日)日本経済新聞電子版

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兼業・副業導入、中小にも、モデル就業規則改正へ=厚労省2016/11/23

 厚生労働省は働き方改革の一環で兼業・副業を後押しするため、企業の参考となるような標準的な就業規則を改正する方針だ。現在のモデル就業規則は兼業・副業を禁止しているが、容認する様式に改める。早ければ年度内にも公表する。
 就業規則は従業員10人以上の企業で作成が義務付けられており、所轄の労働基準監督署長に届け出ている。中小企業ではモデル就業規則をそのまま自社に転用する場合も多い。改正版を作ることで、中小企業が就業規則を変更する手間を減らし、兼業・副業の普及を後押しする。
 現在のモデル就業規則では「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と記されている。「自社の業務に影響がない」「利益相反の関係にない」といった条件を設け、兼業・副業を認める内容の条文を新たに付け加えることを検討する。
 中小企業庁の2014年度調査によると、兼業・副業を容認している企業はわずか3.8%。モデル就業規則の改正は政府の働き方改革実現会議の一部委員も提言しており、厚労省としても普及に向けた検討を加速させる。

平成28年11月23日(水曜日)日本経済新聞電子版

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スーパー各社、外国人技能実習生受け入れ拡大、対象職種拡大2016/11/12

 食品スーパーが日本で働きながら技能を学ぶ外国人技能実習生の受け入れを本格化させる。首都圏地盤のヤオコーは2018年度までに16年度比で約3倍の200人規模に増やす。北海道・東北に展開するアークスも現在の5倍となる100人規模とする。技能実習生の対象職種が広がったことが背景。人手不足が慢性化するなか、労働力として取り込む動きが広がる。
 ヤオコーでは現在、ベトナム、スリランカ、中国の3カ国から技能実習生を受け入れており、16年度末時点で69人が就労する計画。17〜18年度にかけて順次、増やし18年度末までに約200人にする。鮮魚売り場や焼きたてのパンを提供する「インストアベーカリー」といった店舗内だけでなく、総菜・生鮮品の加工センターへの配属を増やす。
 技能実習生の受け入れ体制を整えるため、約4億5千万円を投じて既存の寮を拡張したり新たに社員寮を購入したりした。同じ国籍の従業員専用の寮を設け、働きやすい環境を作る。
 技能実習生はいったん本社で採用し、各店舗や加工センターに派遣する形となる。賃金はパート時給と同水準。ヤオコーは受け入れ団体へ管理料を支払うため、人件費としては「パートよりは高いが正社員よりは安い水準」(同社)となる。
 首都圏に展開するサミットは17年度の受け入れ人数を16年度の4倍超の30人に増やす。18年度以降も順次、増やす計画だ。同社は16年度に初めて技能実習生を受け入れ、現在ベトナム人7人が店舗の鮮魚売り場や総菜部門で働いている。
 アークスも技能実習生の受け入れ枠を広げる。グループで現在の20人規模から100人規模に増やす。4月に主力子会社のラルズがミャンマーから22人の実習生を受け入れた。今後、グループのほかのスーパーに広げる。
 各社が受け入れを進める背景には、15年4月に技能実習制度の対象職種に「総菜製造」が追加されたことがある。それまでスーパーでは鮮魚売り場など店舗内の一部業務に限られていた。総菜が加わったことで、人手不足に悩む食品スーパーが受け入れを進めやすくなった。
 給食会社も外国人技能実習生に注目する。病院や介護施設向け給食最大手の日清医療食品(東京・千代田)は8月、初めて12人を受け入れた。17年度は2.5倍の30人に増やす方針。病院などに提供する料理を作るセントラルキッチンに配属する。
 小売業の現場では人手の確保が難しい状況が続く。各社は従業員の定年を延長したり、時給を引き上げたりして人材をつなぎ留めてきた。同時に総菜などの加工センターを増強し店内の人員を減らせる体制作りを進めるなど、人手不足への対策を急いでいる。

平成28年11月12日(土曜日)日本経済新聞電子版

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マタハラ防止策ない企業の求人不受理=厚労省制度改正 2016/11/06

 厚生労働省はマタニティーハラスメント(妊婦への嫌がらせ)に対する法律で義務付けた防止措置を講じなかった企業の求人をハローワークで受理しないように制度を改める。関係する政令を改正し、来年1月から施行する。学生や転職を考えている人がそうした企業に就職することを未然に防ぐ。
 ハローワークでは今年3月から労働関係法令の違反を放置している企業の新卒求人を受理しない取り組みを始めている。今回は不受理の対象にマタハラに関する規定を加える。
 男女雇用機会均等法は、女性従業員の妊娠や出産を理由に職場で不利益な扱いをされることがないように、相談窓口を設置するなど防止体制を整備するように求めている。育児と仕事を両立させる環境整備を企業に促し、女性の社会進出を後押しする狙いだ。
 厚労省の調査で法違反が見つかれば、是正を求める勧告をする。それにも従わずに企業名が公表された場合に、求人を受理しないこととする。不受理となる期間は、違反が是正されてから6カ月が経過するまでの期間となる。
 政府が掲げる働き方改革では、女性や若者が活躍しやすい環境の整備もテーマの一つとなっている。厚労省は残業時間や育休の取得率など企業の職場環境に関する様々な情報を集めたデータベースを整備する計画だ。いわゆる「ブラック企業」へ就職してしまうことを防ぐために、職場情報についての開示を強化するように企業側に働きかける。

平成28年11月6日(日曜日)日本経済新聞電子版

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「同じ仕事で賃金差」容認、定年後の雇用=東京高裁2016/11/03

 定年退職後に再雇用され、同じ内容の仕事を続けた場合に賃金を引き下げることの是非が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2日、引き下げを容認する判断を示した。減額を不当として会社に賃金の差額の支払いを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却した。
 訴えていたのは、運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人。原告側は判決を不服として上告する方針。
 判決理由で杉原則彦裁判長は「企業は賃金コストが無制限に増大することを避け、若年層を含めた安定的な雇用を実現する必要がある」と指摘。定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて「一般的で、社会的にも容認されている」との判断を示し、不合理ではないと結論づけた。
 5月の一審判決は「仕事や責任が同じなのに、会社がコスト圧縮のために定年後の賃金を下げるのは不当だ」と判断。正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反しているとし、正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう会社に命じた。
 一審判決などによると、3人は2014年に60歳の定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用された。セメントを運ぶ仕事が定年前と変わらない一方、年収は2〜3割下がった。
 原告側代理人によると、運送業などでは定年退職者を再雇用した場合に同じ仕事のまま賃金を下げる例が多いという。
 判決後に記者会見した原告男性(62)は「納得できない。最高裁でたたかう」と話した。

平成28年11月2日(火曜日)日本経済新聞電子版

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「希望者は65歳まで雇用」企業の74.1%=厚労省調査 2016/10/30

 厚生労働省が28日に発表した高年齢者の雇用状況(6月1日時点)によると、希望する人全員が65歳以上まで働ける企業の割合は74.1%で、前年から1.6ポイント増えた。企業の規模別では中小企業が76.5%なのに対して大企業では53.8%にとどまっている。
 従業員31人以上の15万3千社の状況をまとめた。74.1%の内訳は、定年制を廃止した企業が2.7%、65歳以上定年の企業は16.0%で、いずれも前年の調査と比べてわずかに上昇した。希望者全員が65歳以上まで働ける継続雇用制度を設けている企業は55.5%だった。
 2013年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用を確保するために企業に対して「定年制廃止」「定年引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかを講じるように義務付けている。

平成28年10月28日(金曜日)日本経済新聞電子版

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山陽道多重事故で管理者を逮捕、過労運転させた疑い2016/08/17

 広島県警は16日、同県東広島市の山陽自動車道のトンネルで3月、渋滞の列にトラックが突っ込み2人が死亡した事故で、運転手に過労運転をさせたとして、道交法違反(過労運転下命)の疑いで、勤務先の当時の運行管理者で会社役員の後藤隆司容疑者(41)=埼玉県川口市北園町=を逮捕した。
 逮捕容疑は、事故前日の3月16日、運転手の皆見成導被告(33)=公判中=が疲労の蓄積で正常に運転できない恐れがあると認識しながら、トラックを福岡市まで運転するよう指示した疑い。
 県警によると、後藤容疑者は「疲れているとは思わなかった」と容疑を一部否認している。勤務先の運送会社ゴーイチマルエキスライン(川口市)は7月、「ツカサ運輸」へ社名変更した。
 事故は3月17日に発生。皆見被告は居眠りをして渋滞の列に追突、2人を死亡させ、8人にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と道交法違反(過労運転の禁止)の罪に問われている。〔共同〕

平成28年8月16日(火曜日)日本経済新聞電子版

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同一賃金、雇用慣行に留意…経団連が提言2016/07/17

 経団連は政府が検討を進めている「同一労働同一賃金制度」について、日本の雇用慣行や賃金体系に留意した制度が望ましいとする提言をまとめた。
 国内経済の好循環を実現するため、正社員化の一層の推進など、非正規労働者に対する幅広い処遇改善を進める重要性も指摘した。13日に公表する。
 同一労働同一賃金は原則として、同じ労働であれば同じ賃金を支払うという考え方だ。制度の導入が進む欧州各国では、仕事の内容に応じて賃金が決まる「職務給」が設定され、広く定着している。一方、日本では経験や仕事をこなす能力に着目した「職能給」や、勤務の年数に応じた「年齢・勤続給」などで基本給を決めている企業が多い。
 経団連は提言で「職務内容だけでなく、(勤務地や職種の変更の可能性といった)人材活用の仕方など様々な要素を総合的に勘案して、同一の労働に当たるかどうか評価することを基本とする」と主張。日本型制度の実現を求めている。

平成28年7月13日(水曜日)読売新聞電子版

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IBM解雇「無効」、5人の賃金支払い命令ー東京地裁2016/03/29

 本人の業績が悪いことを理由に突然解雇したのは不当だとして、日本IBMで働いていた4都県の43〜59歳の男女5人が雇用継続などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、「解雇は権利の乱用で無効だ」として5人全員の雇用継続と解雇後の賃金支払いを命じた。
 吉田徹裁判長は、原告らの業績が解雇するほど悪くはなかったとし、適性に合った職種に変えたり職位を降格したりして改善の機会を与えるべきだったと指摘。「解雇には合理的理由がない」と述べた。
 判決によると、5人は正社員で2012年7月〜13年6月、1〜2週間後の解雇を通告され、出社を禁じられた。その際自主退職すれば退職金を増やすと提案されたが拒否し、解雇された。
 原告は、解雇予告とともに出社を禁じる「ロックアウト解雇」と呼ばれる手法が違法として損害賠償も求めたが、判決は「会社と対立し機密情報を漏らす恐れがあり、違法性はない」と退けた。
 判決後に記者会見した原告の男性(59)は「解雇手法はあまりに強引。他の会社に広がる前に止められて良かった」と話した。日本IBMは「主張が認められず遺憾だ。判決内容を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。
 原告弁護団によると、同様に日本IBMを解雇された別の6人も、雇用継続を求めて東京地裁で係争中。〔共同〕

平成28年3月28日(月曜日)日本経済新聞電子版

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パナソニック、最長3年間の休暇、専門能力高い人材育成2016/03/19

 パナソニックは18日、海外の大学などで専門知識を身につけたい社員が最長3年間の休暇を取得できる制度を導入すると発表した。対象は勤続3年以上の国内のグループ社員で、4月から始める。学費などは自己負担で休暇中は無給となる。専門能力の高い人材を育成して組織の活性化につなげる。
 新たに始める「キャリア開発応援プログラム」では就学のため1カ月から最長3年まで休暇を取得できる。休暇中に他社での就業はできない。休暇を取らず、定時勤務を続けながら国内の大学などに通うこともできる。従来も働きながら学べる制度はあったが、定時より1〜2時間勤務時間が短い時短勤務を選ぶ必要があった。
 パナソニックは中途採用などで国内外から受け入れる人材が多様になっている。海外事業の拡大も進めており、語学や経営学修士(MBA)など、豊富な専門知識を持った人材を育てる必要があると判断した。
 同社は昨年から、年功序列による賃金制度を改めた。17年4月からは永年勤続休暇や表彰も廃止し、年齢別の付与に切り替える。介護や育児支援の幅も広げて、多様な働き方を支援する。

平成28年3月18日(金曜日)日本経済新聞電子版

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退職金減額「事前説明が必要」、信組訴訟で最高裁初判断2016/02/20

 山梨県民信用組合(甲府市)と合併した信組出身の元職員12人が退職金を大幅に減らされたのは不当として、合併前の基準での支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」との初判断を示した。
 その上で元職員側の請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、信組側の説明が十分だったかどうかを審理させるため、同高裁に差し戻した。
 判決によると、元職員らは2003年に山梨県民信用組合と合併した旧峡南信用組合の出身。合併後に退職金がゼロにされたとして、従来の基準の総額8千万円の支払いを求めて提訴した。一審・甲府地裁と二審・東京高裁は、退職金を大幅に減らす内規変更の同意書に署名押印があるとして請求を棄却。元職員側が上告していた。
 同小法廷は判決理由で、賃金や退職金の不利益変更に関する同意について、「立場の弱い労働者側が同意していたとしても、それだけで判断せず、事前の情報提供や説明内容などを考慮して判断すべきだ」と指摘した。

平成28年2月20日(土曜日)日本経済新聞電子版

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「固定残業代」で長時間労働、提訴−東京地裁2015/02/13

 あらかじめ決められた残業代を給与に組み込む「固定残業代」制度の説明がないまま、長時間労働を強いられたとして、東京都の20代男性が12日、勤務していた不動産仲介会社「うちナビ」(渋谷区)を相手に、未払い賃金など約370万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。
 固定残業代制度をめぐっては、一部の企業で賃金不払いや長時間労働が問題化している。固定残業を超えた分は追加の支払い義務が生じるため、専門家は「本来会社にメリットはなく、ブラック企業の典型的な手口だ」と指摘している。
 訴状によると、男性は昨年5月に新卒で入社し、都内の支店に配属。求人票には「基本給30万円」と書かれていたが、月60時間分の残業代15万円が含まれるとの説明はなく、休日も月に2日程度だった。残業は月150〜200時間に及んだが、追加の残業代は支払われなかった。男性は、店長から暴言を受け、約2カ月で退職に追い込まれた。
 男性は厚生労働省で記者会見し、「知識がなく会社は悪くないと思っていた。声を上げられない人はたくさんいると思う」と訴えた。
 うちナビの話 訴状が届いておらず、内容を確認していないので回答できない。

平成27年2月13日(金曜日)時事通信社

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「すき家」ゼンショー、深夜1人勤務解消の方針2014/08/01

 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)は31日、深夜に1人勤務になっている状態を解消する方針を発表した。
 長時間労働の見直しなどにも取り組む。
 外部の有識者でつくる第三者委員会が同日、「過重労働問題に対する麻痺が社内で蔓延していた」などと批判する報告書を提出した。これを受けて記者会見した小川賢太郎会長兼社長は「真剣に受け止め、速やかに是正したい」と述べた。
 ただ、具体的な改善内容は今後の検討として、明言を避けた。すき家では今年4月、人手が足りず、最大で123店舗が店を開けられない状態となっていた。
 報告書は、ゼンショーが2012年度以降、時間外労働などで労働基準監督署から受けた是正勧告書が64通に上っているとした。恒常的に月500時間以上働いた例や、家に2週間帰らなかった従業員がいたことも指摘した。

平成26年7月31日(木曜日)読売新聞電子版

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最低賃金16円上げ、生活保護との逆転現象解消 2014/07/30

 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は29日、2014年度の最低賃金の目安を前年度より16円高い780円とすることを決めた。4年ぶりの引き上げ幅の大きさで、2年連続で10円を超える上昇となる。所得を増やして消費を増やし、デフレ脱却につなげる政府の姿勢を反映した。最低賃金が生活保護の水準を下回る逆転現象もすべて都道府県で解消する。
 最低賃金はすべての企業が従業員に払わなければならない最低限の時給。中央最低賃金審議会が同日、小委員会がまとめた目安額を田村憲久厚労相に答申する。8月からこの目安を踏まえて各都道府県の審議会が地域別の最低賃金を審議し、10月をめどに適用する。
 最低賃金で働く人の手取りが生活保護の支給額を下回る「逆転現象」は13年度に北海道、宮城県、東京都、兵庫県、広島県の5都道県で残っていた。生活保護のほうが最低賃金を上回ると自立する意欲を損なうとの指摘がある。この逆転は今回の引き上げで解消する見通しだ。

平成26年7月29日(火曜日)日本経済新聞電子版

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マツダと元派遣社員が和解、地位確認訴訟ー広島高裁2014/07/25

 実質的な雇用契約があったのに不当に雇い止めされたとして、マツダ防府工場(山口県防府市)の元派遣社員15人がマツダに正社員としての地位確認を求めた訴訟は22日、広島高裁(川谷道郎裁判長)で和解が成立した。
 原告団によると、15人にそれぞれ和解金が支払われる。職場に復帰はしない。金額などの和解内容は公表できないとしている。7日の進行協議で、高裁が双方に和解案を提示していた。
 原告団は「和解により、経済面や健康面などで困難を抱えた原告を早期に救済することができた」とする声明を発表。原告の一人の男性(44)は「和解と聞いて涙が出た。今日はゆっくり過ごして、明日からまた頑張りたい」と語った。
 昨年3月の山口地裁判決は、派遣期間が労働者派遣法の上限3年を超えないよう、一時的に直接雇用していたマツダの「サポート社員制度」を違法と判断。制度を利用した13人を正社員と認め、対象とならなかった2人の請求を退けた。棄却された2人とマツダ側が控訴した。
 弁護団は「全面的な解決ということで一定の評価をしている。一審判決で棄却された2人を含め和解できたことは良かった」と話している。
 マツダは「提訴から5年以上経過し、和解で早期に終結させるのが適切と判断した」とのコメントを出した。

平成26年7月23日(水曜日)日本経済新聞電子版

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建設業の外国人労働者、日本人並み給与義務化へ2014/07/25

 政府は来年度から受け入れを拡大する建設業の外国人労働者について、同じ技能を持つ日本人と同等以上の給与を支払うよう受け入れ企業に義務付ける方針を固めた。外国人が給与水準など就労条件のより良い企業に転職することも認める。いずれも技能実習期間の3年間を超えて働く人が対象になる。外国人が働きやすい環境を整え、「安価な労働力確保」という批判をかわす。
 政府は4月、人手不足が深刻な建設業で外国人の受け入れを増やす新たな枠組みを決めた。現在は「技能実習制度」に基づき入国した外国人の滞在期間を最長3年間としているが、来年度から満期を迎えた実習生に「特定活動」という在留資格を与え、追加で2年間働けるようにする。一度帰国した実習生が再来日し、特定活動の資格で2〜3年働くことも認める。
 国土交通省は特定活動の資格で働く外国人の受け入れについて、建設会社などに順守を求めるルールをまとめ、8月上旬にも公表する。柱となるのが、外国人への適正な給与の支払いだ。
 実習生として建設業で働く外国人は「給与が日本人より3〜4割安いケースもある」と国交省幹部はみる。実習を終えた特定活動の外国人の給与まで低く抑えるべきではないと考えている。外国人の受け入れ窓口を担う監理団体が主導し、特定活動の外国人の受け取る給与が同等の技能を持つ日本人従業員と同水準かどうか確認する体制をつくる。
 実習生には受け入れ企業の倒産など例外を除き転職を認めていないが、特定活動の外国人には働きに見合った給与が支払われない場合に転職することも認める。外国人の労働条件や安全性などが適切かどうか確認するため、監理団体が3カ月に一度以上の頻度で受け入れ企業に立ち入り監査を行うことも求める。
 新興国への技術移転を主目的とする技能実習制度を巡っては、国内外で「安価な労働力の確保に利用されている」との批判が根強い。政府は建設業での外国人受け入れ拡大に際して日本人との給与水準の格差を埋める。

平成26年7月25日(金曜日)日本経済新聞電子版

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王将、未払いの「端数」賃金2億5千万余支給へ2014/07/15

 中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは14日、従業員923人に近く、未払い賃金計2億5500万円を支払うと発表した。
 本来は1分単位で管理すべき勤務時間を、15分か30分単位で記録していたため、5分や10分といった「端数」の労働が賃金の支給対象外になっていた。
 昨年12月に京都下労働基準監督署(京都市)から指導を受け、全従業員1万4000人を対象に社内調査をした結果、未払いが判明した。王将によると、昨年7月から今年2月にかけ、正社員やパート、アルバイトなどの一部賃金が未払いだった。
 今回判明した未払い期間より前については、王将は「さかのぼって調査する予定はない」とした。
 同様の賃金未払いは、2005年に日本マクドナルドホールディングスでも判明した。30分未満の勤務時間を切り捨てていたとして、同社は過去2年間の未払い分を支給した。

平成26年7月15日(火曜日)読売新聞電子版

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月102時間の残業で営業停止、鹿島道路に異例の処分2014/06/17

 国土交通省関東地方整備局は6月9日、鹿島道路(東京都文京区)を労働基準法違反による営業停止処分とした。
 鹿島道路の広島営業所(広島県廿日市市)の元所長が2013年5月に営業所の社員に対して労使間で定めた協定の限度時間を超える時間外労働を行わせたとして、同社と元所長がそれぞれ同年12月24日に広島簡易裁判所から労基法違反による罰金20万円の略式命令を受け、14年1月11日に刑が確定している。
 関東地整はこの問題が他法令違反による処分を規定した建設業法28条に該当すると判断。鹿島道路に対して、6月24日から26日までの3日間、中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)での営業停止を命じた。
 関東地整が広島県内での問題に対して監督処分を行ったのは、鹿島道路が国土交通大臣許可を受けており、同社の本社所在地が同地整の管内にあるためだ。「時間外労働での労基法違反による営業停止は、関東地整では先例がない」(建設産業第一課)という。

平成26年6月13日(金曜日)ケンプラッツ

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労働相談、パワハラ最多(13年度)、14%増2014/06/01

 厚生労働省は30日、労働者と企業のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決する「個別労働紛争解決制度」の2013年度の利用状況をまとめた。労働相談の内訳は、パワーハラスメントにあたる「いじめ・嫌がらせ」が5万9197件(12年度比14.6%増)で、2年連続で最多だった。全体の相談件数は24万5783件(3.5%減)だった。
 同省は「職場でのパワハラは許されないという認識が広まり、相談する人が増えている」としている。
 パワハラの具体例としては、正社員として入社した直後から上司の係長から殴る・蹴るなどの暴力を受けたり、体調不良で早退すると伝えたところ社長から暴言を受け、精神的に追い込まれて退職を余儀なくされたりした例などがあった。
 パワハラに次いで多かったのは「解雇」(4万3956件、14.7%減)に関する相談で、「自己都合退職」(3万3049件、11%増)の相談が続いた。
 利用した労働者の内訳は正社員(9万7573人)が最多で、パート・アルバイト(4万604人)、期間契約社員(2万6696人)が続いた。
 同制度は裁判以外の紛争解決(ADR)の一つで01年10月に始まった。全国の労働局や主要駅周辺などにある「総合労働相談コーナー」で相談を受け付けている。

平成26年5月31日(土曜日)日本経済新聞電子版

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障害への配慮打ち切りは無効−神戸地裁尼崎支部2014/04/23

 会社分割による転籍後、障害に配慮した勤務シフトが打ち切られたのは不当として、兵庫県に住む運転手の男性(45)が、勤務先の阪神バス(同県尼崎市)に、配慮のないシフトで勤務義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決で、神戸地裁尼崎支部(田中俊次裁判長、本多俊雄裁判長代読)は22日、男性の主張を認め、同社に出勤時刻が正午以降となる勤務を担当させることなどを命じた。
 原告側代理人は「障害を持つ労働者に対する合理的な配慮を求めた訴訟の判決は初めてではないか」と話している。
 判決によると、阪神電鉄でバス運転手として勤めていた男性は、腰椎椎間板ヘルニアの後遺症で排便障害が残り、午前中の勤務が難しくなった。同社と話し合い、2003年ごろから原則として深夜帯のみ勤務していた。
 09年に阪神電鉄の自動車運送事業部門が阪神バスに承継されたことに伴い、男性は転籍したが、同社は11年1月に勤務配慮を廃止。通常シフトでの勤務を命じたため、男性が同年8月、提訴していた。
 田中裁判長は、阪神電鉄が分割する際、原告らに労働契約承継法に基づき、従前の労働契約が新会社に承継されることを説明しておらず、「勤務配慮を認めない」とする労働組合との合意は、公序良俗に反し無効として、男性の主張を認めた。
 阪神バス総務部の話 判決内容を精査した上で、慎重に対応を検討したい。

平成26年4月22日(火曜日)時事通信社

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県内建設現場の労災急増=兵庫労働局2014/04/16

 県内の建設現場で労災死亡事故が今年に入り7件(3月末現在)にのぼることが兵庫労働局の調べで分かった。昨年1年間で労災死亡事故は9件で、今年は約3倍のペース。現場で経験が浅い作業員が増えていることが背景にあるという。同労働局は3月下旬、県内の建設関係団体に対策の徹底を要請。しかし、直後に神戸市のビル解体現場で足場の柵が倒壊する事故が発生した。同労働局は原因を分析したうえで、新たな施策を模索するという。
 同労働局によると、全業種での労災死亡事故は3月末で16件(昨年1年間は36件)。3月中旬には明石市内の家屋解体現場で重機と建物の間に挟まれた作業員が死亡した。多くは転落で、「天窓にはアルミ板を敷くなど基本的な対策が取られていない」(同労働局安全課)という。
 背景として、景気の好転で工事の需要がふくらみ、人手不足が発生し、採用を急いだため、安全面の知識や経験が不足した若年層の作業員が増えている。一方、長い不況期に採用を絞ったことで作業員の高齢化が進展。「年齢層の二極化が進み、(世代間で技術を伝える)中堅の作業員が少ない」のが現状だ。
 また、中小業者が請け負うことの多い改修や解体の現場では「コスト削減のため安全管理が行き届かないケースが目立つ」という。

平成26年4月16日(水曜日)MSN産経ニュース

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添乗員のみなし労働認めず…最高裁が初判断2014/01/25

 旅行会社のツアー添乗員にみなし労働時間制を適用するのは不当だとして、阪急交通社の子会社の女性派遣添乗員(49)が割増賃金の支払いを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は24日、「勤務時間の算定が難しいとは言えず、みなし制は適用できない」として、子会社の上告を棄却する判決を言い渡した。
 約32万円の支払いを子会社に命じた2審・東京高裁判決が確定した。みなし労働時間制の適用について、最高裁が判断を示すのは初めて。同じような賃金体系を採用する他の旅行会社にも影響を与えそうだ。
 女性は、ツアーごとに子会社の「阪急トラベルサポート」(大阪)に雇用され、阪急交通社に添乗員として派遣されている。
 判決は、添乗員が事前に阪急側から手渡される旅行日程に従って業務を行い、ツアー後は詳細な添乗日報の提出を求められている点を重視。「添乗員の勤務状況の把握が難しいとは言えない」と判断し、みなし制の適用を認めなかった。 

平成26年1月24日(金曜日)読売新聞電子版

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裁量労働制で「長時間労働」指摘も2014/01/16

 実際に働いた時間にかかわらず、一定の時間働いたものとして賃金が支払われる「裁量労働制」について、厚生労働省がアンケート調査したところ、多くの企業や労働者が仕事を効率的に進められるようになるなど効果が大きいと考えている一方で、「労働時間が長い」といった課題を指摘する声もありました。
 この調査は、企画や調査分析など一部の業務に認められている裁量労働制の対象を広げるかどうか、検討の参考にするため行われたもので、15日に開かれた厚生労働省の審議会で報告されました。
 裁量労働制を導入している企業およそ1700社に制度の効果を複数回答で尋ねたところ、「仕事を効率的に進められるようになった」が55%、「意欲が向上した」が27%でした。
 また、裁量労働制で働いている4300人余まりのうち、この働き方に「満足」または「やや満足」と答えた人は合わせて70%に上りました。
 一方で、「不満」「やや不満」と回答した人の理由として最も多かったのは、「労働時間が長い」で49%、次いで「業務量が多すぎる」が47%となりました。
 これについて経済団体の代表は「多くの企業や労働者が制度を評価しており、ワークライフバランスを進めるためにも裁量労働制を広げていくべきだ」と話しました。労働組合の代表は「アンケートは労務管理が適切に行われている比較的、大きな企業を対象としており、実態を反映しているとは言えない。長時間労働につながるような安易な規制緩和には賛成できない」と述べました。
 審議会ではことし秋にかけて、検討を続けることにしています。

平成26年1月15日(水曜日)NHK 13:39

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シャープが人事制度見直し、4月から加点式に2014/01/07

 経営再建中のシャープの高橋興三社長は6日、大阪市内で記者団の取材に応じ、4月に人事評価制度を見直す方針を明らかにした。制度変更は一般社員で14年ぶり。高橋社長は「社員がリスクをとれるような加点制度にしたい」と表明し、具体的な内容は今後、労働組合と協議する。
 新評価制度は4月から課長級以上の管理職で導入し、今秋をメドに一般社員に広げる方向で調整している。総人件費は変えない見通し。年に2回、社員が上司と相談して目標を定める現行制度では、目標が低くなるうえ、「減点主義」になる傾向がみられたという。
 高橋社長は「社員がより高い目標を設定し、社員一人ひとりの心の持ち方を変えることが再建の近道」と強調。2014年度を「再成長ステージ」と位置付け、人事制度の刷新で従業員のやる気を引き出し、新商品の開発を加速させる考えを示した。
 シャープは昨年11月に公募増資などで約1365億円を調達し、自己資本比率は昨年9月末時点の6.4%から13%弱に上昇した。高橋社長は「財務基盤は十分でないが、本当に危ないところからは一歩登った」と振り返り、工場売却や保有株の売却などで「自己資本を厚くしていく」と述べた。
 2014年3月期の業績については「携帯電話の販売低迷をほかの分野でカバーしている」と述べ、主力行が求めている最終損益の黒字化に自信を示した。昨年5月に中期経営計画として発表した16年3月期の営業利益1500億円の目標については「到達するつもりだ」と語った。

平成26年1月6日(月曜日)日本経済新聞電子版

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「ブラック企業」対策へ離職率公表…新年度から2013/12/04

 若者に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策で、厚生労働省は来年度からハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業に対し、離職率の公表を求めることを決めた。
 2015年春の大卒、大学院卒らに向けた求人票から、過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄を設ける。記入は強制ではないが、「空欄のままだと公表できないほど離職率が高いのではと見られる」(厚労省幹部)として、抑止効果が期待できるという。
 ブラック企業は早期退職が続出することを見越して若者を大量採用するのが特徴で、離職率は有力な判断材料の一つ。極端な長時間労働や残業代の未払いは労働基準法違反で是正指導できるが、離職率が高いだけでは違法ではないため、厚労省は情報開示で改善を促すことにした。

平成25年12月2日(月曜日)読売新聞電子版

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有期雇用10年に延長、特区での解雇は対象絞る2013/10/18

 政府は16日、有期雇用の期間を最長5年から最長10年に延長する方針を固めた。企業の雇い止めを防ぎ、パートや契約社員が5年を超えて働きやすくする狙いからで、来年の通常国会に労働契約法の改正案を提出する。解雇ルールを柔軟に設定できる政策は地域限定の「国家戦略特区」で、対象企業などを絞り込むことになった。
 安倍晋三首相が16日夕、首相官邸で甘利明経済財政・再生相、新藤義孝総務相、菅義偉官房長官と協議し、確認した。特区に関しては18日の日本経済再生本部(本部長・安倍首相)で決定する。
 労働契約法では、同じ職場で5年を超えて働く契約社員らは、本人が希望すれば無期雇用に転換しなければならない。余裕のない企業は5年で労働契約を打ち切る例も多い。有期雇用の契約期間で企業の人材確保に幅を持たせるとともに、雇用を守る意味もある。
 例えば2020年の東京五輪に向けて企業が施設整備などのプロジェクトを手がけた場合、現行では有期の契約社員やパートを雇っても5年超で無期雇用に転換するか、新たな人材に切り替える必要がある。10年間に延ばせば、企業は同じ人材でプロジェクトを進められる。政府は企業の投資を呼び込む規制緩和になると期待している。
 総務省の調べによると、有期契約の雇用者は7月時点で1443万人と、労働者の4分の1を占める。
 有期雇用の期間延長は国家戦略特区の規制緩和策の一つとして議論してきたが、地域間で雇用条件の格差を生みかねないとの指摘があった。このため特区に限らず、全国でも展開する。
 特区での雇用ルールの弾力化は、労使が解雇など雇用条件をあらかじめ決めておき、それが裁判例をもとに国がつくった指針に沿っていれば解雇などを認めるものだ。企業の都合による解雇が増えるとの見方もあるが、政府は「ルールの明確化により雇用拡大を目指す」(首相)との立場だ。
 政府は国家戦略特区の関連法案を11月上旬に閣議決定し、今国会に提出、成立を目指す。これまでに都心の建物の容積率の緩和や、公立学校の運営の民間開放を特区で認めることが決まっている。

平成25年10月17日(木曜日)日本経済新聞電子版

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週刊朝日編集長を懲戒解雇…重大な就業規則違反2013/10/09

 朝日新聞社は8日、「重大な就業規則違反」があったとして、同社子会社の朝日新聞出版が発行する週刊朝日の小境郁也編集長を解任、同日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。
 規則違反の内容については一切、明らかにせず、朝日新聞出版管理部では関係者のプライバシーにかかわることを理由に「公表は差し控えたい」と説明している。
 監督責任があったとして、朝日新聞出版は9日付で、青木康晋社長を役員報酬減額、尾木和晴雑誌本部長を減給処分とする。
 週刊朝日では、橋下徹・大阪市長に関する連載記事を巡る問題で当時の編集長が更迭されたことを受け、アエラ副編集長だった小境氏が昨年12月、朝日新聞社から出向する形で就任していた。

平成25年10月9日(水曜日)読売新聞電子版

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タクシー客待ちは「労働」…会社に賃金支払い命令2013/09/23

 元タクシー運転手の男性(50歳代)が、客待ち時間を休憩時間とみなされ、賃金が不当に減額されたとして、五十川タクシー(福岡市南区)に未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁であった。
 吉田祈代裁判官は「客待ち時間は客が来ればいつでも運行させなければならず、休憩時間とは評価できない」とし、請求通り約170万円の支払いを同社に命じた。男性の代理人弁護士によると、タクシーの客待ち時間を労働時間とみなした判決は珍しいという。
 判決によると、同社は男性が勤務していた2009年6月〜10年10月、本社の車庫以外で5分以上客待ちで待機した場合を労働時間に認めず、男性は未払い賃金約85万円に、労基法に基づく同額の付加金(制裁金)を合わせて請求した。
 吉田裁判官は「常に走行しながら客を取る『流し営業』しかできず、客待ちを事実上禁じている」と指摘。タクシーのタコグラフ(運行記録計)を精査した結果、未払い賃金は105万円だったと認定したが、民訴法の原則に基づき、請求の範囲内で賠償を命じた。

平成25年9月20日(金曜日)読売新聞電子版

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「パワハラ」労働相談で初の1位…「解雇」抜く2013/06/01

 厚生労働省は31日、全国の労働局などが2012年度に受け付けた労働相談のうち、「パワハラ(いじめ・嫌がらせ)」に関する相談が集計開始の02年度以降で最多となり、初めて1位になったと発表した。
 発表によると、12年度の労使間トラブルなどに関する相談は、25万4719件(前年度比0・6%減)。このうちパワハラは5万1670件(同12・5%増)に上った。内容は「仕事で腰を痛めたのに、同僚よりつらい作業を割り当てられている」「店長から『ばか』呼ばわりされ、大声で叱責された」など。
 これまでずっとトップだった「解雇」は5万1515件で2位。これに「労働条件の引き下げ」が続いた。法に抵触する可能性のある「セクハラ」は、労使間トラブルの相談件数に含まれていない。

平成25年5月31日(金曜日)読売新聞電子版

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「地域限定社員」増を促進、解雇ルールは見送り2013/04/25

 政府は23日の産業競争力会議で、衰退産業から成長産業に労働力を移すための雇用制度改革の骨格を固めた。
 従業員の再就職を支援した中小企業に支払われる「労働移動支援助成金」の対象を大企業にも広げるほか、勤務地域や職種などを限定した正社員を増やすための仕組み作りを促す。社員を解雇するルールの導入は、金銭を支払う代わりに解雇できる「金銭解決」を含めて見送る方向だ。
 政府は、これらの施策を6月にまとめる成長戦略に盛り込む。「雇用の維持」を柱としてきたこれまでの雇用政策を、「雇用の移動支援」へと転換し、「失業なき労働移動」を実現させる考えだ。
 労働移動支援助成金の財源は、従業員を解雇せずに一時的に休業させる企業に支給する「雇用調整助成金」を削減し、工面する。

平成25年4月24日(水曜日)読売新聞電子版

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二審も記者の解雇無効=ブルームバーグが敗訴−東京高裁2013/04/25

 米ブルームバーグ通信東京支局の男性記者(51)が、「能力不足」を理由に不当に解雇されたとして、地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。坂井満裁判長は解雇を無効として賃金支払いを命じた一審東京地裁判決を支持し、ブルームバーグの控訴を棄却した。
 同社は控訴審で「国際企業と一般的な日本企業との雇用形態には差異がある」として、解雇は妥当と主張したが、坂井裁判長は「人事制度が一般的な日本企業と異なることについて、具体的に主張していない」と退けた。
 その上で、「男性は具体的な数値によって設定された課題をほぼ達成している」と指摘。「労働契約を継続できないほど重大な職務能力の低下は認められない」とした。

平成25年4月24日(水曜日)時事通信社

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内部告発後の懲戒解雇は違法…大王製紙を提訴2013/03/20

 大王製紙の会計処理の問題を内部告発した後、懲戒解雇された同社元課長の男性(50)が19日、「解雇には理由がなく、違法」として、解雇無効と、同社に330万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、男性は、タイの関連会社に不正経理があることを上司に相談したが、適切な対応が期待できなかったため、昨年12月、金融庁などに告発文を送付した。すると、大王側から今年2月、「会社の秘密を漏らした」として課長職を解かれた上、北海道にある関連会社の事業所への出向を命じられた。男性が拒否すると、今月11日付で懲戒解雇されたという。
 訴状では、「公益通報者として保護されるべきで、降格から解雇までの一連の処分は人事権を乱用した違法行為だ」と主張している。
 大王製紙は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」としている。

平成25年3月19日(火曜日)読売新聞電子版

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「准正規労働」で待遇改善、無期雇用で賃上げ2013/02/28

 厚生労働省は来年度から、正社員と非正規労働者の中間に位置する新たな雇用形態の創出に乗り出す。
 働く期間に定めがない無期雇用にして賃金を上げ、正社員に近づける一方、昇進などは制限する「准正規労働者」ともいえる形態で、増え続ける非正規労働者の労働条件の改善につなげる狙いがある。非正規労働者を准正規労働者に引き上げるなどした企業に対し、総額54億円を助成する方針だ。
 「正社員を増やすことにこだわっていても、不安定な非正規労働者が増えるだけだ」。厚労省幹部は危機感をあらわにし、今回の対策を打ち出した背景を語る。
 同省では、これまで非正規労働者を正社員にした企業に助成金を出すなど様々な対策を講じてきた。だが、非正規労働者はこの10年間に年平均約30万人のペースで増え続け、昨年は約1813万人と労働者全体の35・2%を占めるまでになった。このうち約400万人は正社員を希望しながらかなわずにいる非正規労働者だ。

平成25年2月28日(木曜日)読売新聞電子版

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60歳超雇用、4月から…賃金体系で労使攻防2013/02/20

 希望者を対象に65歳までの雇用継続を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が4月から施行されるのに合わせ、企業の対応が急ピッチで進んでいる。
 現在は60歳定年が多いが、シニア層の雇用継続の対応は、今春闘の主要テーマの一つで、人件費増を最小限に抑えたい経営側と待遇改善などを求める労組側との間で、雇用形態や賃金体系を巡る協議が本格化している。
 65歳までの雇用を確保するため、現行法は〈1〉定年制度の廃止〈2〉定年の引き上げ〈3〉継続雇用制度の導入――のいずれかを企業に実施するよう義務づけている。ただ、罰則はなく、労使協定で定めた基準で継続雇用する対象者を選別することができた。4月からは、希望者全員の雇用継続が義務化され、違反企業は公表されることになる。
 三つの選択肢のうち、定年の廃止は、人事の停滞や過剰な雇用につながる恐れから、実施する企業はほとんどない。多くの企業が継続雇用制度か65歳定年制の導入を進めており、サントリーホールディングスが4月から定年を60歳から65歳に引き上げるほか、トヨタ自動車は、勤務時間を通常の半分にする「ハーフタイム勤務」の導入を検討中だ。

平成25年2月20日(水曜日)読売新聞電子版

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雇用保険の料率、13年度も1.0%で据え置き=厚労省2012/12/13

 厚生労働省は12日、失業手当などに充てる雇用保険の料率を来年度も1.0%に据え置くと発表した。保険料率は労使それぞれが半分ずつ支払う。雇用情勢は厳しさを増しているものの、雇用保険財政の収支に余裕があるため、保険料引き上げは必要ないと判断した。
 雇用保険の財源は労使で折半する保険料と国庫負担から成り立つ。財政状況に応じて、収入の1.0%から1.8%の間で設定できる。事業主だけが負担する労働者の能力開発などの雇用保険2事業の保険料率も0.35%に据え置く。

平成24年12月12日(水曜日)日本経済新聞電子版

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継続雇用制度で初判決=男性の再雇用認める−最高裁2012/11/30

 高齢者の継続雇用制度をめぐり、再雇用基準を具体的に定めた労使協定を恣意的に運用し、再雇用を認めなかったのは不当として、兵庫県の男性が地位確認と賃金支払いを会社に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は29日、会社側の上告を棄却した。男性の再雇用を認め、賃金支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
 厚生労働省によると、継続雇用制度は約8割の企業が導入。制度に基づく再雇用が争われた訴訟で、最高裁判決が出たのは初めて。

平成24年11月29日(木曜日)時事通信社

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配転無効確定のオリンパス社員が会社を提訴2012/09/04

 社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報した後の配置転換が裁判で無効と認められたのに、会社側が処遇を改善しないなどとして、オリンパス社員、浜田正晴さん(51)が3日、同社に1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、6月に最高裁で配転無効の判決が確定したが、オリンパスは配転先から異動させず、子会社への転籍や出向を打診するなどした。現在も仕事を与えられず、昇給や昇進の機会を奪われ、精神的損害を被ったなどとしている。
 確定判決によると、浜田さんは2007年、上司が取引先から営業秘密を知る技術者を引き抜こうとしていると社内窓口に通報。通報内容が上司に伝わり、3回にわたり別の部署に配転された。
 一審判決は浜田さんの請求を退けたが、二審判決は「必要のない配転」と認定し、オリンパスに220万円の損害賠償を命令。最高裁は同社側の上告を棄却した。
 浜田さんは提訴後の記者会見で「最高裁の判断をほごにする会社の対応は許されない」と話した。
 オリンパスは「本人と調整の場を十数回持ってきたが、合意に至らず時間がかかっている。提訴は非常に残念」とのコメントを出した。

平成24年9月3日(月曜日)日本経済新聞電子版

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オリンパス社員勝訴=内部通報後の配転無効−最高裁2012/06/30

 オリンパス(東京都新宿区)社員の浜田正晴さん(51)が、内部通報によって不当に配置転換されたとして、同社などを相手に配転命令の無効確認などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は28日付で、同社側の上告を棄却する決定をした。配転を無効とし、オリンパスと上司1人に計220万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。
 浜田さんは2007年6月、上司らが重要な取引先の社員を引き抜こうとしていることを知り、社内のコンプライアンス室に通報。その後、別の部署に配置転換されたのは、内部通報に対する報復だと訴えていた。
 一審東京地裁は、配転命令による不利益はわずかで、内部通報による不利益な取り扱いを禁じた公益通報者保護法の対象にも当たらないとして訴えを退けた。これに対し二審東京高裁は、命令は通報に対する制裁が目的で、人事権の乱用に当たると認定。配転後に達成困難な目標を課して低い人事評価をしたことなども違法だとして、浜田さんの逆転勝訴を言い渡していた。

平成24年6月29日(金曜日)時事通信社

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労働相談が最多25万6000件=厚労省「いじめ相談増加が要因」2012/05/30

 労働者と企業間のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決することを目指す「個別労働紛争解決制度」に基づく2011年度の労働相談が、過去最多の約25万6千件に上ったことが29日、厚生労働省のまとめで分かった。同省は「企業の競争環境が厳しくなったことで、職場のいじめ・嫌がらせの相談が増えたことが要因」とみている。
 全体では110万9454件の相談が寄せられたが、このうち制度の対象となる民事上の紛争は、25万6343件(前年度比3.8%増)。ほかは労働基準法違反などの相談で、各労働基準監督署などが対応した。
 相談を紛争内容ごとに集計し直すと30万5124件。「解雇」が18.9%で最も多く、「いじめ・嫌がらせ」(15.1%)が続いた。解雇に関する相談は5万7785件で前年度比3.9%減ったのに対し、いじめ・嫌がらせは4万5939件で同16.6%増えた。
 労働者の内訳は、正社員が約10万6千人で前年度比2.1%減。派遣労働者が同12.3%増の約1万1千人となるなど、非正規社員は増加した。
 相談を受け、実際に労働局が企業側に助言・指導をしたのは9590件(同24.7%増)、有識者でつくる紛争調整委員会があっせんに乗り出したケースは6510件(同1.9%増)だった。
 厚労省労働紛争処理業務室は「競争環境の激化で同僚をライバル視するようになり、いじめが増えたことや、制度自体の周知が進んだことが相談件数増加の要因」と話している。

平成24年5月29日(火曜日)日本経済新聞電子版

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いすゞの雇い止め有効=東京地裁、元派遣社員らの請求棄却2012/04/17

 減産を理由に雇用契約を更新されなかったり雇用期間の途中で解雇されたりしたとして、いすゞ自動車の工場で働いていた元期間従業員や元派遣社員計12人が、同社に雇用の継続や慰謝料など総額6200万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁(渡辺弘裁判長)は16日、「雇い止めや派遣の解約は有効」として雇用継続について原告側請求を棄却した。
 原告4人については、雇い止め前に実施された賃金カットを違法と認め、同社に計約240万円の支払いを命じた。原告側は控訴する方針。
 判決理由で渡辺裁判長は「雇い止めは経営状況の悪化によるもので合理性があり、手続きにも問題はなかった」と判断。「派遣会社に対しても約1カ月前に解約の申し入れをしており、契約違反はない」とした。
 判決によると、原告らは同社の栃木工場(栃木県栃木市)と藤沢工場(神奈川県藤沢市)で働いていたが、リーマン・ショック後の2009年4月までに失職した。

平成24年4月16日(月曜日)日本経済新聞電子版

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「みなし労働制」適用認めず=残業代訴訟で添乗員勝訴−東京高裁2012/03/08

 労働時間の算定が困難な場合に、あらかじめ決められた時間を働いたこととする「みなし労働時間制」を適用するのは不当だとして、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の派遣添乗員6人が、未払い残業代など計約4800万円の支払いを求めた2件の訴訟の控訴審判決が7日、東京高裁であった。大竹たかし裁判長は、同制度の適用を認めた一審東京地裁判決を変更し、適用は不当とした上で、同社に計約2700万円の支払いを命じた。

平成24年3月7日(水曜日)時事通信社

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社会保険未加入、営業停止も=建設業向け国交省対策2012/02/25

 国土交通省は建設業者の社会保険未加入問題の対策に乗り出す。2012年度にも建設業の許可・更新時に、保険加入状況を確認する制度を導入。指導しても加入しない業者は営業停止など厳しい処分の対象とする方向だ。新たに設置する協議会などを通じて周知し、17年度までにすべての許可業者が社会保険に加入することを目指す。
 建設業界では利益確保や保険制度への理解不足などから、未加入業者が増えている。同省によると、建設業に従事する労働者のうち、約4割が雇用保険や厚生年金に未加入という。
 同省は建設業の許可・更新の申請時に、未加入業者を洗い出す。事業所への立ち入り検査も強化する。元請け業者にも、17年度以降は未加入の下請けとは契約せず、未加入の作業員は工事現場に入れないようにする。

平成24年2月25日(土曜日)日本経済新聞

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退職勧奨拒否で出向は不当…労働審判申し立て2012/02/22

 会社からの退職勧奨を拒んだところ、子会社に出向させられたのは不当だとして、リコーの男性社員2人が21日、同社を相手取り、出向命令の無効確認などを求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。
 申立書などによると、リコーは昨年5月、グループ全体で2013年度までに約1万人を削減する計画を発表。2人は昨年7月以降、退職勧奨を受け、拒否したが物流会社への出向を命じられた。2人はプリンターなどの技術開発を担当していたが、出向先での業務は商品の梱包作業などで「出向の必要性がなく精神的苦痛を受けた」と主張している。
 リコー広報室は「申立書を見ていないのでコメントは控えたい」としている。

平成24年2月21日(火曜日)読売新聞

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ホンダ相手取った雇い止め訴訟、原告敗訴=東京地裁2012/02/18

 契約社員として約11年間働いたのに、突然雇い止めになったのは解雇権の乱用で不当だとして、宇都宮市の男性(43)がホンダに地位確認などを求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であった。渡辺和義裁判官は「会社側はリーマン・ショックで雇い止めが避けられない状況を説明しており、原告も不満や異議を述べずに退職手続きをした」として、請求を棄却した。

平成24年2月17日(金曜日)日本経済新聞電子版

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平成24年度の雇用保険料率を告示=0.2%引下げ2012/01/26

 厚生労働省は、本日、平成24年度の雇用保険料率を告示しました。平成24年度の料率は、平成23年度の雇用保険料率から0.2%引下げ、一般の事業で1.35%、農林水産清酒製造の事業で1.55%、建設の事業で1.65%となります。
 雇用保険料率は、労使折半で負担する失業等給付の料率に、事業主が負担する雇用保険二事業の料率を加えたものとなります。このうち、失業等給付の料率については、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」に基づき、雇用保険受給者実人員の状況や積立金の状況を勘案し、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いて、一定の範囲内で変更することが可能となっています。平成24年度の失業等給付の料率については、本年1月6日に了承された「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」の中で、1.0%に引き下げるべきとされました。このため、雇用保険二事業の料率を加えた全体の料率は、一般の事業で、1.35%となります。 

平成24年1月25日(水曜日)厚生労働省報道発表資料より

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2審も添乗員の「みなし労働時間制」適用認めず2011/09/15

 労働時間の算定が難しい場合に一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」を巡り、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の派遣添乗員・豊田裕子さん(54)が、みなし労働時間制を適用するのは不当だとして、同社に未払い残業代など約112万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。
 福田剛久裁判長は、「添乗員が記録した日報を利用して、労働時間を算定することが可能」として、1審・東京地裁と同様、原告側勝訴の判断を示した。残業代については、原告側の請求を全面的に認めた1審判決の認定額を減額し、会社側に約102万円の支払いを命じた。
 判決後の記者会見で豊田さんは「添乗員は何時間働いてもみなし労働時間制を適用されてきた。判決をきっかけに業界全体が変わってほしい」と話した。一方、同社は「実態からかけ離れた判決で承服できない」として上告する方針だ。

平成23年9月14日(水曜日)読売新聞電子版

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